2010年3月20日土曜日

日本語を学ぶ(2)「聞・話・読・書」の能力把握

(読売 3月4日)

子どもの日本語能力判定などを取り入れた
「鈴鹿モデル」が関心を集めている。

三重県鈴鹿市立牧田小学校の「いきいき教室」国語科に、
ブラジル人、ペルー人、フィリピン人の2年生児童8人。
同じ時間に、在籍学級で日本人児童らが受けている
国語の授業を離れた「取り出し」授業。

教師「『お気に入り』って何かな」、児童「一番好きなこと」、
教師「じゃあ、お気に入りのおもちゃは何かな、紙に書いてね」

大人は3人。
教員のほか、ポルトガル語を話す支援者、市教育委員会が
派遣する日本語教育コーディネーターの中川智子さん(32)が、
子どもたちの間を回り、わからない言葉につまずく
子どもがいればフォローする。

同市では、市立小・中学校に、日系人を中心に
外国人児童生徒607人、日本語指導を要する子ども340人が在籍。
日常会話に支障なく見えても、国語、算数などの授業に参加する
日本語力が足りずに伸び悩み、小学校高学年、
中学・高校でつまずく子どもは少なくない。

「授業に参加する力」を育てようと、
市教委は、早稲田大学日本語教育研究科の川上郁雄教授(56)
支援を受け、昨年4月から、子ども向け日本語教育の
専門知識と実践経験を持つコーディネーターの派遣など、
様々な取り組みを始めている。

注目されるのは、日本語を母語としない者に対する
日本語教育の考え方であるJSLの一環として、
川上教授が考案した「JSLバンドスケール」を導入したこと。

「聞く・話す・読む・書く」の4技能に関する能力判定基準で、
小学校低学年、同中高学年、中学・高校ごとに、
7~8レベルの基準がある。
日本語でやりとりする様子から、「黙っている」、
「あいさつの言葉を使い始める」、
「長い説明になると、文がブツブツ切れる」などを把握。

同スケールを使って、牧田小で外国人児童の指導を担当する
山田雅子教諭(47)によると、「日本語は大丈夫そうだ」と
いったん取り出し授業への参加を中止した児童が、判定の結果、
「まだ在籍学級の授業についていけない」として戻ったケースも。
「景気の影響により、転校や帰国、再来日などで動く子どもも多く、
客観的に日本語能力を判定できるのは助かる」

川上教授は、「外国籍の子どもたちは学校間、自治体間、国家間を
移動し、その『学び』が分断される可能性が高い。
子たちの能力判定を、現場教員の経験任せにしてはいけない」

鈴鹿モデルでは、独自の日本語指導教材作成という成果も
表れ始めている。
旗振り役の水井健次教育長(65)は、
「将来は、日本の各地で外国人が増える。
鈴鹿は、よその町より『少し先』を経験しているわけで、
外国人が多いことを『強み』にしたい。
可能なことには、できる限り取り組んでいく」

◆JSL(Japanese as a Second Language)

日本語を母語としない子どもたちの日本語学習支援。
文部科学省によると、日本の公立小・中学校・高校などに通う
外国人児童生徒で、日本語指導が必要とされるのは
計2万8575人(2008年9月現在)。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100304-OYT8T00246.htm

加齢に伴い進行する歯周炎は、過剰な免疫反応が原因?

(日経ヘルス 3月11日)

加齢に伴って、歯周病の一つである歯周炎が増加する原因に、
過剰な免疫反応が関係している可能性がある。

花王は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の
原宜興教授との共同研究の結果を発表。

21~64歳の健康な女性115人を対象、
歯周ポケットの深さや出血の有無、プラーク量といった口腔診査、
唾液中の歯周病関連細菌の量、血液中の歯周病関連細菌の
毒素に対する抗体の量を調べた。

結果、加齢とともに歯周炎が進行している人の割合が増える
傾向が認められ、歯周病関連細菌の量よりも、
歯周病関連細菌に対する抗体の量のほうが
歯周炎の進行の程度と関連が強く認められた。
加齢による歯周炎の進行には、免疫反応の影響があることが示唆。

