2011年5月28日土曜日

東日本大震災:アスリート派遣、来月から 体協復興支援、7県の小学校に

(毎日 5月11日)

日本体育協会(日体協)の張富士夫会長は、
東日本大震災の復興支援のため、被災地などの小学校に、
五輪メダリストらを派遣する
「スポーツこころのプロジェクト 笑顔の教室」を、
6月から開始すると発表。

日体協とJOC、日本サッカー協会などが協力し、
アスリートとの交流により、子どもたちの心のケアに努める。

5年間にわたって行い、今年度だけで
約460校の1200クラスに派遣する予定。

当面は、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7県の
小学校で計画。

サッカー協会が実施しているアスリート派遣事業をベースに、
日体協が各県体育協会や教育委員会と連絡を取って希望校を募り、
JOCがアスリートの派遣を担当、元選手や現役選手ら
約200~400人に協力を呼びかける。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/05/11/20110511ddm035040148000c.html

***
これは、素晴らしい試みです。
被災地では、スポーツをやる環境は全く整っていません。
体育館は避難所に、グラウンドは仮設住宅になっています。
空き地を見つけて、しかも各学校、各クラブで譲り合ってやっている状態。
今の中学1年生は、もしかすると一度も学校のグラウンドを使えないまま、
卒業することに。

トップアスリートが定期的に来てくれて、一緒にプレーすることで、
子供たちに夢や希望を与えてほしい。
そうすれば、スポーツだけでなく勉強も、そして将来の進路にも
大きな目標を持てるようになる。
ぜひ、このプロジェクトを進めてほしい!!

復興計画 岩手県、地に足を着けて 宮城県、大胆な発想重視

(河北新報 5月18日)

東日本大震災の復興計画で、岩手、宮城両県が
対照的な策定手法を取っている。

岩手は、地元団体代表による組織で、実務的な検討を積み重ねる。
宮城は、著名な専門家を集め、既成概念にとらわれない議論を展開。
被災地の建築制限でも、対応が分かれた両県。
9月策定を目指す復興計画の出来栄えは―。

最大の違いは、検討メンバーの顔触れ。

岩手の津波復興委員会は、藤井克己岩手大学長が委員長。
委員19人全員が県内在住者、県商工会議所連合会長や県農協中央会長、
県漁連会長、県銀行協会理事会長らがずらりと並ぶ。

達増拓也知事の、「答えは現場にある」との持論が色濃く表れた。
県政策地域部は、「現場の声を計画に反映させたい。
地味だが、一つ一つ課題を解決していく『積み上げ型』の手法」

宮城の震災復興会議は、議長に元東大総長の
小宮山宏三菱総合研究所理事長。
委員12人のうち、県内在住者はわずか2人。
寺島実郎日本総研理事長らが名を連ねる。

「派手」な陣容は、村井嘉浩知事の「地球規模で宮城の将来を考える」
という意向を踏まえた。
県震災復興・企画部は、「単なる復旧でなく、県土の再構築を目指す。
日本を代表する有識者の大胆な発想が不可欠」

会議の開催回数や場所にも、違いが表れている。

岩手は4月11日に初会合を開き、これまで3回開催。
下部組織の総合企画、津波防災技術の両専門委員会も2回目が終わった。
会議は、いずれも盛岡市内。

宮城の初会合は5月2日、県庁で。
下部組織はなく、会議は月1回のペースで開かれる。
委員の大半が首都圏在住のため、次回の6月3日は
村井知事らが上京し、都内で行われる。

相違点が際立つ中、互いの利点を採り入れている部分も。
岩手は、各分野の第一人者を専門委員に任命し、計画への助言を受ける。
宮城も、県内産学官トップが集まる富県宮城推進会議で、
地元の意向をくみ取る仕組みを整えている。

会議は、両県とも全面公開。
岩手は、さらにインターネットの動画サイトで、会議の中継を試みている。
配布資料を開会前にホームページで公開するなど、
中継視聴者への配慮も欠かさない。

両県の担当者は、ライバル心をのぞかせる。

岩手県は、「宮城では、各委員からさまざまな提言が出ているようだが、
どうやって取りまとめるのだろうか。作業は大変そうだ」(政策地域部)と、
議論の拡散を懸念。

宮城県は、「地元の意向も重要だが、今回は過去に経験のない震災復興。
岩手の会議で、新しい発想、斬新なアイデアが浮かんでくるだろうか」
(震災復興・企画部)と指摘。

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110518t11019.htm

***
良いところを取り入れ、見直す点があればライバルを参考にする。
これはいいことだ。

宮城は東北の中枢であり、将来の道州制では中心となる。
国際的な新しい魅力のある街づくりが求めらる。

岩手は地方都市としての役割がある。
農業、漁業、林業の一次産業を維持し、加工業を組み合わせた
産業構造を作りあげ、宮城とともに世界に発信していく役割がある。

大いに議論を戦わせてほしい。
もちろん全面情報公開が原則です。

米グーグルが「おサイフケータイ」 今夏開始へ

(日経 2011/5/27)

米グーグルは、基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した
スマートフォンを使った決済サービスを、今夏から米国で始める。

日本で普及している「おサイフケータイ」のグーグル版、
専用の読み取り機にかざして代金を支払ったり、
クーポンを受け取ったりできる。

OS別スマートフォンシェアで首位のグーグルの参入で、
米国でも携帯決済の利用が広がりそう。

新サービス「グーグル・ウォレット」は、米銀行大手シティバンク、
米クレジットカード大手マスターカード、米決済サービス大手
ファースト・データ、米通信大手スプリント・ネクステルと共同開発。

