2010年6月26日土曜日

「貯筋」の福永氏ら表彰 秩父宮スポーツ医科学賞

(2010年6月17日 共同通信社)

日本体協は、第13回秩父宮記念スポーツ医・科学賞の
表彰式を行い、筋肉の機能の研究で世界をリードしてきた
鹿屋体大の福永哲夫学長に功労賞を授与。

老後の健康維持に備えて筋肉を蓄える「貯筋」を提唱する
福永学長は、「この賞をバネに、研究を進めていきたい」

奨励賞は、「スポーツと食育」の観点で、国際競技力の向上に
貢献した「日本スポーツ栄養研究会スポーツ栄養士グループ」が
受賞、代表の田口素子・日女体大准教授が記念講演を行った。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/17/121726/

自生薬草マップ 300種カラー紹介、ウオーキングのおともに 三重・伊賀薬剤師会

(2010年6月15日 毎日新聞社)

伊賀薬剤師会の薬用資源調査研究委員会(堀内諭委員長)は、
名張市内に自生している薬草を紹介した
「薬用植物マップ」(B4判、計12枚)を作製。
「比奈知ダム1周コース」、「赤目滝コース(1)-(3)」など、
10コースの薬草をカラーで紹介。

薬草について学びながら、ウオーキングで健康増進に
つなげてもらおうと、05年から作り始めた。
市選定のウオーキングマップ「おきつも名張遊歩10選」を基に、
同委員会が市スポーツ少年団や赤目四十八滝渓谷保勝会などの
協力を得ながら作った。

キランソウやカキドオシなど、各コースで撮影した
薬草延べ約300種を掲載。
マタタビやサルトリイバラなどは、季節によって
異なる姿の写真を掲載。

堀内委員長(50)は、「昔の人の知識を学んでもらいたい。
高山や深山に入らずに、人里に薬があることを知ってほしい」

各1000部作製。
非営利の市民団体などに利用。
8月8日、同マップを基に、伊賀市の上野公園で、
小中学生対象に「夏休みこども薬草観察会」を開催。
参加無料。
随時ガイドツアーを実施予定。
問い合わせは伊賀薬剤師会(0595・26・7270)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/15/121638/

大学の実力 就業力(7)独立行政法人 大学評価・学位授与機構教授 荻上紘一さんに聞く

(読売 6月19日)

今回の連載では、キャリア教育に力を注ぐ
七つの大学の実践を報告。

大学生の就業力を育成するため、文部科学省が今年度から始める
支援事業には、442件(短大、共同申請含む)の申請があり、
8月までに財政支援を受ける約130件が選ばれる。
中央教育審議会委員として、キャリア教育の重要性を訴える
独立行政法人大学評価・学位授与機構の荻上紘一教授に、
大学がキャリア教育に取り組む意義などについて聞いた。

新卒で就職する学生の3割が、3年以内に離職しているという
データがあり、若年無業者(ニート)も社会問題化。
働くことに意義を見いだせないまま、社会に出る学生が増えている。

今年2月に改正された大学設置基準では、
学生が社会的・職業的自立を図るため、
必要な能力を「就業力」として、大学に
キャリア教育(キャリアガイダンス)を義務づけ。

「就業力は本来、小中高校で身につけておくべきものとの
考えもあるが、責任のなすり合いをしていてもしかたない。
大学が、学生を社会に送り出す役目を担っている以上、
教育の責任を果たさなければならない。
育成事業を通して、大学4年間で体系的・組織的に働く意義を
教え込む取り組みを、全国の大学に広げていかなければならない」

大学が、キャリア教育に取り組むことに拒否反応を示す
教員は少なくない。
就職課が中心となって進める就職(就社)支援を、
キャリア教育と混同する考えが、依然として根強い。

事業が目指すのは、あくまでも教員が主体となってかかわる
教育プログラム。
就社のための技術指導や、就職支援スタッフの増員による
就職先開拓などは、はなから対象外として想定していない。

大学を今春卒業した就職希望者の就職率は91・8%と、
過去最低だった2000年卒の91・1%に次いで低く、
雇用情勢は厳しい。
働きたくても働く場がないのは悲劇だが、
育成事業が目指すのは、単に職に就くための支援ではない。

卒業後も自らの資質を向上させ、
自力で人生を設計していく生きる力。
そうした能力を身につけた学生を社会に送り出すのが、
大学教育に課せられた使命だ」

◆おぎうえ・こういち

東京都立大学総長、公立大学協会会長などを経て、
独立行政法人大学評価・学位授与機構教授に。
中央教育審議会委員を務める。69歳。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100619-OYT8T00243.htm

2010年6月25日金曜日

大型買収で新薬開発 加速…武田薬品工業・長谷川 閑史社長

(2010年6月16日 読売新聞)

武田薬品工業の長谷川閑史社長は、
主力の医療用医薬品が、2010年前後に相次いで特許切れになる
問題について、研究開発力を強化し、海外展開を加速することで
克服できるとの見方を示した。
新薬候補を確保するため、数千億円規模の新たな企業買収も
積極化する方針だ。

--研究開発力は十分か?

「過去の成功体験を捨て、開発で何が問題だったか、すべて見直す。
自社開発にこだわらず、公平にみて優れていれば、
外部の研究成果も取り入れる。
10年度中に、藤沢市に新設する研究所では、
外国人研究者を増員し、開発に刺激を与えたい。
業績は減収減益になるが、年間3000億円の研究開発投資は続ける」

--収益を支える新薬や新薬候補の拡充策は?

