(日経 10月29日)
衆院選での民主党大勝の流れを作った、静岡県知事選。
川勝平太氏が、マニフェストの大きな柱の1つに、
教育改革を掲げて当選。
改革の担い手として、通信添削大手、Z会(静岡県長泉町)の
加藤文夫社長が、8月に県教育委員に就任。
東大や京大など、難関大合格で全国に名を馳せる
企業のトップが感じた、教育の課題と改善点を聞いた。
——教育委員への就任の打診はいつか?
「7月、知事選の結果が出て数日後、高校の先輩から。
県教育委員会には、県内地域からまんべんなく委員を
出したいので、県東部からも人材を欲しいということ」
——地元である静岡県内からの難関大への進学状況は?
「受験産業に携わっている人間として言えば、
静岡県は、東大合格者の数が少ない。
人口比率で、隣県の神奈川などに比べてかなり少ない。
もっと志望者が増えてもおかしくない。
競争してまで難関大学に行こう、という意識が弱いことに原因」
——地方ならではの課題といえるのか?
「そうではない。
福岡や広島は東大志向が強い。
富山や石川も同様で、必ずしも地方が弱いわけではない。
東大という切り口だけでいえば、
私立の一貫校が強い地域は合格者が多い。
逆に、公立高校が強いと東大合格率は低くなる傾向」
——なぜ、私立が強い地域の合格率が高いのか?
「学校が良いからという問題ではなく、
地域の中核となる高校があり、優秀な学生が集まって、
互いに競い合うから伸びる。
静岡の場合、のんびりした気質はもちろんあるが、
様々な高校に優秀な生徒が分散し、競い合う機会が失われている」
「受験産業に身を置いて感じるのが、教育方法よりも、
『ライバルに負けたくない』という環境を作った方が、学生は伸びる。
高校に、1~2人しか東大合格者がいなければ、
学生たちは『彼らは特別』と考えてしまう。
合格者が10人ほどいれば、学年で20~30番くらいの生徒も、
その気になるかもしれない」
——競い合う場を作る必要があるということか?
「友人やライバルが勉強している姿を見て、
勉強しなければとの競争心も芽生える。
難関大の受験を考える優秀な学生が集まる場があれば、
中核となる高校の代わりを担うこともできる」
「東大合格者を増やすことが、教育委員の仕事ではない。
受験産業の人間のアイデアを生かせば、
関東圏や中京圏に埋没しない教育スタイルを提案できるのでは」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091028.html
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