2010年6月23日水曜日

大学の実力 就業力(4)地域で実践「職」へ自信

(読売 6月16日)

「実は、私も昨年末まで就活をしていた。
一般企業から転職して、この大学に来た」
職員が熱い口調で語り始めると、どこかうわの空だった
学生たちの表情が引き締まった。
身近な大人の体験談が、就職をより身近なものに感じさせた。

千葉商科大学で行われた1年生の必修科目「研究基礎」。
初年次から職業について考えさせるため、この日は
キャリア支援センターの見学ツアーが企画。

「生涯キャリア教育」を掲げる同大が目指すのは、
実践的な就業力。
「学生が、大学で学んだことを地域に出て実践すれば、
本物の勤労観や職業観、職業倫理が身につく。
学生とかかわった地域の人々のキャリア形成支援にもつながる」
鮎川二郎・商経学部教授(68)。

そのために考え出されたプロジェクトは、子どもが経済活動の
疑似体験をする「キッズビジネスタウンいちかわ」、
学生が起業したテニススクール商店街の活性化策提案など、
多岐にわたる。

キッズタウン実行委員会副代表で、
商学科4年の進藤斐香さん(21)は、
「最初はできなかった子どもが、できるようになっていくのを
見るのがうれしかった。
教員志望だったが、子どもの成長にたずさわる職業に就きたい、
という気持ちが決定的になった」

商店街活性化にかかわった経済学科4年の長島郁也さん(21)は、
「大学で学んだことをやろうとしても、
実社会ではうまくいかないことが多かった。
机上の論理を崩して、地域の人々の意見を聞きながら、
自分たちで考えていくしかなかった」

経営学科4年の板垣貴也さん(21)は、
「株式会社体育会テニス部」の専務を務める。
「お金をいただいてレッスンする重さをかみしめながら、
日々働くということを経験している。
将来は、テニススクールを起こしたい」

理論として身につけたものが、地域に出て通用すれば、
学生は大きな自信をつける。
反対に、「それでも大学生か」と批判され、恥をかくことも。
どちらに転んでも、大学ではできない経験を通して、
新たな発見をした学生たちは、学びへの動機づけを高めていく
と鮎川教授は強調。

教員だけでなく、地域の力を借りながら、
学生の就業力を高めていく。
そこに、「実学」を教育理念とする同大のキャリア教育の神髄がある。

◆キッズビジネスタウンいちかわ

千葉商科大が2003年から始めた、学生手作りの教育プログラム。
小学生以下の児童・幼児が市民となる仮想の街を、
キャンパス内に構築。
子どもがしたい仕事を好きな時間行った後、
働いた時間に応じた地域通貨を得て、社会の仕組みを学ぶ。
同大を参考に、愛知や秋田、長野の商業高校などで
同種の試みが広がっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100616-OYT8T00281.htm

0 件のコメント: