2010年7月3日土曜日

政治家養成塾開講へ 奥州で「いわて未来研」設立

(岩手日報 6月27日)

政治家の養成などを掲げ、NPO法人化を目指す
奥州市のいわて未来政策・政経研究会
(いわて未来研、会員193人、46団体)の設立総会が開かれた。
会長に、前市長の相原正明さん(62)を選出、
政治家養成塾開講などの事業計画を決めた。

設立総会には、会員ら約80人が出席。
定款を決め、会長に相原さんを選んだ。
本年度事業計画として、
▽NPO法人化準備、
▽首長や大学教授らの講演会開催、
▽政治家らとの意見交換会開催―などを承認。
政治家養成塾「平成松下村塾(仮称)」を、
来年度に開講することも確認。

塾は塾生を公募し、政治家や首長経験者、大学教授らが指導。
マニフェスト(公約集)の作成手順、後援会の運営や
資金面などの選挙実務も教える。

相原会長は、「市民は政治に対し、『特別で分かりづらい世界だ』と
感じている。
政策や選挙を、より身近なものにするお手伝いがしたい」と抱負。

千葉県銚子市の野平匡邦市長が、
「政策と市民意識」と題し、講演。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100627_11

チェルノブイリ被災地訪問 親善大使のシャラポワさん

(2010年6月25日 共同通信社)

国連開発計画(UNDP)は、親善大使を務める
女子テニスのトッププレーヤー、マリア・シャラポワさん(ロシア)が、
ウィンブルドン選手権後、1986年のチェルノブイリ原発事故で
被害を受けたベラルーシ・ゴメリ州を訪問すると発表。

シャラポワさんの財団とUNDPが共同で手掛ける
青年支援プログラムの視察が目的。
同州内の芸術学校や医療施設を訪れ、シャラポワさんの財団から
奨学金を受けた学生らと交流する。

シャラポワさん一家は、旧ソ連ウクライナ共和国で
チェルノブイリ原発事故が発生した際、近くのゴメリ州に
住んでいたが、直後に脱出。

同州を含む周辺地域は、放射能汚染で多くの農場や居住区が閉鎖、
今でも汚染、健康被害が続いている。

「個人的つながりのある地域の復興に貢献するのが夢だった」
というシャラポワさんは、2007年親善大使に任命、
チェルノブイリ復興支援に、10万ドル(約900万円)を寄付。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/25/122080/

健康格差 日英の現場(6)「避けられる死」防ぐ

(2010年6月25日 読売新聞)

健康格差問題について、日本福祉大教授(社会疫学)の
近藤克則さんに聞いた。

--健康格差とは何か?

所得や教育歴、職業階層などが低いほど、健康状態が悪い
不平等のこと。
国内の高齢者約3万人を調べた調査では、低所得者ほど
不眠やうつが多く、死亡・要介護状態になる人も多い。

--なぜそんな格差が生まれるのか?

一つは貧困。
標準的な生活が営めない人の割合を示す相対的貧困率は15・7%、
経済協力開発機構(OECD)加盟30か国中、日本は4番目に多い。
貧しく、学歴が低いほど、喫煙や偏った食生活など、
健康に悪い生活習慣が増える。
病院に行くのを控える傾向も。

心理的なストレスや対人関係の貧しさの影響も重要。
ストレスは、免疫力を低下させ、ホルモン分泌や自律神経の働きを
狂わせる。
心筋梗塞や脳卒中、がんなどの危険も高まる。
一人暮らしや閉じこもりは貧しいほど多いが、
社会的に孤立していると死亡率が上がる。
人は、社会的な動物。

--何が一番の問題か?

人生のスタートラインから、自分の努力では変えられない
不平等があることが大きな問題。
貧しければ、母体の栄養状態などの影響で、
低体重児の可能性も高まる。
教育の機会も限られ、就職や結婚にも影響する。
所得や老後の年金にも差が出るなど、不利が不利を呼ぶ形で、
死亡率にまで影響が出る。

--低所得者層だけが問題か?

安定した収入がある公務員同士でも、地位が低く、仕事の裁量の
幅が少ない層ほど、死亡率が高いとのイギリスの研究。
貧困層だけの問題ではない。

格差が拡大し、人と人とのつながりが希薄になれば、
社会的なストレスが増え、死亡率を高める。
日本で、社会格差による死亡者増は年間2万3000人。
格差の拡大は、社会全体の健康水準を下げる。
労働力の損失による経済的なマイナスも大きい。

--イギリスでは、雇用や教育など幅広い対策が取られている。

健康格差には、失業や教育、住宅、地域環境など
多くの社会的要因がかかわっている。
もともとの病気へのなりやすさに差があり、
医療政策だけでは不十分。
企業や寄付や有志に支えられた慈善団体、地域住民なども
重要な役割を担っている。

--日本はこれから、どのような対策をとる必要があるか?

健康格差による死は、「避けられる死」。
WHO(世界保健機関)総会でも、健康格差是正が決議。
日本も、〈1〉子どもから高齢期までの生活改善、
〈2〉根本原因である社会経済格差の是正、
〈3〉対策を練るのに必要な実態の把握や研究の推進、
というWHO勧告に従うべき。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/25/122096/

2010年7月2日金曜日

釜石SWの昇格後押し 11年4月、発足10周年で有志

(岩手日報 6月24日)

釜石シーウェイブス(SW)RFCが、
来年4月で創設10周年を迎えるのを機に、
釜石地域の有志は7月から記念事業を展開。

各種企画を通じて応援ムードを盛り上げ、資金面でも力に。
悲願のトップリーグ(TL)昇格を目指すチームを、
地域一丸の“スクラム”で後押し。

地元の事業所、団体の代表者ら約110人でつくる委員会
(中田義仁委員長)が事業を推進。
2001年チーム発足から、丸10年に当たる来年4月25日までを
事業期間とし、SWの活動を広くアピールしながら、
強化費の調達も図る。

具体的には、10周年記念アイテムとして、車などに張れる
マグネットシール、応援にぴったりのマフラータオル、
協力店で使用できる買い物割引クーポン券を販売(いずれも千円)。
収益として見込む計150万円を、SWに寄付する計画。
クーポン券の発行で、単なる資金集めだけでなく、
SW支援を通じて、市民と街がつながる効果も期待。

サポーター会費やスポンサー料で運営している
SWの10年度予算は約8千万円。
今回の150万円も、収入として組み込まれている。

SWは、TL下部のトップイーストリーグ(TE)に位置。
国内最高峰のTLへ昇格する目標は、いまだ果たせていないが、
近年は着実に力をつけ、昨季はTEで12チーム中5位。
今季は、サポーターの期待も一段と大きい。
チームは、春先から精力的に強化試合をこなし、
成熟度を高めている。