長崎大学の原教授は、「歯周病を予防するには、
歯周炎が進行する歯周ポケットの深い部分にある
抗原の原因となる細菌を除去することに加え、
免疫反応をコントロールすることが重要」と考察。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20100311/106196/

空き店舗活用し実験店 一関・民間団体と東北学院大

(岩手日報 3月7日)

一関市の中心商店街活性化などを考える、
いちのせき元気力会議(千葉幸七委員長)と東北学院大は、
一関市大町の空き店舗を活用して、1日限りのアンテナショップを
実験的に開設し、市民らでにぎわった。

アンテナショップは、空き店舗3軒を使い、同市花泉町、東山町、
川崎町、千厩町、大東町の5地域のブースを設置。
農産物加工品や民芸品などが並んだ。

千葉委員長(68)は、「地元にも観光客にも喜ばれる品ぞろえとして、
地産地消の日用品と土産が商店街にあるといい。
広い一関のだれもが、商売をできる街になれば」と活動の意義。

アンテナショップは、同大が全国商店街支援センターの
「商店街と大学の連携による協働体制構築事業」の採択を受け、
市や大町商店街関係者らと連携し実施。
商店街と地元の自然、農業、工業、消費者がつながる
地産地消型商店街を目指し、昨年11月から準備を進めてきた。

これまで、地産地消の店「元気プラザ」の開設や講演会などの
活動も行ってきた。
同日は、「食と健康・福祉の元気まつり」と銘打って
アンテナショップのほか、商店街バリアフリー調査や
ベガルタ仙台による親子サッカー教室も開かれた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100307_10

2010年3月19日金曜日

日本語を学ぶ(1)外国人の共生 言葉の壁高く

(読売 3月3日)

外国人との共生へ歩み始めた日本。
日本語教育の体制整備が急務だ。

飛沫感染、滲出液、吐瀉物……。
日本人講師が、漢字の書かれた紙を黒板に張った。
「この漢字の読みを書いてください」。
インドネシア人の男女が前に出て、次々に書いていく。

静岡県函南町の研修宿泊施設、富士箱根ランド。
経済連携協定(EPA)により、日本が2008年度に受け入れを
始めた、看護師・介護福祉士候補者インドネシア人2期生
361人の研修が行われた。

日本で正式に就労するには、看護師候補者は来日3年以内、
介護福祉士候補者は同4年目に、国家試験に合格することが条件。
初歩から始めた日本語の研修では、
専門用語など高度な内容にまで及んだ。

当初は、全体の9割が日本語初心者。
朝8時から夜9時までの缶詰め講義に、夜中までの自習体制のおかげで、
日常会話はほぼ問題ないレベルに。

昨年度は、1期生の看護師候補者104人中82人が
国家試験を受けたが、日本語という言葉の壁が立ちはだかり、
全員不合格。
全体の合格率は89・9%。

2期生で看護コースに参加していた女性、
シスカ・ヌルメナサリさん(25)は、「『骨折』など漢字が難しい。
音読みに訓読みもある。
母国で看護経験は2年あり、インドネシア語なら合格の自信はありますが、
日本語での受験にはもっと勉強しないと」と日本語習得の難しさ。

研修にあたった人材派遣・教育事業会社の担当者(49)は、
「国家試験独特の読解力習得が課題。
研修終了後は、個々のがんばりに期待するしかない」

「『認知症』と読めます、でも書くのはちょっと……
集中研修中は漢字で書けましたが」と頭をかくのは、
08年度来日の1期生男性、ディディ・スへディさん(25)。
母国の看護大学を卒業後、半年間の事前研修を経て、
昨年1月末から、奈良県天理市の老人保健施設「ならふくじゅ荘」で
研修生として働いている。

仕事は、週5日1日約7時間、入浴や排せつ、食事の介助など。
試験勉強は、仕事の前後の計2時間半。
国家試験を受けられるのは、2012年1月、1回きり。

同施設では、ディディさんら研修生がインターネット学習を週3回、
受けられるようにしたが、これだけでは試験合格は難しい、と
急きょ施設スタッフによる週2日の学習指導も加えた。
費用は、いずれも施設の持ち出し。

受け入れ責任者、岡田智幸さん(36)は、
「まず合格してもらいたい。日本を外国の人に助けてもらうのだから、
施設お任せでなく、国は長期的・継続的学習支援を」と訴える。

