2008年2月23日土曜日

予防できる?認知症:/上 住民主体の活動拡大 体操、食事など生活習慣改善

(毎日 2月20日)

認知症対策は介護費用を抑える上でも重要だが、主因の一つ、
アルツハイマー病の予防・治療法はまだ確立していない。
国は、10年計画で具体的な予防法の開発・普及を目指す。

脳の活性化になる、と人気の体操がある。
手の動きから「フリフリグッパー」と名付けられた。
茨城県利根町の保健センターを中心に、認知症予防策の一つとして始まった。

認知症と生活習慣には関係があるのか。
筑波大の朝田隆教授から01年、利根町に協力要請があった。
65歳以上を対象に、記憶力など認知機能のテストも実施。
約400人が、栄養、運動、睡眠のいずれかの実習に参加。

「フリフリグッパー」は、この運動実習で取り入れられた。
筑波大の征矢英昭准教授が、「血流改善が脳の働きを活性化する」と考案。
栄養実習では、動脈硬化を防ぐドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取、
睡眠実習では30分程度の昼寝--などを実践。
3年後、参加者は再び認知機能のテストを受け、
朝田教授らが実習に参加しなかった住民と比較。

実習参加者では記憶力が改善した人が多く、
軽度認知障害(MCI)から認知症へ進む割合も低い。

町は、住民ボランティアの協力を得て運動集会を続けることに。
3カ所で月2回、50人程度がボール運動後、フリフリグッパーをする。
夫婦で参加する河野晴哉さん(78)は、
「体操をすると調子がいい。テストも張り合いになる」。
保健センターの村田啓子所長は、
「運動は一人では続けにくいので、住民が集まる場は貴重」。

練馬区は05年度から、住民ボランティアによる認知症予防推進員の育成
約300人が、ウオーキングなど自ら企画して活動。
推進員3年目の三ケ崎清政さん(65)は、義父母の入院を契機に応募。
老人クラブでフリフリグッパー体操を紹介したり、公園の調査など
「高齢者の居場所づくり」に取り組む。

認知症予防検討委員会が推計した10年後の認知症発症者数は、8800人。
紙崎修・区福祉部参事は、
「対応次第で減少可能。客観的データを知らせることが必要」と公表。
都老人総合研究所の「地域型認知症予防プログラム」を参考に、
三ケ崎さんのような住民主体の活動が始まった。
「これだけ人口が多いと、区が行うだけでは焼け石に水」。

都老研の本間昭参事研究員らが開発したプログラムは、
まだ認知症ではない高齢者を対象に、パソコンや旅行、料理などの活動。
認知症の前段階で低下が始まる「エピソード記憶(体験を思い出す能力)」、
「注意分割能力(二つ以上のことに注意を配りながら作業)」、
「計画力(段取りを考えて新しいことをする)」--などを鍛え、
最後は自分たちで運営し活動を続けること(自主化)を目指す。

宇良千秋研究員によると、アルツハイマー病の予防は運動や食事のほか、
知的活動、人との接触なども関連があり、
早い段階で脳の機能を鍛えれば発症を遅らせることができる。

愛知県豊橋市は、住民主導型のプログラムを取り入れている。
市介護保険課は、「(住民主導型プログラムは)参加者が認知症予防の目的を
意識しているので、『自力で続けよう』という意欲が強く、自主化しやすい。
発症者への理解も深まり、認知症対策に多くの住民を巻き込める」。
12グループ90人が参加、ほとんどが今も自主的に活動を続けている。

都老研のプログラムは、他府県も含め20以上の自治体が採用。
短期間で多くの住民に参加させたいという自治体の要望で、
当初4カ月16回だったプログラムを、5回でも自主化できるように改良中。
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◇Q&A
認知症はどういう病気なのか。
浴風会病院の須貝佑一精神科診療部長に聞いた。

Q 認知症は予防できる?
A 海外の疫学調査で、予防の可能性を示すデータが蓄積。
食事や運動、頭の使い方などが複雑に関係。

Q もの忘れは認知症の始まり?
A 年齢的なもの忘れは、記憶の回路が残っており後で思い出せるが、
認知症は記憶全体がすっぽり抜け落ち、ヒントを与えても思い出せない。
ただ、最初は家族も気付かないことが多い。

