2009年11月4日水曜日

森トラストの森社長「“エコビル”建設、コストが課題」

(日経 10月24日)

民主党新政権の打ち出す政策が、不動産業界に波紋。
鳩山首相が発言した、「温暖化ガス25%削減」の中期目標に対し、
業界団体は実現困難との見方を示し、
国土交通省関連の補正予算凍結にも戸惑いの声。
森トラストの森章社長に、新政権の印象や政権交代に伴う
戦略見直しについて聞いた。

——不動産分野で温暖化ガスの25%削減は可能か?

1990年比で25%削減は、現在からみると30%以上。
相当な技術革新がなければ、不動産分野で同じ比率を
削減することは難しい。
中長期的に取り組まなければいけないテーマだが、
環境税などを導入すると、消費者の負担が増える」

「土地が狭い日本では、風力発電などの新エネルギーを
使いたくても設置する場所が少ない。
米国や中国と同じ数値目標を設定しても、達成するのは大変」

——オフィスビルで、エネルギー効率を向上させる余地はあるか?

「すでに断熱材などは十分普及。
発光ダイオード(LED)照明、光触媒を吹き付けた外壁、
人を感知するセンサーなどを採用した『エコビル』を建設したいが、
現時点では費用が高い。
LED照明など、普及すれば価格も安くなると期待。
工事の時期を予定よりも遅らせた方が、エコビル対応にしやすいかも」

——政府は、民間都市開発推進機構の補正予算を使った
不動産開発支援も凍結する方針。

「我が社も、仙台市の再開発案件で、低利融資を利用する
可能性があった。
借りられなくなっても、計画を見直すことは考えてない。
多くの不動産会社が融資を申し込んでいたが、
一定以上の格付けがないと審査を通らない。
凍結されても、事業基盤が揺らぐ会社が出るようなことはない

——影響は小さいとの見方なのか?

不動産業界は、先行投資が必要で借金体質。
政府の支援を当てにしていては、この業界は成り立たない。
民間都市開発推進機構の融資について、
借りられればラッキーという程度」

——民主党を中心とした新政権をどう評価する?

「年金問題など、自民党にはできない改革に期待。
各論を詰めず、『マニフェストに書いてあるから』と主張する
姿勢は評価できない。
建設計画を凍結した八ツ場ダム(群馬県)にしてもそう。
円高を容認したり、海外資本を排除したりする
方向にならないか懸念」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091023.html

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