(読売 10月28日)
学校動物飼育で、地域の獣医師らと連携した試み。
関東地方の小学校で、飼育していたオスのチャボ
「イエロー」が死んでいた。
「冷たくなっちゃったね」、「すごい、足が長い」、「ツメが立派だね」、
「じゃあね、バイバイ」、「わーっ」、「羽がもう、ぐったりしている」、
「さっきは目が開いていたのに」
午後のホームルーム後、夏休み明けで真っ黒に日焼けした
児童らがずらっと並び、順番にダンボールに入った
イエローの体に触って、口々にお別れを告げる。
エサやりや飼育舎掃除の世話をしていた4年生たち。
そばで説明するのは、動物病院を開業する獣医師。
「ふだんは、体温が43度あった。冷たいでしょう。
これが死んだってこと」、
「血が止まると、こんなふうに黒っぽくなるの」と、説明。
死体の感触に驚きの声を上げながら、男子児童(10)は、
「やっぱりかわいそうだね」とつぶやいた。
この小学校では、飼育活動を総合学習に位置付け、
児童が週交代で、チャボとウコッケイ、ウサギの世話。
全児童が飼育を経験し、休日や夏休みは保護者も参加して
世話当番をする。
フンやゴミをほうきで集め、おしっこでぬれた新聞紙を
「くさいなあ」と言いつつ、つまみあげる。
男子児童(9)は、「動物に触れるのがいい」
担当の教諭(25)は、「動物の観察力もついているし、
朝夕に様子を見に来る子も多い」と、飼育のプラス面を説明。
獣医師は、「一時的なふれあいでなく、
責任を持って動物の命にかかわる継続飼育を通し、
他人の痛みを知る子どもが育つ」
ウサギ、ニワトリなどの小動物飼育は、約9割の小学校で行われ、
学校任せで児童がほとんど世話をしないケースも。
全国学校飼育動物研究会では、地域の獣医師や保護者を交えた
飼育支援ネットワークの拡大を推進中。
獣医師が定期的に訪問、動物の健康をチェックし、
児童の質問に答えることで、正しい知識と飼い方を伝える。
同研究会顧問の無藤隆さん(62)は、
「小さい時から生の命に実際に触り、においをかぎ、
五感で好き嫌いを体感すると、他人を許容する幅も広がる。
家庭での動物飼育がなかなかできない現在、
獣医師の適切な助言と指導で進める学校動物飼育は、
子どもの成長に有益」
地球生物会議(ALIVE)の野上ふさ子代表(60)は、
「ウサギなどがストレスを感じ、虐待になっている例も。
少なくとも責任者を明確化するなど、土台を整えて行うべき」
学校飼育が逆効果にならないよう、
体制を作りきちんと進める必要がある。
◆全国学校飼育動物研究会
学校教師や教育委員会関係者、獣医師らにより2004年設立。
369人と44団体が参加。
幼稚園や小学校などでの動物飼育や動物介在教育について
研究や実践を行い、情報交換をしている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091102-OYT8T00839.htm
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