「小規模な買収などに年150億円を充ててきたが、
今後3年間は毎年500億円を積み増す。
大型買収も大いにやるつもりで、手元資金5500億円のほか
必要なら借入金で手当てする。
最大のターゲットは、海外のバイオベンチャーだろう

--海外事業の方針は?

「量的な成長は、海外に求めるしかない。
09年以降、海外拠点を一挙に14から26か国・地域にまで増やした。
今後3年で、インドとロシア、韓国、オーストラリアに進出したい。
11年には、世界3位の市場になると言われている中国も、
1~2年で体制強化のメドを付ける」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/16/121684/

中国人客取り込みに躍起…がん検診ツアーも!

(2010年6月14日 読売新聞)

政府が7月から、富裕層に限定していた中国人の
個人向け観光ビザの発給要件を大幅に緩和する。

ビザの取得対象世帯は、現在の約10倍の1600万世帯に
拡大する見通し、急速な経済成長を遂げる中国からの
観光客が急増しそうだ。
旅行、家電量販などの業界が、利用客の獲得に向けて
動き出している。

近畿日本ツーリストは、中国人に人気がある北海道の宿泊を
予約できる中国語サイト「GO!GO!HOKKAIDO」を開設。
日本旅行は、中国人が日本で最先端のがん検診を受けることが
できるツアーの利用者数を、今年度は当初予想の5割増の
150人と見込む。

家電量販業界も、中国人客の取り込みに知恵を絞る。
ビックカメラは2月から、中国国内の空港や駅で商品価格を
最大で8%割り引くクーポン券を配布。

百貨店各社は、中国人観光客の取り込みを業績回復の
足がかりにする考え。
中国語で応対できる従業員を増やし、多くの中国人客が
持っている決済カード「銀聯(れん)カード」にも対応する体制。

観光庁によると、中国人の滞日中に購入する物品の購入額は
11・6万円と、台湾の7万円、韓国の3万円などより多い。

訪日外国人観光客数は、新型インフルエンザの影響を受けた
2009年は679万人に落ち込んだ。
政府は、19年までに2500万人まで増やす目標。
中国人観光客を増やせるかどうかは、計画実現と
日本経済の立て直しに大きな影響を与えそう。

◇中国人の個人向け観光ビザ

富裕層に限定していた個人観光ビザの発給要件を、
「十分な経済力を有する者」から、
「一定の職業上の地位及び経済力を有する者」に改める。
この結果、ビザの発給対象は中間層まで広がる。
ビザの申請窓口も、これまでの北京など3か所から、
大連など7か所に増える。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/15/121651/

大学の実力 就業力(6)中学生に職場体験伝授

(読売 6月18日)

「私は、現在頑張っていることを発表します」。
女子学生がそう言ってプロジェクターに映し出したのは、
1週間の行動を時間を追って表にしたエクセルのデータ。

サークルに費やした時間の多さを示しながら、
「手話サークルの部長を務める私は、やはりサークルを
頑張っていることが分かりました」と結論。

「エクセルを使ったプレゼンテーションなんて斬新」など、
学生たちが次々と発表を評価する。
「日曜日は2時間しか起きていないけど」。
教員が口にした疑問に、女子学生が「徹夜がたたって……。
人間ってこんなに寝られるんだと驚きました」と答えると、
笑い声がわき起こった。

富山大学は2008年度から、
「富大流人生設計支援プログラム」に取り組む。

富山県が、すべての中学2年生を対象に行っている就業体験
「14歳の挑戦」に、大学生が「キャリアサポーター」として参加。
そのサポーターを育成するために開講されているのが、
教養科目「キャリア基礎学習」。
学生は、中学生の指導役を務めるために、
まずは基礎的なビジネススキルの習得に励んでいる。

「学生は、夏にインターンシップで訪れる企業を秋に再訪問し、
今度はその企業のことを中学生に教える側にまわる。
学生には、自らの学びを振り返ることによって様々な気づきがあり、
中学生にとっては、自分の将来像を考えるいい機会になる」
荒井明・特命准教授(42)。

昨年度リーダーを務めた経営法学科4年の宮腰裕之さん(21)は、
中学校と企業の双方から要望を聞き、銀行の業務を考える
クイズや座談会などのプログラムを企画。
「金融業界への理解が深まっただけでなく、
中学生に分かりやすい話し方を工夫することで、
コミュニケーション能力が高まった」

今年度のリーダーで経済学科3年の加藤大貴さん(20)は、
「中学生と接することによって、もう一度自分を見つめ直し、
今の自分の立ち位置を確認したい。
その上で、いまの自分に足りないものを見つけられれば」と抱負。

キャリア教育を、もっと長い期間でとらえたのが人生設計で、
就職とは分けて考えるべきものだ」と荒井特命准教授。

内定はゴールではなく、大切なのはその後も続く人生を描くこと。
同大が、あえて「キャリア教育」という言葉を使わない理由は、
そこにある。

◆14歳の挑戦

富山県が1999年から始めた就業体験プログラム。
中学2年生が1週間、学校外で職場体験活動や
福祉・ボランティア活動など参加、将来の自分の生き方を考える。
2009年度、県内全公立中82校の生徒9701人が、
3208事業所で社会体験をした。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100618-OYT8T00259.htm

2010年6月24日木曜日

大学の実力 就業力(5)人生設計 入学直後から

(読売 6月17日)

「人生がフルマラソンならば、コース取りとペース配分を
前もって考えなければならない。
結婚というヒッチハイクもあるけれど、途中で車が壊れたり、
車から降ろされたりすることもある」

そんな例えを交えながら、自分で人生を設計していく大切さを説く
講師に、女子学生たちの真剣な視線が注がれた。

金城学院大学の全学必修科目「キャリア開発A」。
入学間もない1年生が女性の生き方について学び、
キャリア意識を高める。
授業を担当するのは、専任教員2人と非常勤講師6人。
講師は、1人を除き同大の卒業生。

OGがかかわることで、学生はお手本となるロールモデルを
思い描くことができる。
OGは、キャリア相談コーナーの嘱託職員を兼ね、
学生のキャリアカウンセリングにもあたる」
キャリア開発教育科目委員長の宗方比佐子教授(57)が、
OGを活用する狙いを説明。

授業を担当した鶴田美保子さん(46)は、
航空業界で22年間働いたキャリアを持つ。
「学生が、自分の人生を具体的にイメージできるよう、
自分が体験したことを意図的に話すよう心がけている」

金融業界から内々定を得た英語英米文化学科4年の
吉田奈々さん(21)は、「インターンシップで、志望業界とのミスマッチに
悩んでいたとき、相談コーナーのOGから
『あなたのコミュニケーション能力を生かせるのは、
エアラインだけじゃない』と励まされた。
同じ軌跡をたどった先輩のアドバイスで、視野が広がった」

目白大学は、いち早くキャリア教育に着目
2004年度から「キャリアデザイン」を必修科目にしてきた。

「単なる『就社支援』と抵抗する教員もいたが、キャリア教育は
人間形成の教育との認識が浸透してきた」
学務部長の安田和紘教授(69)。

心理カウンセリング学科4年の吉次まりさん(21)は、
「入学したばかりで、自己分析と言われてもピンとこなかったが、
社会に出た後のイメージが少しずつ見えてきた。
早くからキャリア教育に取り組んだのが、内々定につながった」

卒業後の人生が描ければ、大学で身につけるべき就業力と、
大学生活の過ごし方もおのずと見えてくる。
そこに、初年次からキャリア教育に取り組む意義がある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100617-OYT8T00270.htm

花粉症の漢方薬「小青竜湯」のインフルエンザに対する有効性が明らかに

(日経ヘルス 6月11日)

花粉症によく使われる漢方薬の「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」
が、インフルエンザウイルスに対しても有効、
抗体産生を高めて感染を防御することと、
その際の有効成分が動物試験で明らかに。
「第61回日本東洋医学会学術総会」での発表。

実験では、マウスの7週齢のメスに、あらかじめ小青竜湯を
飲ませておき、インフルエンザウイルス(HIN1)を
上気道感染させたところ、感染の5日後に
鼻腔洗液中のウイルスが有意に低下した。
気道における抗インフルエンザウイルスIgA抗体価が有意に上昇。

IgA抗体産生を強める働きは、小青竜湯に含まれる生薬のうち、
半夏(ハンゲ、サトイモ科のカラスビシャクの塊茎)に強い。
半夏の成分を分析したところ、この働きは
脂肪酸のピネリン酸によるものだとわかった。

北里大学北里生命科学研究所和漢薬物学研究室の
永井隆之講師は、「ピネリン酸には8つの異性体があるが、
そのうちの2つを混合して経口投与した場合にだけ、
抗体産生が高くなった。
いずれか一方ではだめで、経鼻投与でもだめだった」

ピネリン酸には、インフルエンザワクチンの効果を高める
作用もあることが、永井講師らの研究でわかっている。

小青竜湯には、半夏のほかに麻黄(マオウ)も含まれ、
「麻黄剤」と呼ばれる漢方薬の一つ。
麻黄剤では、「麻黄湯(マオウトウ)」も代表的で、
こちらはすでにインフルエンザに対してよく処方。
麻黄湯には半夏が含まれないため、小青竜湯とは別の機序で
働くと考えられ、永井講師らは麻黄湯についても研究を進めている。

http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20100611/107471/

国境越えた"希望のパス" スーダンでサッカー教室

(2010年6月14日 共同通信社)

20年以上の内戦を経験し、現在も紛争を抱えるアフリカの
スーダンで、日本のNPO法人「ロシナンテス」(北九州市)が
子どものサッカー教室を開いている。

「新しい国をつくる世代に、夢を与えたい」
未来への"希望のパス"は、国境を越えて届けられた。

「サッカーは、ボール一つあればどこでもできる。
布きれをひもで縛れば、ボールになる」
理事長で医師の川原尚行さん(44)は、アフリカで人気の高い
サッカーに着目した理由。

紛争が続く西部ダルフール地方を訪れた2008年。
目にした光景に心打たれた。
「難民キャンプでも、はだしの子どもたちが目を輝かせて
サッカーをしていた」

09年1月、コーチ経験のある日本人スタッフを中心に、
首都ハルツームでサッカー教室を開設。
今は40~50人が参加。
同年3月、国内初となる女子チームの指導も始めた。

自身も、寄付集めに奔走。
約500個のボールやユニホームを、日本から持ち込んだ。
「『おまえらが新しい国をつくっていくんだ』と伝えたい。
1人でもプロ選手が出たら、希望を与えることができる」と川原さん。

Jリーガーの誕生が目標。
今は、内戦で分断されていたスーダンの北部と南部の
親善試合を計画。

来年1月の住民投票で、南部が国として独立する公算が大きい。
「試合で、子どもたちがお互いをたたえ合うことができれば、
国が二つに分かれたとしても、悲劇は繰り返さないはず。
サッカーは国境を越えるんです」

