2010年1月30日土曜日

JR東海米国の高速鉄道建設計画に本格参入

(サイエンスポータル 2010年1月26日)

JR東海は、同社の新幹線システムと超電導リニアシステムを、
米国に売り込む計画を発表。

既に昨年、同社の東海道新幹線システム、
超電導リニアシステムを、海外市場でそれぞれ販売する
独占的権利を有する会社2社が米国に設立。

数カ月間の調査結果を基に、参入可能な路線を絞り込み、
今後事業化に向けた営業活動を積極的に進めていく。

JR東海が、海外展開を狙うシステムは、
同社の新幹線システムN700系を国際仕様にした
高速鉄道システム「N700-I Bullet」と、
東京~名古屋間で2025年の営業運転開始を目指している
超電導リニアシステム「SCMAGLEV」。

米政府は、景気対策として今年80億ドル(約7,200億円)を
高速鉄道建設に投じる。
JR東海は、近い将来、同社の新幹線システムが採用される
可能性のある候補地として、フロリダ州のタンパ~オーランド~
マイアミ間、ネバダ州ラスベガス~カリフォルニア州ロサンゼルス間、
テキサス州や中西部の路線を挙げている。

超電導リニアシステム「SCMAGLEV」が参入可能な路線として、
メリーランド州ボルチモア~ワシントンDC間、
テネシー州チャタヌーガ~ジョージア州アトランタ間、
ペンシルバニア州などを挙げた。
両システムとも、将来は米国以外への展開も狙っていく。

葛西敬之・JR東海会長は、2025年の東京~名古屋間の
東海道新幹線バイパス(中央新幹線)営業運転に
自信を示したのと併せ、「世界に、21世紀型の陸上輸送を
波及させたい」と海外展開への強い意欲。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1001/1001261.html

トイレ普及なお28% 印、成長の恩恵阻む格差 ユニセフ・インド事務所の平林国彦副代表

(2010年1月26日 共同通信社)

インドは、2007年のGDPが10年前の3倍を超え
高成長中だが、衛生や教育の向上は一部に限られ、
1歳未満の子供の死亡率は、08年で千人当たり52人(日本は3人)。
格差拡大が経済成長の恩恵を阻んでいる現状と課題を、
国連児童基金(ユニセフ)インド事務所の
平林国彦副代表(51)に聞いた。

―ユニセフは、インドでトイレを使う人口が、
06年でも全体の28%との統計を紹介。

「政府がキャンペーンし、トイレ設置を進めたが、
実は使われていない。
野外で土の上に排便し、病気が伝染する大きな原因。
子供たちの手足を通じ感染するし、雨期には汚れた水が広がる。
インドでは、下痢が5歳未満児の死亡原因の20%以上

―設置したトイレが使われないとは?

「トイレが果たす役割や必要性が伝わっていない。
数億人レベルで大変リッチな人が出てきた一方、
7億~8億人は生きるため必要な情報にアクセスできない。
成長の陰で格差が拡大」

―格差の影響は深刻なのか?

「出産で注意が必要なのは、母親が産後2日間、子供は7日間、
その間に医師や助産師の診察を受けた人は、
社会階層により14~74%と差が大きい。
はしかの接種もままならない層もあり、はしかで死ぬ子供の
3~4割を占めているのがインド。
2回の接種で、ほぼ避けられるのに」

―接種を受ける金がないのでは?

「接種は無料だが、スタッフが不足。
地域や階層によって、中等教育さえ十分でない。
ITを担うトップレベルの人材は素晴らしいのに」

―日本にいるわたしたちに何ができるか?

まずは知ること。
『かわいそう』ではなく、現場を見てほしい。
観光の際に学校にも行けば、子供や先生の熱意に感動するし、
衛生状態にも気付く。
小さなアクションを。
家族に話すだけでもいい。
他人に関心を持ち、かかわりを持ち続けてほしい」

ひらばやし・くにひこ

58年生まれ。医師。国立国際医療センター国際医療協力局、
ユニセフ・アフガニスタン事務所、レバノン事務所などを経て、
08年から現職。長野県大町市出身。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/26/115043/

てんかん発症防ぐ物質、日米チーム特定 発症の一因解明

(2010年1月26日 毎日新聞社)

脳内で、てんかんの発症を防いでいるたんぱく質を、
自然科学研究機構生理学研究所の深田優子准教授(神経科学)ら
日米のチームが特定。
別のたんぱく質と結合、脳の神経細胞の興奮を上手に調節。
25日付の米国科学アカデミー紀要(電子版)に発表。

てんかんは、神経細胞が過剰に興奮する疾患、
人口の約1%が発症。
症状や背景は多様で、発症の仕組みはよく分かっていない。

チームは06年、神経細胞のつなぎ目のシナプスから
「LGI1」というたんぱく質を発見。
病気との関連を探るため、LGI1を作れないマウスを作ったところ、
すべてが生後2~3週間で重いてんかん発作を起こして死んだ。

健康なマウスのシナプスで、LGI1の働きを調べた。
その結果、LGI1は神経細胞の外に放出された後、
別の2種類のたんぱく質と結合、シナプスに橋をかけるように
存在すると考えられた。
LGI1を持たないマウスは、両たんぱく質がシナプス周辺に
存在しなかった。
チームは、3種のたんぱく質が正常に結合することで
脳の興奮を調節、てんかん発症を防いでいると結論。

チームの深田正紀教授は、「LGI1を補うなど、新しいタイプの
抗てんかん薬開発につながる可能性もある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/26/115035/

東北初の実証実験始まる 衛星利用の遠隔病理診断

(岩手日報 1月28日)

岩手医大医学部病理学講座の沢井高志教授(61)ら
研究グループは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携、
超高速インターネット通信衛星「きずな」(WINDS)を利用した
遠隔病理診断の実証実験を始めた。

東北では初めて。
矢巾キャンパスから、盛岡市内丸の同大に病理画像を伝送、
操作や画像の鮮明さなどを確認。

実験は、摘出した組織や細胞から病気診断などを行う
病理専門医が全国的に不足、地理的な制約が少ない衛星を
活用した新たな遠隔病理診断の手段として、実用化するのが狙い。

両キャンパスをWINDSでつなぎ、矢巾キャンパスから送信した
肺がんや大腸がん、胃カメラで撮影したピロリ菌などの画像を
内丸で受信。
離れた場所から、現地の顕微鏡の倍率やピントを
合わせるなどの操作を行った。

沢井教授は、「予想以上に画像が鮮明。
衛星のため、タイムラグは若干あるが、診断するのに問題はない」
「今後は実験結果を分析し、
病理医や医師不足を補う形で役立てたい」

実証実験は、文部科学省の2009年度宇宙利用促進調整委託費
「衛星データを利用した新規利用開拓プログラム」の一環。
同プログラムは、本年度から2年間行われ、
10年度には沖縄県の琉球大と遠隔病理診断を実験。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100128_5

2010年1月29日金曜日

新興国に売れる工場の省エネ技術

(日経 2010-01-26)

CO2削減や省エネルギーの取り組みでは、
ハイブリッド車や電気自動車などの製品技術が目立つ。
製品を造るときのCO2排出量を極力削減する
「エコものづくり」も深く進行。
シャープが09年10月に公開した「シャープグリーンフロント堺」は、
まさにエコものづくりの象徴。

消費電力の少ない液晶パネルと太陽電池を製造し、
従来型の工場に比べ、約6万3500トン/年もの
CO2排出を削減したコンビナート。

グリーンフロント堺は、第10世代(2880×3130mm)の
液晶パネルと太陽電池の生産拠点。
約127万m2の敷地に、部材メーカーなど19社が集結、
「あたかも一つの工場であるかのように」(シャープ)振る舞う。
それぞれの工場で使用する純水や圧縮空気、窒素ガスなど、
共同のプラントで生産して配給、効率化を図った。

コンビナート内のエネルギーの使用状況は、
「統合エネルギー管理センター」が一元的に管理・調整。
エネルギー情報だけでなく、生産計画や生産実績といった、
生産そのものの情報も一元管理。