中田委員長は、「(TEでの)順位も少しずつ上がってきており、
今季は何としても昇格してほしい。
(記念事業は)ラグビーの街・釜石の本領の見せどころだ」と
熱のこもった取り組みを誓う。

SWの増田久士事務局長は、
「(地理的条件に恵まれない釜石は)1回の強化試合で
約100万円掛かる。
今回の支援は本当にありがたい。
地元の後押しを受け、一緒に盛り上がっていきたい」と感謝。

アイテムの購入方法など、記念事業に関する問い合わせは
SW事務局(0193・22・1173)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100624_10

ツタンカーメン死因に異論 血液疾患とドイツ研究所

(2010年6月24日 共同通信社)

黄金のマスクで知られる約3300年前の古代エジプトの王、
ツタンカーメンの謎に包まれた死因について、
ドイツ研究者らが遺伝性の血液疾患で死亡した
可能性があると指摘、骨折とマラリア感染が重なり、
死亡したとの説をとるエジプト考古最高評議会などの
研究成果に異論を唱えた。

ベルンハルト・ノッホ熱帯医学研究所の研究チームが、
米医師会誌(JAMA)に寄稿、23日に公開。
同チームは、ツタンカーメンの脚の骨を詳しく調べ、
アフリカなどで多く見られる「鎌状赤血球症」を患っていた
可能性を指摘。
さらなる調査の必要性を主張、今後議論を呼ぶことになりそう。

考古最高評議会などは今年2月、19歳前後で死亡したとされる
ツタンカーメンのミイラのDNA鑑定やCTスキャンによる調査で、
脚の骨折やマラリア原虫のDNAなどを発見、
ツタンカーメンの父などを特定したと発表。

同ラジオなどによると、鎌状赤血球症は、赤血球が鎌状に変形、
貧血や血流の悪化、内臓の障害、感染症などにかかりやすくなる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/24/122044/

健康格差 日英の現場(4)職業訓練 若者の心身安定

(2010年6月22日 読売新聞)

学校にも行かず、仕事をしているわけでもない
若年無業者(ニート)が、日本で話題になり始めたのは2004年。
働く意欲はあるのに職に就けない若者は、139万人(09年)、
働く20代では3割が非正規雇用であるなど、
若者の雇用は不安定さを増している。

失業は、経済的な問題にとどまらず、ストレスを増やし、
心身の健康を害する。
1990年代末、ニートという言葉が生まれた場所でもある
イギリスでは、雇用問題も健康格差対策の柱の一つと位置づけ、
いち早く取り組みが進められてきた。

ロンドンのレストラン「フィフティーン」。
有名若手シェフのジェイミー・オリバーさんが2002年、
無職の貧しい若者に、料理人の訓練をするために作った。
薬物依存など困難を抱えた若者を、年15人程度教育し、
社会に送り出す。

サラ・ソーンヒルさん(19)は、09年9月から訓練生となった。
母親と2人暮らし。
専門学校を退学してから自暴自棄になり、
麻薬や酒浸りの不健康な毎日を送っていた。

フィフティーンで働くようになってから、生活は一変。
「朝起きて、特に理由もなく幸せ。
自分が規則正しい生活をしていることも好き」と笑み。

訓練生は、様々な問題を抱えているだけに、
遅刻やサボりなどは日常茶飯事。
気持ちをコントロールするための研修を毎週行い、
毎日全員に1対1のカウンセリングを行う。
サラさんも、毎日「あなたならやり通せる」と励まされて乗り切った。
指導員のトロミー・ドッドさんは、「職業訓練を通じて、
精神面での賢さを身に着けさせるのも重要」

店の09年の売上高は約6億円。
訓練の費用は全額売り上げからまかない、訓練生には
週約1万3500円の手当が支給。
経営は安定し、国外など4店舗に拡大。

フィフティーンのように、社会貢献をビジネスとして成り立たせる
「社会的企業」の数は、支援組織の設立など政府の後押しで、
イギリス国内で6万2000社(09年)にまで増え、
80万人の雇用を生み、市場規模は3・6兆円に達する。

地域によっては、国営医療サービス(NHS)が、
学生やニートを対象とした職業訓練所を運営している例も。

世界保健機関(WHO)は、報告書「健康の社会的決定要因」の中で、
03年、失業の不安だけでも、精神衛生の悪化を招き、
心臓疾患の危険を高めると警告。
各国に対策を求めている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/22/121930/

2010年7月1日木曜日

障害児教育、歩み紹介 県研究会が活動書籍化

(岩手日報 6月22日)

県障がい児教育史研究会(田貝孝会長=前県立花巻養護学校長)
は、「岩手の障がい児教育史~特殊教育から
特別支援教育への発展~」を発刊。

ここ十数年間の活動を中心に紹介。
教育体制の確立や現場の取り組みを詳述した労作。

同研究会は、1996年「岩手の障害児教育史」を発刊。
今回は、その後の歩みを中心に記載。
近代教育における障害児教育についても解説、流れを把握できる。

この十数年間は、本の副題の通り「特殊教育から
特別支援教育への発展」という大きな変革期に当たる。
障害の多様化、重複化、重度化に対応。
障害種別の「特殊教育」から、一人一人の障害の状態・ニーズに
合わせた「特別支援」への移行。

世界の潮流や文科省の施策に呼応し、本県教育界も
体制整備や研究に努めてきた。
同書は、2003年に県教委が発表した
「県特別支援教育推進プラン」を紹介。
「厳しい財政事情の下での困難な事業であったが、
これまでの優れた実践の蓄積を土台として、
着実に具体化されつつある」

各校でも、独自の教育を充実。
当時の盲、聾学校の就学相談・支援機能センター開設、
養護学校の小学校への分教室設置、モデル事業などの動きを報告。
重度・重複障害教育の拡充、情緒障害・発達障害教育への光など
幅広く網羅した。

51年、県特殊教育研究会として発足した県特別支援教育研究会の
歩みも詳しく振り返った。
県内での研究大会、全国大会などを通して共有された
苦闘や希望がつづられている。

編集に当たっては、特別支援学校、小中学校の教師や、
大学、関係機関の約30人が執筆。
豊富な資料が盛り込まれた貴重な一冊。
変革期の中での教育史研究会の意義を、
「『不易と流行』理念を拠り所としながら、道を創造して
いかなければならない」と決意。

編集・刊行委員会の石田豊委員長(富士大教授)は、
「歩みの中には、さまざまな創意工夫がある。
歴史に学んで、新たな道を切り開いてほしい」

A5判。249ページのほか「発刊に寄せて」、「索引」など。
1部1500円で千部発刊。
石田委員長(富士大=電話0198・23・6221、石田研究室)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100622_4