※ロシナンテス

外務省の元医務官で、2005年に退職した川原尚行さんが
中心となって設立した地域医療のためのNPO法人。
アフリカの日本大使館に勤務した経験から、
数人の有志とスーダン東部で活動を始めた。
06年、法人格を取得。
高校時代のラグビー部のチームメートらを中心とした
支援の輪が広がっている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/14/121608/

2010年6月23日水曜日

大学の実力 就業力(4)地域で実践「職」へ自信

(読売 6月16日)

「実は、私も昨年末まで就活をしていた。
一般企業から転職して、この大学に来た」
職員が熱い口調で語り始めると、どこかうわの空だった
学生たちの表情が引き締まった。
身近な大人の体験談が、就職をより身近なものに感じさせた。

千葉商科大学で行われた1年生の必修科目「研究基礎」。
初年次から職業について考えさせるため、この日は
キャリア支援センターの見学ツアーが企画。

「生涯キャリア教育」を掲げる同大が目指すのは、
実践的な就業力。
「学生が、大学で学んだことを地域に出て実践すれば、
本物の勤労観や職業観、職業倫理が身につく。
学生とかかわった地域の人々のキャリア形成支援にもつながる」
鮎川二郎・商経学部教授(68)。

そのために考え出されたプロジェクトは、子どもが経済活動の
疑似体験をする「キッズビジネスタウンいちかわ」、
学生が起業したテニススクール商店街の活性化策提案など、
多岐にわたる。

キッズタウン実行委員会副代表で、
商学科4年の進藤斐香さん(21)は、
「最初はできなかった子どもが、できるようになっていくのを
見るのがうれしかった。
教員志望だったが、子どもの成長にたずさわる職業に就きたい、
という気持ちが決定的になった」

商店街活性化にかかわった経済学科4年の長島郁也さん(21)は、
「大学で学んだことをやろうとしても、
実社会ではうまくいかないことが多かった。
机上の論理を崩して、地域の人々の意見を聞きながら、
自分たちで考えていくしかなかった」

経営学科4年の板垣貴也さん(21)は、
「株式会社体育会テニス部」の専務を務める。
「お金をいただいてレッスンする重さをかみしめながら、
日々働くということを経験している。
将来は、テニススクールを起こしたい」

理論として身につけたものが、地域に出て通用すれば、
学生は大きな自信をつける。
反対に、「それでも大学生か」と批判され、恥をかくことも。
どちらに転んでも、大学ではできない経験を通して、
新たな発見をした学生たちは、学びへの動機づけを高めていく
と鮎川教授は強調。

教員だけでなく、地域の力を借りながら、
学生の就業力を高めていく。
そこに、「実学」を教育理念とする同大のキャリア教育の神髄がある。

◆キッズビジネスタウンいちかわ

千葉商科大が2003年から始めた、学生手作りの教育プログラム。
小学生以下の児童・幼児が市民となる仮想の街を、
キャンパス内に構築。
子どもがしたい仕事を好きな時間行った後、
働いた時間に応じた地域通貨を得て、社会の仕組みを学ぶ。
同大を参考に、愛知や秋田、長野の商業高校などで
同種の試みが広がっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100616-OYT8T00281.htm

免疫 まじめすぎると低下 乳酸菌摂取で向上も

(2010年6月12日 毎日新聞社)

長生きの秘訣は何か?
一つは、がんやウイルスと闘う免疫力の維持といってよい。
では、どんなライフスタイルが免疫力を上げるのか?

「『まじめ』は長寿を縮める 『不良』長寿のすすめ」(宝島社新書)
の著者でもある奥村康・順天堂大医学部特任教授(免疫学)が、
東京都内のセミナーで講演。

「まじめな人ほど早死にする」が奥村さんの持論。
まじめ過ぎると、自分で何でも抱え込み、手が抜けない。
小さなことにくよくよし、気持ちの切り替えができない。
やがてストレスがたまり、病気になる。
つまり、まじめ過ぎると、免疫力が落ちる。

その良い例が、フィンランド症候群
1970年代、フィンランド政府は比較的裕福な40~45歳の男性
1200人を二つのグループに分け、一方は健康管理をしっかり行い、
もう一方は何もしないようにし、どちらが病気が少なくなるかを
15年間追跡した。

健康管理をしっかりするグループは、定期的に健康診断を受け、
血圧の高い人は降圧剤などで治療。
塩分や砂糖、アルコールの摂取を控え、運動も行った。
何もしないグループは好きなものを食べ、飲酒や喫煙も自由にした。

15年後、意外な結果が出た。
なんと健康管理をしっかりと行ったまじめグループの方が
死亡率が高く、自殺や心臓病なども多かった。
奥村さんは、「健康管理に、あまりにも神経質になると逆効果。
いいかげんにやっている方が、免疫力が高まったのではないか」

何事もほどほどに楽しみ、気楽に過ごすのがよい。
調査結果は、忙しい現代人へのそんな戒めかもしれない。

◆NK細胞

免疫力を維持する上で大事なのが、NK細胞の働き。
NK細胞はリンパ球の一種で、体外から侵入したウイルスを
撃退したり、がん細胞を殺す働きをする。

人の体内では、1日に約1兆個の細胞が生まれ変わり、
5000個前後が、がん化するなど出来損ないの細胞になる。
こうした出来損ないを撃退するのがNK細胞。
NK細胞の働きが高いと、がんになりにくい。