シャープは、グリーンフロント堺内の液晶パネル工場だけでも、
約4300億円もの費用を投じ、省エネ効果と生産性の向上で
十分に回収できる。

工場単位でも、エネルギーを集中管理することで、
CO2削減と省エネルギーを確実に推進する試みが増えている。
トヨタ自動車は、08年度、売上高当たりのCO2排出量(CO2原単位)
増加を、10%程度で食い止めた。

08年度後半、リーマン・ショックで生産量が大きく落ちた年度で、
工場のCO2排出量も総量は減ったが、CO2原単位は
大きな減産局面では急激に悪化するのが普通。
設備の維持などに必要なエネルギーの中に、
生産量と関係なく、一定量使わざるを得ないものがある。

トヨタ自動車は、既に構築を終えていたCO2排出量の
「見える化システム」を活用、エネルギー原単位が
なるべく悪化しないように調整しながら操業。

見える化システムは、国内12工場のエネルギ使用状況を
横並びで比較でき、一つの工場で使っている蒸気の圧力が、
他の工場よりも突出して高い、というようなことが分かる。

蒸気圧が本当に必要なのかを調査すると、蒸気の安定供給のため、
圧力を高めに設定していた、といった場合が。
エネルギーのムダを省いていった結果、見える化システム
構築当初の07年度、トヨタ自動車の原動力部門
(工場内の電力や蒸気などを供給する部門)は、
2万3000トンのCO2排出量削減と
5億900万円のコスト削減を実現。

以上の活動は、単にCO2排出量とエネルギー消費の低減を図る
だけでなく、新しい技術と経済性に裏打ちされていることが特徴。
日本国内に、このような技術が蓄積されていけば、
新興国などに売り込むことも可能。

実際、日本の排煙脱硫装置は火力発電所の環境対策として、
世界中に設置。
新日本製鉄グループの新日鉄エンジニアリングが、
中国鉄鋼大手の馬鞍山鋼鉄に、コークス炉の廃熱を利用して、
石炭を脱水する技術を供与。

日本は、単位GDP当たりのエネルギー消費の少なさでは
おそらく世界一。
資源エネルギー庁が発行した「日本のエネルギー2009」に
転載されている国際エネルギー機関(IEA)の資料で、
06年における単位GDP当たりの1次エネルギー消費量は、
日本を1とすれば英国1.3、ドイツ1.7、フランス1.8、米国2.0、
タイ6.1、中国7.9といった状況。

さらに技術を加え、CO2削減と省エネを進めるのは大変だが、
世界各国でCO2排出枠の取引が本格化すれば、
CO2削減技術の価値も大幅に高まる。

エネルギーの集中管理といったトップダウン的な技術だけでなく、
個々の現場での省エネ技術も着実に進んでいる。
ホンダ埼玉製作所の塗装工程では、
09年2月に新型の循環水ポンプを導入。
このポンプは、IPM(磁石埋め込み式)モーターと呼ばれ、
モーターのロータ(回転部)でのエネルギー損失が少なく、
小型軽量化しやすいのが特徴。
同社が、ハイブリッド車「インサイト」に採用したのも
同じ方式のモーター。

それまで使っていた誘導モーターの効率は88%。
小型軽量のIPMモーターに交換するだけでも93%に向上、
ハイブリッド車と違って工場の生産設備だから、
モーターの外形を小さくする必要がない。
ステータ(固定部)のコイルの容積を拡大することを考え、
損失がさらに減り、「世界最高効率」(同社)の97.7%を達成。
「スーパーIPMモーター」は、循環水の流量を調節する
バルブの運用方法の工夫などと組み合わせ、
投資金額を約40カ月で回収できる見込み。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100125.html

特別用途食品、HPで紹介…国立健康・栄養研

(2010年1月26日 読売新聞)

国立健康・栄養研究所が、乳児のための粉ミルクや、
腎不全患者用の低たんぱく質食品といった「特別用途食品」に
関する情報を紹介するHPhttp://fosdu.nih.go.jp/)開設。

特別用途食品とは、乳児や妊産婦、病人らの健康保持や
回復に適した食品のこと。
健康増進法に基づき、医学・栄養学的な配慮が必要な人に
適した食品が対象。
一般の人を対象にした「トクホ」こと特定保健用食品も含まれる。

HPでは、特別用途食品の商品名やメーカー名、
どういう人に適しているかなどを分かりやすく紹介。
特別用途食品は、「トクホ」を除き、約300点が市場に出ている。
同研究所情報センター長の梅垣敬三さんは、
「医師などにも十分に知られておらず、特別用途食品を
必要とする人は、HPで情報を入手し、生活に取り入れてほしい」

食べ物で病気を改善し、悪化を抑制する栄養療法に関する
情報も掲載。
梅垣さんによると、インターネットや口コミで様々な療法が紹介、
科学的な根拠のないものもある。
HPでは、論文約200本を掲載、
「栄養士らも参考にして」と期待。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/26/115046/

インフラ整備に粘菌の知恵 餌求め高効率の経路形成

(2010年1月22日 共同通信社)

アメーバ状の単細胞生物「真正粘菌」を、駅に見立てた餌を
配置した容器内に這わせると、体を引き伸ばしながら、
実際の鉄道網より輸送効率などに優れたネットワークを
形作るとの研究結果を、中垣俊之・北海道大准教授や
広島大などのグループが、22日付米科学誌サイエンスに発表。

費用対効果の高い通信網の設計など、
人間が都市のインフラ整備を行う際、
粘菌の"知恵"を借りられそう。

真正粘菌は餌に接触すると、周囲に体を集める性質を持つ。
餌が散らばっていると、餌と餌の間に管を形成し、
管を通じて栄養分や自らの体を移動。
よく使う管は太くなり、不要な管は消えてなくなる。

中垣さんらは、関東地方の形をした容器内に、主要な鉄道駅に
見立てた餌を36カ所配置。
山手線に相当する中央部に、最も大きな餌と粘菌を置き、
観察を繰り返した。

粘菌が作るネットワークは、常に同じ形になるわけではないが、
実際にある関東地方の鉄道網より効率的な形だったり、
経路の一部が寸断されても、迂回路が用意されていて
トラブルに強かったりするケースがある。

中垣さんらは、粘菌が迷路の最短距離を見つけ出すことを発見。
2008年、ユーモアのある研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」を受賞。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/22/114809/

4港が「PR合戦」セミナーコンテナ利用など岩手県港湾東京都で

(東海新報 1月27日)

大船渡、釜石、宮古、久慈各港の利用をPRする
岩手県港湾セミナーが、東京国際フォーラムで開かれた。
製造業や商社関係者らの前で、大船渡港の
外貿コンテナ定期航路利用をはじめ、
各港の特徴や優位性を訴えた。

このセミナーは県が主催、県港湾協会、
大船渡港振興協会などが共催。
県内に4つある重要港湾のポートセールスを行い、
利活用や臨海工業用地への企業誘致を進めようと毎年開催。

県内、県周辺に立地している製造業の本社や、事業所と
取引のある商社、船会社など47社、約90人が参加。
達増拓也知事、甘竹勝郎大船渡市長、野田武則釜石市長、
山本正徳宮古市長、菅原和弘久慈市副市長らが説明役。

第一部の港湾説明会では、達増知事が
「各港の特徴にご理解いただき、利用していただきたい」。
県全般の概要も説明し、トラック輸送と比べたコスト面での
優位性、CO2排出量の削減、内陸部とつながる道路整備などを強調。

宮古、釜石、大船渡、久慈の順で、各市長らが特徴や利便性をPR。
宮古港は、横浜港とつながる内航コンテナフィーダー輸送の
利用法を提案。
釜石港も、内航コンテナ航路開設に向けた取り組みに理解を求め、
久慈港は、臨海部における企業立地支援を重点的に説明。

大船渡港は、「県内最大の国際港」として、
国際コンテナ定期航路を中心に紹介。
世界不況が続く中、荷主側の理解が進んだことなどから、
今年度のコンテナ取扱高は前年度を上回る見通し。
経済成長が続く中国ルートの充実、一荷主に最大で
約2300万円を補助する大船渡港独自の利用奨励制度も示した。