今夏から、ニューヨークとサンフランシスコでサービスをはじめ、
段階的に全米に広げていく。

米国以外での展開について、「まず欧州、次にアジアの順番で考えている」
(グーグルのコマース・決済担当、ステファニー・ティレニウス副社長)、
具体的な時期は明らかにしなかった。

利用するには、携帯決済の国際規格「NFC」に対応した
非接触ICチップを搭載したスマートフォンに、
自分のクレジットカード情報などを登録。

サービス開始時点で、利用可能なスマートフォンは、
グーグルが自社開発し、スプリントの通信回線を利用する
「ネクサスS 4G」(韓国サムスン電子製)のみ。
クレジットカードも、シティバンクが発行する特定のマスターカードに限られる。

記者会見では、グーグル・ウォレットが利用可能な小売店舗として、
米百貨店大手メーシーズや米玩具小売りチェーン大手トイザラス、
米サンドイッチチェーン大手サブウェイなど、約15社が紹介。

これらの店舗では、グーグルが先月オレゴン州で試験サービスを始めた
クーポン配信サービス「グーグル・オファーズ」の仕組みを利用し、
時間やエリア限定のクーポンも受け取れる。

グーグルのティレニウス副社長は、
「グーグル・ウォレットは、オープンなシステムであり、
他の銀行や携帯電話会社、端末メーカー、小売業者なども参加してもらいたい」
と呼びかけたが、端末や通信会社などに関して消費者の選択肢が広がるには、
ある程度時間がかかりそう。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959CE0E5E2E2918DE0E5E2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2?n_cid=TW001

2011年5月27日金曜日

スポーツを考える:坂上康博・一橋大教授(スポーツ史)

(毎日 5月7日)

東日本大震災は、日本のスポーツ、特にプロスポーツの社会における
位置や意味を改めて問い直し、その力強い存在感と同時に
不安定さもさらけ出したように思う。

震災後、スポーツをすることへの言い訳としか思えないような
スポーツ選手の発言や戸惑いの声があちこちで聞かれた。
自分たちがやっていることの社会的な意味や役割について、
十分な自覚や自信がないように思える。

日本でプロフェッショナリズムが本当に認知され始めたのは、
1993年にJリーグが誕生してから。
アスリートが、社会的に意味のある職業として認められるように
なったのは最近のこと。
自分の能力を生かして、お金を稼ぐことは音楽にしても絵画にしても
当たり前なのに、スポーツは許されないという雰囲気が
90年代後半まであった。

今回の対応を見ると、スポーツに打ち込んでプロフェッショナルで
生きていくことの自信のなさ、後ろめたさをまだ引きずっているようだ。

サッカーのワールドカップの決勝は、十数億人が同時に観戦する。
人を引き付けるという点で、スポーツほど強い力を持つ文化は見当たらない。
分かりやすさ、単純さが持っている力は、言葉の壁を越える。
世界共通語と言われるゆえん。

ピカソの絵のよさを理解できる人は限られるが、
スポーツのすごさは見ただけでほとんどの人が分かる。

息を切らして全力で走ることを繰り返す姿を通して、
スポーツは最後まであきらめないとか、
頑張るということを極めて具体的に見せる。

うそが通用しない、ごまかしが利かない世界がスポーツ。
頑張ることを身体で示しながら、それとセットで発せられる言葉は、
大きな迫力を持つ。
身体性を持ち、政治家の発する「頑張ろう」とは重みが違う。

開幕戦で決勝本塁打を放った楽天の嶋選手は、
「東北のみなさんの気持ちが打球に乗って、本塁打になったと思う」と言った。
後付けの言葉だが、ファンはたまらない。
ドラマ以上にドラマチックな結果。
その感動をもたらすのが、スポーツの力の一つだろう。

メディアによる、スポーツの「感動キャンペーン」の背景にあるのは、
感動や涙に対しての社会全体の飢餓状態。
日本は、この20年間ほど経済不況に見舞われ、元気や自信を失い、
プライドや誇りと思えるようなものがなかなか見つからない。

ワールドカップでの日本代表の活躍にのめり込み、
「ニッポン」と叫ぶ若者たちの姿も、そんな状況とセットで理解すべき。

普段は見えない社会の深層や人々の心理に光を当てることが
できるのが、スポーツ研究のだいご味。
その面白さと大切さを知ってほしい。
==============
◇さかうえ・やすひろ

1959年生まれ。高知大卒。
著書に「権力装置としてのスポーツ」、「にっぽん野球の系譜学」、
「幻の東京オリンピックとその時代」(共編著)など。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/05/07/20110507dde007070047000c.html

五輪=2020年五輪招致、7月にも東京都の立候補決断へ

(ロイター 2011年 05月 26日)

日本オリンピック委員会(JOC)の中森康弘招致推進室長は、
2020年夏季五輪の開催地に、東京都が再び立候補する計画があると、
7月にも決定する見通しを示した。

中森室長は、立候補の決定について都の承認が前提とし、
7月半ばに発表する方向であることを明かした。

福島第1原発の問題など、震災の影響に対処しながら、
立候補に向けてポジティブな環境を作りたい。

石原慎太郎都知事は4月の再選後、
2020年五輪招致に前向きな姿勢を見せている。

http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPJAPAN-21368420110526

「三陸復興国立公園」を構想 沿岸6自然公園再編へ

(岩手日報 5月19日)

環境省は、青森県の種差海岸から宮城県の松島までの沿岸部の
六つの自然公園を、「三陸復興国立公園」(仮称)として再編する構想。

同地域には、陸中海岸国立公園(久慈市―気仙沼市)などがあるが、
東日本大震災で甚大な被害を受けたため、震災時の避難路や
震災の様子を伝える施設などを整備。

再編で、水産業振興や観光地としてのブランド化を目指すほか、
雇用の創出を図り、復興の起爆剤にする考え。
復興公園の範囲は、南北約350km。

北から、▽種差海岸階上岳(はしかみだけ)(青森県立)、
▽陸中海岸(国立)、▽気仙沼(宮城県立)、▽南三陸金華山(国定)、
▽硯上山(けんじょうさん)万石浦(まんごくうら)(宮城県立)、
▽松島(同)―の6自然公園が含まれる。

構想によると、災害時の緊急避難場所や避難路となる
「鎮魂の森」や「三陸海岸トレイル(長距離歩道)」を整備。
被災を記録、継承するための学習施設を設ける。

被災した農漁業者らに協力してもらい、エコツーリズムを推進することで、
地元の雇用確保も図る。

同地域では、陸中海岸国立公園の拡張と「三陸海岸国立公園」への
名称変更の動きなどがあったことが構想の一つの要因。

環境省は今後、政府の復興構想会議に提案するとともに、
公園化の同意を得るため、県や関係市町村などと協議を始める方針。

同省の中山隆治国立公園課長補佐は、
「被災地の復興状況を見ながら協議を進めていきたい」とし、
再編のめどについては、「陸中海岸国立公園の拡張と名称変更は、
2012年度を目指していたが、震災があったので、
それより後になるだろう」との見通し。

県自然保護課の八重樫典彦総括課長は、
「国の責任で、一体的に整備するのは歓迎。
構想は、雇用への波及など裾野が広い。
国と連動し、復興を促す動きになるよう努めたい」と期待。

種差海岸の陸中海岸国立公園への編入を求めてきた
小林真八戸市長は、「実現へ三陸沿岸自治体との連携をさらに深め、
復興に向けバックアップしたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110519_3

2011年5月26日木曜日

三陸漁港の再編検討 農水省、施設集約し機能強化

(岩手日報 5月25日)

農林水産省は、東日本大震災で被災した本県を含む
三陸沿岸の漁港の機能を拠点漁港に集約、再編する方向。

本県沿岸は、111漁港のほぼ全てが甚大な被害を受け、
短期間に一律の復旧は困難。
魚市場の統合による拠点漁港の機能強化を柱とし、
具体化に向けては、地元漁業者や自治体の意向を踏まえて進める。

水産庁によると、本県では108漁港の被害を確認。
被害額は1031億円、さらに膨らむ見通し。
宮城県は全142漁港、福島県も全10漁港が被災、
3県合わせた被害額は5900億円を超す。

全漁港の災害復旧を一律に行うのは困難、
農水省内の復興対策チームが、施設集約などの検討を進めている。
2011年度第2次補正予算案に、本格的な復興経費を盛り込みたい。

当面の復旧は、早急な使用を見込む拠点漁港を優先。
宮城県は、近づくカツオ漁に向けた施設復旧を要望、
一部で海中のがれき撤去、岸壁補修などの応急工事を始めた。

三陸の漁港再編は、中核施設である魚市場の統合や、
点在する水産加工施設の集約による拠点漁港の高機能化が検討の柱。
周辺漁港とネットワーク化し、機能分担も図る。
サンマ、カツオを中心に豊富な魚介類を全国に届ける
「食料供給基地」とする計画も。

魚市場の統合は、震災前から農水省内で検討。
集約する場所などは議論に入っておらず、地元の考えを尊重。
政府の復興構想会議の議論を踏まえ、漁港整備を促進する
特別法案も提出する構え。

県内111漁港のうち、漁場開発や漁船避難で、
特に重要な「第4種」に指定されているのは島越(田野畑村)のみ。
利用範囲が全国的な3種は山田、大槌、釜石、大船渡の4漁港。
大半は地元の漁業を主とする1種、それより広い2種。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110525_3

葛巻の発電、地産地消 エネルギー調査検討委が提言

(岩手日報 5月25日)

葛巻町の地域エネルギーの利活用について調査する
検討委員会(委員長・高嶋裕一県立大教授)は、
風力など町内にある潜在的な自然エネルギーを活用することで、
約88万世帯の年間使用電力を賄うことができるとする調査結果を、
鈴木重男町長に答申。

福島原発事故で、自然エネルギーへの関心が高まる中、
化石燃料に可能な限り依存しない「エネルギーの地産地消」を
進めるよう求めた。

調査報告書によると、理論的には、
▽風力発電で86万8600世帯、
▽太陽光発電で1600世帯、
▽水力発電で1300世帯―
の年間使用電力を町内で生産することができる。

葛巻町は、風力発電や太陽光発電などさまざまな自然エネルギーの導入を
10年ほど前から進めてきた。
現在、町内の消費電力の約1・6倍の電力を自然エネルギーで生産、
同検討委は、現在の190倍近い電力を町内で捻出できる余地がある。

風力発電について、標高の高い同町にとって、
「潜在量が大きく期待は高い」としたが、
電力会社の買い取り枠が限られていて導入が進まない点を
「最大の難点」とした。

今後の方向性として、自然エネルギーの地産地消を進め、
▽産業創出と町民の収入増、
▽停電など災害に強い町づくり―
につなげるよう提言。

同検討委は、専門家や町内の代表ら委員11人で構成、
昨年9月から調査を進めてきた。

鈴木町長は、「国が、自然エネルギー最優先の方針を
打ち出さないといけない」と、国に先導的な役割を求めた上で、
「町で使う電力は町でつくるべきだ」と、
エネルギーの地産地消を進める。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110525_11

「想定過信せず」教訓に 24日でチリ地震津波51年

(岩手日報 5月24日)