Q 軽度認知障害(MCI)とは?
A 通常の物忘れから認知症に移る期間のことで、
早く対策を打てば発症を遅らせられるのではと注目。
診断基準がなく、MCIの何割が約何年で認知症に移行するか見解が分かれる。
記憶力、注意力、計算力など障害にも複数のタイプがあり、異なる対応が必要。

Q 脳は鍛えるべきか?
A 「認知的予備力」といい、社会活動などで神経細胞ネットワークを
増やしておくと、病気になっても症状の出方が遅れる。
運動、食事、認知的予備力の3本柱のうち、運動と食事を基本に、
計算ドリルなどは楽しめる範囲で。
機能が衰えた人に無理強いはよくない。
自治体の予防事業も、検診に来なくなった人をどうすくい上げるかが課題。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/02/20/20080220ddm013100141000c.html

外部資金得られない国立大学の生きる道は

(サイエンスポータル 2008年2月19日)

国立大学法人の運営費交付金、私立大学の経常費補助金など、
経常的資金は年々減っている。
少子化の影響で学生数が減り、入学金や授業料収入の増加も難しい。
財政状況が悪いのだから、国立大学法人も影響を受けるのは仕方ない。
将来、運営費交付金がどうなるかはっきりしないので、
中期計画や長いスパンの計画が立てられない。
こうした逆境に立ち向かう国立大学の有効な手立てはあるか?

方策の一つとして、外部資金を増やす算段。
科学研究費補助金をはじめ、競争的資金は毎年増え続け、
競争的資金の獲得が大学の生き残る道の一つ。

何度も科学研究費補助金を獲得した経験のある教員が
講師を務める勉強会を開いたり、申請書の学内チェックを行うなど、
さまざまな取り組みに力を入れている。
これまで外部資金に縁がない研究者にも、頑張ってもらう狙い。
努力をしている大学とそうでない大学とで違いが出るが、
外部資金を得やすい大学と、運営費交付金に
頼らざるを得ない大学との分極化は避けられそうもない。

科学技術政策研究所は、大学の努力を定量的に評価した
初めての報告書「国立大学法人の財務分析」を公表。
基盤的資金、競争的資金の実態を中心に、国立大学の財務に関する
基礎データを整理、分析し、将来像を考える検討材料に。

報告書では、87ある国立大学法人の財務諸表、業務報告書から、
運営費交付金収益、施設費収益、自己収入(授業料、入学金、病院収入)、
外部資金関係収入(寄付金、受託研究・事業収益、補助金)などの“収入”と、
業務費(教育・研究・診療経費)、人件費、一般管理費、財務費用などの
“支出”を抽出し、大学の役割である「教育」、「研究」、「社会貢献」面で
どのような収入と支出があったかを分析。
基盤的資金(運営費交付金、施設整備補助金)に対する外部資金
(外部資金、科学研究費補助金)の比率を算出している個所がある。

旧帝国大学など大規模大学や、理工系中心大学では、
競争的資金の拡充とあいまって、外部資金の比率が高い。
13の大学が、40%超。
18年度決算では、トップは東京大学(70%)、東京工業大学(63%)、
東京農工大学(61%)、京都大学(60%)、大阪大学(59%)、
東北大学(55%)、奈良先端大学院大学(52%)。

一方で、教育大学や文科系が中心の大学では外部資金比率は低い。
「外部資金割合が20%未満の場合、
何らかの機能に特化しなければ、経営は厳しくなりそう」
外部資金収入の比率が20%に満たない大学の数は48と、全体の55%に。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0802/0802191.html

2008年2月22日金曜日

ウイルス撃退タンパク発見 新型インフルにも有効?

