2011年5月21日土曜日

本格化から1カ月、がれき撤去進ちょく24% 今後は土地利用への関心も

(東海新報 5月14日)

大船渡市は、先月11日以降民有地で、作業が進むがれき撤去の
進ちょく状況をまとめた。
被災面積約765㌶に対し、進ちょく率は24%。

これまでは、山側など浸水域の縁辺部で作業が進められたが、
今後は多く散乱している被災地中心部を予定。
撤去が進む中、終了後の土地活用などへの注目も。

がれき撤去の対象は、
▽個人住宅敷地内に流れ着いてきた車両やがれき、
▽一定の原型をとどめている住宅、倒壊した家屋の残骸、住宅の基礎部分、
▽中小企業者の事務所、店舗―など。
市が実施主体となり、地元建設業者に発注。

3月中から先行実施されていた三陸地区に続き、
4月11日以降は旧大船渡市内でも着手。
各地区とも、基本的には浸水地域の最も北側もしくは山側部分からスタート。
撤去次第、生活スペースが確保しやすい場所を選び、
各地域公民館などと調整。

各地区に業者が分かれ、合わせて120台を超える重機が出動。
全壊家屋の柱や家財道具などをトラックに運び入れ、仮置き場に移動。
遺体捜索も兼ねていることや、地域住民の要望も聞き入れながら
進むため、慎重な作業が続いている。

今月11日現在の進ちょく状況によると、撤去面積は183・4㌶。
撤去率は24%となったが、地域ごとにばらつきが。

吉浜地区(被災面積52・7㌶)では42・2㌶で進み、撤去率は80%。
越喜来(同95・7㌶)も78%まで到達。
綾里地区(同64・1㌶)は40%。

最も被災面積が大きい赤崎地区(同195・3㌶)は12・2㌶、撤去率は6%。
大船渡地区(同191・6㌶)は9%、末崎地区(同100・2㌶)は7%、
盛地区(同65・5㌶)は8%。
被災前に構造物が多かった地区では、市全体の平均を大きく下回る。

市都市整備部の佐藤守部長は、「1カ月で4分の1が終わったから、
残り3カ月で作業が終了するという予測にはならない」
これまで入った地域は、浸水しない地域との縁辺部が多い。
今後は被災地の中心部に入るため、作業はさらに難しさを増す。

作業が進む中、撤去したがれきの処分方法への関心も高まる。
太平洋セメント大船渡工場では、通電体制が整ったことから、
がれき焼却を行う準備を進めている。
鉄類などを除いた比較的多種類のがれきをキルン設備で処分できるが、
処分量ペースなどの見通しは立っていない。

がれきの保管場所も拡充させる必要。
市ではこれまで、20㌶分の仮置き場を確保、想定される量と比較すると、
十分とは言い難い。
佐藤部長は、「分別した鉄類は仮置き場に運ばず、直接現地で
業者に引き取ってもらうといった工夫をしている。
焼却できなかった分や残灰などは、最終的には埋設となる見込み」

撤去によって、各地にまとまった更地が生まれつつある。
市では、民間事業所などの工場や店舗といった仮設施設は、
浸水域でも柔軟な対応をとる姿勢。
事業再開を急ぐ動きが広がる中、撤去を終えた土地の利用予法も今後注目。

http://www.tohkaishimpo.com/

インタビュー・環境戦略を語る:カシオ計算機・高須正取締役

(毎日 5月2日)

カシオ計算機は、50年にCO2排出量を05年比80%削減などの
目標を掲げ、環境問題に取り組んでいる。
高須正取締役に、環境戦略を聞いた。

--どのような体制で環境問題に取り組んでいるか?

◆91年、副社長を委員長とする環境保全委員会を設置したのが始まり。
その後、役員や各事業所の責任者が参加する「環境会議」や、
環境目標を立案する環境センターを設置するなど、体制を拡充。

現在、環境センターには15人の専従社員がおり、
環境データの収集・分析などを行っている。
社員には、環境方針や事業所ごとの環境目標を記した
名刺サイズの「環境カード」を持たせている。

社員は、CO2削減などに向けた「自分の役割」をそれぞれ書き込むなど、
常に環境に配慮した行動ができるよう、社員一人一人に徹底。

--具体的にはどのような取り組みを進めているか?

◆01年度から、化学物質の使用規制や省エネなど14項目を点数化した
基準を作り、合格した商品を「カシオグリーン商品」と認定する制度を始めた。
社員も積極的に取り組み、08年度には「グリーン商品」の
売上高比率が84%に達した。
09年度から、新たに、消費電力20%削減などさらに厳しい基準に合格した
「グリーン商品」を、「カシオグリーンスター商品」に認定する制度を始めた。

09年に新設したドイツのオフィスでは、地熱エネルギーを
冷暖房に利用するシステムを導入。
中国のグループ工場では、製品出荷の際、トラックではなく鉄道を使う
モーダルシフトに取り組むなど、
世界中のカシオグループでエコに取り組んでいる。

--東日本大震災の影響で夏に予想される電力不足に向け、
企業の節電対策にも注目が集まっている。

◆震災直後から、稼働しているエレベーターや照明の数を
減らすなどの対応を実施。
より詳細な対応策は検討している最中だが、社内報なども使って
社員にも注意喚起し節電を徹底。

--今後、どのような活動を推進するか?