深い眠り導くタンパク質 働き解明、新薬開発に期待

(2010年6月23日 共同通信社)

眠りの深い「ノンレム睡眠」に導く、新たなタンパク質の働きを
解明したと、自然科学研究機構生理学研究所の
山中章弘准教授(神経生理学)らの研究チームが22日、発表。
米国専門誌「SLEEP」の電子版に掲載。

これまでの睡眠薬は、脳の神経活動全体を抑制、
このタンパク質は眠りを促す神経を選んで作用するため、
少量で質の高い眠りを促す睡眠薬の開発につながる可能性がある。

研究チームは、タンパク質「ニューロペプチドB」(NPB)
マウスの頭部に投与した結果、夜行性のマウスが夜になっても
眠り続けることを確認。

その上で、マウスの脳波と筋電図を同時に記録する装置を使い、
NPB投与マウスの睡眠状態を調べると、
脳も体も休んだ状態のノンレム睡眠であることが分かった。

NPBは、研究チームが2002年に人の脳内にあるのを発見、
詳しい機能は未解明。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/23/121957/

健康格差 日英の現場(3)低所得者層に禁煙促す

(2010年6月21日 読売新聞)

低所得者層の住む集合住宅が立ち並ぶ
ロンドン・エレファント&キャッスルの小さなパブ「タンカード」。
平日の夕方、地元の常連客でほぼ満席の店内で、
作業着姿でビールを飲んでいたグループに、
「日本じゃ、まだ店内でたばこが吸えるんだって?」と驚かれた。

がんや心臓病などの原因となるたばこ対策は、健康政策の柱。
イングランドでは2007年7月、スコットランドなどに続き、
飲食店を含む公共の場所を全面禁煙とした。
違反には罰金もある。

労働者階級の憩いの場であるパブの全面禁煙は、
経営者団体らの強い反対にもかかわらず、強力に推し進められた。
これには、喫煙率の高い低所得者層の、
たばこ離れを促す意味合いもあった。

英国の喫煙率は22%(07年)、10年前の28%から低下。
社会経済的な最上層の喫煙率は16%、
最下層では30%と約2倍高い。

喫煙が関係した病気による死亡率は、社会階層の最上層では4%、
最下層では19%だったという研究もあり、
喫煙が健康に与える影響は、貧富によって差があることも明らか。

全面禁煙が施行された当時、英国勤務だった
厚生労働省年金局の武内和久さんは、
「地域ごとの喫煙率と経済指標が並べて報道されるなど、
健康格差対策として国民に理解されたことが推進力となった」

対策として、価格引き上げが効果的とされるのも、
購買力の低い層が買えないようにとの狙い。
英国では、1箱1000円超と10年前より2倍近く引き上げられた。

日本の成人男性の喫煙率は36・8%、先進国の中で極めて高い。
最低所得層の喫煙者の割合は、男性で最高所得層の1・3倍、
女性で2・0倍との研究もあるが、対策は遅れている。

たばこ価格は、今年10月、ようやく1箱400円程度に
引き上げの予定。
厚生労働省は2月、飲食店も含めた公共の場所を
全面禁煙にするよう求める通知を出したが、努力目標にとどまる。
売り上げが減少するのでは、との懸念から反対する声も。

低所得者層の常連客が多いロンドン南東のパブ
「プリンス・オブ・ウェールズ」。
「もっと家族を、もっと子どもを」を合言葉に、
食事メニューを充実させたところ、家族連れが増え、
売り上げは禁煙前の25%増。
店主のアンディ・マーシュさん(44)は、
「パブも、健康的に変わらないと生き残れない」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/22/121929/

2010年6月30日水曜日

五輪招致(4)青森とカーリング 好循環

(読売 6月20日)

バンクーバー五輪を大いに盛り上げた、
カーリング女子の日本代表は「チーム青森」。
青森を地盤とするチーム。

メンバーに、青森県出身者は一人もいない。
もともと盛んだったわけでもない。
そのカーリングが、「リンゴ、ねぶた祭りに次いで、
青森をアピールするものになっている」(青森商工会議所)。

きっかけは、2003年の冬季アジア大会。
大会のため、専用競技場の青森市スポーツ会館ができた。
青森市は、北海道を拠点としていた02年のソルトレーク五輪代表の
小野寺歩らを嘱託の指導員として招き、
06年トリノ五輪のチームが結成。

スポーツの総合大会をきっかけに、選手の受け皿ができ、
競技が根づいた。

地元のバックアップ体制も見逃せない。
トリノ五輪での活躍後、市内の企業がカーリングにまつわる
お菓子やネクタイなどを売り出し、街おこしに一役買った。

バンクーバーでスキップ(主将)を務めた目黒萌絵が所属する
みちのく銀行では、チーム青森応援定期預金を企画。
昨年9月から7か月間、728億円以上の預金を集め、
約365万円をチームの強化費として寄付。

カーリング関連商品の売り上げの一部が、
チームに還元される好循環が生まれている。
バンクーバー五輪の代表チーム5人のうち、日体大に通う
本橋麻里を除き、地元の企業や市役所に就職。

03年アジア大会では当初、カーリングの参加国・地域が
日本、韓国、台湾にとどまり、正式競技入りが危ぶまれていた。
青森協会のメンバーは1999年から、中国の参加を促すために
ハルビンを訪れ、競技の普及活動を行った。

3度も中国を訪れた葛西敏美は、
「ゼロからのスタートだった」と振り返るが、訪れる度に
立派な施設ができるなど、急激な変化も目の当たりにした。

中国の女子は、09年世界選手権で初優勝。
バンクーバー五輪では3位になり、アジア勢初となるメダルを
獲得するまでに急成長を見せた。
8位に終わった日本からみれば、敵に塩を送った感もあるが、
「チーム青森もあれだけやってくれたし、
アジア勢が五輪でメダル争いできる競技になったことを考えれば、
やったかいはあった」と葛西に悔いはない。

「マイナーな大会に金を使って、という批判もあった」と葛西。
五輪などの総合スポーツ大会は、地元を活性化させ、
その波及効果は国境を超える。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100620_01.htm

健康格差 日英の現場(2)貧しい妊婦 「仲間」が支援

(2010年6月18日 読売新聞)

貧しい黒人や移民の多いロンドン最貧困地区ハックニー。
ホームレスの避難所に、一人で身を寄せていた
17歳の黒人の少女は、日々膨らんでいくおなかから
目をそらすかのように、夜遊びをしてはマリフアナを吸う
荒れた生活を続けていた。