奥村さんは、これをマウスの実験で確かめた。
NK細胞のないマウスを実験用に作り出し、死ぬまでの経過を
見たところ、がんが多発することを確かめることができた。
動物実験を裏付けるように、人間でもNK細胞の活性が高いと
がんになりにくいとの研究報告も。

NK細胞の働きは、朝起きてから徐々に高くなり、
夜11時を過ぎると低くなる。
深夜まで起きて仕事をしていると、活性度合いは落ちる。
奥村さんは、「深夜から朝方まで勤務する昼夜逆転の勤務形態は、
NK細胞の活性を低くする」
あまりにも厳格な生活は良くないが、かといって昼夜逆転の生活も、
健康を損なってしまう。

NK細胞は、精神的なストレスに非常に弱い。
受験生は、テスト前になると活性が下がりやすく、
風邪をひきやすくなる。
こんな時は、細かいことにくよくよしないこと。
友達と会って楽しく話し、気晴らしに好きなものを食べ、よく笑う。
そんな過ごし方がいいようだ。

◆R-1乳酸菌

食べ物でも、NK細胞の活性を上げるとされるものがある。
キノコや納豆、ヨーグルトの乳酸菌など。

明治乳業食機能科学研究所の池上秀二研究員によると、
R-1乳酸菌を含むヨーグルトをマウスに与えたところ、
NK細胞の活性が高くなった。

人を対象とした試験も行われている。
山形県舟形町と佐賀県有田町で、59~85歳の住民計142人に、
同種のヨーグルトを1日90g、8~12週間食べてもらい、
食べない群と比べた。
その結果、ヨーグルトを食べた群は、食べる前より
風邪をひくリスクが低下した。

インフルエンザウイルスに感染させたマウスに、
同種のヨーグルトを食べさせた実験では、ウイルスが減るなど
感染リスクを低下させる作用もあった。

池上さんは、このメカニズムについて
「乳酸菌とその菌が作り出す多糖類が、T細胞に働き、
T細胞が作る生理活性物質(インターフェロンガンマ)を介し、
NK細胞が活性化するのではないか」

ヨーグルトには腸の働きを整える以外にも、さまざまな効用がある。
…………………………………………………………………………
◆奥村康教授が勧める長寿の習慣

(1)よく出歩く
(2)ゲラゲラよく笑う
(3)夜更かしはしない
(4)細かいことは気にしない
(5)何でも、ほどよく食べる
(6)夫婦仲を良くするなど異性に関心を持つ
(7)適度に運動する
(8)趣味を持つ
(9)腹を割って話す友達を持つ
(10)ヨーグルト、納豆などの発酵食品やキノコをよく食べる

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/14/121565/

がんは「赤」、光らせ識別 群馬大、有機ELで新技術

(2010年6月14日 共同通信社)

ディスプレーなどに用いられる有機EL素材を使い、
体内にあるがん組織を赤く光らせ、見えるようにする技術を、
群馬大の竹内利行副学長(内分泌代謝学)、
飛田成史教授(光化学)らが12日までに開発。

ごく小さながんは、目視では見落としやすいが、
内視鏡検査と組み合わせると、胃や大腸など
組織の表面にできる微小ながんの診断に役立つ。

竹内さんらによると、有機EL素材の一種「イリジウム錯体」という
化合物に特殊な光を当てると、酸素濃度が空気と同じ
20%程度の環境では光らず、10%程度より低いと光る。
がん組織は、細胞の増殖が速く、低酸素状態になっており、
この化合物を利用して光らせることができると考えた。

竹内さんらは、低酸素の環境で赤く光るようにした
イリジウム錯体を作り、がん組織を移植したマウスの静脈に注射、
がんの部位を光らせることに成功。
実験では、2mm程度でもがんと判断でき、
表面からの深さが1cm以内なら把握できる。

イリジウム錯体は、生物には無害とされる。
内視鏡の先から噴霧して消化管に吸収させ、光るかどうかによって、
がんの有無を調べるなどの使い方が考えられる。

がん診断には、陽電子放射断層撮影装置(PET)や
磁気共鳴画像装置(MRI)も使われるが、
今回の方法は、費用が比較的安く済む。

Cancer Res. 2010 Jun 1;70(11):4490-8.
Phosphorescent light-emitting iridium complexes serve as a hypoxia-sensing probe for tumor imaging in living animals.
Zhang S, Hosaka M, Yoshihara T, Negishi K, Iida Y, Tobita S, Takeuchi T.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/14/121576/

2010年6月22日火曜日

大学の実力 就業力(3)チーム研究 視野広げる

(読売 6月12日)

「人間は生まれながらにして自由であるのに、
いたるところで鉄鎖につながれている。
じゃあ、我々の自由を妨げる具体的な制約とは何か、考えてみよう」

18世紀の思想家ジャン・ジャック・ルソーの言葉を引用しながら、
問いかける教員。
その言葉を合図に、武蔵野大学の「基礎セルフディベロプメント」の
授業は、グループワークへと移った。

なかなか自分の意見を言えない学生をけしかけようと、
久富健教授(62)(教務部長)が次々と班を回り、議論に加わる。
学生から「親の考え」と声があがると、
「僕のおやじは、明治生まれの古い人間で、
大学生のときは反発ばかりしていた」と若かりし日を語ってきかせた。

文部科学省のGP(優れた取り組み)に2度選ばれた
同大のキャリア教育は、今年度から大きく変わった。
学部の壁を取り払った全学共通基礎課程を導入。
その柱が、基礎セルフだ。