◆50年の長期目標達成のため、20年にCO2削減量を05年比で
30%削減する中期目標を定め、モーダルシフトの拡大や
太陽電池の導入などを検討。
製品を通じて、環境に貢献することもメーカーの大切な使命。

カシオは、創業当時から、小さく、薄く、軽く、省電力につながる
製品をつくることに力を注いできた。
今後も、世の中にないものを創造し、社会に貢献するという
企業理念を実践しながら、社員一丸となって取り組んでいく。
==============
◇たかす・ただし

慶応大学工学部卒。73年カシオ計算機入社。
執行役員コンシューマ事業部副事業部長、執行役員開発センター長などを
経て、03年から現職。東京都出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/05/02/20110502ddm008020031000c.html

津波に強い地域づくり技術チリと共同研究へ

(サイエンスポータル 2011年4月21日)

科学技術振興機構は、地球規模課題対応国際科学技術協力
プログラムの新しい課題として、資源・エネルギー分野5件、
生物資源分野2件、防災分野2件、感染症分野2件を決めた。

防災分野の新課題に、チリ・カトリック教皇大学との共同研究、
「津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究」
(研究代表者・富田 孝史・港湾空港技術研究所 上席研究官)が選ばれた。
研究期間は4年間。

チリは、日本の太平洋岸と同様、海底プレートが陸側のプレートの下に
沈み込む場所に面しているため、過去に何度も大きな地震が起きている。
昨年2月、マグニチュード(M)8.8の巨大地震が発生し、
沿岸に巨大な津波が押し寄せ、800人以上が亡くなった。
日本にも翌日、場所によっては1mを超す津波が到達。

1960年、観測された地震としては最大の超巨大地震
(M9.5、死者1,742人)が起きている。
この時も、最大6mの津波が日本に到達、
三陸海岸沿岸を中心に142人が亡くなった。

共同研究では、両国で発生した津波による被害のまとめと
その推定手法や、今後両国で発生する津波による被害予測や
想定被害への対策、高い精度の早期警報手法や津波観測網など、
津波に強い地域や人づくりに関する研究を行う。

研究代表者の富田 孝史 氏は、
土木学会東日本大震災特別委員会総合調査団の一員として、
今月初め、東北地方太平洋沖地震の被災地を訪れ、
釜石湾口防波堤など港湾施設や海岸の津波による被害の状況を調査。

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムは、
開発途上国の研究機関と国内の研究機関が共同で、
両国にとって必要な地球規模の課題解決を目指す研究支援制度。
政府開発援助(ODA)と連携して実行するのが特徴、
開発途上国だけでなく先進国からもユニークな取り組みとして注目。

研究開発期間は3~5年。
1研究課題に対し、科学技術振興機構から間接経費を含め、
年3,800万円程度のほか、国際協力機構のODA経費から研究員派遣、
外国人研究員招へい、機材供与、現地での活動経費など、
年に6,000万円程度が支給。

http://scienceportal.jp/news/daily/1104/1104211.html

2011年5月20日金曜日

「国体の縮小開催探れ」 県説明で市町村の要望相次ぐ

(岩手日報 5月18日)

2016年岩手国体開催に関する県の市町村説明、
「開催は困難」とする県方針に対し、市町村側からは、
「縮小開催の可能性も探るべきだ」との声が多く出た。

県は、関係団体と協議しながら、施設改修の見直しなどを軸に、
どの程度の縮小開催が可能かを試算する構え。
今後、首長から意見を聞くことも検討。

県は9日から全市町村で説明し、
宮古、岩泉、紫波、洋野の4市町を訪問。
全体で118億円に上る開催費用や人員体制などを示し、
「被災者の生活再建優先だ」と理解を求めた。

多くの市町村は、教育長や担当職員が対応。
縮小開催の可能性も探るべきだとの反応が、見送り容認論を上回った。
「首長に伝える」など、聞くにとどめる自治体も多く、
当初計画通りの開催を求める声はなかった。

紫波町の川村秀彦教育長は、「人や予算がないから『開催しない』と
決めるのではなく、開催に向け工夫してほしい」と要請。
ヨット競技を開催予定だった宮古市は、
首長が意見交換する場も必要だと注文。

佐々木敏夫教育長は、会談後「施設が被災し、当初計画通りでは
無理だと感じる」と説明に一部理解を示した。

岩泉町の三上潤教育長は、判断するため検討材料を示すよう
求めた上で、「開催に踏み切るのであれば、町としては対応できる」

洋野町の日当博治副町長は、
「現状では、被災地でやるべきだとは言えない。
復興状況を見極めたい」

県は、今回の反応も踏まえ、
▽スタンド増設など施設改修の見直し、
▽参加者数の削減、
▽開・閉会式の簡素化、
▽競技数の縮減-
などを軸に日本体育協会などと協議、シミュレーションする方針。

県国体推進課の西村豊総括課長は、
「復興の励みになるとの声も多かった。
(開催の可否などを)具体的に検討してもらえるよう、
どの部分でどの程度縮小できるか探る」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110518_7

***
5年後の国体に向けて進めるべき。
5年たっても、イベントが開けないというのでは、はっきり言って情けない。
岩手県が5年でここまで復興したのだという姿を全国に、全世界に示すためにも、
子供たちがスポーツをする夢や目標を持たせるためにも、
ぜひ国体は開催してほしい。

ちなみに、2019年はラグビーのワールドカップが日本で開催されます。
その時に、ラグビーの街・釜石はどうするのでしょうか?
試合会場やキャンプ地として立候補するのでは?
そのためにも、2016年の国体を開くことは世界にも注目されることになります。
叡智を集めて、多くのサポートをいただいて、開催してほしいです!