第二部の情報交換会は立食形式で行われ、
個別相談や新たな取引開拓に向けて懇談。
名刺を交わし合い、終始和やかな雰囲気で行われたが、
「新たにコンテナ航路を使いたい」と、
商社側から大船渡港関係者に申し出る光景も。

http://www.tohkaishimpo.com/

2010年1月28日木曜日

中高年 増える摂食障害

(2010年1月20日 読売新聞)

拒食症や過食症などの「摂食障害」は、
若い女性の病気というイメージがあるが、
中高年でもこの病気に苦しむ人が少なくない。
自助グループなど、「『この年で摂食障害なんて恥ずかしい』と
思わず、助けを求めてほしい」。

◆3食はサプリ

神奈川県藤沢市の女性(50)は、3年前に拒食症。
以前の体重は、身長160cm、体重55kg。
決して太りすぎとはいえないが、「自分の理想体重は45kg。
どんなに頑張ってダイエットしても、50kgまでしかやせられない
自分を太りすぎで醜いと感じ、自分に自信が持てなかった」

3年前に夫が入院、心労から食欲がなくなり、
体重が3か月で10kg減。
これがきっかけで、「体重を減らすことが面白くなり、拒食にはまった」
1日3食をすべてサプリメント、食べ物はほとんど受け付けない。

摂食障害は、思春期に過剰なダイエットなどがきっかけとなって
発症することが多い。
最近は、この女性のような中高年の患者も増えている。

横浜市にある摂食障害の女性のための通所施設「ファルク」に、
10人の女性が通っているが、8人が30歳代以上、最高齢は66歳。
48歳の女性は、18歳から拒食と過食を繰り返し、
11年前に長男が生まれ、育児やママ友との人間関係のストレスから、
症状が悪化することも。

ファルク所長の細野直子さん(50)は、「子育て中の母親や、
中高年女性の中にも、摂食障害で苦しむ人が増えている」

摂食障害に詳しい成増厚生病院診療部長の後藤恵さんは、
「今は、50歳でも60歳でもきれいでいたい女性が多い。
以前は、子育て中は症状が出ないことが多かったが、
最近は、子育て中でもおしゃれをしたいお母さんが多く、
摂食障害に陥りやすい」

◆背景に自己否定

摂食障害の自助グループ「日本アノレキシア・ブリミア協会(通称ナバ)」
10年前から、30歳代以上からの相談電話が増え、
現在は、本人からの相談電話の半数を占める。
新規の相談もあるが、10年以上前に会員だった人が、
中高年世代となり、再び助けを求めてくるケースも。

代表の鶴田桃エさん(47)は、「摂食障害の背景には、
ありのままの自分を受け入れられない自己否定が。
症状が治まっても、その根っこが未解決ならば、
新たな困難にぶつかった時に、再び発症してしまう」

ファルクに通う66歳の女性は、「一人で悩んでいる中高年の方に、
同年代の仲間がたくさんいることを伝えたい」
ファルクでは、摂食障害について広く知ってもらうため、
3月7日に横浜でセミナーを開く。
問い合わせ、申し込みはファルク(farc@amail.plala.or.jp)、
男女共同参画センター横浜北(045・910・5700)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/20/114712/

アイデア豊富「環境CM」 高田小学校5年生児童らが制作ごみや水質問題を身近に

(東海新報 1月28日)

陸前高田市立高田小学校(菅野和枝校長)の
5年生児童71人は、市内の環境学習に取り組み、
その成果をCMとしてまとめた。
13のグループが制作したアイデア豊富な「環境CM」を上映。
各班では、映像を通してごみの削減やリサイクル、
川や沼の水質改善に向け、自分たちでできることをPRし、
実践を誓った。

CM制作と発表会は、総台学習の一環で実施。
児童たちは、家庭や地域単位での環境学習、
市役所市民環境課職員を講師に迎えての勉強会、
グループごとの課題別学習などを経て、
市内の環境問題に理解を深めた。

CM作りは、その成果を発信しようと取り組んだもの。
制作は冬 休み前に行われ、各班の課題別学習のまとめから、
最も伝えたいことを40秒の映像作品にまとめた。

発表会には、5年生児童、同課の大和田正課長補佐も出席。
学年執行部代表の畠山幸大くんが、
「市役所の方からいただいたお話や資料をもとにCMを作り、
改めて環境の大切さを知りました。どうぞご覧ください」とあいさつ。

力作CM13本を公開。
各作品の上映前には、担当した班のメンバーが登場し、
自分たちの学習テーマや見どころを紹介。

CMでは、ごみの削減、生ごみの処理、リサイクル、古川沼の歴史、
節水などを訴え、自分たちでできる対策方法も提案。
「環境を大切にしましょう」、「みんなで古川沼を守っていこう」、
「交ぜればごみ、分ければ資源」といった力強い呼びかけも。

表現方法では、見る側の関心を引きつけるアイデアを活用。
絵やグラフなどの掲示、寸劇を交えたり疑問を投げかける
演出を施し、面白く仕上げた作品も多かった。

全作品の上映を終え、児童たちは「ごみを減らしたり、
リサイクルをしていこうと呼びかけていてよかった」、
「やってみたくなる表現や資料が使われていた。
問いかけをして、みんなを引きつけるものもあり、
いい考えだと思った」、
「自分のグループでは思いつかなかったアイデアで、
CMを作っていた」などと感想。

大和田課長補佐は、「環境問題は難しいが、ごみ処理やリサイクル、
古川沼のことなど全体的に取り組んでくれた。
2月には、学校環境ISO認定を目指し、取り組みを頑張ってほしい」

指導した岡田政志教諭は、「CMを作ることではなく、
学習を通して感じたことをやっていくのが最終目標。
ISO認定を目指して実践し、学習を通して
自分が生まれたまち・高田をたくさん好きになってほしい

http://www.tohkaishimpo.com/

夢を紡ぐ:地球に優しい新技術/9止 NPOバンク 「成長の方程式」実現を

(毎日 1月19日)

◇環境コンサルタント会社代表・見山謙一郎さん(42)

見山さんが、NPOバンクの世界に飛び込んだのは05年。
三井住友銀行で法人営業を担当する「エリート銀行マン」だったが、
知人の紹介で知り合った音楽プロデューサーの小林武史さんに
誘われ、小林さんや音楽家の桜井和寿さんが出資する
「ap bank」の理事に就任。
apは、アーティストらの出資で03年に設立。
環境事業など、最大500万円を年1%の低利で融資。

見山さんは、銀行で製紙業界を担当、企業が保有する
森林の温暖化防止効果に関心を持ったのを契機に、
「金融が環境に貢献できることは何か」と考え始めた。
90年代後半の金融危機後、銀行が目先の収益を重視する
傾向を強めたことに違和感を強め、転身を決めた。

就任から間もなく、使用済み紙おむつを粉砕・乾燥させて
固形燃料に転換する技術開発をしていた中小企業
「スーパー・フェイズ」の案件が持ち込まれた。
「リスクの見極めが難しい」と、融資に難色を示す銀行の紹介。

水分を含む使用済み紙おむつは、
燃焼処理に大量の重油を使う。
同社の技術は、生ゴミをメタン発酵させて発生した熱源を使い、
紙おむつを固形燃料化。
化石燃料の燃焼による温室効果ガス発生を抑制。
「高齢化で、紙おむつの処理が問題化する。将来性あり」と
判断し融資に応じた。
完成した装置は、都内の老人ホームなどに納入。

「銀行は、実績がないと融資に慎重。
実績を作るために、必要な資金もある。
apでは、環境に貢献する発想や熱意が重視された」。
資金の少ないNPOバンクだけでは、限界も感じた。

09年1月に独立。
環境事業を支援するコンサルタント会社
「フィールド・デザイン・ネットワークス」を設立。
森林保全から企業のエコ商品の開発の助言までこなす。
「日本の森を守る地方銀行有志の会」(地銀64行で構成)の
アドバイザーも兼務。
温室効果ガスの吸収効果が薄れるのを防ぐため、
森林の手入れや活用、さらに地域再生を図るつもり。

「NPOバンクの理念と銀行の情報・資金力などをつなげ、
環境問題を解決する『成長の方程式』を実現したい」
理想と現実の懸け橋を目指す。
==============
◇NPOバンク