(共同通信社 2008年2月19日)

ウイルス感染から守るために作られる「インターフェロン」を、
体内で増産させるタンパク質を理化学研究所の渡会浩志上級研究員らの
チームが発見、米科学アカデミー紀要電子版に発表。

マウスでこのタンパク質の働きを高め、感染したウイルスの撃退に成功。
将来、人間に応用できれば、ワクチンが存在しない新型インフルエンザなどの
有効な治療法開発につながる可能性。

感染初期に大きな役割を果たす「樹状細胞」と呼ばれる免疫細胞で、
ウイルスを認識すると、インターフェロンが作られることは分かっていたが、
詳しい仕組みは謎。

チームは、樹状細胞の表面で、ウイルス感染時にだけできるタンパク質
「PDC-TREM」を発見。
このタンパク質の働きを高めると、インターフェロンが増え、
働きを抑えると減少することを突き止めた。

マウスにタンパク質の働きを高める物質を投与した上で
ヘルペスウイルスに感染させると、投与しないマウスはすべて死んだが、
投与したマウスは体内でインターフェロンが大量に作られウイルスを撃退、
約8割が生き残った。

逆に、タンパク質の働きを抑える物質を投与したマウスは、
投与しないマウスが死なない程度の弱いウイルスでも、すべて死んだ。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=67774

リハビリにWiiを導入 意欲向上に効果と

(CNN 2月17日)

脳卒中の後遺症や骨折、手術などによって身体機能の一部を損なった
患者の回復を図るリハビリテーションに、
任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」を導入する動きが、
米国内の病院などで目立っている。
単調になりがちなリハビリへの意欲を向上させるといった効果。

米イリノイ州南部のヘリン病院は、昨年からWiiを活用。
患者は、モーションセンサー付きのコントローラーを操作し、
画面上でのテニスやボクシングに熱中するうち、
知らず知らずに従来のリハビリと同様の運動を繰り返す。

リハビリ部門責任者のジェームズ・オズボーン氏は、
「画面に現れる架空の相手を倒すことに集中するから、
リハビリのつらさを感じなくなったという患者が非常に多い。
苦痛から意識をそらすことで、運動もスムースになる」。

ノースカロライナ州ローリーのウェークメド・ヘルス病院では、
9歳~80歳代までの患者が、Wiiを取り入れたリハビリに取り組んでいる。
脳卒中で倒れ、左腕にまひが残った元警官のビリー・ペリーさんは、
「孫たちがWiiで遊んでいるのを見たことがあったので、
病院でリハビリにと提案されて飛びついた。
楽しいから、体がリラックスして動かしやすくなるね。
今度孫を訪ねた時には、仲間に入れてもらうつもり」。

Wiiは、イラクなどで負傷した米兵を受け入れる軍病院でも活躍。
負傷兵は、20代前半の若者が多く、普段からゲームを楽しむ層と重なり、
Wiiによるリハビリを受け入れるのに何の抵抗もないよう。
ミネソタ州ミネアポリスでは、ミネソタ大と地元病院が共同で、
Wiiのリハビリ効果を科学的に裏付けるための研究に取り組んでいる。

任天堂には、Wiiをリハビリ用として売り込む動きは特にみられないが、
「リハビリという分野に新たな活用法が見出されるのは、喜ばしい」。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200802170021.html

たばこの害が深刻、年間100万人が死亡と インド

(CNN 2月14日)

人口世界第2位のインドで、たばこが原因の疾病が増加し、
2010年までに年間死者が約100万人に達するとの調査報告を、
国際研究チームがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表。

インドとカナダ、英国の医師や研究者が協力し、調査員約900人を動員、
インド国内の110万世帯を詳しく調べた。
2001~03年に亡くなった7万4000人と、生存中の7万8000人についての
たばこ歴を追跡。これほど大規模な調査は、インドでも初めて。

その結果、インドの喫煙人口は現在、約1億2000万人で、
男性の30%、女性の5%がたばこを吸っていた。
たばこに関連した疾病による死者のうち、
半数以上が貧困層や文字が読めない人々。
これは、通常のたばこよりも小さく、その分安いたばこの流通が原因。

現在はたばこの包装紙に、「文字」でたばこの危険性を警告しているが、
文字を読めない人々にとっては、その情報が伝わっていない。

たばこの死者が今世紀中に10億人に達するとの予測を報告した
世界保健機関(WHO)も、今回のインドにおける調査結果を評価。
インドのラムドス保健相は、この調査結果を重く見て、
「特に貧しい人々へのたばこ教育を強化する」と、
包装紙へ印刷する警告を、文字ではなく写真や絵に変えるほか、
安いたばこについても増税を検討。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200802140028.html

2008年2月21日木曜日

過労になると脳下垂体細胞が次々と死滅 大阪市大実験

(朝日 2008年02月15日)