「柳之御所除外」どう対応 浄土との関連性認められず

(岩手日報 5月8日)

「平泉の文化遺産」に対し、国際記念物遺跡会議(イコモス)は、
「登録」勧告の条件として、柳之御所遺跡の除外を示した。

コンセプトと構成資産との直接的な関連性が必要とする
イコモスの姿勢の表れであり、再挑戦に際し除外された資産の
追加登録に向け、厳しい現実が突き付けられた。

奥州藤原氏の居館で、政治行政上の拠点「平泉館」と
推定されている柳之御所遺跡。
イコモスは、今回「浄土思想との直接的な関連性の点から、
本資産の顕著な普遍的価値の一部を成すものとは認められない

「平泉」は、登録延期となった前回の反省を踏まえ、
今回は「浄土世界」をコンセプトに掲げ、浄土思想に直接的な関連がある
六つに資産を絞り込んで再挑戦。
前回、イコモスから「浄土世界との直接的な関連が薄い」などとの
指摘を受けた奥州市の白鳥舘遺跡、長者ケ原廃寺跡、
平泉町の達谷窟、一関市の骨寺村荘園遺跡を除外、
これらの4資産は追加登録に回った。

今回の6資産のうち、柳之御所遺跡は、中尊寺や毛越寺のように
直接的な浄土世界ではないが、浄土世界を成立させた藤原氏の拠点。
その意味で、同遺跡は4資産の追加登録に向けた試金石。
推薦書では、同遺跡が無量光院などと緊密な位置関係にあるとの
観点も示したが、その論理はイコモスには通じなかった。

世界遺産委員会の行方次第では、柳之御所遺跡が「復活」する
可能性はあるが、勧告通り除外されれば、
追加登録を目指す資産は、「浄土世界」との同時代性や
間接的な関わりといった論理を超えて、
直接的な関わりを証明する論理構成が求められる。

世界遺産に向け大きく前進した「平泉」だが、
前段には多年にわたる発掘調査成果に基づいた平泉研究の蓄積がある。
その契機が、1988年に始まった柳之御所遺跡の大規模発掘調査。

県教委による調査は、今なお続く。
出土した多種多様な遺構・遺物は、浄土世界を成立させた
藤原氏の性格解明のみならず、日本史研究にも大きく寄与。
同遺跡が構成資産から除外されたとしても、着実な調査進展が必要。
その成果が、浄土世界の輝きを一層増すことになる。

◆大矢邦宣・盛岡大教授の話

いい結果が出て、大変うれしい。
被災地の励ましにもなるだろう。
「平泉」が認められたことはもちろんだが、日本人本来の美意識が
認められたともいえよう。

世界遺産といえば、壮大なものというイメージがあるが、
金色堂のように小さなものに対する美意識、自然を生かし大切にする
美意識が日本文化だ。
柳之御所遺跡の除外については、素直に受け止め、
将来的な追加登録に向けて前向きに捉えたい。

◆入間田宣夫・東北芸術工科大教授の話

「平泉」が世界に認められた。歓迎すべき勧告だ。
工藤雅樹先生(推薦書作成委員会委員長、故人)が生きていたら、
どんなに喜んだろう。

柳之御所遺跡は、中尊寺や毛越寺を造営した藤原氏の根拠地であり、
浄土世界の全体をつなぐ上で不可欠な要素と考えていただけに、
除外は非常に残念。
6月の世界遺産委員会に向け、早急に推薦書作成委員会を開き、
今後の対応を議論する必要がある。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110508_7

2011年5月19日木曜日

がれき焼却スタート 太平洋セのキルン稼働

(東海新報 5月18日)

大船渡市の太平洋セメント大船渡工場(安藤國弘工場長)で、
工場内に流れ着いたがれきの焼却処分が始まった。
セメント生産の心臓部であるキルン設備が、震災後初めて稼働。
今後は、市内で撤去されたがれきの受け入れも進める。

同工場では今月9日、施設稼働に必要な高圧電力の送電体制が復旧。
主要地方道より東側の高台に位置し、浸水被害を受けなかった
5号キルンが17日未明から稼働。
工場内に流れ着いた土砂や木材、プラスチック類を投入する
作業が始まった。

キルンは、セメント生産時の中心的な施設で、
石灰石をはじめ各種原料を高温焼成によって混ぜ合わせる。
焼成機能を生かし、これまでも産業廃棄物処分などが行われた実績がある。

工場内では、安全を確認しながら慎重に作業が行われ、
1時間あたり5㌧ほどのがれきが、約800度で焼却処分。

今回の焼成は試行段階だが、今後も24時間体制でキルンを稼働。
工場内には約750㌧のがれきがあり、21日までには全て終えたい。
その後、浸水被害に遭った民有地で撤去を終えた、がれきを受け入れる。

現在、市内各地に設けられた仮置場にがれきが集まり、
すでに5㍍以上の高さに積まれた光景も。
キルンでは、スクラップ業者が引き取る鉄類などは受け入れられないが、
比較的多種類のがれき処分が可能。
ただし、5㌢以下に破砕する作業が必要。

安藤工場長は、「関係機関の協力を得ながら、ここまで来ることができた。
予定通りに復旧が進んでいる。
焼却灰もセメントの原料とすることができるため、
早く他の設備を復旧させて再生産したい」

当面、5号キルンはがれき焼却に専念し、セメント生産は行わない。
焼却を進める間に、1号キルンや護岸部分などの設備復旧を進める。
セメントの再生産は、11月中旬を目標。

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携帯が不通になったのはなぜ?想定外の広域・長期停電が拍車

(産経新聞 5月14日)

「震災後、多くの携帯電話が一時、不通に。
テレビでは、『携帯がつながらず家族と連絡できない』との
悲痛な声の一方、携帯で話す被災者の映像も。
携帯がつながったり、つながらなくなったりしたのはなぜ?」

◆途切れた通話

3月11日、大きな揺れの後、石巻市の伊藤芳栄さん(56)は、
自宅にいて津波で行方不明になった娘の英理奈さん(24)の
携帯電話にかけ続けた。
何度目かにつながり、「逃げて!」と叫んだ。
その直後、ぷつりと通話が途切れた。

「窓を閉めていて、津波に気づかなかったんでしょうか。
もっとちゃんと話せていたら」と悔やむ。

震災後、東北に限らず、多くの地域で携帯電話がつながりにくい状態に。
安否確認などで電話する人が殺到したため、
携帯電話各社が発信規制をしたため。

最大で、NTTドコモは90%、KDDI(au)は95%、
ソフトバンクは70%の発信を規制。
90%なら、同じエリアにいる10人のうち1人しかつながらない状態。

ドコモの担当者は、「回線がパンクすると、消防や警察などへの
優先回線も使えなくなる恐れがあった」と、規制の必要性。

一夜明け、被災地の事態はより深刻化する。
携帯の電波を中継する各社の基地局は、数時間から十数時間もつ
バッテリーを備えているが、長引く停電で軒並みダウン。
「ここまで長い時間停電することはいままでなかった」(ソフトバンク)