現場の声を受け、国も来年度以降、日本語学校通学の費用補助、
再度の集団研修開催など具体的支援に乗り出す。

安里和晃京都大学准教授(39)
は、
日本語能力や日本の医療事情に不案内な人材に対し、
国家資格取得という要件を課し、確実に取得してもらうプロセスが
欠如しているのは、人材の使い捨てと指摘されても仕方がない。
受け入れの展望を明確にした上で、支援体制を
整備しなければならない」

◆経済連携協定

物品やサービスの貿易以外に、人の移動や投資なども加え、
経済関係の強化を目指す協定。
09年度からフィリピン人候補者受け入れも始まり、計310人が来日。
27人は事前研修後、介護福祉専門学校で学ぶ「就学コース」に進む。

◇公的な日本語教育 不十分

外国人登録者数は、1969年以降年々増え、
2008年末で約222万人に及ぶ。
国内の日本語学習者は、約16万7000人(同年11月)。
入国後の公的な日本語教育は、義務教育を除くとほとんどなく、
長期滞在しても、日本語の読み書きができない外国人は少なくない。

文化審議会国語分科会日本語教育小委員会は、
来日したばかりの外国人を対象に、最低3か月(60時間)の
学習を想定した「『生活者としての外国人』のための
日本語教育の標準的なカリキュラム」を作成中。
ドイツでは、1年以上滞在してもドイツ語能力の低い移民らに、
600時間の語学教育を義務づけ。

文化審議会会長で日本語教育研究者の西原鈴子さん(68)は、
「日本語を母語としない人の割合は、いずれもっと高くなる。
そのときに混乱を招かないため、長期的な展望を持った
言語計画とシステムが求められる」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100303-OYT8T00192.htm

官民協力の水循環システム開発拠点建設

(サイエンスポータル 2010年3月8日)

世界的に需要が高まっている省エネ型水循環システムの技術開発、
運営実証、情報発信を目指し、拠点となる「ウォータープラザ」を
開設
することで、新エネルギー・産業技術総合開発機構、
周南市と関連企業3社が合意し、覚書を取り交わした。

「ウォータープラザ」は、周南市徳山中央浄化センター近くに建設、
工場排水処理と下水再利用を統合した造水を行い、
国、自治体、企業が連携して持続的な水利用に
かかわる処理技術を開発。

日立プラントテクノロジーと東レが建設、日本ゼオンが
排水の供給と生産水の受け入れで協力。

水問題は、大きな地球規模の課題になっており、
都市の排水処理と再生水利用システムの需要は
ますます大きくなっている。

日本は、排水処理に必要な膜技術で世界をリード、
都市の水再利用が盛んだ。
世界的な需要を見込み、今後、運営までを含む
水循環システム全体の輸出が期待、
そのためには地方公共団体、メーカー、コンサルティング会社、
建設会社などの協力が必要。

http://scienceportal.jp/news/daily/1003/1003081.html

職場の禁煙、やっと始動 受動喫煙防止

(2010年3月12日 毎日新聞社)

職場での受動喫煙の防止を議論してきた
厚生労働省の有識者検討会が先月、
「従業員の健康を守る観点から、原則禁煙を目指す」との
報告書骨子をまとめた。

「喫煙対策が難しい」とされる飲食店にも、
喫煙室の設置を求めるなど、労働安全衛生法の改正を含む
全面禁煙をにらんだ対策を提案。
世界保健機関(WHO)が求める屋内環境の
「スモークフリー(たばこの煙ゼロ)」に、
日本の職場もようやく本腰を入れることに。

産業医大の研究チームが昨年、喫煙可能なファミリーレストラン、
喫茶店、ホテルで働く従業員計9人に依頼、
勤務時間中に携帯型粉じん計をつけてもらった。

従業員が吸入する受動喫煙の濃度は、
禁煙区域から喫煙区域に移動すると増え、特に接客中は
喫煙区域内の平均値の最大7・7倍まで増加。
食べ物などを提供する際、テーブルに置かれた灰皿に
かがみこんだり、喫煙中の客が吐き出す煙を浴びることが原因。

「飲食店従業員の受動喫煙が高いことは予想されていたが、
これほど高いとは思わなかった」と、大和浩・同大教授(健康開発科学)。
飲食店など接客業の人が、勤務中にさらされる
たばこの煙の量が明らかになったのは初めて。

喫煙者が発するたばこの煙には、発がん性物質などが含まれる。
WHOは07年、「たばこ規制枠組み条約」(05年発効)に基づき、
「屋内の職場、公共の場所は100%禁煙に」との指針。
日本の現状の喫煙対策は、十分とはいえない。

07年、厚労省の労働者健康状況調査によると、
事業所全体を禁煙にしている割合は18・4%、
「職場で他者のたばこの煙を吸うことがある」と答えた人は56・4%。
顧客の喫煙の規制が難しい飲食店・宿泊業では、
喫煙対策に取り組んでいない割合が3割近い。

大和教授は、「諸外国では一般の職場だけでなく、
居酒屋やバーも含め全面禁煙。
日本も、顧客の視点だけではなく、働く従業員の
健康を守ることが急務だ」
社内の全面禁煙に取り組み、10年以上になる企業もある。

子ども向け教材メーカー「ジャクエツ」(敦賀市、従業員650人)は、
99年に「禁煙宣言」。
当時の従業員650人のうち、喫煙者は約350人、
禁煙することを宣言した社員に5万円の「健康祝い金」を贈ったり、
禁煙した社員の名前を新聞広告に載せるなど、禁煙を後押し。

禁煙を開始した99年度、422人いた病気の欠勤者が、
翌年は同287人に減り、現在も同様の傾向。
禁煙の呼びかけは、取引先の企業などにも広げた。
上野渉・同社取締役総務部長は、「以前は、喫煙のため
席を離れるなど、仕事の効率が損なわれることもあった。
実際は、禁煙したい人が多く、他社への呼びかけでも
抵抗は少なかった。
遠慮せずに声をかけることは、禁煙のきっかけを
提供することになる

日本の職場の喫煙対策は、労働省(当時)が1992年に策定した
「快適職場指針」で、受動喫煙対策を「必要に応じて講じる」と
明記されたのが最初。
96年、「職場における喫煙対策のためのガイドライン」が作られ、
03年、健康増進法施行を受け、事業者は全面禁煙や分煙に
取り組むことが望ましいと改正、喫煙室の設置などが始まった。

職場の喫煙対策を議論してきた厚労省検討会がまとめた
報告書骨子は、「職場のたばこの煙は、健康リスクの要因になる
事業者に、全面禁煙導入などの対策を義務付けることを提言。

先月末、職場を含む公共の場全般でも原則禁煙を求める
厚労省健康局長通知。
望月友美子・国立がんセンター研究所たばこ政策研究
プロジェクトリーダーは、「成人の約2割を占める喫煙者のうち、
禁煙を希望する人は約8割。
吸い続けたい人は全体の4~5%、
受動喫煙の危険性の理解が広がれば、喫煙率はさらに下がり、
たばこをやめたいと思っている人も吸わない人も
守られる方向に対策が進むだろう」と期待。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/12/117303/

2010年3月18日木曜日

教育スタイル変える動画共有サイト公開

(サイエンスポータル 2010年3月9日)

国内20以上の大学の最先端のソフトウェア科学・ソフトウェア工学に
関する授業を閲覧できるだけでなく、動画、スライドを組み合わせた

コンテンツもつくれるポータルサイトを、
国立情報学研究所が一般公開。

動画共有サイト「edubase Portal」は、
動画とスライドを同期させたコンテンツとして作成することができる
世界最初のサイトで、「教材は創る」という新しい教育スタイルを
可能にする、と国立情報学研究所。

これまで、カメラで撮影後、専用のソフトウェアで編集をしないと、
動画とスライドを同期させたコンテンツ作成はできなかった。
同研究所は、「先端ソフトウェア工学に関するGrace
国際シンポジウム2010」で、「edubase Portal」を紹介。

文部科学省は、IT人材を育成するための教育拠点形成を支援する
プログラムを、2006年度から行い、8拠点、20を超える参加大学で
特色ある先進的教材の開発と、それを利用した人材育成活動が
進められている。
「edubase Portal」により、いつでもどこでも
最先端ソフトウェア科学・ソフトウェア工学を学ぶことができる。

http://scienceportal.jp/news/daily/1003/1003091.html

"花粉症日本一"は静岡 気象情報会社の全国調査

(2010年3月8日 共同通信社)

