(毎日 1月19日)
◇環境コンサルタント会社代表・見山謙一郎さん(42)
見山さんが、NPOバンクの世界に飛び込んだのは05年。
三井住友銀行で法人営業を担当する「エリート銀行マン」だったが、
知人の紹介で知り合った音楽プロデューサーの小林武史さんに
誘われ、小林さんや音楽家の桜井和寿さんが出資する
「ap bank」の理事に就任。
apは、アーティストらの出資で03年に設立。
環境事業など、最大500万円を年1%の低利で融資。
見山さんは、銀行で製紙業界を担当、企業が保有する
森林の温暖化防止効果に関心を持ったのを契機に、
「金融が環境に貢献できることは何か」と考え始めた。
90年代後半の金融危機後、銀行が目先の収益を重視する
傾向を強めたことに違和感を強め、転身を決めた。
就任から間もなく、使用済み紙おむつを粉砕・乾燥させて
固形燃料に転換する技術開発をしていた中小企業
「スーパー・フェイズ」の案件が持ち込まれた。
「リスクの見極めが難しい」と、融資に難色を示す銀行の紹介。
水分を含む使用済み紙おむつは、
燃焼処理に大量の重油を使う。
同社の技術は、生ゴミをメタン発酵させて発生した熱源を使い、
紙おむつを固形燃料化。
化石燃料の燃焼による温室効果ガス発生を抑制。
「高齢化で、紙おむつの処理が問題化する。将来性あり」と
判断し融資に応じた。
完成した装置は、都内の老人ホームなどに納入。
「銀行は、実績がないと融資に慎重。
実績を作るために、必要な資金もある。
apでは、環境に貢献する発想や熱意が重視された」。
資金の少ないNPOバンクだけでは、限界も感じた。
09年1月に独立。
環境事業を支援するコンサルタント会社
「フィールド・デザイン・ネットワークス」を設立。
森林保全から企業のエコ商品の開発の助言までこなす。
「日本の森を守る地方銀行有志の会」(地銀64行で構成)の
アドバイザーも兼務。
温室効果ガスの吸収効果が薄れるのを防ぐため、
森林の手入れや活用、さらに地域再生を図るつもり。
「NPOバンクの理念と銀行の情報・資金力などをつなげ、
環境問題を解決する『成長の方程式』を実現したい」
理想と現実の懸け橋を目指す。
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◇NPOバンク
環境保全や福祉事業などに携わる企業やNPOなどに
低利で融資する非営利組織。
特定の使途にお金を使いたい市民らの出資金が原資。
融資額は、1件数百万円程度。
実績不足で、銀行が融資を断った場合でも、
理念が合えば融資に応じる。
日本では、94年設立の「未来バンク」が先駆け。
賛同者の多くが個人で、巨額の資金を集めるのが難しいのが課題。
現在、10を超すNPOバンクが活動。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/19/20100119ddm008020030000c.html
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