震災翌日の3月12日現在で使えなくなった基地局は、
ドコモが6720カ所、KDDIが3680カ所、ソフトバンクが3786カ所。
東北ではドコモが半数、KDDIは3分の2の基地局が機能を停止。

ドコモでは、津波の直撃を受けた基地局は約100カ所、
機能停止の大半が停電による影響。
基地局がダメになっても通常、周辺基地局が電波をカバーするが、
地域一帯の基地局が機能しなくなるという、
想定を超えた広範囲の被害となった。

各社は、非常時に基地局の代わりとなる移動基地局車を
全国各地から東北に向かわせたが、道路の寸断や渋滞に阻まれた。

被災地に着いても、自治体から被害情報が得られず、
待機する状態が続いた。
『何ですぐ配備できないんだ』と歯がゆい思いだった」とKDDI担当者。

◆余震が冷や水

携帯各社は、基地局車に加え、衛星回線でつなぐ装置を投入する
応急措置を進める一方、基地局の復旧に努めた。

大半が復旧しだした4月7日、最大震度6強の余震が襲う。
ドコモで約1200カ所、KDDIで約500カ所の基地局が再びダウン。
余震が続くごとに安否を確認する人で電話が集中、発信規制が再開。
その都度、つながりにくい状況が再現した。

通話がつながりにくかったのに対し、通信状況が比較的
安定していたのがメール。

ドコモが震災直後に、一部で発信規制をした以外は、ほぼ規制はなかった。
音声に比べ、情報量が少なくて済むからだ。
それでも震災直後は、受信が大幅に遅れる現象も出た。

ソフトバンクの担当者は、「道路は正常だが、発信が多く、
車が渋滞しているような状況だった」

福島第1原発周辺や一部の山間部を除いて、
4月末までに各社の基地局はほぼ復旧。

今回の震災を受け、携帯各社では、基地局車や移動電源車、
自家発電機などを増やす方針を打ち出した。

ドコモでは、人口密集地など重要基地局については、
バッテリーを24時間使えるように拡充させる。
ソフトバンクも、バッテリー容量を増やす方針だ。
KDDIでは、東北以北と全国各地域を結ぶ基幹通信網3ルートのうち、
2ルートが使えなくなり、安否を伝える災害用伝言板を含めて
障害が出たため、日本海側にも新たにルートを整備する。

通話に比べ、メール通信が安定していたことから、
ドコモは、声をメールに載せて送るシステムの導入も検討。
ソフトバンクの担当者は、「バッテリーを拡充させても、
電気が復旧しなければ限界がある。
われわれだけの対策ではムリだ」

KDDIでも、「基地局車を何台投入したところで、被災地で迅速に
活動できなければ意味がない。
自治体との連携も含め、災害時の想定を見直す必要がある」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110514-00000573-san-bus_all

***
携帯電話は、震災の時には全く繋がりませんでした。
メールも、ネットもできない状態でした。
スカイプやツィッターが有効だったという報道もありましたが、
それはネットが使える環境の場合。
ネットが使えない以上、これらは機能しませんでした。

規制はある程度は仕方ないとして、
例えば、家族や友達との無料通話設定をしているところだけはOKにするとか、
番号によって使える時間をずらすとか、何か工夫をしてほしい。

震災の廃木材で仮設住宅 チップ化し建設資材に

(岩手日報 5月3日)

岩手大農学部の関野登教授(木質資源工学)と、
県立大盛岡短期大学部の内田信平准教授(建築設計)は、
宮古市の建設業者と連携し、東日本大震災で生じた廃木材を
活用した仮設住宅供給の仕組みづくりを進めている。

廃木材をチップ化して、パネルとして建設資材に活用。
短時間で建設できるのが特長。
被災地では、仮設住宅の早期建設を望む声が強く、
がれき処理や地元企業の雇用創出にもつながる新たな試みとして注目。

建設の仕組みは、自治体が収集した廃木材のうち、
利用できるものをチップ化して木質ボードに加工し、
パネルとして建設資材に活用。

他の建材も、可能な限り本県産や県内業者の加工にこだわった。
建設時間の短さや断熱性能の高さも特長。
使用後に解体・保管し、再利用することも可能。

建設費用は、鉄骨を素材とする一般的な仮設住宅と同等で、
2DK(約30平方メートル)1戸当たり300万円前後。

建築を担うのは、宮古市内の建設業5社。
4日には同市内で試作品2戸を完成させる予定、
関野教授らは作業のスピードや造りやすさなどを検証。

業者は2日、取り組みを県の応急仮設住宅公募供給事業に応募。
採択されれば、5月中旬にも量産に入り、
宮古・下閉伊地区で6月末までに計60戸の供給が可能。

取り組みを通じて、
▽被災者の早期入居
▽雇用創出
▽がれき処理の促進―
などの社会的効果が見込まれ、
▽廃木材利用技術の進展
▽木質仮設住宅の生産性改善
▽仮設住宅の居住性向上―
といった学術的効果も期待。

内田准教授は、「仮設住宅建設に関わる費用は、県内で循環させたい」と
地元業者、県産素材にこだわる意義を説明。
将来的には、同システムを全国に発信していく考え。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110503_11

2011年5月18日水曜日

名古屋市が一関に支援拠点 東大も遠野分室開設

(岩手日報 5月14日)

陸前高田市への行政支援を行っている名古屋市は、
一関市大東町摺沢地区に、職員派遣の拠点となる
「被災地域支援本部」を開設。

東京大(浜田純一総長)も、遠野市の市庁舎西館に、
同大救援・復興支援室遠野分室を開設。
被災地を後方支援する他県の事務所が次々と設置され、
支援態勢は拡大。

【名古屋市】
職員や住民ら約50人が出席、事務所開きが行われ、
河村たかし市長が自ら看板を掲げた。

事務所は、JR大船渡線摺沢駅前に設置。
職員34人が交代で常駐し、住民票交付や総務会計、福祉、土木など
陸前高田市の行政全般を支援。

現地では、事務を完結できないケースもあるあるため、
パソコンを設置し事務機能も持つ。
開設は、来年3月31日までの予定。

河村市長は、「市職員から応援しようという機運が上がった。
まず、産業支援を急ぎたい」と意気込み。
河村市長は、県庁で達増知事と懇談。

【東京大】
救援・復興支援室長の前田正史副学長らが、
及川増徳副市長と看板を設置。
作業スペースも整備され、業務を開始。

分室には、職員1人と補助職員らを常駐。
情報収集や復旧に向けた研究分析など、教職員をサポート。
現地活動の調整役や情報発信などを担う。

前田室長は、「東京大が、災害復旧のための活動拠点を置くのは初めて。
各教員による研究分析や提言などを通じて、
被災地を継続的に支援したい」

及川副市長は、「研究成果を被災地のため、
活用していただけるとありがたい。
遠野市としても活動を支えていく」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110514_10

高規格道5年で全線開通 県が重点整備目標

(岩手日報 5月13日)

県は、東日本大震災で被災した沿岸部を縦横に走る
三陸縦貫自動車道と東北横断自動車道釜石秋田線などの
高規格幹線道路を、「復興道路」と位置付け、
3年以内の重点整備、5年以内の全線開通を目標とすることを固めた。

13日に開く、県東日本大震災津波復興委員会で公表する
復興ビジョンの主要な柱立ての中で、重点事業として盛り込む方針。

三陸縦貫道は、仙台市から宮古市の沿岸部を走る224km
(県内延長103km)。
被災した各市町村間を、虫食い状態でしか整備が進んでおらず、
本県の開通率は37%と、全線開通の見通しは立っていない。

東北横断道は、釜石市から秋田市に至る212km(同113km)、
本県部分の開通率は40%程度と、
全線開通の目標は示されていなかった。

今回の震災では、両道路は損傷がほとんどなく、
津波襲来時の避難道路やその後の緊急物資の輸送路として有効に機能。
地域住民の避難路としても利用されるなど、大きな効果を発揮した。

県は、復興には両道路など高規格道路のネットワーク化が
必要不可欠と判断。
復興ビジョンの中で、3年程度で取り組む「短期」の事業として、
両道路などの重点整備、「中・長期」の事業には全線開通を盛り込んだ。

事業実施には、地元負担に対する国の財政支援が必要なため、
早期の全線開通に向けて、国に対しても強力に要望する方針。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110513_2

***

三陸縦貫道は、もっと早く完成させるべきだった。
大船渡は、完成していたため、国道45号線が水没して
不通になってしまっても、縦貫道があったため孤立せずに済んだ。
一方、陸前高田は大船渡からの縦貫道が完成していなかったので、
物資や人材などの輸送を、細くてカーブの多い山道を
利用するしかなかった。
今も、この山道を利用する車で渋滞する。
道路の重要性を、もっともっと認識すべきだった。

防潮堤64%が損壊 県内漁港海岸の被害状況

(岩手日報 5月9日)

県は8日、東日本大震災による県内の漁港海岸
(水産庁所管の海岸)の防災施設の被害状況を公表。

防潮堤は、津波のために総延長39・4kmの、
約64%に当たる25・3kmが損壊。
シミュレーションに基づき、防災施設が津波の高さを抑制するなど、
一定の効果を果たしたことを説明。

漁港海岸の防災施設被害は、第2回県津波防災技術専門委
(委員長・堺茂樹岩手大工学部長、委員8人)で、県が提示。

被害が顕著だった山田町の船越漁港海岸の防潮堤は、
浦の浜、船越南両地区で計510m、田の浜地区で計230mが全壊。
大船渡市の越喜来地区の3海岸では計600m、
大槌町の吉里吉里漁港海岸では計240mが全壊。

被災のメカニズムも示され、押し波による破損や陸側への倒壊に加え、
防潮堤を越えた津波の引き波によって、
基礎部分の盛り土が浸食され、海側に倒壊したケースも。
水門は142基中52基、門扉は331基のうち137基で被害が確認。

県は、防災施設の有無による津波の最大水位と流速、到着時間を
比較したシミュレーション結果を公表。

宮古市の田老地区は、防災施設有りの場合が堤防背後の最大水位で
3・1m低く、津波の到着時間も7分遅かった。

委員は、今回のシミュレーションで対象となった沿岸9地点について、
防潮堤などに一定の効果があったと判断。
詳細な検討に必要なデータを加え、
今後追加の計算をしていくことを県に求めた。

次回は23日に開催予定。
同専門委は、県復興委が6月上旬までにまとめる
復興ビジョンの素案に議論を反映させる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110509_3

2011年5月17日火曜日

SW支援へ「スクラム」 新日鉄釜石OBら結成

(岩手日報 5月5日)

東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市を本拠地とする
社会人ラグビーの釜石シーウェイブスRFCを支援する組織
「スクラム釜石」が4日、発足。

チームの前身、新日鉄釜石のOBらが結束。
サポーター会員の拡大を図り、シーウェイブスの支援を通じて、
被災地の復興を後押し。

設立記者会見は、東京・丸の内で開かれた。
ともに元日本代表で、スタンドオフとして活躍した
松尾雄治さん(57)がキャプテンに、
プロップとしてチームを支えた石山次郎さん(53)が代表に就任。