花粉症発症者が最も多いのは静岡県、最も少ないのは鹿児島県。

気象情報会社「ウェザーニューズ」が実施した、
花粉症に関するアンケート。
調査は2月20~22日、同社の携帯サイト利用者に実施。
5万3946人の有効回答。

北海道は、シラカバ花粉で傾向が異なり、
沖縄県は、花粉の飛散が目立たないため除外。

「周りの人の何割が花粉症か」との質問で、
1割未満~10割の各割合の選択肢から選ぶ方式。

都府県別に平均すると、静岡県は38・16%、2位群馬県が38・04%。
山梨(37・32%)、栃木(36・91%)、三重(36・85%)。
鹿児島県は21・33%。
全国平均は、32・20%。

関東甲信と東海のすべての都県が全国平均を上回り、
九州は全県で平均を下回った。
過去5年の花粉総飛散量が多い都府県ほど、発症者が多い傾向。

過去5年と比べた今年の症状について、
花粉症とする人(3万7486人)のうち44%が「軽い」と回答。
「同じ」は41%、「重い」は15%。

同社は、今年の花粉飛散量は過去5年で最も少なく、
昨年の半分以下になるエリアが多いと予想。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/8/117034/

魅力の地方都市、盛岡9位 ブルータス誌ランキング

(岩手日報 3月11日)

人気カルチャー誌「BRUTUS(ブルータス)」(マガジンハウス)で、
「魅力ある地方都市ランキング50」に、盛岡市が9位。

歴史的建造物が今も残り、文学や音楽スポットとして
文化をはぐくむ美しい街として評価。

同号は、日本の地方特集で、テーマは
「アンチTOKYO?クールLOCAL!」。
建築、音楽、アート、郷土料理など12ジャンルで、
同誌編集部が選んだ各都市の魅力あるスポットと、
建築評論家やライターら専門家が選んだスポットを点数化し、集計。

盛岡のページでは、同市開運橋のジャズ喫茶「開運橋のジョニー」
(照井顕店主)など、音楽を発信する都市として特集。
同市材木町の光原社や、三大めんなども紹介。

同ランキングの1位は福岡市、2位は京都市、3位は札幌市。
同誌編集部は、「地方には、独自ではぐくまれた文化がある。
盛岡は、カルチャー好きにとって魅力ある都市」

市ブランド推進課の坂田裕一課長は、
「盛岡ブランドとマッチした評価で、城下町の良さが
見直されているのではないか」と喜ぶ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100311_12

2010年3月17日水曜日

親と向き合う(7)常に子どもを中心に

(読売 3月2日)

保護者が学校に拳を振り上げる背景には、何があるのか?

「本人に伝える前、いきなり自宅に連絡され、
説明もなく0点と言われても、納得いかない」
京都府内に住む父親(46)は、中学3年の次男が通う
学校に駆け込み、担任に説明を求めた。

次男は学期末試験で、終了のベルが鳴ってから解答を書き直した。
それを試験官を通して知った担任から連絡があり、
「0点にします。後日、息子さんに伝えます」と伝えてきた。

怒りが収まらない父親に、担任は謝罪し、校長も交えて話し合った。
この結果、父親が腹を立てた理由は、進学を控えた大事な時期に、
当事者である息子を差し置いて対応した担任の姿勢。
点数については、学校側で再検討し、0点と決まったが、
父親は「ルール違反だから仕方ない」と受け止めた。

「担任からすれば、私はモンスターに映ったのかもしれないが、
そのまま黙っていたら、子どもが不幸になると思い、
あえて言った」と父親は振り返る。

都内で開かれた「先生が元気になる集い」。
弁護士や精神科医ら専門家からなる
「新・学校保護者関係研究会」(代表・小野田正利大阪大学教授)。
集まった現役教師たちが、それぞれの役割を演じた。

子どもを隣に座らせ、父親は机をたたき、どなる。
「うちの子は、卒業アルバムに1枚しか写っていない。
すぐに作り直せ!」
校長が、「申し訳ありません。少し時間をいただき、対応を考えます」、
父親は「息子にとっては一生の傷だ」――。

参加者の間では、「アルバム作りの時、名簿を見て枚数をチェックする」
と話題になり、人ごとではない題材。

迫真の演技で、役になりきった後の感想は様々。
保護者役は、「『作り替える』という言葉を引き出したかった」、
校長役は、「謝るところは謝って、何が出来るかを考えた」、
教頭役は、「学校の落ち度。校長に任せちゃおうと思った」
子ども役は、「大人たちに挟まれ、何を言っていいのか分からない感じ」

寸劇を企画した小野田教授は、
「教師は理屈で説明し、保護者は思いで要求する」
教師は、複数の1人として子どもを見る。
保護者は、1分の1、つまり我が子を見る。
そこに、ずれが生じるのは当然。
その間で、子どもが置き去りになることも多い。
「子どもを中心に据え、互いの思いを推し量ることが大切」と助言。

「組織を相手に怒るのは、それ相応の腹づもりが必要。
我慢をため込み、ある時点で怒りが噴き出る。
様々な保護者や地域住民と接点を持ち、怒りの背後を推し量れるのは、
やはり最後は学校。
教師に、親と向き合う気概と同僚との協調性があれば、
出口は見えてくる」と小野田教授。

保護者との関係で悩む教師、学校の対応に不満を抱く保護者……。
連載には、メール、ファクス、手紙で様々な反響が届いた。
共通するのは、「いい方向に変えたい」という前向きな思い。

子の幸せを願う気持ちは、親も教師も変わらない。
人とのつながりが希薄化し、世知辛いと言われる時代にあって、
かけがえのない関係を築ける宝の山が、学校にはある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100302-OYT8T00277.htm

「漢方」「はり」治療データ蓄積を 厚労省研究班が提言、専任担当部署設置も

(2010年2月26日 毎日新聞社)

漢方や鍼灸の今後のあり方について、
厚生労働省の研究班(班長、黒岩祐治・国際医療福祉大教授)が
提言をまとめ、長妻昭厚労相に提出。

治療効果のデータ収集や人材育成、
原料の国内栽培の推進などを提案。
個別化医療を実現するために、患者の症状や診断、
治療結果を収集・蓄積しデータベース化を進めることを提案。

漢方薬については、現在は8割以上を中国からの輸入に頼っている
生薬原料を、25年までに自給率を50%に高めることを目標、
休耕地や植物工場を活用した生薬原料の栽培、
漢方の正しい知識の普及--などを提言。

鍼灸については、研修の充実で鍼灸師の専門性を
高めることを盛り込んだ。

漢方や鍼灸などの伝統医療は、中国や韓国の主導で
国際的なルールづくりの動きが出ている。
提言では、日本も専任の担当部署をつくり、
政府主導で対応することも求めた。

渡辺賢治・慶応大漢方医学センター長は、
「中国や韓国は、国際会議に国の担当者が来ているのに対し、
日本は学会レベルで対応しており、限界がある」

漢方をめぐって、昨年の政府の事業仕分けで、
漢方薬を保険診療から外す案が出るなど、
専門医の間には危機意識が強い。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/26/116603/

富士大生の利用料減免 花巻市が文化、スポーツ施設

(岩手日報 3月13日)

花巻市は、富士大の学生を対象に、市内の文化・観光、
スポーツ施設の利用料を減免。
両者が昨年締結した、相互友好協力協定に基づく対応。
市は、市全体を大学の「キャンパス」と位置付け、
より地域に根差した学習・研究活動や日常生活を学生に送ってもらう。

減免対象の施設は、宮沢賢治記念館、南部杜氏伝承館などの
文化・観光12施設、鉛温泉スキー場などスポーツ5施設の
計17施設、適用は土・日曜日と祝日、長期休業期間。
すべての文化・観光施設とスポーツ施設のうち、
プール2施設は無料、同スキー場は500円(リフト1日券)、
石鳥谷アイスアリーナは400円で利用。
東和B&G海洋センターは、最初の1時間が無料。

学生が施設への入場時、学生証を提示すると減免。
施設利用とは別に、市の図書館を学生が、大学図書館を
一般市民が利用しやすくするため、相互のホームページにリンク先を表示。