学科横断の混成チームを編成した学生が、哲学、世界文学、
歴史学など七つのテーマを順番に学ぶ。
最後はチームで研究を行い、その成果を発表して、
課題発見・解決能力、チームワークなどを身につけてもらう
久富教授が改革の狙いを説明。

日本語・日本文学科1年の宮寺佑さん(19)は、
「高校までは、まわりの意見に合わせてしまうところがあったが、
相手の意見を聞きながら反論する力がついてきた」

授業支援スタッフ(SA)を務める環境学科4年の
夏井志保さん(21)は、IT企業から内々定を取り、
就職活動を終えたばかり。
「教員を目指して進学したが、初年次からキャリア開発科目を受け、
将来なりたい自分を考え続けた結果、もっと社会を知りたくなった。
社会人として、学校以外の職場も経験しておくべきと、
視野が広がった」

同大のキャリア教育を推進するのは、
キャリア教育が専門ではない専任教員。
外部講師に任せると、キャリア教育が教養・専門科目から
独立しているとの認識を学生に与えてしまう。

「キャリアと自分の専門科目とを関連づけるよう、教員の意識を改革し、
キャリア教育が学内で標準化されるよう目指す」と、
久富教授は今後の展望を熱く語る。

人生の歩み方を考えさせる教育が浸透し、
アカデミズムと一体化していけば、キャリア教育という言葉自体、
もはや必要なくなるのだろう。

◆GP

大学などが申請した教育プロジェクトの中から、
優れた取り組み(Good Practice)を選び、
財政支援する文科省の事業。
武蔵野大は、2003年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」、
07年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100612-OYT8T00293.htm

アイスホッケー試合中のボディチェック、負傷リスク増大、カナダ調査

(2010年06月11日 JAMA)

文献:Emery CA et al. Risk of Injury Associated With Body Checking Among Youth Ice Hockey Players. JAMA. 2010;303(22):2265-2272

アイスホッケー選手(11~12歳)2154名を対象に、
ボディチェック(体当たり)が、外傷・脳震盪リスクに及ぼす
影響を前向きコホート研究で調査。

2007~08年シーズン中、ボディチェックを認めるリーグでは、
禁止リーグに比べて、試合中の重症を含む
外傷・脳震盪リスクが3倍増大した。
練習中の負傷リスクに、差は見られなかった。

http://www.m3.com/news/THESIS/2010/06/11/10489/?pageFrom=prevButton

今後30年の科学技術は? 研究者らが未来予測

(2010年6月11日 共同通信社)

2031年には、がんの転移を抑える薬が使われ、
宇宙観光が可能となる-。
文部科学省科学技術政策研究所は、
今後約30年で国内に普及する科学技術の未来予測を発表。

予測は、医療や環境など12分野、832課題について実施。
技術が社会に普及するとみられる時期を、大学の教員や
企業の技術者ら約2900人へのアンケートを通して検討。
1971年から約5年おきの実施、今回が9回目。

医療関連では、さまざまな組織になる
人工多能性幹細胞(iPS細胞)での再生治療が32年に実用化、
33年、遺伝子情報などから患者ごとに薬の効果が予測可能、
内科治療での入院日数を半分にできる。

環境関連では、1回の充電で電気自動車が約500km走れる
高性能電池が25年、砂漠の緑化技術が29年、
化石燃料に頼らない航空機が38年、それぞれ普及。

神経の働きを検知し、人間の思考を表示できる技術が32年、
マグニチュード(M)6以上の地震の発生予知が37年、
高速増殖炉サイクル技術の普及が38年、
有人月面基地の登場が40年。

◆予測された主な技術と普及時期

2023 交通事故の防止や車両故障の予知が可能となる運転システム
  25 1回の充電で電気自動車が約500キロ走れる高性能電池
  27 人間の知覚能力を超えたロボットの自治体や警察への配備
  29 砂漠の緑化技術
  30 エネルギー変換効率60%以上の太陽電池
  31 がんの転移を抑止する薬剤。
     地球周回軌道の宇宙観光旅行
  32 iPS細胞を使った再生治療
  33 アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を完全に治す治療法
  34 深海に分布するメタンハイドレートの経済的な生産技術
  37 M6以上の地震の発生予知
  38 高速増殖炉サイクル技術
  40 永続的に利用できる有人月面基地
  41~ 安全で、100万円以下で可能な宇宙旅行

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/11/121504/

2010年6月21日月曜日

自閉症、遺伝子コピーミスが原因 英大チーム解明

(2010年6月10日 毎日新聞社)

新生児100人に1人の割合で生じるとされる、
脳の機能障害「自閉症スペクトラム」が、
複数の遺伝子のコピーミスから起きる可能性があることが、
英オックスフォード大などの研究で分かった。
症状や問診をもとにしてきた診断法の改善につながる成果、
10日、英科学誌ネイチャー(電子版)。

自閉症スペクトラムは、他者とのコミュニケーションや
社会性の発達に遅れが見られる。
自閉症のほか、知的障害がなく特異な才能を発揮する
「アスペルガー症候群」なども含み、症状の多様さから
「スペクトラム(連続体)」と呼ばれる。

チームは、ヨーロッパ人の患者996人と健康な1287人の
ゲノムを比較。
その結果、父と母から一つずつ受け継ぐべき遺伝子が
一つ足りなかったり、三つになるコピーミスが、
患者は健康な人より平均19%多く、
健康な人ではめったに起きない遺伝子で起きていた。

コピーミスは、「コピー数多型」と呼ばれ、健康な人では
病気のかかりやすさや薬の効き方の個人差として表れる。
チームは、鍵となる遺伝子の複数のコピーミスが
発症につながるとみている。

理化学研究所の古市貞一・分子神経形成研究チーム長は、
「自閉症スペクトラムは、早期に診断されれば、改善が期待できる。
今回の成果は、科学的診断法確立に向けた基本情報になる
可能性がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/10/121463/

豪欧韓とEPA妥結へ 女性の収入3兆円増に 成長戦略、こども園も

(2010年6月10日 共同通信社)

政府が策定を目指す、成長戦略の実行計画案の全容が判明。
オーストラリア、欧州連合(EU)、韓国との
経済連携協定(EPA)交渉を、2013年度末までに妥結。
雇用創出の目玉として、出産後の女性の就労を促し、
20年度に女性の労働者を100万人増やす。
女性の収入は全体で3兆円以上増えると試算。

子ども手当の満額支給が困難になったことに配慮し、
幼稚園と保育所を一体化した「こども園」や「子ども家庭省」の創設も
盛り込んだ。

菅直人首相は、カナダで開かれる主要国首脳会議(サミット)までに
実行計画を発表する方針。
財政再建策も並行して公表する予定、新政権が唱える成長と
財政再建の両立に向けた具体策を示し、夏の参院選に弾み。

EPA締結は、アジア太平洋地域で自由貿易圏をつくり、
高成長を続ける各国の需要を取り込むのが狙い。
農業分野の対立で、韓国との交渉は中断、
農業国のオーストラリアなどとのEPAは、
日本の農業に影響を与える。

雇用では、こども園を13年度末までに設置し、
出産後に就労を希望するすべての女性が仕事に復帰できる体制を
17年までに整備。
厚生労働、文部科学両省の関係部局を統合し、
子ども家庭省を13年度までに創設。

民間による原子力発電所や鉄道などのインフラ輸出を支援し、
20年までに建設業の年間海外受注高を現在の2倍の1兆円以上増。
環境への負荷が少ない次世代自動車が新車販売に占める割合を、
20年までに最大50%に引き上げ。

地域活性化では11年度中、規制緩和や税金を優遇する
「国際戦略総合特区」設置。20年までに1カ所当たり1兆円の
民間投資を呼び込む。

観光では、訪日外国人数を年間3千万人にまで増やし、
10兆円の経済波及効果を見込む。
日本で長期治療を希望する外国人のため、
「医療滞在ビザ」を新設、20年までに年50万人を受け入れる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/10/121450/

大学の実力 就業力(2)「底力」高める授業選ぶ

(読売 6月11日)

20人も入ればいっぱいのコンパクトな教室。
テレビの番組表を手にした学生たちが、
画面に次々と映し出されるCMに見入っていた。

登場するタレントやBGMに注意を払うようアドバイスしながら、
学生を一人ずつ指名し、CMに込められたメッセージを
発表するよう促す講師。
「常に自分の意見を求められ、自分から発言しないと
授業が成り立たない」と女子学生。

東京女学館大学で行われた「メディアとジェンダー」は、
少人数による対話型の授業。
講師と学生たちとの活発なやり取りもさることながら、
ホワイトボードに大書された「コミュニケーション能力の向上」、
「クリティカル思考能力の向上」の文字が印象的。

同大は2008年度から、卒業成長値を高める
「10の底力」プログラムに取り組む。
コミュニケーション能力など、社会人として求められる
10の基礎力に注目。
非常勤講師を含むすべての教員が、授業で伸ばせる底力を
二つ選び、学生にシラバス(授業計画書)などで示している。

「学生は、自分の伸ばしたい力、ひいてはキャリアプランを
考えながら授業を選択することになる。
個々のニーズに合ったオーダーメード型のキャリア教育
プログラム推進責任者の加藤千恵教授(53)。
学生と教員は、半年ごとに10の底力の到達度をそれぞれ評価し、
レーダーチャートを作る。
それを基に、キャリアカウンセラーは学生に授業選択のアドバイス。

国際教養学科4年の小林真由美さん(21)は、
「どういう力を伸ばしたいかを考えながら履修登録することで、
卒業後のキャリアを自然と意識し、
自分は営業職に進みたいと気づいた。
レーダーチャートで自分の成長が分かるのも、励みになっている」

プログラムは、教員の教育力向上にもつながった。
「自分の授業を見直し、学生にどういう力を身につけさせたいかを
再確認させられた」
コミュニケーション能力とクリティカル思考を掲げ、
「メディアとジェンダー」を教える石山玲子・非常勤講師(57)。

大学の学びが、社会に出た後どのような力となって役立つか。
在学中はイメージしづらいその点を、はっきりと示したプログラムが、
学生の学習意欲を高め、キャリア形成を促している。

◆東京女学館大の卒業成長値を高める「10の底力」

〈1〉コミュニケーション能力、
〈2〉プレゼンテーション能力、
〈3〉ディスカッション能力、
〈4〉国際感覚・多文化理解能力、
〈5〉外国語運用能力、
〈6〉調査能力、
〈7〉IT能力、
〈8〉クリティカル思考、
〈9〉コンセプチュアルスキル(問題発見・提案・実行力)、
〈10〉自己理解能力

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100611-OYT8T00202.htm

2010年6月20日日曜日

骨折が早く治る注射…すねなら4週間短縮

(2010年6月9日 読売新聞)