松尾さんは、「日本選手権7連覇を達成できたのは、
皆さんの心からの応援があったから。
今後も、チームと街の人が良い関係を保っていけるよう支援する

石山さんは、「チームが勝てば、釜石が活気づき、
それが岩手や東北全体の元気につながるだろう。
側面から継続して支援していく」

「スクラム釜石」は、OBやラグビーファン約20人で発足。
チームの運営資金不足が見込まれるため、
1万人のサポーター会員登録を目標に掲げ、
首都圏の試合会場などで活動を展開。
ラグビー教室など、普及活動にも協力する。

シーウェイブスの高橋善幸ゼネラルマネジャーは、
「新日鉄釜石時代から、継続してチームを応援している人が多いので、
スクラム釜石の活動は心強い」と感謝。

「スクラム釜石」の問い合わせは、
事務局の電子メール(scrumkamaishi@gmail.com)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110505_2

被災地で先進的モデルを 医療、介護を一体化

(2011年5月13日 共同通信社)

厚生労働省の社会保障制度改革案は、
東日本大震災の復興について、医療機関や福祉施設、保育所などが
大きな被害を受けた被災地で、今後の社会保障の先進的モデルとなる
地域社会を構築するよう提唱。

同省案では、医療や介護サービスを円滑に受けられ、
高齢者の単身世帯でも安心して生活できる地域として再生することが
重要だとし、「安心して暮らせる地域社会」のモデルを示すべき。

具体的には、医療や介護などが日常の生活圏で一体的に受けられる
「地域包括ケアシステム」の導入を提言。
地域間で連携が図れるようなモデルケースをつくり、
医療機関のネットワーク構築も提起。

今後の街づくりで、福祉施設などの災害弱者が利用する施設は、
優先して安全な場所につくっていくことが必要だと強調。
自然エネルギーの積極的な導入のほか、
被災者の雇用創出に配慮するよう求めた。
役場などを再建する際、介護サービスなどの拠点を
併設することを提案。

厚労省案では当初、東日本大震災に関する部分に、
「国家財政のさらなる悪化」などの表現があったが、
民主党サイドから待ったがかかり、削除。
「震災に乗じた消費税率の引き上げを連想させるのを懸念した」
(厚労省幹部)とみられる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/13/136453/

国体の「縮小」試算へ 県説明会で市町村は開催に賛否

(岩手日報 5月10日)

県は、2016年の岩手国体を「開催困難」とした方針について、
市町村に対する説明を開始。

開催に多くの人員や多額の経費が掛かる現実を訴える県側に、
自治体からは、「早期復興が第一」と理解を示す声がある一方、
「規模縮小も模索すべきだ」と開催を望む意見も。

県は、縮小開催した場合のシミュレーションも行う方針を明らかにし、
「時間をかけて協議をする」との考え。
県国体推進課の西村豊総括課長らが盛岡、北上、一関、平泉の
4市町を訪問。

開催した場合、前年から100人を超える人員が必要で、
施設整備費と運営費で、約118億円の県負担が見込まれる
自治体別の経費も示し、盛岡、北上両市は、
県内最多の22億円が必要との見通し。

これに対し、受け止めはさまざまだ。
一関市の千葉一夫体育課長は、
「市として沿岸の後方支援に力を入れており、早期復興が第一。
開催するなら、復興後にきちんとした形で開くべきだ」と県方針に賛同。
正式競技のない平泉町の斎藤清寿教育次長も、
「方針に反対する立場にない。県の内情は分かった」と理解。

主会場地となっている北上市の高橋守教育次長らは、
市長の開催への強い意向を伝え、「工夫は必要だろうが、
開催に向けて頑張ってほしい。
知事と首長の意見交換の場も持ってほしい」と要望。

盛岡市の千葉仁一教育長は、
「今回の説明は、正規の規模で開催する場合の例だ。
規模縮小や施設基準の見直しなど、さまざまな方法を模索してほしい」
と再考を求めた。

終了後、西村総括課長は、「さまざまな意見があるのは理解した。
自治体側の要請に沿って、規模を縮小した場合などを想定した
シミュレーションも行いたい」

「莫大な復興予算が必要という事情は理解してほしい。
時間をかけて丁寧に説明する」

県は、17日まで全市町村で方針を説明。
競技団体の意向も聞きながら、対応を検討する。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110510_1

2011年5月16日月曜日

「平泉」世界遺産へ イコモスが「登録」勧告

(岩手日報 5月7日)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、
国際記念物遺跡会議(イコモス・本部パリ)は7日早朝(日本時間)、
世界遺産登録に再挑戦する「平泉の文化遺産」について、
柳之御所遺跡を構成資産から除外することを条件に、
「登録」とするよう勧告。

イコモスの評価は、世界遺産委員会に大きな影響力を持つため、
「平泉」の世界遺産入りはほぼ確実。
正式な登録可否は、6月にパリで開かれる
第35回世界遺産委員会で決まる。

イコモスの勧告は、
▽登録
▽情報照会
▽登録延期
▽不登録―の4段階。

平泉は、「登録」という最も高い評価を受けた。
最終関門となる第35回世界遺産委員会は6月19~29日、
フランスのパリで開催。
委員国21カ国による審議で、登録の可否が決まる。

「平泉の文化遺産」は2001年、世界遺産暫定リストに登載。
08年の前回は、イコモスが「登録延期」を勧告。
逆転登録を目指したが、同年の世界遺産委員会でも評価は覆らなかった。
日本の世界遺産候補で、「登録延期」となったのは平泉が初めて。

これまで登録された日本の世界遺産数は、
14件(文化遺産11件、自然遺産3件)。
平泉が登録されれば、15件目となり、
文化遺産としては北海道・東北で初。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110507_4

釜石SWが本格始動 「ラグビーで元気を」

(岩手日報 5月4日)