1960(昭和35)年、本県沿岸を襲ったチリ地震津波から、
24日で51年を迎える。
この津波で、国内最多の53人の犠牲者を出した大船渡市は、
半世紀を経た東日本大震災の津波で、当時を大きく上回る被害を受けた。
津波で2度被災した市民の証言から、
想定を過信しない備えの必要性が浮かび上がってくる。

「いつかは大きい津波が来ると思っていた。まさかここまでとは」、
同市大船渡町の山口和子さん(80)。
今回は、高台に逃げて助かった。

山口さんは51年前、自宅兼旅館で津波にのまれた。
1歳の長男を抱え、あごまで水につかりながら助かった。
しかし、黒い海は長女と義祖母を奪った。

被災を教訓に、旅館は鉄筋コンクリート造りのホテルに。
今回、息子家族はホテルの屋上で助かった。
自宅は、周囲より高い位置に建てた。
それでも、今回は1階の天井近くまで押し寄せた。

「ここなら大丈夫と吟味して建てたのに…」と浸水痕を見つめる。
今回、沿岸部全域で「ここは大丈夫」と、
逃げずに犠牲になった例は少なくない。
山口さんが高台に逃げたのは、「あまりに大きな地震だったから」

「チリの記憶」が、皮肉にも避難を妨げたケースがあると、
同市大船渡町で被災した大田勝介さん(70)。

大船渡駅近くで、JR大船渡線よりやや海側にあった
大田さんの自宅は51年前、床上90cmほど浸水。
以来、「津波の大きさは来るまで分からない。逃げるしかない」と
家族に言い聞かせてきた。

同じ場所に住み続けた大田さんは、今回「普通でない揺れ」に、
津波襲来を確信して、すぐ避難。
経験が迅速な行動に結びついたが、「線路より山側では、
ここまで来ないというのが常識だった。
自分たちも、もう少し高いところに住んでいたら逃げたかどうか」

同市赤崎町で長年、自主防災組織の運営に取り組んできた
西山謙一さん(73)は、赤崎漁村センターに避難。
51年前と同じ位置で、津波を見た。
「今回の波のスピードはチリの数倍。高さもあった」

西山さんは、住民の動きも注視していた。
同センターの屋上に子どもを逃がす消防団、安否確認する自主防災組織。
混乱しながらも、住民はそれぞれ動いた。

「避難訓練に参加していた人は、ほとんど助かったと思う。
津波はいつ来るか分からない。
災害はいつだって想定外だよ」と、日常からの備えの必要性を強調する。

◆チリ地震津波とは

1960年5月、南米チリ沖で世界最大マグニチュード9・5の地震が発生、
太平洋全域に津波が伝播。
日本には、地震発生から22時間以上たって太平洋岸の全域に襲来。
国内の死者・行方不明者142人のうち、大船渡市が最多の53人。
東日本大震災の津波による同市の被害は5月23日現在、
死者314人、不明150人(市発表)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110524_4

津波防災に3基本型 県、復興モデル示す

(岩手日報 5月24日)

県は、東日本大震災の復興のまちづくりモデルとして、
被災集落を高台に移転する「回避型」、
津波をV字防潮堤などで逃がす「分散型」、
防潮堤などと道路のかさ上げなどで津波を減衰させる「抑制型」の
三つの基本型を示した。

津波対策の基本方針として、防潮堤などのハード整備は
百数十年に1度起こり得る規模の津波を対象とすることも提示。
今後、市町村ごとに復興パターンを具体的に示し、
復興計画の参考として提供。

第3回県津波防災技術専門委員会
(委員長・堺茂樹岩手大工学部長、委員8人)で県が示した。

回避型は、小規模集落を想定し、大津波でも浸水しない高台に移転。
分散型は、市街地を守るため、防潮堤などをV字型に設置し、
津波のエネルギーを左右に逃がす。
抑制型は、最前線の防潮堤に加え、かさ上げした道路や鉄道で
津波の勢いを減衰、避難ビルの建設なども行い多重防災の手法で被害を防ぐ。

県は、三つの基本型を組み合わせ、
①都市機能が甚大な被害を受けた地域、
②都市機能の一部は失ったが、官公庁や工業地などが
致命的な被害を逃れた地域、
③海辺の集落-
ごとの復興パターンも提示。

①は、陸前高田市、大槌町などを想定。
抑制型を基本に分散型、回避型を組み合わせて、
根本からの都市づくりを目指す。

②は、大船渡市、釜石市などを想定、分散型で市街地を生かしながら
住居を高台に移す回避型の手法も併用。

③は、小規模集落が想定され、コミュニティーを崩さず、
高台移転する回避型で対応。

復興ビジョン案に盛り込む津波対策の基本方針についても議論。
基本方針を、「再び人命が損なわれることがない多重防災型まちづくりと、
防災文化を醸成し継承することを目指す」と設定、
海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策の三つを組み合わせて、
対策を講じることを決めた。

防潮堤などの整備目標は、過去に発生した津波を地域ごとに検証し、
おおむね百数十年程度で起こり得る規模の津波を対象とする。

堺委員長は、「地域ごとの被災状況や対策を精査し、
たたき台になるものを市町村に提案したい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110524_3

2011年5月25日水曜日

8月中旬までに避難所解消 被災者生活平常化で政府方針

(サイエンスポータル 2011年5月23日)

政府の東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部は、
8月中旬までに大部分の避難所を解消、応急仮設住宅などへの
希望者全員の入居を目指すなど、
「東日本大震災被災地における生活の平常化に向けた
当面の取り組み方針」をまとめた。