未婚。妊娠6か月なのに、1度も診察を受けていない。
避難所から連絡を受けた支援グループ「バンプバディ(妊婦仲間)」の
ロレイン・レッキーさん(25)が駆けつけ、声をかけた。

「私も10代で妊娠したシングルマザーなのよ」
肌の色も同じレッキーさんに対し、少女はすぐにうち解けた。
急いで医師の予約を取り、一緒に健診に通った。
子育ての楽しさを伝え、妊娠中の薬物や喫煙は体に悪いとアドバイス。
少女は無事出産。
自活しようと、勉強も始めた。

ハックニーは、10代の妊娠が多く、妊娠中の喫煙率も高い。
妊娠12週までの未受診妊婦は56%、乳児死亡率は平均の1・3倍、
貧しいアフリカ系黒人に限れば3倍に。

「バンプバディ」は名前の通り、貧しい妊婦に対し、
同じような境遇にある女性が支援の手を差し伸べる。
地域振興を目的とする団体が、2007年設立。
これまで76人の仲間が、360人の妊婦を支援。
1年間の活動で、12週未満の未受診率は半分に減った。
路上でも、妊婦を見つけては声をかけ、支援を受けた妊婦が出産後、
仲間に加わる例も多い。

経済的に貧しい人の健診の受診率が低いのは、
健康格差を生む大きな要因。

日本でも、大阪府が分娩を扱う産婦人科160施設を調べた調査で、
未受診妊婦の駆け込み出産152件(2009年)のうち、
33%が経済的な困難を未受診の理由と答え、
21%は妊婦健診があることさえ知らなかった。

国は、妊婦健診の費用を助成する対策をとっているが、
自治体によって自己負担額が異なるうえ、
肝心の当事者に伝わっていない。
府健康づくり課は、「社会的に孤立している人に、
制度を周知することが大きな課題だが、どうすればいいのか

ロンドン・ハックニー地区の対策は、
同じ境遇の仲間が街に出て声をかけることによって、
効果が上がるようになった。
レッキーさんは、「出産の時に付き添うバースバディ(出産仲間)も
生まれ、地域の支援の輪が広がっている。
仲間作りや就業訓練になっていて、私たちのためにもなっている

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/22/121928/

肉食少ないと骨折危険3倍 東北大、高齢者調査で

(2010年6月22日 共同通信社)

食生活が野菜などに偏って、肉類をあまり食べない高齢者が、
寝たきりにつながる転倒骨折をする危険は、
そうでない人に比べて3倍近く高くなるとの調査結果を、
東北大の研究チームが21日までにまとめた。

調査は2002~06年、仙台市に住む70歳以上の男女877人を
対象に実施。
「野菜食」、「肉食」などの食事パターンを把握した上で、
骨折の有無などを継続調査。

調査に当たった岩崎鋼准教授(漢方内科)によると、
4年間に交通事故などを除く転倒骨折をしたのは、877人中28人。
食生活と骨折の関連性を解析したところ、
野菜を毎日のように頻繁に食べるが、肉類はほとんど食べない
「野菜食」の人の骨折リスクは、そうでない人に比べ2・7倍高かった。

2日に1回程度は肉類を食べる「肉食」に当てはまる人の
骨折リスクは、肉をあまり食べない人よりも2・8倍低かった。

欧米では、肉食中心の食生活は骨密度を下げるとする調査が多い、
岩崎准教授は「意外な結論だが、欧米に比べて
日本の高齢者は肉類の摂取量が少ないためかもしれない。
野菜に偏りがちな人は、意識的に肉類を
食べるようにしたほうが望ましい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/22/121904/

2010年6月29日火曜日

慶大など漢方治療の効果 分析へ

(2010年6月21日 読売新聞)

医師の経験に頼る部分が大きい漢方治療で、
コンピューターを使い、診療の参考になる客観的なデータを
蓄えることを目指す研究を、6大学病院などで作る
厚生労働省研究班が今年度から始めた。

今後3年で、受診する患者のデータをコンピューターで分析し、
漢方薬がどんな人によく効くのかを探り出す。
将来は、患者の症状を入力すると、治療に適した漢方薬を
教えてくれるソフトウエアの開発も目指している。

研究は、慶応大、富山大、東北大、千葉大、東京女子医大、
自治医大のほか、亀田総合病院(千葉県)など4病院が参加。
期間は、2012年度までの3か年。

データの収集には、患者がパソコン画面に触れて入力する
漢方問診システムを使用。質問数は約150。
冷え、痛み、ほてり、むくみの程度や、「イライラ」、「憂うつ」の
精神状態、「のどのつかえ」、「胸焼け」など体の異状を尋ねる。

収集されたデータを、東大医科学研究所教授の宮野悟さん、
東大工学部特任准教授の美馬秀樹さんら、
情報技術の専門家が分析。
患者の年齢、性別、体質、症状と、
漢方による改善度との関係を調べる。

慶大では、08年度から2年間、漢方問診システムで
約5000件のデータを収集。
漢方治療で、患者が多い「冷え」について分析したところ、
「むくみがある」、「疲れやすい」などの症状もある
「冷え」の患者は漢方薬で治りやすいが、にきびがあったり、
汗をかきやすかったりする患者では、
漢方では改善しにくいことが新たに分かった。

同大病院漢方医学センター長の渡辺賢治さんは、
「延べ3万人のデータ収集が目標。
大量のデータ分析によって、漢方薬ごとの効果予測も
可能になるかもしれない」

伝統的な漢方治療では、医師が患者の脈、舌、腹部を診て、
体力の程度や血流の様子に応じ、漢方薬を処方している。
臨床試験で治療の効果を比較する西洋医学に比べ、
科学的な根拠が弱いと指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/21/121863/

五輪招致(3)開催理念 市民へ浸透必要

(読売 6月19日)

2018年冬季五輪開催都市は、来年7月のIOC総会で決まる。
立候補を表明しているのは、平昌(ピョンチャン)(韓国)、
アヌシー(仏)、ミュンヘン(独)の3都市。
注目を集めているのが、ミュンヘンだ。

1972年に夏季五輪を開催しているミュンヘンの最大の特色は、
「同じ都市で夏冬開催」。
アピールのため、五輪期間中にバンクーバーを訪れた
フィギュアスケートの元女王カタリナ・ビットは、
「夏冬に限定せず、ミュンヘンは若者をスポーツへいざなう力がある」

過去に同じ都市が夏冬五輪を開催した例はなく、
アピールポイントにはなるが、それだけでは決め手にならない。

大事なのは、なぜ五輪を開催するかという「理念」だ。

「五輪招致で最も説得が難しいのは、政府でもIOCでも
国内の五輪委員会でもない。一般の人々だ。
なぜ五輪を招致するのか、五輪開催で何がもたらされるのか、
厳しく追及してくる」