環境保全や福祉事業などに携わる企業やNPOなどに
低利で融資する非営利組織。
特定の使途にお金を使いたい市民らの出資金が原資。
融資額は、1件数百万円程度。
実績不足で、銀行が融資を断った場合でも、
理念が合えば融資に応じる。
日本では、94年設立の「未来バンク」が先駆け。
賛同者の多くが個人で、巨額の資金を集めるのが難しいのが課題。
現在、10を超すNPOバンクが活動。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/19/20100119ddm008020030000c.html

脳:運動で若返る! 認知症治療薬に近い効果、マウス実験で証明

(毎日 1月19日)

加齢で減る脳の神経細胞の基が、運動によって
再び活発に作られるようになることを、
東京大の久恒辰博准教授(脳科学)と
大学院生の伊藤佳絵さんのチームが突き止めた。
19日発行の米専門誌ヒポキャンパス(海馬)電子版に発表。

チームは、記憶や学習など認知機能をつかさどる
「海馬」という部分に注目。
人なら高齢者に当たる2歳以上のマウスを使い、
海馬の神経細胞の基になる幹細胞を調べた。

その結果、自由に走ることのできる環境で飼育したマウスは、
十分運動できなかったマウスに比べ、
幹細胞の増殖率は2・4倍高い。

運動する代わりに、認知症治療薬アリセプトを投与すると、
未投与のマウスに比べ、3倍以上活発になる。

アリセプトは、神経伝達物質アセチルコリンを保護する働き。
チームは、アセチルコリンが運動で活発に分泌され、
幹細胞の増殖を促していると結論。

久恒准教授は、「運動が、認知症治療薬と同様の役割を果たしている。
人に同じ仕組みがあると考えられ、認知症対策に
運動を取り入れる有効性が示されたのでは」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/19/20100119ddm012040019000c.html

2010年1月27日水曜日

ほとんど水でも高強度の材料開発

(サイエンスポータル 2010年1月22日)

こんにゃくと同じくらい水分が多いのに、
強度はこんにゃくの500倍という新材料を、
東京大学の研究チームが開発。

究極的な環境無負荷材料として、さまざまな用途が期待。
相田卓三・東京大学大学院工学系研究科教授らが
開発した材料は、ほとんど(95%以上)が水分でできており、
2~5%の粘土と、わずか0.4%の有機高分子化合物を
混ぜるだけで、簡単につくることができる。

十分な強度を持つことから、どんな形にも成型できる上、
成型物をはり合わせることで、複雑な形にすることも可能。
タンパクなど、生理活性物質を取り込む性質も持っている。

相田教授らは、骨、軟骨などの再生材料や代替材料、
アクチュエーター材料、バイオリアクター用材料など、
さまざまな応用が期待。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1001/1001221.html

「大・大発ベンチャー」は救世主か

(日経 2010-01-19)

大学の研究成果をもとに起業する「大学発ベンチャー」は
今、その多くが青息吐息の状態。
大学が、国やベンチャーキャピタルの口車に乗せられ、
起業促進に走り、事業採算もずさんな会社を乱立してしまった
「学者商法」をあげつらうのは簡単だが、
このままでは大学の優れた技術を、日本の産業競争力強化に
役立たせる道筋を閉ざせてしまう。

この課題を克服する救世主と期待したいのが、
大企業が大学と共同開発した研究成果を、
開発チームごと独立させる「大(企業)・大(学)発ベンチャー」
と呼べるビジネスモデル。

成功例の第1号となりそうなのが、QDレーザ(菅原充社長)。
富士通が2006年に独立させたベンチャー。
東京大学と連携し、光通信の次世代技術と期待される
量子ドットレーザーの開発、製造を手掛ける。

世界の半導体メーカーが、実用化に悪戦苦闘している
緑色レーザーを、10年秋からの量産開始を表明、
最先端の光通信デバイスの開発競争で、トップランナーに。

量子ドットレーザーは、富士通の研究子会社、富士通研究所が
東大の荒川泰彦教授と共同開発した産学連携の成果。
量子ドットとは、一辺の長さがナノメートルの半導体で作った微細な箱。

ここに電子をとじ込め、エネルギー状態をそろえると、
小さな電力をかけるだけで波長のそろったレーザー光を発生。
温度が上昇しても、波長は変化しにくい。
従来のレーザーは、使用中の発熱などで出力が低下、冷却器が必要。
量子ドットレーザーは、大幅な省エネとコストダウンが可能、
高速長距離光通信のほか、照明などへの応用が見込まれる。

QDレーザは、設立の経緯でも注目。
量子ドットレーザーは、富士通のドメイン(事業領域)である
光通信の競争力強化を担うコア技術として、
ナノデバイス開発の権威である荒川教授とともに開発。
“希望の星”の研究成果をものにした開発チームを、
本社から切り離して独立させる「カーブアウト」と呼ぶ
分社化戦略に、同社の事業部サイドから慎重な意見も。

黒川博昭社長(当時)が、カーブアウトにゴーサインを下したのは、
変化の激しい先端技術市場の競争では、
経営の意思決定の遅れや投資の自由度の制約が命取り

グローバル市場のシェアを最大化するには、
世界の通信メーカーに売り込むことが不可欠、
富士通の看板は邪魔になると割り切り、早期の事業立ち上げを
成就するため、ベンチャーの突破力にかけた。

大学発ベンチャーの多くが失敗した理由は、
学術的にいかに優れた研究成果でも、
市場の要望に合致しなければ、売り上げに結びつかない
ビジネスの冷厳な壁にぶち当たった。

市場支配力や優秀な人材と技術が、大企業に偏在する日本で、
ベンチャーが生き残る1つの便法は、
技術の実用化にたけた大企業との連携の道を探ること。

荒川教授が、大学発ベンチャーを選択せず、
富士通との産学連携を選んだのは、
研究成果の実用化のため、大企業の経営ノウハウやモノ作りの
インフラを活かすことが不可欠と考えた。

QDレーザについて、荒川教授は
「最先端の基礎研究とビジネスが直結、実用化に取り組む体制で、
経営決断のスピードがアップ、
リスクを伴う開発を進めるための外部資金調達が可能」、と3つのメリット。

株主は、富士通、三井物産系ファンドでスタート、
08年、みずほキャピタルを中心に総額7億円の資金調達。
開発資金を一番必要とする時期が金融危機とかち合ったが、
市場性が高い技術への期待は高く、資金獲得に支障はなかった。

世界に先駆けて量産する緑色半導体レーザーにも、
市場重視の開発思想が込められている。
赤色や青色の光を発するレーザーは、DVDなどへのデータの
読み書き用に実用化、「光の三原則」に必要な緑色レーザーの
開発は遅れていた。

研究試作では、住友電気工業や米カリフォルニア大学などが
開発完了を明らかにし、使う基板は1枚50万円以上と
高価な窒化ガリウム素材。

QDレーザは、光通信用半導体の素材として一般的で、
1枚2万円程度のガリウムヒ素の基板を採用。
他社が純粋な緑色を1発で発光させることに執着、
QDレーザはいったん赤外レーザーを発光させ、
その光の波長を特殊な素子で半分にして緑色を実現。
安価な素材で緑色のレーザー光を作り出し、
顧客獲得を有利に展開できる。

荒川教授は、「既に生産開始した量子ドットレーザーは、
海外で具体的な商談が進行中」
緑色レーザーは赤、青色のレーザーと組み合わせれば、
自然に近い鮮やかな色の背面投射型テレビや、
携帯電話に内蔵できる超小型プロジェクターなど、
新たな映像機器の実現に貢献、
12年3月期、30億円の売り上げを見込む。

大企業の研究所の研究成果で、事業化されるのはごく一部。
ノンコアと判断された技術は、お蔵入りしたまま日の目をみない。
QDレーザのように、社外にベンチャーとして独立させることで、
事業化が加速、大化けする成功例が増えれば、
大企業の経営者は、他社に使われるのはもったいないと、
有望技術を社内に眠らせることの愚から目を覚ます。

