2010年1月30日土曜日

トイレ普及なお28% 印、成長の恩恵阻む格差 ユニセフ・インド事務所の平林国彦副代表

(2010年1月26日 共同通信社)

インドは、2007年のGDPが10年前の3倍を超え
高成長中だが、衛生や教育の向上は一部に限られ、
1歳未満の子供の死亡率は、08年で千人当たり52人(日本は3人)。
格差拡大が経済成長の恩恵を阻んでいる現状と課題を、
国連児童基金(ユニセフ)インド事務所の
平林国彦副代表(51)に聞いた。

―ユニセフは、インドでトイレを使う人口が、
06年でも全体の28%との統計を紹介。

「政府がキャンペーンし、トイレ設置を進めたが、
実は使われていない。
野外で土の上に排便し、病気が伝染する大きな原因。
子供たちの手足を通じ感染するし、雨期には汚れた水が広がる。
インドでは、下痢が5歳未満児の死亡原因の20%以上

―設置したトイレが使われないとは?

「トイレが果たす役割や必要性が伝わっていない。
数億人レベルで大変リッチな人が出てきた一方、
7億~8億人は生きるため必要な情報にアクセスできない。
成長の陰で格差が拡大」

―格差の影響は深刻なのか?

「出産で注意が必要なのは、母親が産後2日間、子供は7日間、
その間に医師や助産師の診察を受けた人は、
社会階層により14~74%と差が大きい。
はしかの接種もままならない層もあり、はしかで死ぬ子供の
3~4割を占めているのがインド。
2回の接種で、ほぼ避けられるのに」

―接種を受ける金がないのでは?

「接種は無料だが、スタッフが不足。
地域や階層によって、中等教育さえ十分でない。
ITを担うトップレベルの人材は素晴らしいのに」

―日本にいるわたしたちに何ができるか?

まずは知ること。
『かわいそう』ではなく、現場を見てほしい。
観光の際に学校にも行けば、子供や先生の熱意に感動するし、
衛生状態にも気付く。
小さなアクションを。
家族に話すだけでもいい。
他人に関心を持ち、かかわりを持ち続けてほしい」

ひらばやし・くにひこ

58年生まれ。医師。国立国際医療センター国際医療協力局、
ユニセフ・アフガニスタン事務所、レバノン事務所などを経て、
08年から現職。長野県大町市出身。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/26/115043/

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