2012年ロンドン五輪組織委会長を務めるセバスチャン・コー。
1980年モスクワ五輪ボイコットを決めた英国政府に反対し、
自主参加の道を開いた英国五輪委。
その際、コーは世論の支援を盛り上げる原動力となり、
自らも同五輪陸上1500mで金メダルを獲得。

コーは、自らの経験を踏まえ、五輪が若者の生き方を
いかに前向きに触発するか、貴重な体験を生むかを訴えて、
人々の心を動かし、2005年のIOC総会で、
史上最多となる3度目の五輪開催を勝ち取った。

1959年5月、東京が64年夏季五輪開催を勝ち取った
IOC総会における、平沢和重の演説は語り草だ。
「西洋の人は、私たちの国を極東(ファー・イースト)と呼ぶが、
ジェット機が発達したいま、距離はファー(遠い)ではない。
西洋で咲いた花を、東洋でも咲かせたい

元外交官で当時NHK解説委員の平沢は、
堪能な英語を駆使し出席者の心をとらえた。
1回目の投票で、東京は過半数を獲得。
アジア初の五輪開催が決まった。

昨年、五輪開催を勝ち取ったリオデジャネイロの決め手も、
「南米初」だった。
今後、日本が五輪招致を目指すなら、
すでに3度の開催経験がある現在、「初開催」のマジックは使えない。

なぜ五輪を呼ぶのか――。

議論を深め、その過程で日本独自のスポーツ観や、
スポーツと社会の新たな関係を国内外に発信できるとすれば、
それこそが「スポーツ立国」につながる。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100619_01.htm

日本発、世界経由の伝統食 健康志向で逆輸入 「日本の実力」「食」マクロビオティック

(2010年6月22日 共同通信社)

岐阜県各務原市の高家寺住職、北川宥智さん(46)は、
知人らを招いて食事会を開いた。
調理するのは、西邨マユミさん(53)。
主食は玄米。

「命あるものを丸ごと食べてこそ、調和がとれる」という考えから、
ニンジン、ゴボウは皮付きで千切りに。
野菜の煮あえに砂糖は使わない。
その土地の素材を使う-。

西邨さんは、「マクロビオティック(穀物菜食)」の料理人。
日本の伝統食から生まれたこの食思想が今、
海外での評価を受けて日本に逆輸入され、
"マクロビ"の名で普及しつつある。

西邨さんは、1982年に渡米。
米国で長くマクロビオティックの普及に当たっている
久司道夫氏(84)のもとで学び、2001年から7年間、
歌手マドンナさんのプライベートシェフを務めた。

ヒジキをサラダにするなど、西洋人にも食べやすくする工夫を重ねた。
08年帰国後、日本でも多くの人に食べ続けてもらうことが大事と、
「30回はかむ」、「化学調味料は使わない」などを原則に、
緩やかな「プチマクロ」を提唱。

「マクロビオティックはおいしくない、という先入観があるから、
まずは食べてもらうのが大事」
西邨さんが炊いた玄米は、「ぼそぼそ」といった
イメージを覆す軟らかさ。
ひじきレンコンや野菜の煮あえなど、砂糖なしでもおいしい。

高家寺の北川住職は、「現代の精進料理は、肉や魚を使わない
というだけで、伝統的な日本の食事とは懸け離れ、
根源的なものを失ってしまった

「西邨さんの料理は、四季に合わせた伝統食だが、
新しいものを取り入れ続けている」

マクロビオティックは、明治時代に唱えられた食養生法を、
桜沢如一(1893~1966)が継承・発展、
フランス語の「長寿法」から命名。
日本ではあまり普及せず、桜沢が50年ごろから弟子の久司らを
欧米などに派遣し、海外に広まっていった。

米国では、愛好者が豆腐などの食材を作り始め、
TOFU、MISOやDAIKONなどの和名がそのまま通じる。
「日本食ブームのときも、輸入品でなく、しょうゆやみそが手に入った。
それもあって、ここ10年くらいでマクロビが一気に広まった」

マドンナさんのほか、ハリウッドスターら海外のセレブの間でも人気に。
世界各地の料理をアレンジしたマクロビメニューが、
新しい料理として日本に再上陸し、雑誌の特集やレシピ本も出版、
20~30代の女性を中心に愛好者を増やしている。

「マクロビオティックが昔ながらの日本食と伝えると、
みな驚きます」と西邨さん。

東京都の主婦田中里子さん(30)は、マクロビの料理教室
「クシマクロビオティック アカデミィ」で学んだ。
結婚前、ほとんど料理をしなかったが、
本屋で目にしたレシピ本にひかれた。
スペイン人講師のパトリシオ・ガルシア・デ・パレデスさん(39)
から教わる、きんぴらなど日本食の作り方-。

「日本人が当たり前に食べているみそやしょうゆを、
客観的に評価されたと感じた」と田中さん。

当たり前すぎて、自分たちの文化のよさに気付かないのかも
とパレデスさん。
母親が作る日本食で育ち、約10年前に来日したパレデスさんは、
日本人の食生活が欧米化し、伝統食が姿を消しつつあることに驚いた。

日本の伝統食は、主食と副食の割合がすばらしい。
野菜を使った副菜や、海藻や発酵食品など体にいい
食材の種類も豊富。
現代の日本人が忘れてしまったものを、
スペイン人の私が教えているのが、おもしろい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/22/121922/

2010年6月28日月曜日

目の健康講座 「白内障とは?」テーマに 早期の発見・治療を

(2010年6月20日 毎日新聞社)

「白内障とは?」をテーマに掲げた「目の健康講座」
(社団法人大阪府眼科医会主催)。
近畿大学医学部の下村嘉一教授が、白内障の原因、症状、
治療の最新情報について、分かりやすく講演。

◇人生の光、失わぬよう--服部吉幸・大阪府眼科医会会長

日本人の平均寿命は、男性が79歳で世界3位、女性が86歳で同1位。
長寿の背景には、誰でもいつでもどこででも、
良質の医療が受けられる「国民皆保険制度」の存在
医学・医療の進歩による三大死因疾患(がん、心疾患、脳血管疾患)
の克服、マス・メディアやインターネットの普及で病気に対する知識が
豊富になり、健康に対する意識が高まっていること。

長寿化社会とはいえ、「光」を失っては楽しい人生にはならない。
目の病気では、早期発見、早期治療が大切。
本講座で大いに学んで、目の健康の保持・増進に役立てほしい。