MEMS(微細電子機械システム)開発の第一人者、
東北大学の江刺正喜教授が、大企業との研究成果を活かし、
MEMSセンサーなどの製造を請け負う
ファンドリー(受託生産会社)ベンチャーを立ち上げ、
半導体製造技術やクリーン技術開発で、数多くの実績を持つ
大見忠弘東北大教授も、開発に協力した大企業に
大学との共同研究の成果を活用したベンチャーの起業を
呼びかけ、「大・大発ベンチャー」創出の動きが広がり始めた。

大企業にとっても、事業が成功すればキャピタルゲインを得られ、
開発を途中で挫折した技術者に再挑戦の機会を与え、
やる気を起こさせるなど人材活用面でも効果大。

大学発ベンチャーの失敗を繰り返さないため、
大企業が大学との共同研究の技術シーズをカーブアウトする
「大・大発ベンチャー」が、産学連携の新しい
日本型イノベーションモデルとして定着することを期待。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100107.html

県内小規模校に肥満傾向 岩手医大・坂田教授が分析

(岩手日報 1月26日)

県内小中高生の健診を分析した結果、
市街地に比べ、農業地帯や山間部、沿岸部で
肥満傾向が高いことが分かった。

肥満と学校規模に相関関係があり、調査分析した
岩手医大衛生学公衆衛生学講座の坂田清美教授は、
「小規模校では、通学距離も長くなるため、
車を利用した登下校も多くなり、
運動量が少なくなる可能性がある」と指摘。
対象は、県内の公立で小学422校、中学192校、高校79校、
特別支援など16校の計709校。

県の地域医療研究費補助金を利用し、2008年に実施した
定期健診の身長、体重のデータを分析。
有効回答は小学生4万3727人、中学生2万2454人、
高校生2万7740人、特別支援・養護839人の計9万4760人。
地域別に肥満者の割合を見ると、市街地は10・3%と低かったが、
農業地帯・山間部は13・5%、沿岸部は13・3%と高かった。
学校規模別(小中高合計)では、最も高かったのは
100人未満の学校で13・7%、反対に500人以上は10・9%。
小規模校ほど、肥満者の割合が高い傾向。

坂田教授は、「学校規模が肥満者の割合に強く影響。
小規模校は一般に通学距離が長く、自家用車やスクールバスなどを
利用して通学し、運動量が少なくなる可能性がある」と分析。
本県の児童生徒は身長、体重とも全国平均を上回る一方、
男女とも全国平均より肥満傾向であることが、
文部科学省の学校保健統計調査で示されている。
08年度「食育白書」では、成人の1日の歩行数と肥満の
相関関係が示された。
本県の肥満割合は男性41・2%、女性37・2%と
全国平均(男29・3%、女26・6%)を上回り、
歩行数は男性6628・2、女性6005・7とも全国平均
(男7525・5、女6662・6)を下回っている。
県教委スポーツ健康課の平野晃・施設学校健康担当課長は、
「通学手段が、肥満傾向に影響を与えている可能性が高い。
運動習慣や食生活など、さまざまの要因が考えられる。
学校と家庭が、それぞれの地域特性を把握し、
それに応じた対策を取ってもらいたい」

◆肥満度の判定方法

坂田清美教授らが開発した標準BMI(体格指数)を使用。
大人では、体重(kg)を身長(m)の2乗で割るとBMIが算出、
理想値は22。
成長過程にある子どもは、BMI値が大きく変化するため、
身長に対応した標準BMIを求め、
標準BMIから標準体重を算出して肥満度を計算。

ヒラメ・カレイ、目の偏りは脳のねじれから

(2010年1月18日 読売新聞)

「左ヒラメに右カレイ」という目の偏りは、
脳のねじれから始まることを、
鈴木徹・東北大農学研究科教授(魚類発生学)らが突き止めた。

ねじれる方向を制御する遺伝子も特定。
人工飼育では、目の位置が本来と逆になることも多く、
養殖技術を改良する手がかりにもなりそう。

ヒラメとカレイは、誕生時は左右対称の形だが、
20~40日後に目がそれぞれ左と右に偏り始め、
体色も目のある側だけが黒っぽくなる。

鈴木教授らは、右目と左脳、左目と右脳をつなぐ視神経の
X形の交差部で、脳のわずかなゆがみが最初に生じることを発見。
そこから脳全体のねじれが進み、
目の位置も片方にずれていくことを確認。

人の心臓が、左側に形成される際にも働く内臓の位置決定遺伝子
「pitx2」が、ヒラメやカレイでは誕生前だけでなく、
稚魚の段階でも再び働き、脳のねじれを調節することがわかった。

遺伝子操作でカレイのpitx2の働きを妨げると、
目が左に偏ったり左右対称になったりした。
人工飼育したカレイでは、目の位置が逆のものが
20~30%を占めることも。

鈴木教授は、「稚魚の生育環境の違いが、
pitx2の働きを抑えるのではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/18/114587/

2010年1月26日火曜日

未来戦略のススメ(1)「失われた10年」から勝ち組

(日経 1月7日)

不況を乗り切るため、多くの企業が緊急避難的に
人員削減や事業縮小などを実施。
将来の成長を展望した「未来戦略」を打ち出せなければ、
活力を失う。
未来戦略を作る際のポイントを、
フューチャーマネジメントアンドイノベーションコンサルティング
(FMIC)のコンサルタントに解説。

Q未来戦略とは何か?

「企業や事業の未来を描き出し、その実現のための
効果的・戦略的なアプローチを構想すること」と定義。
忘れてはならないのは、「未来は来るものではなく、自ら創るもの
時代の変化に流されるのではなく、能動的・先導的にかかわる
姿勢が求められる。

「今日の経営」と「未来の経営」という2つの視点で考えてみる。
今日の経営とは、3年程度の短中期のビジョンに沿って
戦略を立案・実行すること。
すでに手がけている事業の成長・競争・収益力強化戦略が中心。

未来の経営とは、3~10年先の中長期のスパンで考える経営。
顧客や社会にどのような新しい価値を提供するのか、
新規事業をどのように生み出すのかといった課題に対する答え。
未来への種まきや未来の準備とも言い換えられる。

両者は車の両輪のような存在で、どちらか一方だけが
重要というわけではない。
今日の経営は、「合理的思考」、「左脳的思考法」が要求。
未来経営では、「デッサン的思考」、「右脳的思考法」の比重が大きい。

今日の経営と未来の経営を有機的に融合した経営スタイルを、
「未来戦略経営」と呼ぶ。
この経営スタイルは、当社が多くの先進企業との共同研究を通じて
体系化したもの。
当社が、2009年に先進企業80社に行った調査では、
「未来戦略経営が実現している」企業は全体の1割強。

今のような厳しい経営環境が続くと、
企業は今日の経営や目先の課題への対応に忙殺されがち。
「失われた10年」と言われた1990年代にあっても、
着実に未来への準備をした企業はあった。
そうした企業が、00年代初頭の「勝ち組」になった。
未来戦略の有無が明暗を分けた。

未来とは、単なる夢物語や時間的な概念ではない。
事業発展の可能性発掘と実現への行動改革を意味。
日本企業は、世界的にみても優れた潜在能力を持っている。
技術や人材の力を引き出し、新たな成長を図るには、
経営者や管理職が能動的に自社の未来を描いて
行動することが求められる。

未来と聞くと、「それは時期尚早だ」、「まずは足元固めだ」といった
声をあげる人もいる。
もっともな意見。
社会の価値観の変化が激しくなっている今のような時代では、
結果的に何も変えないことが最もリスクの高い選択になっている
可能性がある。

次回以降、未来戦略経営の実践モデルにそって、
戦略立案のためのツール(フレームワーク)を紹介。

前半では、今日の経営の質をあげるための基本ツールに触れ、
後半では、未来の経営に必要な基本ツールを取り上げる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100106.html

鉄分3倍含むコメ開発、貧血解消にも効果期待

(読売 1月14日)

鉄分を通常の3倍含み、貧血の改善に効果が期待される
コメの開発に、東京大学の西沢直子・特任教授ら
日韓欧のチームが成功し、13日発表。

貧血のマウスに、このコメを与えたところ、症状が改善。
西沢教授らは、植物の体内で鉄を運ぶ
アミノ酸「ニコチアナミン」に着目。

遺伝子組み換え技術を使い、このアミノ酸をたくさん作るコメを開発。
ニコチアナミンは、土壌から鉄を吸収するのに必要な物質にも
変換され、鉄の吸収力が高まり、運搬能力の向上と合わせて
白米の鉄の含有量が3倍に増えた。