一時、全国で468,653人、岩手、宮城、福島の3県だけで409,146人に上った
避難者の数は、現在それぞれ、110,313人、86,860人に減少。

避難所を解消するため、仮設住宅を早期に建設するほか、
公営住宅や借り上げた民間住宅などへの二次避難や旅館・ホテルなどへの
一時的移転も進める。

応急仮設住宅は、岩手、宮城、福島の3県で5月末までに
30,000戸が完成見込み、6月以降3カ月でさらに3万戸の建設を
住宅生産団体連合会に要請。

国家公務員宿舎、地方公共団体の公営住宅など50,000戸以上を確保、
入居済みないし入居者が決定したのは、5月16日時点で9,632戸数。
国が負担する民間賃貸住宅には、5月15日現在、2,300戸が入居済み。

被災者の生活再建に欠かせない雇用創出については、
復旧事業を中心に、「地元優先雇用の取り組み」を進めるほか、
被災農家が他の農山漁村に移転し、耕作放棄地を利用して
農業に従事する場合にも支援を行うことや、
早急な経営再建を目指す漁業者が自ら行う、がれき回収処理などの
取り組みや漁業協同組合などが行う漁船・定置網の漁具の導入を
支援することも挙げている。

学生・生徒に対する支援策としては、被災学生・生徒が首都圏で
就職活動するための宿泊施設の無償提供や、日本学生支援機構の
第二種奨学金の貸与期間延長などを実施する。

http://scienceportal.jp/news/daily/1105/1105231.html

スポーツ・文化を存分に 岩手町にセンター完成

(岩手日報 5月23日)

岩手町が、総合運動公園内に建設していたスポーツ文化センターが完成、
同センターで竣工式が行われた。

老朽化が進んだ町体育館に代わる町民待望の施設。
町民ら約700人が出席し、スポーツ・芸術文化の拠点完成を祝った。

民部田幾夫町長が、「スポーツや芸術文化活動に利用できる場を
確保することは、長年の悲願だった」
町民合唱団と出席者が、真新しいアリーナに町民歌を響かせたほか、
北上川清流太鼓や町内の園児がアトラクションを行い、会場を盛り上げた。

同センターは、鉄筋コンクリート造りの平屋で、延べ床面積3057平方メートル。
事業費約10億円のうち、約9割を国の交付金で賄った。

アリーナは1324平方メートル、バスケットボールコート2面分の広さを確保。
観覧席は約270席、ステージや照明設備も設けた。
トレーニングルームには器具16種類をそろえ、
競技スポーツやお年寄りの体力づくりにも利用されそう。
本格オープンは6月から、今月はアリーナを無料で町民に開放。

町体育館は、沼宮内高の旧体育館を活用、
建築から40年以上が経過。
屋根の劣化で雨漏りし、新たな施設を求める声が体育・文化関係者から。

新しいステージで3曲を披露した川口中吹奏楽部の滝本佳央さん(3年)は、
「こんな大きな舞台で、演奏できてうれしい。いい思い出になります」と笑顔。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110523_10

2011年5月24日火曜日

王さん、エール温かく 釜石、陸前高田で少年指導

(岩手日報 5月23日)

王さんがやってきた―。

プロ野球・ソフトバンク球団会長の王貞治さん(71)は、
東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市と陸前高田市を訪れ、
地元の野球少年と交流。
「一日も早く震災前の姿に戻れるよう願っている」。
世界のホームラン王の温かい励ましが、被災者に元気を与えた。

釜石市は、避難所にもなっている釜石中など4カ所、
陸前高田市は、小友小を訪問。
釜石中では、野球部の45人にバッティングを教えた。
部員たちの素振りに、「しっかり振れているね」、「力強い」と
笑顔で拍手し、分かりやすく助言。

王さんは、「犠牲になった人たちは、君たちが毎日元気に生きることを
望んでいるはずだ。勉強にスポーツに頑張ってほしい」とエール。

津波で自宅を失った猪又敬大君(3年)は、
「世界の王さんに会えてうれしかった。
教えを生かし、中総体で優勝したい」と気合を入れた。

周囲で見守った避難住民も感激。
加藤昭さん(64)は、「オーラが伝わってきた。かなり元気が出た」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110523_1

震災復興へ3原則決める 県総合企画専門委

(岩手日報 5月23日)

県の復興ビジョン策定に向けた検討を行う、総合企画専門委員会
(委員長・斎藤徳美放送大学岩手学習センター所長、委員7人)は、
第3回会合を開き、復興に向けた3原則として、
「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」を決めた。

ビジョンの計画期間については、県が6、8、10年の3案を提示。
最終的に、上部組織の県東日本大震災津波復興委員会を経て、
最終決定する方針。

委員6人が出席。
県は、3原則の具体的な取り組みとして、安全の確保が「防災のまちづくり」、
暮らしの再建が「生活再建」、「保健医療・福祉」など、
なりわいの再生が「水産業・農林業」、「経済産業」、「観光」の計9項目を提示。
重点事業の工程表は、第2回会合で既に公表。

復興の基本目標案は、「人と自然が共生し 人と人がつながり躍動する 
安全で豊かなふるさと岩手の再生」で、
同専門委などの会合で出たキーワードを組み合わせた。
委員から、「何のキーワードが大事か伝わらない」、
「三陸の言葉が必要」などの意見。

県は、計画期間について、
▽短期(3年程度)、中期(3~5年)的な取り組みを中心とする6年
▽短期、中期に加え長期的取り組みの一部も含む8年
▽長期的取り組みの最後まで考える10年―の3案を示した。

期間について、斎藤委員長は、「できれば計画は短くしたい」と
迅速な復興の必要性を指摘、
「実行できない計画をつくっても、絵に描いた餅になりかねない」、
今後の復興委員会を踏まえ、議論する考えを示した。

