2010年6月23日水曜日

がんは「赤」、光らせ識別 群馬大、有機ELで新技術

(2010年6月14日 共同通信社)

ディスプレーなどに用いられる有機EL素材を使い、
体内にあるがん組織を赤く光らせ、見えるようにする技術を、
群馬大の竹内利行副学長(内分泌代謝学)、
飛田成史教授(光化学)らが12日までに開発。

ごく小さながんは、目視では見落としやすいが、
内視鏡検査と組み合わせると、胃や大腸など
組織の表面にできる微小ながんの診断に役立つ。

竹内さんらによると、有機EL素材の一種「イリジウム錯体」という
化合物に特殊な光を当てると、酸素濃度が空気と同じ
20%程度の環境では光らず、10%程度より低いと光る。
がん組織は、細胞の増殖が速く、低酸素状態になっており、
この化合物を利用して光らせることができると考えた。

竹内さんらは、低酸素の環境で赤く光るようにした
イリジウム錯体を作り、がん組織を移植したマウスの静脈に注射、
がんの部位を光らせることに成功。
実験では、2mm程度でもがんと判断でき、
表面からの深さが1cm以内なら把握できる。

イリジウム錯体は、生物には無害とされる。
内視鏡の先から噴霧して消化管に吸収させ、光るかどうかによって、
がんの有無を調べるなどの使い方が考えられる。

がん診断には、陽電子放射断層撮影装置(PET)や
磁気共鳴画像装置(MRI)も使われるが、
今回の方法は、費用が比較的安く済む。

Cancer Res. 2010 Jun 1;70(11):4490-8.
Phosphorescent light-emitting iridium complexes serve as a hypoxia-sensing probe for tumor imaging in living animals.
Zhang S, Hosaka M, Yoshihara T, Negishi K, Iida Y, Tobita S, Takeuchi T.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/14/121576/

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