コメの鉄分は、通常より人間などが吸収しやすい状態。
鉄分は、生物にとって必須の栄養素で、
成長期には特に欠乏症になりやすい。

発展途上国を中心に世界の人口の約半数、
日本でも女性の約2割が、鉄不足による貧血に悩まされている。

西沢教授は、「途上国向けのコメ開発に取り組む
国際稲研究所などと協力して、実用化を進めたい。
小麦や野菜も、同じ技術で鉄分を高めることができる」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100113-OYT1T01192.htm

朝食きちんと摂る効果

(サイエンスポータル 2010年1月14日)

川島隆太・東北大学教授(加齢医学研究所、
スマート・エイジング国際共同研究センター長)が、
「朝ごはんを食べる習慣と、人生を成功に導くこととの
関連性が明らかに」

調査手法は、全国の現役大学生400人と、4 年生大学を卒業した
会社員500 人を対象、インターネットを利用したアンケート。
大学生400人は、大学を偏差値別に、(1)44以下、(2)45~54、
(3)55~64、(4)65以上、に4分類、男女各50人ずつ割り付け、
会社員500人は、35~44歳で現在の年収を、(1)300万円、
(2)300~500万円、(3)500~700万円、(4)700~1,000万円、
(5)1,000万円以上、に5分類、各100人ずつ割り付けた。

調査結果から、「受験・大学生活・就活・現在の生活において、
朝ごはん習慣を身につけている人は、
『偏差値65以上の第一志望の大学に現役合格し、
就活もスムーズで、自分が選んだ第一志望の道を歩み、
年収1,000万以上を手に入れている』という、
成功者の人生を歩む傾向がある」

「朝ごはん習慣を身につけていない小・中学生の学力が低いことは、
文部科学省の調査で明らか。

当研究室がこれまでに行った調査研究から、
朝ごはん習慣を身につけていないと、学力どころか
脳の働き自体が低い(脳が発達していない)ことが明らか。
朝食で、おかずをバランス良く食べないと、
同じように脳の発達が悪くなることも証明。

脳の働き方を、脳機能計測装置(functional MRI)で測定、
バランスよく朝食をとった時の方が、より脳が働いている」
今回の調査で、過去の調査研究の結果があらためて裏付け。

川島教授の丁寧なアドバイスも付記。
「脳を良く働かせるための朝食のポイントは、2つ。
一つ目は、脳細胞のエネルギー源であるブドウ糖を十分に供給、
二つ目は、ブドウ糖が有効に脳細胞で使われるようにするための
補助的な栄養素をきちんと摂る。

ブドウ糖は、でんぷん質を消化することによって補給され、
主食をきちんと摂らなくてはいけない。
ブドウ糖を、脳細胞が効率的に使うため、
ビタミンB群、必須アミノ酸のリジンを摂る必要。

二つ目のポイントは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を
長時間高く保つこと。
低GI(インスリンがでにくい)の食事が、
脳をより長時間しっかりと働かせてくれる」

当編集部として、1点気になったこと。
偏差値65以上といった難関大学に見事合格したような人、
会社に入ってからも相応の処遇を受けているような人の大半は、
元々きちんとした性格だから当然、食生活も普通の人より
規則正しかった、という側面もあるのでは。

http://www.scienceportal.jp/news/review/1001/1001141.html

理系白書’10:挑戦のとき/20 アスビオファーマ副主任研究員・服部文幸さん

(毎日 1月12日)

生命を支える心臓。
発生直後から死ぬ瞬間まで、休みなく動き続ける。
なんと我慢強いのだろう。
服部さんは、この神秘に魅せられ、
心臓疾患の治療を目指す再生医療に取り組んでいる。

心臓移植しか選択肢がない重症の心不全患者を、
再生医療で救うには、心筋細胞を患者本人の細胞から
大量に作り、安全に移植すればいい。
「万能細胞」と呼ばれるES細胞(胚性幹細胞)や
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使っても、
移植後に心筋以外の組織に変わったり、がん化する恐れ。
服部さんは昨年、さまざまな細胞から心筋細胞だけを選別し、
安全に移植する方法を確立。
6年越しの仕事だ。

アイデアは、慶応大再生医学教室の福田恵一教授(循環器内科)
との共同研究の過程で生まれた。

遺伝子操作で、心筋細胞だけを作り出す実験を繰り返す傍ら、
「効率のいい方法はないか」と考え続けた。
浮かんだのは、過去に研究した細胞内の小器官・ミトコンドリア。
心筋細胞にはミトコンドリアが多い、という特徴を生かし、
これを「目印」に、心筋細胞だけをふるい分けてはどうか。

勤務時間外に試行錯誤し、見通しがついた段階で提案。
心筋細胞を小さな塊にして移植すると、
心臓の中で自然と広がり、生着率が飛躍的に向上。

このテーマで、特許を5件出願、論文も書いた。
「研究の醍醐味は、自分だけのアイデアを実証すること。
アイデアにこだわります」

子どものころから、考えることは好きだった。
勉強も、「親や先生に言われたからする」では納得できず、
しかられても反抗ばかり。
「おかげで中学校までは、成績も内申書も最低でした」
常に興味があったのは、「人間」。
心理学や哲学もかじったが、大学は生物学科を選び、
大学院で大腸菌や古細菌を研究。

「社会に近い研究を」と就職したサントリー医薬事業部で
与えられたテーマが、心不全の解明。
心不全を起こした心臓は、健康な心臓とどう違うのか。
どうすれば健康になるのか。
それを知るための分析手法を考案し、模索を続けている。
病んだ細胞を新しい細胞で置き換える再生医療は、
こうした基礎研究の上にある有望な選択肢。

科学の進歩は、常に人間の幸せを保証するとは限らない。
病気の人を助けたいという願いをかなえるために暴走したり、
研究者が責任を投げ出すようなことがあってはいけない」

昨年春、日本再生医療学会から、
若手研究者対象の最優秀賞を受けた。
「一等賞なんて、生まれて初めて。
うれしいですが、目の前に宿題がたくさんあるので」と
表情を引き締める。
==============
◇はっとり・ふみゆき

1972年岐阜市生まれ。名古屋大大学院修士課程修了。
97年、サントリー入社。
02年、組織改編に伴い現在の職場に移籍。03年理学博士。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100112ddm016040111000c.html

2010年1月25日月曜日

NY市が減塩運動を開始 5年で25%カットが目標

(2010年1月15日 共同通信社)

ニューヨーク市当局は14日までに、
店頭やレストランの食品に含まれる塩分を、
今後5年間で平均25%減らすよう、
関係業界に呼び掛ける「全国減塩運動」をスタート。
塩分の摂取過多を遠因とする、早期死亡を防ぐのが狙い。

運動は、各種健康団体や他州市計42組織の支持を得て、
全国規模に拡大発展させていきたい。

同市保健局の発表によると、25%カットはあくまでも任意で、
罰則などは伴わないが、目標が達成されれば、
米国民の塩分摂取量は20%減り、何千人もが早死にから免れる。

米国民は毎日、必要量の倍の塩分を摂取。
これが高血圧の原因となり、
心臓発作や脳卒中のリスクにつながっている。

保健局は、食品業界とも協議の上、店頭の食品61種、
レストランの食品25種について、それぞれ減塩の目安を設けた。

同市の地域専門テレビ局NY1によると、
運動の趣旨に賛同し、既に減塩を進めている外食産業がある一方、
塩分摂取を心臓血管の病気と密接に関連付ける見方に
異議を唱える業界関係者も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/15/114431/

仕事に役立つロジカルシンキング(2)「目的」と「全体像」を押さえる

(日経 1月12日)

ロジカルシンキングの第一歩は、「考える目的」を押さえること。
解決策を考えるにしろ、相手を説得するにしろ、
そもそも何を解決するのか、何に納得してもらうのかを
明確にしなければ始まらない。

相手と話がかみ合わなかったり、議論が進まなかったりする場合、
その多くは目的を明確に意識していないことが原因。
目的が別の内容にすり替わっていたり、
一部の目的しか見ていなかったりしたときも同じ状況に。