協議内容は、第4回同復興委会合で提示。
ビジョンは、第5回会合で成案を得た後、県議会6月定例会で説明。

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2011年5月23日月曜日

中核魚市場を2年内に復旧 県が水産復興工程表

(岩手日報 5月17日)

県は、東日本大震災津波復興委員会の総合企画専門委員会を開き、
復興ビジョンに盛り込む重点事業の具体的な工程表を公表。

最重点に掲げる水産業については、今年の夏までに被災した
漁協事務所や魚市場の仮復旧を実施。

秋までに必要な漁船の整備や漁港機能の応急復旧を目指す。
2013年3月までに中核魚市場を本格復旧し、
製氷施設を新たに整備することなども掲げた。

同計画は、柱となる七つの重点事業ごとに緊急(1年内)、
短期(3年程度)、中期(3年以上)の目標を設定。

特に、沿岸住民の生活に直結する水産業については、
「早期に現金収入の獲得手段を確保する」(農林水産部)との方針から、
漁期に合わせて具体的目標を示した。

漁協を核とした漁業、養殖業の構築として、
サバ、イカ漁が本格化する今夏までに、24カ所のうち14カ所が
被災している漁協事務所を復旧。

9月までに、28カ所のうち21カ所で被害が出ている
サケふ化場の仮復旧を実施。

現在、5726隻の流失が確認されている漁船について、
ワカメの種付け作業が始まる秋までに、
必要な漁船を共同利用などの形で整備する方針。
被災した魚市場について、夏漁までに設備の仮復旧を実施。

流通・加工体制の構築に向けて、13年3月までに大船渡、釜石、
宮古、久慈の中核市場を本格復旧させ、製氷施設の新たな整備を行う。

県内111カ所の大半が津波で被災した漁港は、
秋サケ漁が始まるまでに土のうを積むなどして応急復旧した後、
14年3月までの段階的な復旧を想定。

倒壊した防潮堤の応急復旧や漁場のがれき撤去などは、
年内に実施することも示した。

今回の計画は、主に国の第1次補正予算に盛り込まれた
事業を中心に提示。
今後の2次補正などを踏まえて、さらに具体的な事業を盛り込む方針。

まちづくりの項目では、災害に強い防災型都市・地域づくりを重点に設定。
今年7月末までに、生活環境に支障が生じるがれきの撤去を完了させ、
おおむね1年以内に多重防災型のまちづくり計画を策定する。

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鉄路寸断、深刻な被害 上空から見た県内沿岸部

(岩手日報 5月17日)

東日本大震災では、長年沿岸住民の生活の足を担ってきた
鉄路が各地で寸断された。
特別機で、洋野町から陸前高田市までの沿線を約4時間半飛行、
被災状況を取材。

本県ではJR八戸、山田、大船渡の各線と三陸鉄道北リアス、
南リアス両線などが被災。
総延長200kmを超える鋼鉄製のレールは、
各地であめのようにねじ曲がり、津波の破壊力のすさまじさを見せつけられた。

被害額は数百億円に上るとみられ、
全面復旧には国の全面的な支援が不可欠。
鉄道事業者と県、沿線市町村、住民らが一丸となった取り組みが必要。

◆JR在来線 全壊の駅、橋は流失 全線復旧のめど立たず

本県沿岸部のJR在来線は八戸、山田、大船渡の各線などが
大きな被害を受け、一部を除き復旧の見通しが立っていない。

東の門之浜湾と西の広田湾の両方から津波に襲われた
陸前高田市小友町では、市街地を縦断する大船渡線の線路がほとんど流失。
小友駅は跡形もなくなった。
一帯はがれきの山と化し、線路や駅舎の跡が無人の街に
むなしくたたずんでいた。

JR盛岡支社によると、被害を受け運休しているのは八戸線階上-久慈間と
山田線宮古-釜石間、大船渡線気仙沼-盛間の3路線。

八戸線は、橋桁1カ所と線路3カ所が流失。
山田線は、陸中山田、織笠、大槌、鵜住居の4駅が全壊、
線路など10カ所と橋桁6カ所が流失。

大船渡線は、小友のほか竹駒、陸前高田、脇ノ沢、細浦、大船渡の5駅と
線路19カ所、橋桁3カ所が津波にのまれた。

JR東日本は岩手、宮城、福島3県の沿岸7路線について、
市街地の移転などが想定されるため、国や自治体と協議しながら
復旧を進める考え。
現時点で、被害額は集計していない。

同社の清野智社長は、今月に入り、まちづくりと一体となった
復旧計画策定や用地確保、建設費用の支援などを求める要望書を
国土交通省に提出。

◆三陸鉄道 局所的に激しい傷跡 南リアス線の再開遠く

三陸鉄道は、北リアス線(宮古-久慈間、71・0km)70カ所、
南リアス線(盛-釜石間、36・6km)247カ所の合計317カ所で被害。
被害額は約100億円に上る。

津波の襲来を想定して設計された両線は、高い橋やトンネルが多く、
JR線に比べ、被害は局所的だったが、それでも上空から眺めると、
各地で橋桁の流失やのり面の崩壊などが見られ、
引きちぎられたレールが痛々しい姿をさらしていた。

北リアス線は、陸中野田-久慈間が3月16日、宮古-田老間が同20日、
田老-小本間が同29日に復旧にこぎ着けたが、
南リアス線は、いまだに全線で運転を見合わせたまま。
運転再開区間は三鉄全線の3分の1、
輸送力は震災前の10分の1にすぎない。

