(読売 6月18日)
「私は、現在頑張っていることを発表します」。
女子学生がそう言ってプロジェクターに映し出したのは、
1週間の行動を時間を追って表にしたエクセルのデータ。
サークルに費やした時間の多さを示しながら、
「手話サークルの部長を務める私は、やはりサークルを
頑張っていることが分かりました」と結論。
「エクセルを使ったプレゼンテーションなんて斬新」など、
学生たちが次々と発表を評価する。
「日曜日は2時間しか起きていないけど」。
教員が口にした疑問に、女子学生が「徹夜がたたって……。
人間ってこんなに寝られるんだと驚きました」と答えると、
笑い声がわき起こった。
富山大学は2008年度から、
「富大流人生設計支援プログラム」に取り組む。
富山県が、すべての中学2年生を対象に行っている就業体験
「14歳の挑戦」に、大学生が「キャリアサポーター」として参加。
そのサポーターを育成するために開講されているのが、
教養科目「キャリア基礎学習」。
学生は、中学生の指導役を務めるために、
まずは基礎的なビジネススキルの習得に励んでいる。
「学生は、夏にインターンシップで訪れる企業を秋に再訪問し、
今度はその企業のことを中学生に教える側にまわる。
学生には、自らの学びを振り返ることによって様々な気づきがあり、
中学生にとっては、自分の将来像を考えるいい機会になる」
荒井明・特命准教授(42)。
昨年度リーダーを務めた経営法学科4年の宮腰裕之さん(21)は、
中学校と企業の双方から要望を聞き、銀行の業務を考える
クイズや座談会などのプログラムを企画。
「金融業界への理解が深まっただけでなく、
中学生に分かりやすい話し方を工夫することで、
コミュニケーション能力が高まった」
今年度のリーダーで経済学科3年の加藤大貴さん(20)は、
「中学生と接することによって、もう一度自分を見つめ直し、
今の自分の立ち位置を確認したい。
その上で、いまの自分に足りないものを見つけられれば」と抱負。
「キャリア教育を、もっと長い期間でとらえたのが人生設計で、
就職とは分けて考えるべきものだ」と荒井特命准教授。
内定はゴールではなく、大切なのはその後も続く人生を描くこと。
同大が、あえて「キャリア教育」という言葉を使わない理由は、
そこにある。
◆14歳の挑戦
富山県が1999年から始めた就業体験プログラム。
中学2年生が1週間、学校外で職場体験活動や
福祉・ボランティア活動など参加、将来の自分の生き方を考える。
2009年度、県内全公立中82校の生徒9701人が、
3208事業所で社会体験をした。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100618-OYT8T00259.htm
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