社会人ラグビーの釜石シーウェイブスRFCは3日、
釜石市松倉グラウンドで、5日までのミニ合宿に入り、本格始動。

東日本大震災で、大きな被害を受けた同市。
チームは犠牲者こそいなかったが、自宅を流されたり、
職場が被災した選手がいる。
何よりクラブを支えてくれた多くの市民が、
悲しみと絶望のふちに追いやられた。
今こそラグビーで元気を。
「北の鉄人」の決意のシーズンが幕を開けた。

松倉に、ラグビーが戻ってきた。
鮮やかな緑の芝を大男たちが駆ける。
久々の楕円球の感触に、笑みがこぼれる。
駆けつけたサポーターは、大漁旗を力いっぱい振って鼓舞。
初日から午前、午後の2部練習でみっちりと汗を流した。

フッカー小野寺政人選手(27)は、
「(久々の練習で)足がついていかなかった」と苦笑い。
2月に入居したアパートが流されたが、
「もっとつらい境遇の人がたくさんいる。
震災を言い訳にせず、結果を出す

大槌町出身のロック三浦健博選手(34)は、
決して諦めず、最後までボールを追いかける、
そんなプレーで見る人を勇気づけたい」と誓った。

冬場の体力づくりを進めていたチームは、震災で活動を中断。
ボランティアで救援物資の積み降ろしをしたり、
子どもたちとタグラグビーをしたりと、
自分たちにできることをやってきた。

市内は、震災の爪痕が色濃く残る。
高橋善幸ゼネラルマネジャー(46)は、再開すべきか悩んだが、
ラグビーを通じ、釜石に元気と勇気と希望を与えるのが
使命だと思った」と力を込める。

年間約7千万円で運営してきたチームは、
スポンサーの被災で、2千万~3千万円減収する見通し。
前身の新日鉄釜石が、日本選手権7連覇を果たすなど、
ラグビー史にその名を刻む釜石。
感動を与えられてきた全国のファンは放っておかなかった。

義援金が、既に800万円以上寄せられ、
新日鉄釜石OBが首都圏でサポーター拡大に取り組む動きも。
複数の強豪から、「釜石に出向いて試合をしたい」と、
強化面でもありがたい申し出が相次いだ。

サポーターも、今まで以上の熱い声援で支える覚悟だ。
同市の歯科医福成和幸さん(64)は、
「前へ前へと進むプレーで、市民に元気を与えてほしい」

2001年4月のクラブ化から丸10年。
新たな物語のホイッスルは鳴った。
地域と歩んできたラガーマンたちは、被災者の思いを胸に刻み、
悲願のトップリーグ昇格へトライする。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110504_1

***
スポーツは、街や社会を明るくさせ、活気を与えてくれます。
今こそ、地域に支えられてきた恩を返すべき。
スポーツは、多くの人に支えられて存在するもの。
私も、釜石SWのサポーターとして、今シーズンの活躍を期待します!!

税と社会保障 未成年の医療費軽減 中学生以下1割、世代負担を平準化 民主党素案

(2011年5月12日 毎日新聞社)

政府の税と社会保障の一体改革に関し、民主党の
「社会保障と税の抜本改革調査会」(会長・仙谷由人官房副長官)が
まとめた医療・介護制度改革素案の全容。

現役・高齢世代の負担を公平に近づけるため、
中学生以下の医療費の窓口負担割合を1割とするなど、
原則2~3割の未成年の負担軽減を図る。

支払額に上限を設けている高額療養費制度を、
難病患者ら長期療養者向けに拡充する方針を打ち出し、
財源として、一般外来患者の窓口負担に一定額を上乗せする
「受診時定額負担制度」の導入も検討。

民主党は、素案を近く政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」
(議長・菅直人首相)に提案。
同会議が、5月末にまとめる社会保障改革案に反映させる。

素案では、高齢者に偏りがちとされる社会保障給付に関し、
「若者や現役世代に、過度に依存する状態から脱却しなければならない」

医療費の自己負担割合(現行は原則▽0歳~小学校就学前2割
▽小学生~69歳3割▽70~74歳2割▽75歳以上1割)の見直しを明記、
中学生以下を1割、20歳未満は2割へ引き下げる一方、
軽減措置によって1割に抑えている70~74歳は、
本来の2割に戻すと例示。

世帯単位の支払額を抑えるため、
医療・介護や子育て費用の合計額に上限を設ける仕組みも検討。
医療費の窓口負担が上限を超えた場合、
企業の健康保険組合などから上限超過分の払い戻しを受ける
高額療養費制度については、長期療養が必要な患者への払戻額を
増やす案などを検討。

外来の窓口負担に一定額を加算する制度をセットで導入し、財源とする。
上乗せ額は、一律100円程度を想定。

介護保険制度では、40歳未満にも保険料負担を求めることを検討。
市町村の国民健康保険への加入が多い非正規労働者にも、
被用者保険を適用することも盛り込んだ。


◆税と社会保障:民主の医療・介護改革素案(要旨)

1<改革の必要性>

我が国の「皆保険」は、将来にわたって維持しなければならないが、
その土台が揺らぎ始めている。
国民全体が医療や介護の実態を正しく理解し、過剰サービスは享受せず、
若者や現役世代に過度に依存する状態から脱却しなければならない。

2<改革の方向性>

1、精神科医療、予防医療など(自公政権時代の)社会保障国民会議で
検討が不十分と思われる項目について、2025年を見据えた検討を加える。

2、地域に必要な医療・介護従事者の確保と調整のスキームを検討する。

3、包括的な医療・介護連携のための機能分化とネットワーク構築を進める。

4、5(略)

3<具体的内容>

▽比較的高額で長期にわたる療養を必要とする場合、
保険者の機能として負担軽減策を講じる。
この機能を高めるため、受診時定額負担制度の導入についても検討。

▽給付費に占める税の負担割合を高める方策を検討。

▽医療保険の自己負担割合の見直しを検討。
義務教育終了まで1割、20歳未満2割、20~69歳3割、
70~74歳2割、75歳以上1割等。

▽医療・介護の自己負担を含め、社会保障負担の世帯合算に上限を設ける。

▽介護施設における給付の公平化を図るとともに、
介護保険の2号被保険者の年齢を引き下げることを検討。

▽長く健康を保った場合、保険料上のインセンティブを考慮。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/12/136425/

