2009年11月5日木曜日

Z会の加藤社長「地方に新たな教育スタイルを」

(日経 10月29日)

衆院選での民主党大勝の流れを作った、静岡県知事選。
川勝平太氏が、マニフェストの大きな柱の1つに、
教育改革を掲げて当選。

改革の担い手として、通信添削大手、Z会(静岡県長泉町)の
加藤文夫社長が、8月に県教育委員に就任。
東大や京大など、難関大合格で全国に名を馳せる
企業のトップが感じた、教育の課題と改善点を聞いた。

——教育委員への就任の打診はいつか?

「7月、知事選の結果が出て数日後、高校の先輩から。
県教育委員会には、県内地域からまんべんなく委員を
出したいので、県東部からも人材を欲しいということ」

——地元である静岡県内からの難関大への進学状況は?

「受験産業に携わっている人間として言えば、
静岡県は、東大合格者の数が少ない。
人口比率で、隣県の神奈川などに比べてかなり少ない。
もっと志望者が増えてもおかしくない。
競争してまで難関大学に行こう、という意識が弱いことに原因

——地方ならではの課題といえるのか?

「そうではない。
福岡や広島は東大志向が強い。
富山や石川も同様で、必ずしも地方が弱いわけではない。
東大という切り口だけでいえば、
私立の一貫校が強い地域は合格者が多い。
逆に、公立高校が強いと東大合格率は低くなる傾向

——なぜ、私立が強い地域の合格率が高いのか?

「学校が良いからという問題ではなく、
地域の中核となる高校があり、優秀な学生が集まって、
互いに競い合うから伸びる。
静岡の場合、のんびりした気質はもちろんあるが、
様々な高校に優秀な生徒が分散し、競い合う機会が失われている」

「受験産業に身を置いて感じるのが、教育方法よりも、
『ライバルに負けたくない』という環境を作った方が、学生は伸びる。
高校に、1~2人しか東大合格者がいなければ、
学生たちは『彼らは特別』と考えてしまう。
合格者が10人ほどいれば、学年で20~30番くらいの生徒も、
その気になるかもしれない」

——競い合う場を作る必要があるということか?

「友人やライバルが勉強している姿を見て、
勉強しなければとの競争心も芽生える。
難関大の受験を考える優秀な学生が集まる場があれば、
中核となる高校の代わりを担うこともできる」

「東大合格者を増やすことが、教育委員の仕事ではない。
受験産業の人間のアイデアを生かせば、
関東圏や中京圏に埋没しない教育スタイルを提案できるのでは

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091028.html

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