極度の過労によって、脳の中心部にある内分泌器官、
脳下垂体の細胞が次々と死滅していることを、
大阪市立大の研究チームがラットによる実験で判明。
過労は、生体の機能が落ちるだけとみられていたが、
実際は生命維持の中心器官の一つが破壊されていることを立証。

06年度の脳・心疾患で死亡した「過労死者」は147人。
過労を早く見つける「過労マーカー」の開発に役立つと期待。

大阪市立大の木山博資教授(解剖学)らは、
ラットの飼育箱の底に1センチ強の深さに水を張り、5日間観察。
ラットは、体が水にぬれるのをとても嫌う性質があり、
立ったまま数分うとうとする程度しか眠れなくなる。
徹夜で働く人間と、ほぼ同じ状態。

このような状態のラットの脳下垂体を調べると、
5日目に細胞が死滅し始め、下垂体の中葉と呼ばれる部分がスポンジ状に。
下垂体中葉には、脳の神経核A14という部分から
神経伝達物質ドーパミンが供給。
疲労がつのるにつれて、A14のドーパミン生産能力が減り、
下垂体の死滅細胞が増えていた。

実験後、飼育箱から水を抜くと、ラットはすぐに睡眠をとり、
半日後には活動を再開。
しかし、下垂体が元の状態に戻るには数日間かかった。
早めの休養が重要であることを示している。

http://www.asahi.com/science/update/0215/TKY200802150139.html

笑い測定機開発、大爆笑4秒で20「アッハ」 関西大

(朝日 2008年02月16日)

笑いの度合いを数値化し、アッハ(aH)という単位で表す
「笑い測定機」を関西大の木村洋二教授(コミュニケーション論)と
大学院修士課程2年の降旗真司さんの研究チームが開発。
笑いは、健康にいいといわれるが、
それを科学的に検証するために役立てたい。

ほお、横隔膜、腹筋の周辺の皮膚にセンサーを張り付け、
1秒に3千回の頻度で、筋肉を動かすときに発生する
微弱な電気(筋電位)を測定。
これをパソコンに取り込み、独自開発の専用ソフトで解析し、
笑いの程度を判定。
心から笑っていない人を見破ることもできるという。

木村教授によると、大爆笑は1秒あたり5アッハほどで、
これが4秒続くと20アッハになる。

07年に測定機の原理に関する特許を出願。
開発費は約600万円。

http://www.asahi.com/science/update/0215/OSK200802150063.html

2008年2月20日水曜日

スポーツ中の突然死:前日、十分睡眠を 指導者や教員へ知識、技術普及を

(毎日 2月15日)

健康維持にスポーツは欠かせないが、スポーツ中の突然死は後を絶たない。
防止するには、どうしたらよいのだろうか?

東京都済生会中央病院の三田村秀雄副院長(循環器)によると、
スポーツ中の突然死の原因は年齢によって大きく異なる。
若年層の場合は、心臓に生まれつき異常や疾患があったり、
乳幼児期に川崎病にかかったケースなどが多いが、
中高年の場合、多くが心筋梗塞。

「スポーツでの突然死のリスクは、安静時の17倍というデータも」。
心臓突然死は予測できないが、心筋梗塞の4大危険因子と言われる
高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙は危険度を高める。

予防には、普段から定期的にトレーニングして急に激しいスポーツをしないこと、
スポーツをする前日は十分な睡眠を取ること。
風邪もあなどってはいけない。
風邪が原因で心筋炎を起こすことがあるから。

スポーツ前やスポーツ中に胸痛、血の気が引くような感じのめまい、
脈の乱れを感じるような動悸があったら、すぐ中止する。
汗をかいて脱水状態になると、血液が固まりやすくなるので、
こまめな水分補給を心がける。

スポーツの前後にウオーミングアップとクールダウンを十分することや、
普段の健康チェックも重要。
心電図は安静時だけではなく、スポーツ時の負荷をかけた状態でも取るとよい。

もし倒れた場合は、いかに早く対処できるかが生死を分ける。
「3分以内に対処できれば、7割が助かる。
人が倒れたら、心停止かもしれないという意識を持つこと。
AED(自動体外式除細動器)の配備が進んでいるが、
目につくところに置き、何かあった時のシミュレーションをしておくことが大事」。

