2011年5月15日日曜日

避難所の被災者、不眠症訴え平時の4分の1 多忙・遠慮で潜在か

(2011年5月10日 毎日新聞社)

東日本大震災の避難所で過ごす就労年代の被災者を診察した
医師らが、不眠症患者の数をまとめたところ、
一般の健康診断時の4分の1前後という結果が相次いで出た。

医師らは、極度の緊張を強いられる避難所生活にしては
低すぎる数値で、復旧作業に追われ診察を受ける余裕がないことや
「遠慮」が主因と分析。
医師自らが進んでケアに当たる、「予防的回診」が大切だと訴えている。

独立行政法人「労働者健康福祉機構」(川崎市)が09年4~6月、
健康診断に伴い18~65歳の約2600人を調べた際、
不眠症患者は16%。

同機構の医療チームが3月25日~4月11日、岩手、宮城両県の
15避難所で18~65歳の計97人を診察、
不眠を訴えたのはわずか4人。
国立国際医療研究センターが、3月22日~4月21日、
宮城県東松島市の避難所で診た20~50代の324人も、
不眠症は3%。

同機構が被災者に理由を尋ねると、不眠が続いても、
「受診する時間がない」、「避難所で眠れないのは仕方ない。
医者への相談は気がひける」と話した人も。

労働者健康福祉機構の医療チームが先月27、28両日、
仙台市若林区の避難所で行った回診に同行。

「我慢するつもりだった」。
気丈に振る舞う被災者の姿が目に焼き付いた。
27日午前、約30人が生活する公共施設の会議室。
無職の佐藤征一さん(67)は、「毎夜目が覚める。
元々血圧が高かったが、津波で家を流され、
1カ月以上も降圧剤を飲んでいない」

血圧はやはり高く、今回は薬を処方された。
別の公共施設の会議室で食事していた男性(60)は、
警備の仕事を失い、ハローワークに通う毎日。
ストレス障害と診断、昼寝の励行を勧められた。

小学校に避難中の不眠症の主婦(60)は、
最高血圧が180以上。
「以前は血圧が低く、大丈夫だと思ったんだけど……」

チームの精神科医、小山文彦さん(49)は、
「被災者には、医療者側から手を差し伸べることが必要だと実感」

夏目誠・大阪樟蔭女子大教授(ストレス科学)は、
勤労世代は、周囲の期待などから我慢して
診察を受けていないのではないか。
潜在的な病を掘り起こす必要がある」と指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136340/

0 件のコメント: