2011年5月21日土曜日

インタビュー・環境戦略を語る:カシオ計算機・高須正取締役

(毎日 5月2日)

カシオ計算機は、50年にCO2排出量を05年比80%削減などの
目標を掲げ、環境問題に取り組んでいる。
高須正取締役に、環境戦略を聞いた。

--どのような体制で環境問題に取り組んでいるか?

◆91年、副社長を委員長とする環境保全委員会を設置したのが始まり。
その後、役員や各事業所の責任者が参加する「環境会議」や、
環境目標を立案する環境センターを設置するなど、体制を拡充。

現在、環境センターには15人の専従社員がおり、
環境データの収集・分析などを行っている。
社員には、環境方針や事業所ごとの環境目標を記した
名刺サイズの「環境カード」を持たせている。

社員は、CO2削減などに向けた「自分の役割」をそれぞれ書き込むなど、
常に環境に配慮した行動ができるよう、社員一人一人に徹底。

--具体的にはどのような取り組みを進めているか?

◆01年度から、化学物質の使用規制や省エネなど14項目を点数化した
基準を作り、合格した商品を「カシオグリーン商品」と認定する制度を始めた。
社員も積極的に取り組み、08年度には「グリーン商品」の
売上高比率が84%に達した。
09年度から、新たに、消費電力20%削減などさらに厳しい基準に合格した
「グリーン商品」を、「カシオグリーンスター商品」に認定する制度を始めた。

09年に新設したドイツのオフィスでは、地熱エネルギーを
冷暖房に利用するシステムを導入。
中国のグループ工場では、製品出荷の際、トラックではなく鉄道を使う
モーダルシフトに取り組むなど、
世界中のカシオグループでエコに取り組んでいる。

--東日本大震災の影響で夏に予想される電力不足に向け、
企業の節電対策にも注目が集まっている。

◆震災直後から、稼働しているエレベーターや照明の数を
減らすなどの対応を実施。
より詳細な対応策は検討している最中だが、社内報なども使って
社員にも注意喚起し節電を徹底。

--今後、どのような活動を推進するか?

◆50年の長期目標達成のため、20年にCO2削減量を05年比で
30%削減する中期目標を定め、モーダルシフトの拡大や
太陽電池の導入などを検討。
製品を通じて、環境に貢献することもメーカーの大切な使命。

カシオは、創業当時から、小さく、薄く、軽く、省電力につながる
製品をつくることに力を注いできた。
今後も、世の中にないものを創造し、社会に貢献するという
企業理念を実践しながら、社員一丸となって取り組んでいく。
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◇たかす・ただし

慶応大学工学部卒。73年カシオ計算機入社。
執行役員コンシューマ事業部副事業部長、執行役員開発センター長などを
経て、03年から現職。東京都出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/05/02/20110502ddm008020031000c.html

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