◇点眼・内服薬や手術で対応--下村嘉一・近畿大学教授

白内障は、昔から「そこひ」、「しろそこひ」と呼ばれてきた
目の代表的な病気。

目の仕組みの復習から。
外部に面した角膜(黒目)から光が入り、水晶体(レンズ)と硝子体を
通って、右側の網膜(フィルム)に達する。
網膜の最深部には視神経が集中し、ここから脳に視覚が伝わって
初めて「モノが見え」る。

白内障は、水晶体が主に加齢に伴って混濁(白濁)し、
視力が低下していく病気、「加齢性白内障」が一般的。

白内障のリスク要因では年齢のほか、高血圧や高脂血症、
糖尿病などの「生活習慣病」。
ステロイドやトランキライザーなど、薬剤に起因する白内障も。
アトピー性の白内障も、若年層で増えている。

50代以上で、加齢以外に原因が見当たらない場合、
「加齢性白内障」と診断、大部分の白内障はこれに相当。

白内障は、3段階で進行。
「初発(未熟)」、「成熟」、「過熟」の順。
症状は、「モノがかすんで見える」、「日光が異様にまぶしい」、
「昼見えにくく、夜見やすい」、「モノが二重三重に見える」など。
「核白内障」は、水晶体の核が混濁するもので、
水晶体が分厚くなって「凸レンズ化」し、近視化することで
一時的に手元が見えやすくなることも。
「成熟」、「過熟」と進むにつれ、
「かすみ」などの症状が強くなっていく。

治療はまず、点眼・内服薬療法で症状の進行を遅らせ、
症状が生活に支障をきたすほどになった時以降、
外科手術を検討・実施。

白内障の手術の歴史をみると、罹患した水晶体を
そっくり除去する嚢内法、
80年代半ば以降、水晶体のうち病因となる「核と皮質」を
除去する嚢外法、
「超音波乳化吸引術」で、水晶体の「核と皮質」を除去して
眼内レンズを入れる処置--となり、
今はこの超音波乳化吸引術が主流。

手順は、(1)点眼麻酔などによる局所麻酔、
(2)水晶体の袋(嚢)に円形の「窓」を開ける(前嚢切開)、
(3)水晶体の濁りを除去する(超音波乳化吸引術)、
(4)水晶体の嚢内に、開くと直径6mmの折りたたみ式の
眼内レンズを装入、
(5)眼内の洗浄--。
最近は、日帰り手術の例も増えている。

眼内レンズの材質にはアクリルソフトと、コンタクトレンズと
同じ「PMMA」の2種類。
現在は単焦点レンズが一般的、遠近両用の多焦点レンズも。
多焦点レンズは、まだ医療保険適用外、
装着するには自己負担で70万円ほどの費用。

手術をする時期は、通常は「生活・仕事に支障が出始めた時」、
「昼間、外がまぶしくて見づらい」が目安、
「視力の面で運転免許の取得・更新に支障がある」という
「節目」が目安となるケースも。

白内障の手術は、重症の心臓病や糖尿病、認知症などの
異常さえなければ、年齢的な上限はない。
私も、100歳を超える方の手術を2例実施。

白内障の手術後、眼内レンズを入れた方の2~3割の比率で、
水晶体の後嚢に濁りが発生し、再通院されるケース。
「後発白内障」と呼ばれ、これは数分間のレーザー治療で
簡単に治すことができる。
……………………………………………………
◆質疑応答

下村教授と、大阪府眼科医会の森下清文理事(司会)、
森山穂積理事、宮浦徹理事の計4人が回答。

◇78歳女性

2年前、白内障の手術を受け、右の視力が最近、落ちてきた。
眼科医の先生から、「後発白内障」だと診断。

◇答え

講演にもあったように、後発白内障の発生率は2~3割。
水晶体の上皮細胞の残りが増殖、YAGレーザーと呼ばれる装置で
濁った膜を破砕すれば、治せる。

◇75歳女性

両目とも視力0・3となり、裁縫ができなくなった。
白内障手術を勧められたが、入院、日帰りのどちらがいいか。

◇答え

白内障手術は、以前は数日間の入院が普通。
手術機器や手術手技の進歩、眼内レンズの改良で
切開する傷口が小さくなるなど、負担は軽減。
心臓病など病気がなく、病院に近い所に住んでいる人などは、
日帰り手術でも大丈夫。
最終的には、主治医と相談して決められるのがいい。

◇50歳男性

緑内障の治療で、主治医から「夏だから、眼圧が低く出る」と。
季節と眼圧に関係はある?

◇答え

眼圧とは「目の硬さ」。
1~5mmHgの差で、寒い冬の方が高めに出る傾向。
1日の間でも、時間帯で眼圧には差が出る。

◇60歳女性

「正常眼圧緑内障」の治療を受けている。
食事などで気をつけることは?

◇答え

注意はないが、禁煙は大切な留意点。

◇56歳男性

閉塞隅角緑内障の治療中。胃カメラによる検査の際、
「緑内障はないか」と聞かれた。
緑内障だと、制限される薬があるということか?

◇答え

閉塞隅角緑内障の際、瞳を大きくする作用のある薬だと
緑内障発作を生じることがある。このため注意。

◇55歳男性

視野の中に何か黒いものがちらつき、眼科医に相談。
「飛蚊症」で、心配はないといわれたが……。

◇答え

飛蚊症は、硝子体の中の濁りが原因で、
「ひも」、「星」、「点」、「輪」など、いろいろな見え方をする。
多くが加齢によって起こるが、中には網膜に孔が開いたり、
網膜剥離が生じたりと、怖いケースも。
飛蚊症を自覚した時、眼科専門医の診察を受けてほしい。

◇53歳男性

直線がゆがんで見え、視力も0・3まで低下。
「加齢黄斑変性」と診断、光線力学療法で0・7まで改善。

◇答え

加齢黄斑変性は、網膜の下に位置する脈絡膜から
新生血管が侵入、出血を繰り返す病気。
見ようとする中心がゆがんで見えることで、気付くケースが多い。
光線力学療法は、新生血管に選択的に取り込まれる物質を
静脈に注入し、弱いレーザーを当てるもので、
網膜を傷つけず、新生血管をふさぐことができる。
再発もあり、現在は新しい治療法である抗新生血管抑制薬
などとの併用療法で、治療効果を上げている。

◇多数

ドライアイについて教えて。

◇答え

加齢に伴って涙の分泌が減り、そのため目が乾くという症状で、
最近は加齢以外にパソコン、テレビ、ゲームなどに集中し過ぎて
「瞬き」が少なくなり、乾いて角膜や結膜に障害が起きる。
「瞬きなし」で、10秒間我慢できるかどうかが目安。
我慢できなければ、ドライアイを疑っていい。
ドライアイの治療では、眼科医が処方できる、いい目薬がある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/21/121831/

第2部 五輪招致(2)地元開催で強化も充実

(読売 6月16日)

フィギュアスケート女子の浅田真央(中京大)らの活躍で
盛り上がりを見せたバンクーバー五輪
地元カナダの熱狂ぶりは、日本とは比べものにならない。

冬季五輪の開催国として、史上最多となる14個の金メダルを獲得。
最終日、国技とも言えるアイスホッケー男子の決勝で、
宿敵・米国を破ると、興奮は最高潮に。

それまでカナダは、勝負弱かった。
1976年のモントリオール夏季大会、88年のカルガリー冬季大会、
2度の五輪を開催したが、地元大会で金メダルはゼロ。

“3度目の正直”を目指し、「Own the Podium(表彰台を独占せよ)」
という計画を策定。

大会までの5年間、ウインタースポーツだけに
総額約1億1800万カナダドル(約100億円)を投じ、
最高の結果を残した。

2008年北京五輪では、12年五輪のロンドン招致に成功した英国が、
世界第4位となる19個の金メダルを獲得。
4年前のアテネ五輪の9個(世界10位)から躍進。

わずかの差で12年五輪のパリ招致を逃したフランスは、
アテネの11個から、北京の7個と振るわなかった。

英国は、ロンドン五輪に向け、年間約120億円の強化費を計上。
お家芸の自転車トラック種目で、七つの金メダルを獲得、
高温多湿の北京と同じ気候を再現する大がかりな練習施設まで作り、
選手を慣れさせる入念な準備が実を結んだ。

五輪招致が、どれだけ競技力の向上を後押しするか。
その力をまざまざと示した。

日本の強化費は、国からJOCへの補助金に限ると、
年間約26億円、世界トップの国々と比べ、4分の1~5分の1。

JOCは、長期の選手強化計画「ゴールドプラン」を作成、
2016年五輪の金メダル獲得数で世界3位という目標を掲げた。
北京五輪での世界8位から大幅にアップする数値の裏には、
16年五輪を東京で開催するという目算。

招致の失敗によって、多額の強化費は期待できなくなったが、
JOCは金メダル獲得数世界3位の目標を変えてはいない。

2020年五輪招致は、広島市が名乗りを上げているほか、
東京に再挑戦を求める動きも。

JOC副会長の福田富昭は、「これからのスポーツのあり方を
考えるためにも、五輪を国内で開くことは、そのきっかけになる」
強化サイドから、五輪を求める声は切実だ。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100616_01.htm

2010年6月27日日曜日

五輪招致(1)僕は五輪に育てられた スケルトン・越

(読売 6月15日)

だれにでも、思い出の五輪がある――。

新幹線や高速道路が整備され、国民生活が豊かになった以上に、
五輪は多くの人々の心に喜びや希望を与えてきた。
五輪を開催すること、そして五輪招致に力を注ぐことは、
日本のスポーツ界にどんな貢献をしてきたのだろうか?

「スパイラルがなかったら、僕は違った人生だっただろうなあ……」
長野市営ボブスレー・リュージュパーク、通称スパイラル。
新緑に包まれた施設を見上げながら、
スケルトン競技の第一人者だった越和宏は目を細めた。

1998年長野五輪に向け、総工費約100億円が投じられ、
大会の2年前に完成。
現在、国際競技で使用が認められているアジア唯一のソリ会場。

2002年ソルトレーク五輪から3大会連続出場を誇る越だが、
最も興奮した“五輪”は、8位入賞したソルトレークでも、
最後の滑降となったバンクーバーでもない。
スケルトンが正式競技ではなかった長野五輪で、
ボブスレー競技の前走として、このスパイラルを滑ったこと。

「人、人、人。観衆が周囲をぎっしり埋めていて、滑走者と一緒に、
大歓声が上から下へとウエーブしていった」

施設ができるまで、日本のソリ競技、特に五輪から外れていた
スケルトンはお寒い状況。

1972年札幌五輪で使われた手稲山の会場は、
施設維持の困難さからコースが短縮。
練習したくても、国内では難しい。
ビデオや写真で滑るシーンをイメージし、
費用を工面して海外遠征し、年に数本滑るのが精いっぱい。

スパイラルが完成する前の競技人口は「4、5人」
うつぶせになって滑り降りるスタイルを見て、
「リュージュの選手が転倒したまま滑っている」と勘違いした観客も。

スパイラルが誕生し、ソリ競技全体の知名度が広がり、
スケルトンの競技人口も増えていく。

長野五輪直前の97年に開催された第1回全日本選手権の
出場者は11人、1年後の第2回は30人。
草レースも行われ、全日本に女子の部も設けられた。

99年、スケルトンの五輪復帰が正式決定。
スパイラルで開かれた国内初のワールドカップ(W杯)では、
越が初優勝を果たす。
ソリ競技で、日本人初の快挙。

表彰台の真ん中で笑顔をみせる越は、
「ゼロからここまで来られた」

今、スパイラルを巡る状況は厳しい。
人工冷却装置などを完備した施設の維持管理に、年間2億円近く。
使用料収入は、1000万円に達しない。
存続問題も何度か浮上。

2007年、JOCのナショナルトレーニングセンター(NTC)に指定、
運営費の半分が国から補助。
危ぶまれていたバンクーバー五輪後も、継続が決まった。

越は力を込める。
「つぶすのは簡単。継続させるのは難しい。
でも、それが、五輪を開いた国の責任でしょう」

ユーゴ紛争で荒廃した1984年サラエボ五輪の
ソリ会場の姿が目に浮かぶ。
行政に求めるだけでなく、選手や現場が動かなければ
ならないことは承知している。
「ここは春になると、たくさんの菜の花が咲いて、きれいなんです。
夏のイベントも考えたい」

スパイラル完成から14年。
ソリ競技の体験会に来ていた地元の小学生が、
五輪代表になるまでになった。
マイナーといわれようと、日本のソリ競技の灯を守り続けてくれた
施設に感謝を込めて――。
競技の第一線を退いた45歳は、普及という新たな使命に挑む。

◆陸上、谷口浩美 「国立」は聖地

1964年の東京五輪。
国家規模の大イベントは、首都のスポーツ環境を一変。
国立競技場、代々木体育館、日本武道館――。

国立競技場は、50年以上にわたり、大舞台として
名場面を見守り、選手を育ててきた。

国立競技場で44年間芝の管理を担当し、今春退職した
鈴木憲美は、81年のサッカー第1回トヨタカップで来日した
ノッティンガム・フォレスト(イングランド)の
ブライアン・クラフ監督の一言が忘れられない。

