2010年6月26日土曜日

大学の実力 就業力(7)独立行政法人 大学評価・学位授与機構教授 荻上紘一さんに聞く

(読売 6月19日)

今回の連載では、キャリア教育に力を注ぐ
七つの大学の実践を報告。

大学生の就業力を育成するため、文部科学省が今年度から始める
支援事業には、442件(短大、共同申請含む)の申請があり、
8月までに財政支援を受ける約130件が選ばれる。
中央教育審議会委員として、キャリア教育の重要性を訴える
独立行政法人大学評価・学位授与機構の荻上紘一教授に、
大学がキャリア教育に取り組む意義などについて聞いた。

新卒で就職する学生の3割が、3年以内に離職しているという
データがあり、若年無業者(ニート)も社会問題化。
働くことに意義を見いだせないまま、社会に出る学生が増えている。

今年2月に改正された大学設置基準では、
学生が社会的・職業的自立を図るため、
必要な能力を「就業力」として、大学に
キャリア教育(キャリアガイダンス)を義務づけ。

「就業力は本来、小中高校で身につけておくべきものとの
考えもあるが、責任のなすり合いをしていてもしかたない。
大学が、学生を社会に送り出す役目を担っている以上、
教育の責任を果たさなければならない。
育成事業を通して、大学4年間で体系的・組織的に働く意義を
教え込む取り組みを、全国の大学に広げていかなければならない」

大学が、キャリア教育に取り組むことに拒否反応を示す
教員は少なくない。
就職課が中心となって進める就職(就社)支援を、
キャリア教育と混同する考えが、依然として根強い。

事業が目指すのは、あくまでも教員が主体となってかかわる
教育プログラム。
就社のための技術指導や、就職支援スタッフの増員による
就職先開拓などは、はなから対象外として想定していない。

大学を今春卒業した就職希望者の就職率は91・8%と、
過去最低だった2000年卒の91・1%に次いで低く、
雇用情勢は厳しい。
働きたくても働く場がないのは悲劇だが、
育成事業が目指すのは、単に職に就くための支援ではない。

卒業後も自らの資質を向上させ、
自力で人生を設計していく生きる力。
そうした能力を身につけた学生を社会に送り出すのが、
大学教育に課せられた使命だ」

◆おぎうえ・こういち

東京都立大学総長、公立大学協会会長などを経て、
独立行政法人大学評価・学位授与機構教授に。
中央教育審議会委員を務める。69歳。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100619-OYT8T00243.htm

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