骨折した患部に、細胞増殖を促すたんぱく質を注入すると、
治癒を大幅に早める効果があることを、
東大病院のグループが臨床試験で確かめた。

すねの骨折では、治療期間が約4週間短縮。
実用化すれば、松葉づえが必要な期間を短くでき、
糖尿病などが原因で、骨折が治りにくくなっている人の
治療にも役立ちそうだ。

同病院整形外科・脊椎外科の中村耕三教授らは、
骨や皮膚の細胞を増殖させるFGF-2というたんぱく質を利用。
国内48施設の協力で、治療に時間がかかる、すねの骨を
骨折した直後の患者71人を対象に、FGF-2を患部に注射した47人と、
注射しなかった24人とで効果を比較。

その結果、FGF-2を注入した患者は、14週間で半数が治癒。
24週間後に治りきらなかったのは1人だけ。
注入しなかった患者のうち、半数は治るまでに18週間かかり、
24週間後も4人が完治しなかった。

グループの川口浩准教授は、「骨折が治りにくい人は、
繰り返し折れたり、骨が変形したりしやすい。
今後、最終的な臨床試験を実施し、早期の実用化を目指したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/9/121399/

「山岳ドクター」養成中、高山病治療など重点

(読売 6月14日)

中高年の登山ブームが続く中、高山病などにかかった登山客を
治療する医師を養成するための研修会が今春、スタート。

凍傷など登山中に起こる山岳特有の病気やけがを、
1年間かけて学び、合格者には「認定山岳医」として
お墨付きを与える仕組み。

主催する日本登山医学会によると、
約1か月半の夏山シーズンに開設される山岳診療所での
患者数は年々増加。

富士山の吉田口8合目にある救護所では、2004年に約350人だった
受診者が、09年約450人に増え、北アルプス槍ヶ岳でも、
毎年10~30人の割合で増えている。

標高が高く、空気も薄い環境での医療は、
研究が十分に進んでいない。

診療所での診察も、「山好きの医者が、個人的な経験に基づいて
やってきた」(増山茂理事)のが現状、ドイツやオーストリアなど
欧州の山岳医学の先進国からは立ち遅れている。

山岳ガイドや旅行会社から、よく指摘されるのが、
高山病特有の症状である体のむくみに関する治療の違い。

欧州では、脱水症状の悪化につながる利尿剤は使われていないが、
日本では数十年前の知識を基に、現在でも投与するケースがある。

研修会では、高山病に加え、凍傷や低体温症などの
最新の治療法を学ぶほか、遭難現場へ駆けつける登山技術として、
岩登りや沢登り、山岳スキーなどの実技もこなす。

今年度は、救急医や整形外科医ら約40人が参加。
計111時間に及ぶ研修を終えた来春、
「登って診られる山岳ドクター」が誕生する見込み。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20100614-OYT1T00881.htm

大学の実力 就業力(1)文章で「自分」まとめる

(読売 6月10日)

教室のスクリーンに、湯気の立つラーメンの写真が映し出された。
「この店は、学生証を提示すると、めんの量が1・5倍になります」
学生の一人が、パソコンを操作しながら滑らかな口調で発表すると、
小さな笑いがわき起こった。

金沢工業大学の1年生の必修科目「修学基礎」。
授業のテーマは、グループ討議の発表。
ロボティクス学科1年、寺尾涼さん(18)たちの班は、
大学近くのラーメン店5軒を取材し、
味の特徴などをまとめてプレゼンテーションした。

「足を使ってインタビューしたのは良かったけれど、
地図を使う場合は出典を明示すること」
清水節講師(32)の指摘に、寺尾さんは、
「寝不足気味でうっかりしていた」と思わず口走った。

「自ら考え行動する技術者」の養成を目指す同大は、
初年次からキャリア教育に取り組む。
その柱となるのが、修学基礎で取り組む「キャリアポートフォリオ」。

「高校までの自分史、大学卒業後のキャリア像、自分の特性と
目標などを文章にまとめて記録させる。
そこから在学中に取り組むべき課題が見えてくれば、
学生生活の意欲も高まり、就職活動で物語性のある
エントリーシートを書くのにも役立つ」
学生部長の藤本元啓教授(54)が狙いを明かす。

建築学科3年の吉本千恵さん(20)は、
「なんとなく進学したが、大学は将来のことを考えなければいけない
場所なんだと、入学してすぐ意識が切り替わった」

「書くことは苦手だったけれども、自己認識を深めることができた」、
ロボティクス学科4年の守屋裕之さん(21)。
「教師を目指すか、設計士か、揺れた時期もあったが、
自分の思いを記録していくことによって、
企業人には向いていないことが分かった」

藤本教授は、「キャリア形成は、大学で終わるのではなく、
自己成長していくために一生続く」と強調。
社会に出てから独り立ちして、道を切りひらく力をつけるのが、
同大が目指すキャリア教育。
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大学生の就職率が、就職氷河期以来の落ち込みを記録するなか、
文部科学省は学生の就業力育成支援事業に乗り出す。
キャリア教育に力を注ぐ先進校の実践を通して、
就業力のあり方を考えたい。

◆就業力育成支援事業

来年度から施行される大学設置基準によると、
学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的・職業的自立を
図るために必要な能力が就業力。
文科省は、キャリア教育に積極的に取り組む大学・短大を公募、
8月までに約130校を選定、5年間財政支援する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100610-OYT8T00233.htm