人は、興味深い発見や気になるポイントがあると、
注意が奪われて、いつの間にか目的をすり替えたり、
目的の一部だけを注目したりする。
何かを考え始める前、「今ここで考えるべきことは何か?」と
目的を確認する習慣を身につける必要。

目的を押さえる効果を実感できる場に、会議がある。
会議の司会や進行役をしたときの状況を思い出して。
議論が白熱して様々な意見が飛び交うと、
話が次第に目的からそれてしまった経験があるのでは。

そうならないよう、会議の冒頭で目的を共有したり、
議論が白熱したら、いったん目的に立ち返ってみたりすることが必要。

考える目的は、具体的にしなければならない。
自分は、どの「立場」で目的を考えるのか、
どのような「状況」に置かれているのかを明確に。

自社の商品に顧客からクレームがあった場合、
顧客と直接対応する人と商品開発する人とでは、
考える目的は違う。
立場や状況を明確にすると、目的を具体的にできる。

次に、「考えの全体像」について。
考える目的を押さえていても、偶然に目に入ったデータや
情報だけで、結論を出しがち。
考えの全体像をつかみ切れなくなる。
全体像がつかめていなければ、偏った独りよがりの結論を
導いてしまう恐れ。

全体像をぼんやりとつかんでも、意味がない。
個々のデータの位置づけを明確にすることも、
全体像をつかむための重要な目的の一つ。

考えの全体像をつかむには、いくつかの要素に分けて
とらえるのが効果的。
考えの全体像をいくつかの要素に分けたものを、「枠組み」。
枠組みを使って考えている例。

商談中、ライバル企業の動向が耳に入ると、ついライバル企業を
意識した商談をしてしまいがち。
ライバルが値引きしたと聞けば、こちらも値引きを検討したり、
納期をこれまでより短縮したと知れば、相手よりも早く納品
できるように考えたりする。

それだけでは、単なる条件競争に。
顧客はどのようなことを求めているか、自社にある強みや特徴が
顧客の求めていることを実現できるのかどうか、という点も踏まえて
商談を進めていかなければならない。

「顧客のニーズ」、「ライバル企業の動向」、「自社でできること」が、
商談で押さえておくべき枠組み。

枠組みは、大づかみにする方がよい。
全体像をできるだけ詳細に把握しようとすると、
数多くのチェックポイントが浮かび上がる。
これでは、細部に目が行き過ぎて、全体像が把握できない。

3ないし4つのポイントで網羅するように心がけると、
全体像をつかみやすくなる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100112.html

N20排出減らす家畜糞の堆肥化技術開発

(サイエンスポータル 2010年1月15日)

養豚場から排出される糞を堆肥化する際、発生する
一酸化二窒素(N2O)を大幅に減らす技術開発に、
農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所が成功。

N2Oは、気候変動枠組み条約京都議定書でも
削減対象になっている温室効果ガスで、
地球温暖化への影響が一分子あたりCO2の約310倍高い。
対策が進むフロン類に代わり、オゾン層破壊物質としても
最も大きい影響を持つことが、最近の研究で分かった。

発生源の65%は家畜の糞尿とも言われ、
家畜の糞尿を堆肥にする過程で大量に大気中に排出。
畜産草地研究所のこれまでの研究で、堆肥化が進む過程でできる
亜硝酸イオンが長期間・高濃度に蓄積し、これがN2Oに変化。

新しく開発された方法は、亜硝酸イオンがN2Oに変化前に
亜硝酸イオンを亜硝酸に変えてしまうのが狙い。

堆肥化の途中段階にある豚の糞に、亜硝酸酸化細菌を多く含む
完熟堆肥を重量比で1.5~10%添加した結果、
N2O発生量を平均で60%削減できる。

堆肥化は、初期に有機物が活発に分解されるため、
温度が60℃以上まで上昇。
亜硝酸酸化細菌は高温に弱いので、60℃から温度が下がり始める
時期を狙って完熟堆肥を添加するのがこの技術のポイント。

畜産草地研究所は今後、実規模に近い堆肥化試験に加え、
この技術を牛や鶏など他の家畜糞にも適用することを検討したい。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1001/1001151.html

夢を紡ぐ:地球に優しい新技術/8 直流配電 ムダ排除し生活向上

(毎日 1月15日)

◇シャープDCエコハウス推進センター所長・中川泰仁さん(52)

シャープが推進するCO2排出量ゼロの家「DC(直流)エコハウス」
プロジェクトを推進する中川泰仁さんは、
「無駄を徹底削減し、生活を向上させる」と意気込む。

電気は、交流(AC)で発電所から家庭に送られる。
家にあるテレビやパソコンなど、家電製品の多くは直流で動く。
ACアダプターが、電気を交流から直流に変換する際、
最大10%もの電力が無駄。

家庭部門は90年以降、CO2排出量を急増。
「家電メーカーとして、何ができるか」
シャープがたどり着いたのが、DCエコハウス。
配電や家電製品から交流を排除、直流のみを使い、無駄を排除。

中川さんは、昨年8月に設立された推進センターの
初代所長に抜てき。
直流配電の研究経験はない。
研究開発畑を歩み、イオンで除菌する空気清浄機など、
既存の技術を応用したヒット商品を生み出した実績が評価。

直流配電も、細々と研究が続いてきた分野。
交流を一度直流に転換後、屋内はすべて直流で配電するなど、
技術面はほぼクリア。
最近は、家電製品の作動テストを重ねる。
今後は、屋外の太陽光発電を直流で取り込み、電池に貯蔵したり、
効率的な電気の配電を実現。
「15年には、CO2発生をゼロにし、将来は家庭が電気を生む
創エネも視野に入れる」

部品の見直しや家屋の配電工事などをにらみ、
ハウスメーカー、電力会社なども巻き込む。
こうした努力が実り、新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)から、09年度以降2年にわたり、
直流配電の実証実験の補助金を受けている。

同じ家電でも、交流で動く冷蔵庫、洗濯機、エアコンは
年間1兆円市場。
「直流で動かせれば、巨大な買い替え需要も期待」

太陽光発電の電気は直流だが、電圧が300ボルトで、
一般的な家庭の電気(交流)の3倍。
危険封じ込めのハードルも残る。
低電圧の直流と交流を組み合わせたエコハウスを探る
他社の動きもあり、今後の規格統一も課題。

「どんな難問にも、解決策はある」
技術者魂でプロジェクトを支えるつもりだ。
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◇直流配電

家庭の配電を、直流で行うこと。
電力会社は現在、交流で家庭に送電。
家電製品の多くは、交流を直流に変換。
100年以上前の規格争いで、発明王エジソンが推進した直流に対し、
変圧しやすく、長距離送電も容易な交流が業界標準。
直流配電が実現すれば、変換による無駄が減る。
これまで以上に、省エネが進んだ家電製品が登場し、
環境負荷も小さくなると、家電メーカーが注目。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/15/20100115ddm008020102000c.html

2010年1月24日日曜日

生きる 小児がん征圧キャンペーン 闘病の子どもら岡島投手が激励

(2010年1月15日 毎日新聞社)

小児がんなど病気と闘う子どもたちを励まそうと、
米大リーグ・レッドソックスの岡島秀樹投手(34)が、
聖路加国際病院小児病棟を訪問。

岡島投手は、「皆さんのパワーをもらって頑張るので、
皆さんも頑張ってください」と、子どもたちを元気付けた。
岡島投手は、毎日新聞の小児がん征圧キャンペーンに賛同。
昨年12月、神奈川県立こども医療センターを訪問。

この日は、入院中だったり、退院して間もない子どもたち
約30人に、サインボール(ボールはミズノ提供)を手渡して
握手したり、キャッチボールをして激励。

「どんな練習をしたら、上手になるのですか」、
「野球をやっていて良かったことは何ですか」などの質問に答え、
病室から出ることのできない子どもたちのベッドサイドにも
足を運んだ。

昨年7月まで入院していた豊島区の小学5年生、
西田尚さん(11)は、中学生になったら、
大好きな野球を再び始める予定。
「岡島さんは、『人の話を聞かないとうまくならない』と。
僕も監督の話をよく聞こうと思います」と高揚した様子。