前日練習を終えた監督は、わざわざ鈴木を呼び、こう聞いた。
「おい、あすのゲームはどこでやるんだ」

欧州では、冬でも目に鮮やかな緑色の芝で試合が行われる。
当時、国内では、グラウンドの芝は冬は枯れるのが当たり前。
白い枯れ芝、風が吹くと砂が舞う環境で、
クラブ世界一を決めなければならない。
毒舌家で知られる指揮官が、鈴木に皮肉を言った。

鈴木は、この一言に発奮。
試行錯誤を重ねた末、91年に二毛作を導入、
冬でも青々とした芝を実現させた。
以後、この方式が全国に広がっていく。

サッカーの競技力向上に、状態のいい芝は欠かせない。
「オレもちょっとは、日本サッカーの進歩に貢献したと思うよ」
働き始めた当時、サッカーに全く興味がなかった鈴木は、
岡田ジャパンの応援ツアーで南アフリカに向かう。

91年、猛暑の世界陸上男子マラソンで、最初に国立競技場に
帰ってきた谷口浩美
「僕ら陸上選手にとって、国立は“聖地”。
高校時代、国立で走ることを目標に頑張った」

レース当日の朝5時。
世界陸上に向けて改装されたスタンドを見上げた谷口は、
「きれいになったな」と思った。
マラソン後に行われた閉会式では、谷口の優勝をたたえ、
場内に何度もウエーブが起こった。

「国立競技場のような目標をもたない、今の選手は気の毒」
現役時代の走りと同様、淡々と、だが、確かな口調で言い切った。

◆2016年東京五輪招致委事務総長を務めた 河野一郎氏

――五輪の招致活動は、スポーツと国のあり方に、
どんな形でかかわれるか?

「2016年五輪招致を通じて感じたのは、今、国の方向性を
議論する機会がなかなかないこと。
五輪招致を論じることで、スポーツはどんな働きをしているのか、
招致がどう役立つのかなど、議論のきっかけになる

――具体的には?

「五輪招致で必ず出てくるのが、『国威発揚』は必要ないと反対する人。
もうそういう時代じゃない。
考えたのは、国のプレステージ、品格を上げること。
バンクーバー五輪は、複数の言語、人種を抱えるカナダ国民が、
自分の立ち位置を確かめ、国にプライドを持つことに役立った」

――そういう議論が足りなかった?

「競技力向上など、スポーツ界だけの話や実利面の話だけだと、
議論はずれてくる。
日本は『品』を持ち、『格』を上げていくこと。
こうあるべきという柱があって、その先に競技力向上など、
実利をみるならば、生きる」

――教育に及ぼす効果も大きい。

子供たちが一番正直。
(選手を見て)ああなりたいなと思って球をけったり、泳ぎ始めたりする。
競技スポーツが、国民スポーツを引っ張る意識を持たないと」

――五輪が日本を変えるきっかけになるか?

「なりますよ。
五輪くらい、大きなきっかけになりうるムーブメントはない。
五輪以外に、年代や立場を超えて、
一体感がないと達成できないものはない」

◆日本の過去の五輪招致

日本は、戦前戦後を通じて五輪に10回立候補、4回、招致に成功。
1940年、東京と札幌の夏冬開催が決まりながら戦争により返上、
五輪自体も行われなかった。
64年東京、72年札幌、98年長野と夏季1回、冬季2回開催。
東京、札幌は、ともに2度目の挑戦で招致を勝ち取った。

札幌は、84年冬季大会にも立候補、サラエボに敗れている。
88年夏季大会は、名古屋がソウルに、2008年夏季大会は
大阪が北京に、16年夏季大会は東京がリオデジャネイロに敗れた。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100615_01.htm

足踏みで「イヌ、ネコ...」 高齢者の転倒防止運動考案

(2010年6月17日 共同通信社)

足踏みしながら「イヌ、ネコ、トラ...」
京都大の青山朋樹准教授(保健学)らが、
高齢者のための新しい運動を考案。

脳と体を同時に刺激するのが特徴で、
「転倒防止の効果が期待できる」

研究チームは、高齢者の転倒原因を調査。
転びやすい人は、歩きながら電話をするなど、
二つのことを同時に行う能力が低下していることを確認、
能力を向上させる2種類の運動を考案。

一つは、いすに座り素早く足踏みしながら、
「動物の名前」、「『か』で始まる」など、与えられた条件に合う
言葉を思い付くまま声に出して列挙。

もう一つは、立った状態で指示に従い、前後左右に一歩移動。
指示と逆方向に移動したり、「1は前、2は後ろ」とルールを決め、
数字を聞いて方向を判断したりすることで、難易度を高める。

いずれも最初は短時間行い、徐々に長くしていく。
高齢者30人に、これらの運動を6カ月間試してもらった結果、
ほかの高齢者と比べ、物を持って歩くなど二つのことを
同時に行う能力が向上した。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/17/121729/

「毎日入浴すると健康」 浜松医大・早坂准教授、男女617人に聞き取り

(2010年6月17日 毎日新聞社)

毎日欠かさず、浴槽に入浴する人は健康状態がいい--。

浜松医科大医学部の早坂信哉准教授(公衆衛生学)は、
浴槽に週7回以上つかっている人は、そうでない人に比べ、
自分が健康だと認識している割合が高いとの調査結果。
早坂准教授は、「日本人の長寿に、入浴習慣が寄与している
可能性がある

早坂准教授は08年、集団健診を受けた島田市の40~74歳の
男女617人を対象、入浴の状況と健康状態などを聞き取り調査。

その結果、入浴の回数を週7回以上と回答した人のうち、
90・2%が健康状態を「いい」と答えたのに対し、
入浴が週7回未満の人で「いい」と答えたのは81・8%。

睡眠の質について、入浴が週7回以上と回答した人の85・7%が
「いい」と答えたのに対し、週7回未満の人は79・5%。

健診時の採血結果は、入浴回数の違いで大きな差はなかったが、
自分が健康かどうかの感覚(主観的健康感)では、
比較的大きな差異が認められた。
主観的健康感は、将来の健康状態との因果関係を示す
医学的な指標の一つとして広く用いられている。

早坂准教授によると、これまで入浴と健康の関係を調べた
研究例は少なく、「浴槽入浴の習慣が、健康増進に関係している
可能性が示唆された。
今後、追跡調査などでさらに検討を進めたい」

Bathing in a bathtub and health status: A cross-sectional study
Shinya Hayasaka, Yosuke Shibata, Yasuaki Goto, Tatsuya Noda, Toshiyuki Ojima
Complementary Therapies in Clinical Practice. 2010(16).

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/17/121739/