同社は、3年以内の全線復旧を目指しているが、現在の制度では事実上、
県と沿線市町村が復旧費の4分の3を負担する必要、
今後の見通しは全く立っていない。
国の補助率のかさ上げが、早期復旧の鍵を握りそう。

望月正彦社長は、「被害は非常に大きいが、一日も早く全線復旧を成し遂げ、
観光の再開などで地域の復興を支える力になりたい。
地域住民と力を合わせ、地域の生活の足として、
今後も役割を果たし続ける」

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2011年5月22日日曜日

スマートフォン時代に花開く KDDIがまいていた種

(日経 2011/5/18)

KDDIが、夏モデルのラインアップを発表。
全12機種のうち、6機種がスマートフォン(高機能携帯電話)が占め、
NTTドコモに続いて、スマートフォンを本格展開。

KDDIの夏モデルのうち、最大の注目はやはり「INFOBAR」。
初代モデルから約8年。
深澤直人氏のデザインで、コンセプトはそのままに、
米グーグルのOS「Android」を搭載したスマートフォンとして見事に復活。

特に感心させられたのが、ユーザーインターフェース。
どの端末を触っても、代わり映えのしないアンドロイドの雰囲気はなく、
全く新しいスマートフォンを操作している感覚に。
画面の動き方も、実に心地よい。
正直「アンドロイドで、ここまでできるのか」と驚いた。

操作の気持ちよさでは、米アップルの「iPhone」がリードしていたように
感じていたが、INFOBARはiPhoneに匹敵する操作性を実現。
一目でわかるデザイン、とことんこだわって作り込まれた操作性など、
INFOBARは男性、女性を問わず、
幅広い層に支持されるスマートフォンになりそう。

これまで、スマートフォンへの乗り換えをためらっていた人だけでなく、
他の携帯電話会社を使う人にも訴える魅力を秘めている。

この夏、携帯電話会社とメーカーがアンドロイドスマートフォンの
ラインアップを強化するにあたり、
顕著になってきたのがメーカーの存在感。

「Xperia」という人気ブランドを作り上げたソニー・エリクソンは、
「Xperia acro」をNTTドコモとKDDIに供給。

シャープは、KDDI向けは「ISxx」などの型番で、
NTTドコモ向けには「LYNX」、ソフトバンクモバイル向けには
「GALAPAGOS」という別のブランド展開、
夏モデルからは「AQUOS PHONE」で統一。

富士通東芝モバイルコミュニケーションズも、
「REGZA Phone」をNTTドコモとKDDIに提供。
メーカーが海外展開していくにあたり、端末ブランドをいかに
構築していくかが重要。

もはや通信会社ごとにブランド名を変えるのはナンセンス。
グローバルを視野に入れたメーカーは、
統一ブランドを前面に押し出す。

◆携帯電話会社が「土管屋」にならないために

スマートフォンによって、メーカーのブランド強化が加速していくと、
通信会社は、国内外のメーカーから端末を調達して売るだけの
「土管屋」になりかねない。

KDDIは、「iida」というブランドを持っていた。
通信会社として、どんなスマートフォンをユーザーに届けていきたいのか?
メーカーの戦略に左右されることなく、通信会社の主張を
具現化する製品ブランドとして、iidaに存在価値が出てきた。

「スーパーやコンビニのプライベートブランドみたいなもの」
(KDDI関係者)といえばわかりやすい。
スーパーやコンビニは系列が違っても、主力となる
ナショナルブランドメーカーの製品はすべて同じ。
缶コーヒーであったり、カップラーメンであったり。

XperiaやAQUOS PHONEは、どの携帯電話会社でも買える
人気商品になりつつある。
スーパーやコンビニでは、プライベートブランドとして
系列店だけにしか置いていない商品も数多くそろえている。
ターゲットユーザーを絞り込んだものや、コストパフォーマンスの
高いものなどで、他の系列店との差異化を図る。

これらを製造しているのは、ナショナルブランドメーカーだが、
プライベートブランドの商品を企画すれば、携帯電話会社として
ユーザーの声を反映し、独自のブランドイメージを構築できる。

iidaは、かつての「au design project」に比べ、
スタート当初からコンセプトがはっきりせず、
新製品を発表するたび、主張がぶれた感じ。
「今回のINFOBARを、iidaを再出発させる契機にしたかった」
(KDDI関係者)という。

この言葉からもわかるように、市場がスマートフォンへシフトしていく中、
iidaは携帯電話会社の考えが明確に伝わる商品ブランドという
位置づけを明確にしていく。
「iida=au design projectの焼き直し」ではない。

他のスマートフォンが、グローバルモデルや国内メーカーによる
マルチキャリア展開モデルが並ぶ中、iidaはKDDIとしての主張を
詰め込んだ商品ブランドに生まれ変わろうとしている。

INFOBARは、マスコミ関係者だけでなく、販売現場からも評価が高い。
KDDIと同じ、CDMA2000方式を使う海外の携帯電話会社で
導入される可能性もゼロではない。

西友のプライベートブランドであった無印良品が独立して、
ひとつのブランドを確立したように、
iidaもKDDIの枠組みを超える存在になれるかもしれない。

◆米フェイスブックとの協調も発表

サービス面での注目は、米フェイスブックとの協力関係構築
田中孝司社長が、自ら渡米しフェイスブックとの提携に合意。
昨年から提供しているソーシャルアドレス帳である
「jibe」をリニューアルし、フェイスブックの使い勝手を向上させる。
日本でも、注目を浴びつつあるフェイスブック。