2011年5月15日日曜日

避難所の被災者、不眠症訴え平時の4分の1 多忙・遠慮で潜在か

(2011年5月10日 毎日新聞社)

東日本大震災の避難所で過ごす就労年代の被災者を診察した
医師らが、不眠症患者の数をまとめたところ、
一般の健康診断時の4分の1前後という結果が相次いで出た。

医師らは、極度の緊張を強いられる避難所生活にしては
低すぎる数値で、復旧作業に追われ診察を受ける余裕がないことや
「遠慮」が主因と分析。
医師自らが進んでケアに当たる、「予防的回診」が大切だと訴えている。

独立行政法人「労働者健康福祉機構」(川崎市)が09年4~6月、
健康診断に伴い18~65歳の約2600人を調べた際、
不眠症患者は16%。

同機構の医療チームが3月25日~4月11日、岩手、宮城両県の
15避難所で18~65歳の計97人を診察、
不眠を訴えたのはわずか4人。
国立国際医療研究センターが、3月22日~4月21日、
宮城県東松島市の避難所で診た20~50代の324人も、
不眠症は3%。

同機構が被災者に理由を尋ねると、不眠が続いても、
「受診する時間がない」、「避難所で眠れないのは仕方ない。
医者への相談は気がひける」と話した人も。

労働者健康福祉機構の医療チームが先月27、28両日、
仙台市若林区の避難所で行った回診に同行。

「我慢するつもりだった」。
気丈に振る舞う被災者の姿が目に焼き付いた。
27日午前、約30人が生活する公共施設の会議室。
無職の佐藤征一さん(67)は、「毎夜目が覚める。
元々血圧が高かったが、津波で家を流され、
1カ月以上も降圧剤を飲んでいない」

血圧はやはり高く、今回は薬を処方された。
別の公共施設の会議室で食事していた男性(60)は、
警備の仕事を失い、ハローワークに通う毎日。
ストレス障害と診断、昼寝の励行を勧められた。

小学校に避難中の不眠症の主婦(60)は、
最高血圧が180以上。
「以前は血圧が低く、大丈夫だと思ったんだけど……」

チームの精神科医、小山文彦さん(49)は、
「被災者には、医療者側から手を差し伸べることが必要だと実感」

夏目誠・大阪樟蔭女子大教授(ストレス科学)は、
勤労世代は、周囲の期待などから我慢して
診察を受けていないのではないか。
潜在的な病を掘り起こす必要がある」と指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136340/

タンパク移植し骨再生 名古屋大、ラットで成功

(2011年5月10日 共同通信社)

骨などのもとになる「間葉系幹細胞」の培養液に含まれる
タンパク質を寒天に混ぜ移植することで、
ラットの頭の骨を再生させたとする研究結果を、
名古屋大の上田実教授(顎顔面外科学)らがまとめた。

上田教授によると、骨の再生医療では幹細胞そのものの移植が
必要とされており、それを覆す成果。
上田教授は、「細胞移植で問題となる腫瘍化のリスクが減り、
治療にかかるコストも100分の1以下にできるかもしれない」
日本炎症・再生医学会で発表。

研究グループは、人間の骨髄から採取した間葉系幹細胞の培養液を
凍結乾燥させ、細胞の機能を調節するタンパク質「サイトカイン」を
含む粉末を作製。

粉末を水に溶かして寒天に混ぜ、ラットの頭の骨に開けた
直径5mmの穴に移植。
8週間後には、ラット数十匹すべてで骨が再生し、
中には完全に穴がふさがったものもあった。

移植した部分に全身から間葉系幹細胞が集まり、骨が再生していた。
寒天の代わりに、骨の成分であるコラーゲンを使うと、
より短期間で再生した。
乾燥させた培養液に再生効果があったことから、
「製剤化も容易」(上田教授)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136318/

医療、介護改革で社会保障支出増の抑制策が優先課題

(2011年5月11日 WIC REPORT(厚生政策情報センター))

OECD(経済協力開発機構)は、OECD対日審査報告書2011年版を公表。
OECDは、ヨーロッパ諸国、アメリカをはじめ先進34ヵ国によって
国際経済について協議する機関。
OECD経済開発検討委員会は、加盟国の経済・社会情勢を調査し、
毎年報告書として出版。
今回は、その日本版が公表。

日本の経済状況および政策について、2011年3月7日に委員会によって審査、
同4月15日に承認。
3月11日に発生した東日本大震災を踏まえ、
その影響を考慮した経済見通しなどを展開。

社会保障に関しては、高齢化および医療・介護の質を
向上させるため、国の社会保障費は、今後10年間にわたり、
対GDP比で2%程度増加
すると見込まれること、
社会保障基金の収支が、2009年度には対GDP比で
1.5%程度の赤字に達していることなどの背景から、
「安定的財源の確保など、財政運営戦略の基本ルールを守ることが重要」
「医療、介護分野における改革などを通じた社会保障支出の
増加抑制策が優先事項
となる」と分析。

(1)介護サービスをより厳密に監視し、
病院から適切な介護施設へのシフトを促す、
(2)病院が効率性を高める動機づけのため、診療報酬を疾病ごとに
設定する診断群分類の改革により、支払方式の改善を図る、
(3)後発医薬品を報酬支払の基準とすることで、利用を拡大する、
(4)専門医による不必要な診断を減らすため、ゲート・キーパー制を導入する-
の4点を社会保障支出の増加抑制策として挙げている。

OECD対日審査報告書2011年版(4/21)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201105_2/1534_1_1.pdf

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/11/136400/