とはいえ、周囲の人がどうしていいか分からず、
時間ばかりたってしまうこともありうる。
全米公認アスレチックトレーナーの資格を持つトレーナーらが発足させた
NPO法人、スポーツセーフティージャパン(佐保豊代表理事)は、
無料の携帯電話サイト「スポーツセーフティー」
http://www.sports-safety.net/m/ss)で、
緊急事態への対応を写真入りで解説した「緊急対応ガイド」を配信。

「人が倒れて動かない」、「痛がっている」、「息苦しそうにしている」、
「意識がもうろうとしている」、「けいれんしている」の五つの入り口から、
状況に応じた対処法が分かる仕組み。

人が倒れている場合、周りの安全を確認した上で、意識の有無を確認。
意識がない場合は、救急車を呼ぶと同時にAEDの用意も指示。
気道を確保し、口の中に異物があれば取り除き、呼吸の有無を確認。
AEDがある場合には使い方を、
ない場合には人工呼吸や心臓マッサージの手順を解説。

日本は、スポーツ事故を予防しようという意識や技術の普及が遅れている。
米国での調査では、スポーツでの事故は7~8割が予防できる。
特に、子どものスポーツにかかわる指導者や学校の先生、施設関係者、
保護者は責任として、最低限の知識を身につけてほしい」。

http://mainichi.jp/life/health/news/20080215ddm013100172000c.html

英国、五輪出場の選手にマスク配給か 競技には使わずと

(朝日 2月15日)

英国オリンピック委員会は、今夏の北京五輪に出場する同国選手に
大気汚染対策でマスクを支給することを検討している。
ただ、汚染が大会前に改善されれば実施しないと、
中国政策の汚染対策の徹底を促している。
競技中の着用はない。

委員会首脳は、マスク配給は選手を支援するための選択肢の一つと指摘。
大会では、メダル獲得を目指し、
競争相手を負かさなければならないとも語り、
事態の推移次第ではマスク着用を命じることを明らかに。
支給を検討しているマスクは、大学などが開発した特殊品。

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200802150034.html

柔道着の色 青と白どちらが有利?英研究チームが分析

(朝日 2008年02月17日)

青と白ではどちらが有利か――
柔道の国際大会で選手が着る柔道着について、
青色の方が勝率が高いとの説を覆し、色の違いの差はないとする結果を、
英グラスゴー大の研究チームが英王立協会の紀要に発表。

格闘技の着衣や防具の色をめぐっては、複数の別の研究チームが、
アテネ五輪(04年)などの結果から、色による勝率の差を指摘。
例えば、柔道では白色より青色の方が勝率が高いとされ、
青色と赤色に分かれて対戦するアマチュアレスリングやボクシングでは
赤色が有利とする説。

理由は不明だが、青や赤は相手に威嚇的な印象を与えるという見方や、
白はよく目立つために動きが読まれやすいといった理由。

グラスゴー大のチームは、96~05年に行われた柔道の世界選手権や
オリンピックのうち、シード選手が青色の柔道着を着る慣例があり、
勝率に偏りが生じかねない試合を除外。
決勝戦のみ、501試合を選んで分析した結果、
青の勝率は50.7%で白とほぼ同じ。

http://www.asahi.com/science/update/0217/TKY200802170164.html

2008年2月19日火曜日

健康ナビ:マラソンの後、足のつめが黒くなります。どうすればよい?

(毎日 2月15日)

高田整形外科病院の小嵐正治医師は、
「足先が靴にあたって圧迫されるのが原因」。
つめが黒くなるのは、つめの裏の「爪床」という組織の毛細血管が壊れ、
つめとの間に血がたまるため。

対策としてまず、つめが靴で圧迫を受けないよう、
足先に1センチぐらい余裕のある靴を選ぶ。
走行中にひもがゆるんだら、早めに締め直す。
特に、下り坂の場合、足が前に滑り出て足先が靴に当たるので要注意。
結ぶ部分だけ締めるのではなく、下の方から引っ張り上げることが大切。

つめが黒くなった場合、たまった血の圧力で、つめがはがれることがある。
走っている最中にはがれているのに、レース後に気付く場合が多い。
少しでもくっついていれば無理にとらず、
ばんそうこうでとめておいた方が回復が早い。
はがれなくても、強い痛みを感じることもある。
その場合、外科か整形外科で血を抜くと楽になる。
注射針などで穴を開けるだけの安全な処置。
つめが黒くなっても、痛みがなければ翌日からでも走って構わない。