「日本のネット文化は匿名が主流なので、実名主義である
フェイスブックは普及しないのではないか」という声をよく聞く。

フェイスブックは、不特定多数とコミュニケーションするツールではない。
実社会において交流のある人と、ネット上で円滑にコミュニケーションする
手段といえるもの。
普段から、本名でやりとりする相手だけとつながるための
ソーシャルネットワークという位置づけ。

フェイスブックを身近なものに例えると、何になるのか?
わかりやすいのが、携帯電話の電話帳。
ほとんどが実社会で交流がある人たちで、本名で登録するのが一般的。
アドレス帳を開けば、現在と過去に
自分と交流のあった人たちが並んでいる。

フェイスブックでは、電話帳に載せるのと同じ程度の関係性の人たちが、
それぞれ自分のお気に入りの顔写真を掲載し、
今何をしているのかといった近況をつぶやいたり、
気に入ったウェブ記事や写真を共有したりしている。
メールや電話番号といった連絡先も記載。

フェイスブックは、ケータイの電話帳を置き換えてもおかしくない存在。
スマートフォンによって、ダイレクトメッセージやつぶやきでの
コミュニケーションが増えてくれば、ますますフェイスブックと
電話帳の相性はよくなる。

◆かみ合いだしたKDDIの3つの歯車

昨年末、KDDIはスマートフォン「IS03」に、
ソーシャルアドレス帳のjibeとインターネット電話
「Skype」のアプリケーションを搭載。

jibeとフェイスブック、Skypeが連携することで、
「フェイスブックを見ながら、暇そうな人を見つけたらSkypeで長話をする」、
「jibeで様々なソーシャルサービスを眺めつつ、メールを送ったり
Skypeでチャットしたりする」という使い方が簡単にできるようになる。

今回の協力関係構築は、ここ最近になってフェイスブックが
日本で流行する兆しが見えたため、突発的に始めたものではない。
jibe、Skypeに続くKDDIスマートフォンのコミュニケーションの
中核として位置づけるために準備されたもの。

スマートフォン戦略で大きく出遅れていたKDDIだが、
1年半ほど前からまいていた種が、ようやく花を咲かせようとしている。
発表会では、スマートフォン向けの公衆無線LANスポットを
10万局設置する計画。

KDDIのスマートフォンを取り巻く「端末ラインアップ」、
「コミュニケーションサービス」、「ネットワーク」という3つの歯車
11年夏になって、ようやくかみ合い動き始めた。
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◆石川温(いしかわ・つつむ)

月刊誌「日経Trendy」編集記者、2003年にジャーナリストとして独立。
携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、
一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。
近著、「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。

ツイッターアカウントは、http://twitter.com/iskw226

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E3EAE2E3E38DE3EAE2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

日本、長寿世界一を維持 WHO統計、医師不足深刻

(2011年5月16日 共同通信社)

世界保健機関(WHO)は、2011年版の「世界保健統計」を発表、
09年の日本の平均寿命は83歳、前年と同様、イタリア中部の
内陸国サンマリノと首位を分け合った。
日本は、女性の平均寿命では86歳で単独首位を維持。
男性は80歳でサンマリノ(82歳)に次いで2位。

WHO当局者は、喫煙率が比較的高い現状のままでは、
「日本は(平均寿命82歳の)オーストラリアに、
長寿世界一の座を譲るかもしれない」と警告。

平均寿命が最も短いのは、アフリカ南部の内陸国マラウイで47歳。
前年にいずれも42歳で最も短かったアフガニスタン、ジンバブエは
それぞれ48歳、49歳と大きく改善。

00~10年の人口1万人当たりの医師の数では、日本が20・6人。
欧州各国のほとんどが30~40人台であるのと比較し、医師不足が深刻。
米国は26・7人。

データが得られた国の中で、一番多かったのはキューバで64・0人、
一番少なかったのはアフリカのタンザニアとリベリアで0・1人。
世界の平均は14・0人。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/16/136557/

提言の論点を8分野に整理 政府の「復興構想会議」

(岩手日報 5月15日)

東日本大震災「復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は、
壊滅的な被害を受けた農漁業など、地場産業の立て直しを図る
「地域経済社会の再生」など復興策を提言する論点を8分野に整理。

具体的な課題として、復興財源の確保やエネルギー、
社会保障政策の見直しなどを検討する方針を確認。
達増知事は、県や市町村の復興計画づくりの進み具合や
農水産業の現状など、現場の状況を報告。

論点には、
▽国づくりの基本的な考え方や地域主体の復興など「復興の基本理念」、
▽原発事故による被災への対応、
▽人の絆を大事にする地域づくり―
などが盛り込まれた。
漁業再生をめぐっては、漁港集約化で賛否が分かれた。

御厨貴議長代理は、「(8分野に整理した論点は)あくまでも一種のたたき台。
今後の討論で変わる可能性がある」

県が実施する仮設住宅の建設について、地域の実情を踏まえるため、
可能な限り市町村へ委託することで合意。
雇用確保に向けたハローワークと市町村の連携強化や問題化している
放射性廃棄物の処理基準の早急な明確化を求めることも決まった。

宮城県の村井嘉浩知事は災害に備え、首都機能の一部を
東北に分散させるべきだと提言。
福島県の佐藤雄平知事は、福島第1原発事故の影響で
県民が全国に避難している現状を踏まえ、
「被災者は、古里に一日も早く帰りたいと望んでいる。
そういう時に、道州制を視野に入れて復興を進める意見には賛同できない」

達増知事は、「(岩手として)提案すべきことは前回までにしているので、
今回は岩手の農水産業の実態などを説明した」、
仮設住宅の建設について、
「できるだけ地元の業者が建設するとか、住宅だけでなく
集会場のような施設を設置しなければならないという問題意識を
複数の委員が持っていた」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110515_7