2011年5月23日月曜日

鉄路寸断、深刻な被害 上空から見た県内沿岸部

(岩手日報 5月17日)

東日本大震災では、長年沿岸住民の生活の足を担ってきた
鉄路が各地で寸断された。
特別機で、洋野町から陸前高田市までの沿線を約4時間半飛行、
被災状況を取材。

本県ではJR八戸、山田、大船渡の各線と三陸鉄道北リアス、
南リアス両線などが被災。
総延長200kmを超える鋼鉄製のレールは、
各地であめのようにねじ曲がり、津波の破壊力のすさまじさを見せつけられた。

被害額は数百億円に上るとみられ、
全面復旧には国の全面的な支援が不可欠。
鉄道事業者と県、沿線市町村、住民らが一丸となった取り組みが必要。

◆JR在来線 全壊の駅、橋は流失 全線復旧のめど立たず

本県沿岸部のJR在来線は八戸、山田、大船渡の各線などが
大きな被害を受け、一部を除き復旧の見通しが立っていない。

東の門之浜湾と西の広田湾の両方から津波に襲われた
陸前高田市小友町では、市街地を縦断する大船渡線の線路がほとんど流失。
小友駅は跡形もなくなった。
一帯はがれきの山と化し、線路や駅舎の跡が無人の街に
むなしくたたずんでいた。

JR盛岡支社によると、被害を受け運休しているのは八戸線階上-久慈間と
山田線宮古-釜石間、大船渡線気仙沼-盛間の3路線。

八戸線は、橋桁1カ所と線路3カ所が流失。
山田線は、陸中山田、織笠、大槌、鵜住居の4駅が全壊、
線路など10カ所と橋桁6カ所が流失。

大船渡線は、小友のほか竹駒、陸前高田、脇ノ沢、細浦、大船渡の5駅と
線路19カ所、橋桁3カ所が津波にのまれた。

JR東日本は岩手、宮城、福島3県の沿岸7路線について、
市街地の移転などが想定されるため、国や自治体と協議しながら
復旧を進める考え。
現時点で、被害額は集計していない。

同社の清野智社長は、今月に入り、まちづくりと一体となった
復旧計画策定や用地確保、建設費用の支援などを求める要望書を
国土交通省に提出。

◆三陸鉄道 局所的に激しい傷跡 南リアス線の再開遠く

三陸鉄道は、北リアス線(宮古-久慈間、71・0km)70カ所、
南リアス線(盛-釜石間、36・6km)247カ所の合計317カ所で被害。
被害額は約100億円に上る。

津波の襲来を想定して設計された両線は、高い橋やトンネルが多く、
JR線に比べ、被害は局所的だったが、それでも上空から眺めると、
各地で橋桁の流失やのり面の崩壊などが見られ、
引きちぎられたレールが痛々しい姿をさらしていた。

北リアス線は、陸中野田-久慈間が3月16日、宮古-田老間が同20日、
田老-小本間が同29日に復旧にこぎ着けたが、
南リアス線は、いまだに全線で運転を見合わせたまま。
運転再開区間は三鉄全線の3分の1、
輸送力は震災前の10分の1にすぎない。

同社は、3年以内の全線復旧を目指しているが、現在の制度では事実上、
県と沿線市町村が復旧費の4分の3を負担する必要、
今後の見通しは全く立っていない。
国の補助率のかさ上げが、早期復旧の鍵を握りそう。

望月正彦社長は、「被害は非常に大きいが、一日も早く全線復旧を成し遂げ、
観光の再開などで地域の復興を支える力になりたい。
地域住民と力を合わせ、地域の生活の足として、
今後も役割を果たし続ける」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110518_10

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