ランニングなどの専門店「アスリートクラブ」の三宅秀敏さんは、
「靴の中で足が横ぶれすることが原因の場合もある」。

着地のときにかかとから入り、外側を通って親指に抜ける
「足圧中心軌跡」を描くのが理想的な走り方。
しかし、骨格や筋肉の付き方などで、親指に抜ける前に外側にぶれる
走り方になっていると、無意識のうちにつめを立て、つめが黒くなる。
自分に合った中敷きを作ると(同店では8925円~)、
足にかかる圧力が分散されて正常な走り方になり、
横ぶれを防げるという。

http://mainichi.jp/life/health/news/20080215ddm013100174000c.html

湯川秀樹博士:直筆のノーベル賞論文、ネットで公開--京都大

(毎日 2月14日)

日本で初めてノーベル賞を受賞した理論物理学者、
湯川秀樹(1907~81)の受賞論文の手書き原稿を、
京都大がインターネットで公開。

リポート用紙13枚から成る「素粒子の相互作用について1」の全文。
大阪帝国大講師時代の34年、学位を取るため書き始めた初論文で、
丁寧な筆記体の英語で書かれている。
http://www.ocw.kyoto-u.ac.jp/jp/

現役の京大教授によると、
「アイデア自体は単純。優秀な大学3年生なら理解できる」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/02/14/20080214ddm012040152000c.html

2008年2月18日月曜日

スポーツ21世紀:新しい波/260 陸上・実業団選手登録/4

(毎日 2月16日)

昨夏の世界陸上選手権大阪大会に、高校生でただ一人、
日本代表として出場した絹川愛=宮城・仙台育英高3年=が、
スポーツ用品メーカーのミズノに入社。
絹川は、「仕事として(陸上を)やっていく自覚を持たなければ」。
入社内定は1月。
これほど実績がある選手の進路決定が、年明けまでずれ込むのは珍しい。

一因は、昨春、豊田自動織機入社と同時に岡山大に入学した
小林祐梨子の実業団登録問題。
仙台育英高の渡辺高夫監督が、
「絹川の進路も、最優先は大学プラス実業団だった。
可能性を探るため、推移に注目していたのだが……。
進学は北京五輪後でも、競技生活が終わってからでも遅くないと
絹川本人には話している」

今春の定年退職後も引き続き絹川を指導する渡辺監督は、
登録問題について「それぞれ言い分があり、出口はない」。
ただ、日清食品の監督を務めた経験を踏まえ、こう指摘した。
「チームを持つ意味を社内の福利厚生に求めるなど、
企業の多くは視線が内に向いている。
駅伝だけでなく、選手を日本代表に送り込むことを
ビジネスとしてとらえることができないものか。
少し変わったことをしようとする選手や指導者を排除する体質も、
変えるべき時が来ているのでは」

進路や競技に取り組む価値を、金銭(年俸や給与)や待遇など
物質的な要素で判断する傾向に拍車をかけるとして、
ビジネスという考え方を疑問視する実業団関係者は多い。
小林や絹川は、高校時代から日の丸を背負った特例で、
従来の発想にとらわれない進路選択できるのも事実。

一方、注目度が高い選手の事例だからこそ、
他選手に与える影響が大きいという側面も。
「今は、彼女が道を開く形になっている。
しかし、未成年の小林自身が矢面に立つのはねえ。
五輪でメダル取得後、選手の権利を主張して戦った有森裕子とは立場が違う。
将来にプラスになるとは思えない」。
渡辺監督は、選択肢が広がる流れを支持しながらも、
小林が置かれた状況を憂慮する。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

ES細胞を使って赤血球を無限に作製 マウスで理研めど

(朝日 2008年02月06日)

万能細胞の一種、胚性幹細胞(ES細胞)を使って
赤血球を無限に作り出す方法にマウスでめどをつけたと、
理化学研究所バイオリソースセンター中村幸夫室長らが、
米科学誌プロスワンに発表。