入院中の中学1年、太田諒さん(12)は、
「岡島さんは、『好きなことを頑張ればできる』というので、
好きな料理を頑張って料理人になりたい」と笑顔。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/15/114411/

がん悪性化の仕組み解明 新薬で治療の可能性も

(2010年1月15日 共同通信社)

タンパクの構造を制御するのに重要な役割を果たしている
「熱ショックタンパク質」の一種が、がん細胞を悪性化させる
酵素の働きを促進することを、
山下孝之・群馬大生体調節研究所教授=腫瘍学=らの
グループが発見、米科学誌モレキュラーセル電子版に15日、発表。

このタンパク質は、「Hsp90」と呼ばれ、
働きを阻害する新薬の開発が各国で進んでいる。
山下教授は、「こうした薬の上手な使用は、がんの悪性化を防ぐ
新しい治療法につながる可能性がある」

山下教授によると、細胞のDNAはポリメラーゼという酵素によって
正確に複製されるが、ポリメラーゼには不正確な複製を
起こしやすい種類のものもある。

がん細胞は、DNAが不正確に複製される突然変異を
繰り返すことで悪性化し、当初は効果のあった
抗がん剤が効かなくなる場合もある。

研究グループは今回、複製に誤りを起こしやすい
ポリメラーゼのうち、「ポルイータ」と呼ばれるものに注目。
がん細胞を使った研究で、Hsp90がこの作用を促進。

がん細胞で、ポルイータなどの働きが進む仕組みは
これまで解明されていなかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/15/114395/

仕事に役立つロジカルシンキング(1)問題解決や説得

(日経 1月5日)

ビジネスパーソンの間で、ロジカルシンキングへの関心が
高まっている。
ロジカルシンキング関連の書籍は毎月のように出版、
セミナーや研修も多数。

こうした動きは、私たちを取り巻く環境の変化の大きさを表す。
2008年9月、リーマン・ショックに代表されるように、
経済や社会情勢の変化は激しさを増す。

このような時代、過去の成功体験に安易に従うやり方は通用しない。
状況を自分なりにとらえ、それに応じて結論を組み立てていくことが
求められる。
その基盤が、ロジカルシンキング。

ロジカルシンキングとは、「明確な根拠に基づき、筋道を立てて
結論を導き出す思考」

問題解決や相手の説得など、誰もが遭遇するビジネスシーンで有効。
変化の激しい状況では、前例踏襲型の解決策をとるだけでは、
的確な対応ができない。
目についたことに場当たり的に対処しても、
効果的な解決策にはならない。

顧客への説明がうまくできず、成績があがらない若手営業パーソン。
上司が自分の成功体験を引き合いに、
「成績をあげたいなら、多くのお客様を訪問することが大事」と指示、
彼(彼女)が従ったらどうなるか?
説明下手は一向に解決されず、ますます顧客へ説明する
時間がとれず、成績は下がってしまう。

問題の本質をとらえた上で、きちんと筋道立てて
考えることができれば、
効果的な解決策を導き出す確率は高くなる。

この例では、問題の本質は「顧客への説明力不足」。
説明内容についての指導や先輩との同行を指示した方が、
若手営業パーソンの成績をあげるには効果的。

筋道立てて解決策を考えるように心がけていると、
他の場面でも応用できる可能性が高まる。
うまくいかなかった場面での修正も容易。
こうした考え方を組織全体に浸透させることができれば、
課題への取り組みや解決スピードの向上が期待。

誰かを説得する場面ではどうか?
説得は、ビジネス活動の中心。
顧客に自社の製品やサービスを購入してもらうことができるか、
パートナーと良好な関係を築くことができるか、
メンバーを巻き込んで業務を進めることができるか。
これらすべて、相手を説得できるかどうかにかかっている。

今の時代、企業は内外とも大きな変化にさらされている。
それに伴い、説得すべき相手も多様化し、難しさを増す。

社外では、業界再編や企業統合が頻繁に行われ、
一夜にしてまったく考え方の違う相手とコミュニケーションを
とらなければならなくなるケースも。
社内でも、雇用形態の違う派遣社員や契約社員が増えている。
人材の流動化やグローバル化の進展により、
文化的なバックグラウンドが異なる外国人社員とも
力を合わせなければならない。

「異質」な相手に対し、旧態依然の説得方法、
あうんの呼吸を通じて暗黙の了解をとりつけるのは不可能。
熱意があれば説得できる、というわけでもない。
熱意のこもった説得でも、何の根拠も示さずに言いたいことを
連呼するだけでは、伝えたい内容の理解にすらつながらない。

相手の状況に応じ、明確な根拠を示しながら
筋道の通った説明をすれば、説得内容の正確な理解につながり、
最終的に相手から同意を引き出しやすくなる。

ロジカルシンキングは、ビジネスで遭遇するあらゆる場面で
基礎となる思考。

◆うぶかた・まさや

ビジネススクール、サイコム・ブレインズの講師。
92年、東京大学文学部を卒業。
日産自動車やウィリアム・エム・マーサー(現マーサージャパン)、
グロービスを経て07年に独立。
論理思考力などの指導や人材開発体系の策定支援などに従事。
著書に「シナリオ構想力実践講座」(ファーストプレス)など。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100105_2.html

夢を紡ぐ:地球に優しい新技術/7 バイオエタノール CO2削減効果は57倍

(毎日 1月14日)

◇アサヒビール・豊かさ創造研究所主任研究員、小原聡さん(37)

人口5000人余り、東西8・4キロの離島・沖縄県伊江島に
広がるサトウキビ畑。
一角には、通常の4倍に上る約20本もの茎を持つ
巨大サトウキビがある。
茎の一部は、地面に倒れ込んでいる。
小原聡さんは、「お行儀の悪さが作物っぽくないんです」。
この品種こそ、小さな島でエネルギー循環を実現した主役。

サトウキビは通常、茎から砂糖を作り、残りの「糖蜜」から
さらに砂糖を取る。
この「糖蜜」や茎の搾りかす「バガス」に、ビール発酵に使う
酵母を混ぜてバイオエタノールを生産。

アサヒは01年、新規事業の発掘を目指し、研究テーマを社内公募。
環境問題に関心があった小原さんのバイオエタノール事業が採用。
小原さんの最大の悩みは、「糖蜜」などを使い、エタノール生産を
本格化させれば、砂糖の収量も減り、
砂糖価格の高騰につながりかねないこと。

苦労して調査を重ね、出会ったのが、九州沖縄農業研究センター
(鹿児島県種子島)の杉本明さんが開発した巨大サトウキビ。
通常、サトウキビは茎が少なく1本当たりの糖分が多い
品種が好まれる。
巨大品種は茎の数が多く、1本当たりの糖分は少ない。
茎の数が多いため、栽培面積当たりの糖分は通常の1・5倍に。
「砂糖の生産を維持しても、バイオエタノールが作れる。
先端技術なしで解決できるなんて、まさに『コロンブスの卵』だった」

小原さんは、「ガソリンより安いエタノール」を目標。
社内から、「どうせ無理」など厳しい声も。
製糖の技術なども獲得し、2年がかりで、生産技術にめどをつけた。
06年、国などの支援を受け、伊江島の実証実験を開始。
畑でサトウキビを栽培し、工場で砂糖やエタノール、肥料を生産し、
エタノールの配合燃料を公用車に利用する循環モデルにこぎつけた。
最近は、精度を高める実験を繰り返し、エタノール生産過程の
CO2削減効果は、従来のエタノール生産の57倍にまで高まった。

「荒れ地を豊かにしながら、エネルギーまで取れる。
サトウキビは、地球環境の改善につながる」。
小原さんの夢は膨らむ。
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◇バイオエタノール

サトウキビやトウモロコシなど植物から取り出した糖を発酵させて
作ったエタノール(エチルアルコール)で、ガソリンに混ぜて
自動車の燃料などに使う。
植物は、成長過程でCO2を吸収することから、
化石燃料のように、地球温暖化につながらない。
日本では07年から、首都圏のガソリンスタンドで
バイオエタノールを混入したガソリンの試験販売が始まった。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/14/20100114ddm008020056000c.html