2011年5月28日土曜日

復興計画 岩手県、地に足を着けて 宮城県、大胆な発想重視

(河北新報 5月18日)

東日本大震災の復興計画で、岩手、宮城両県が
対照的な策定手法を取っている。

岩手は、地元団体代表による組織で、実務的な検討を積み重ねる。
宮城は、著名な専門家を集め、既成概念にとらわれない議論を展開。
被災地の建築制限でも、対応が分かれた両県。
9月策定を目指す復興計画の出来栄えは―。

最大の違いは、検討メンバーの顔触れ。

岩手の津波復興委員会は、藤井克己岩手大学長が委員長。
委員19人全員が県内在住者、県商工会議所連合会長や県農協中央会長、
県漁連会長、県銀行協会理事会長らがずらりと並ぶ。

達増拓也知事の、「答えは現場にある」との持論が色濃く表れた。
県政策地域部は、「現場の声を計画に反映させたい。
地味だが、一つ一つ課題を解決していく『積み上げ型』の手法」

宮城の震災復興会議は、議長に元東大総長の
小宮山宏三菱総合研究所理事長。
委員12人のうち、県内在住者はわずか2人。
寺島実郎日本総研理事長らが名を連ねる。

「派手」な陣容は、村井嘉浩知事の「地球規模で宮城の将来を考える」
という意向を踏まえた。
県震災復興・企画部は、「単なる復旧でなく、県土の再構築を目指す。
日本を代表する有識者の大胆な発想が不可欠」

会議の開催回数や場所にも、違いが表れている。

岩手は4月11日に初会合を開き、これまで3回開催。
下部組織の総合企画、津波防災技術の両専門委員会も2回目が終わった。
会議は、いずれも盛岡市内。

宮城の初会合は5月2日、県庁で。
下部組織はなく、会議は月1回のペースで開かれる。
委員の大半が首都圏在住のため、次回の6月3日は
村井知事らが上京し、都内で行われる。

相違点が際立つ中、互いの利点を採り入れている部分も。
岩手は、各分野の第一人者を専門委員に任命し、計画への助言を受ける。
宮城も、県内産学官トップが集まる富県宮城推進会議で、
地元の意向をくみ取る仕組みを整えている。

会議は、両県とも全面公開。
岩手は、さらにインターネットの動画サイトで、会議の中継を試みている。
配布資料を開会前にホームページで公開するなど、
中継視聴者への配慮も欠かさない。

両県の担当者は、ライバル心をのぞかせる。

岩手県は、「宮城では、各委員からさまざまな提言が出ているようだが、
どうやって取りまとめるのだろうか。作業は大変そうだ」(政策地域部)と、
議論の拡散を懸念。

宮城県は、「地元の意向も重要だが、今回は過去に経験のない震災復興。
岩手の会議で、新しい発想、斬新なアイデアが浮かんでくるだろうか」
(震災復興・企画部)と指摘。

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110518t11019.htm

***
良いところを取り入れ、見直す点があればライバルを参考にする。
これはいいことだ。

宮城は東北の中枢であり、将来の道州制では中心となる。
国際的な新しい魅力のある街づくりが求めらる。

岩手は地方都市としての役割がある。
農業、漁業、林業の一次産業を維持し、加工業を組み合わせた
産業構造を作りあげ、宮城とともに世界に発信していく役割がある。

大いに議論を戦わせてほしい。
もちろん全面情報公開が原則です。

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