すでに人間のES細胞でも同様の研究を始め、
別の万能細胞(iPS細胞)を使った研究も計画。
臨床応用できれば、輸血用血液の不足を補えそう。

これまでに、人の骨髄などにある血液(造血)幹細胞から
赤血球を効率よく作る手法を確立しているが、
血液幹細胞には寿命があり赤血球を無限に作らせることはできなかった。

今回は、マウスの8種類のES細胞株を使い、
栄養細胞や増殖因子とともに繰り返し培養。
その結果、1年以上増殖し続ける赤血球の前段階の細胞
(赤血球前駆細胞)の株を作ることに成功。
前駆細胞は赤血球のもとで、赤血球を無限に作れる。

薬で急性貧血にしたマウスにこの前駆細胞を移植すると、
赤血球の数やヘモグロビンの量などが増え、
体内で前駆細胞から赤血球ができたことが裏付け。
貧血症状も改善。

重症のマウスでは、前駆細胞を移植した8匹のうち7匹が生き延びたが、
移植しなかった8匹では7匹が死んだ。
万能細胞から作った細胞では、異常増殖などによるがん化が最も怖い。
一方、完全な赤血球まで分化させれば、
増殖にかかわる情報を持つ核が抜け、がん化の心配はない。

今回作った前駆細胞株では、できた赤血球の9割に核が残り、
分化は不完全だが、放射線を当てて核が残る赤血球を完全に除くことも。
血液の細胞成分で、無限作製への道が見えたのは初めて。
人で実用化できれば、輸血用赤血球の不足が解消され、
輸血血液を介した感染リスクの低減にも一役買いそう。
同じ血液型なら、他人のES細胞が使える。

中村さんは、「人の血液幹細胞から成熟した赤血球を作る手法が
すでにあることを考えると、臨床応用にかなり近づいた」。

〈中内啓光東京大教授(再生医学・幹細胞治療)の話〉

ユニークで、実用性が高い成果。
赤血球は核がなく、移植の安全性も高い。
造血系や免疫系は人間とマウスで似ており、
人間の万能細胞でもできる可能性が高いだけに、
近い将来の臨床応用が期待。

http://www.asahi.com/science/update/0206/TKY200802060040.html

2008年2月17日日曜日

路面電車見直しへ実証実験

(サイエンスポータル 2008年2月13日)

都市内交通の円滑化、CO2、NOX排出など環境負荷の軽減、
さらには超高齢社会への対応といった観点から、
路面電車の利用促進を狙った情報提供実験が、広島市で始まった。

実験は、広島駅、広島港、広電宮島口などを結ぶ広島電鉄の一部電停で実施。
大型液晶モニタによる情報提供装置を設置し、到着する電車、
次に到着する電車の行き先、到着までの予想時間のほか、
身障者向きの床が低い車種かどうかといった情報を表示。
一部の電停では、混雑度も表示し、さらに電車とバスの乗り継ぎ駅では、
接続する電車の接近情報をバスに提供し、バスの運行調整によって
乗り継ぎを円滑にする試みも実施。
実験は29日まで行われ、路面電車の利便性や課題を検証したい、
と実験を実施する国土交通省は言っている。

国土交通省 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/04/040207_.html

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0802/0802131.html

「人力発電」歩くだけで携帯10台分 平均出力5ワット

(朝日 2008年02月12日)

走ったり歩いたりする際、ひざにかかる力の一部を吸収して
電気に変える人力発電装置を、カナダと米国の研究チームが開発。
平均出力は5ワットに達し、携帯電話なら約10台を
一度に動かすことができるという。
発電設備のない場所で電力供給するのに役立つかもしれない。
人がうまく歩けるのは、踏み込んだときに余った力を
太ももの裏側の筋肉などで吸収し、動きをコントロールしている。

研究チームは、足を振り出す際にこの余分な力を効率よく吸収し、
発電機を回して運動エネルギーを電気に変える装置を開発。
装置を足に付けた6人に、ランニングマシンの上で歩いてもらったところ、
体にほとんど負担を感じることなく発電することに成功。
そのうち1人は、走ることで最大出力54ワットを得ることができた。

これまでに靴に取り付ける人力発電装置などが開発されてはいるが、
出力は0.8ワットが限度。
研究チームは、へき地でのコンピューター利用や
携帯用医療機器の電源などに役立つとみている。

http://www.asahi.com/science/update/0207/TKY200802070397.html