(読売 6月19日)
今回の連載では、キャリア教育に力を注ぐ
七つの大学の実践を報告。
大学生の就業力を育成するため、文部科学省が今年度から始める
支援事業には、442件(短大、共同申請含む)の申請があり、
8月までに財政支援を受ける約130件が選ばれる。
中央教育審議会委員として、キャリア教育の重要性を訴える
独立行政法人大学評価・学位授与機構の荻上紘一教授に、
大学がキャリア教育に取り組む意義などについて聞いた。
新卒で就職する学生の3割が、3年以内に離職しているという
データがあり、若年無業者(ニート)も社会問題化。
働くことに意義を見いだせないまま、社会に出る学生が増えている。
今年2月に改正された大学設置基準では、
学生が社会的・職業的自立を図るため、
必要な能力を「就業力」として、大学に
キャリア教育(キャリアガイダンス)を義務づけ。
「就業力は本来、小中高校で身につけておくべきものとの
考えもあるが、責任のなすり合いをしていてもしかたない。
大学が、学生を社会に送り出す役目を担っている以上、
教育の責任を果たさなければならない。
育成事業を通して、大学4年間で体系的・組織的に働く意義を
教え込む取り組みを、全国の大学に広げていかなければならない」
大学が、キャリア教育に取り組むことに拒否反応を示す
教員は少なくない。
就職課が中心となって進める就職(就社)支援を、
キャリア教育と混同する考えが、依然として根強い。
事業が目指すのは、あくまでも教員が主体となってかかわる
教育プログラム。
就社のための技術指導や、就職支援スタッフの増員による
就職先開拓などは、はなから対象外として想定していない。
大学を今春卒業した就職希望者の就職率は91・8%と、
過去最低だった2000年卒の91・1%に次いで低く、
雇用情勢は厳しい。
働きたくても働く場がないのは悲劇だが、
育成事業が目指すのは、単に職に就くための支援ではない。
「卒業後も自らの資質を向上させ、
自力で人生を設計していく生きる力。
そうした能力を身につけた学生を社会に送り出すのが、
大学教育に課せられた使命だ」
◆おぎうえ・こういち
東京都立大学総長、公立大学協会会長などを経て、
独立行政法人大学評価・学位授与機構教授に。
中央教育審議会委員を務める。69歳。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100619-OYT8T00243.htm
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