同大の学生数は、約1千人。
同大学生支援部の井手俊一部長代理は、
ゼミなどで文化施設を訪れる時があり、市の配慮は助かる。
大学図書館の一般利用も増え、今後は大学のスポーツ施設の開放も
積極的に考えたい」と歓迎。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100313_11

2010年3月16日火曜日

親と向き合う(6)情報共有 トラブル防ぐ

(読売 2月27日)

学校と家庭が情報を共有し、理解を深めている。

「ありのままの学校」を見てもらおうと、
名古屋市立城山中学校は毎年、教員と保護者が連携、
「城中NAVI」と題したガイドブックを発行。
A4判75ページ、生徒会の仕組み、学校運営予算、
学校評価の結果など、各教科の学習目標、通知表の見方まで
学校の情報を満載し、全生徒の家庭に配っている。

発行が始まったのは、2005年。
「新しい学校づくりには、情報の共有が大切」と、
教員が提案して実現。
保護者や生徒へのアンケート調査や、保護者を交えた
編集会議で要望を把握し、掲載内容を毎年見直し。
2010年度版には、新型インフルエンザの対応を加える予定。

保護者への連絡事項は、その都度、教諭が配る
学級だよりなどで伝えることが多い。
プリントが、かばんや机の中に入ったままになったり、
散逸して必要な時に取り出せなかったり。
冊子にすることで、必要な情報が届かず、
トラブルに発展することを防げる。

編集にかかわるPTA役員の和泉早苗さん(44)は、
「NAVIを読んで、もっと知りたいと思うことがあれば、
授業参観などで学校に来て、先生とコミュニケーションを
とりながら情報を取ることも大切

保護者が学校に抱く疑問を解消し、教師も対応力を学べる
ホームページがある。
教育関連の編集プロダクション「コンテクスト」が開設する
「ティーチャーズ・オンライン 先生のミカタウェブ」
http://www.teachers-online.jp/

学級だよりの文例を、季節や学年ごとにそろえた。
専門家の助言を受け、事例を基につくったゲームでは、
選択肢を選びながら、保護者対応のポイントをつかめる。

同社社長の佐藤明彦さん(37)は、
「理想は、隣に座る先生に聞くのが一番だが、
教員採用が一時期滞った影響で、エネルギーのある
キャリア10年ぐらいの先生が少なく、若手が孤立。
そうした先生たちに、少しでも役立ててもらえれば」

もう一つの目的は、学校を知ってもらい、
教員の負担を軽くすること。
新人教師は、授業をよく休む。
背景に、初任者研修があるのだが、事情が分からない保護者は、
「あの先生は何をやっているんだ」という話。
意外と知られていない「学校の謎」を解き明かしている。

監修した日本大学の佐藤晴雄教授(社会教育学)は、
「学校と家庭の認識のズレを放っておくと、クレームにつながる。
学校の姿を外にさらすことで、風通しがよくなり、苦情も少なくなる」
学校支援ボランティアの活用も、その手段の一つ。

学校、家庭、地域が互いを知り、誤解を防ぐ土壌を作ることが、
円滑な学校運営を促す。

◆学校支援ボランティア

学校運営に役立つ知識や経験を持ち、教育や校務の手助けをする人。
ボランティア希望者を登録し、目的にあった人に依頼する方法など。
地域との協働で、「開かれた学校」の推進につながり、
各地で取り組みが進んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100227-OYT8T00265.htm

富士登山、低酸素にご用心 中高年、ベテランでも負担 高血圧も、鹿屋体育大調査

(2010年3月5日 共同通信社)

富士山の中高年登山者は、ベテランでも歩行中や山頂付近での
睡眠中に、通常なら救急医療で酸素吸入が必要なレベルの
極度の低酸素状態になり、血圧も上がることが、
鹿屋体育大の山本正嘉教授(運動生理学)らの調査。

山本教授は、「登山未経験者や普段運動していない人だと、
より大きな負担がかかり、事故の引き金になる恐れがある」、
一気に登頂せず、途中で1泊した方が負担を軽減できる。

調査は昨年8月、登山経験15年以上の58~69歳の
男女計7人を対象、2泊3日の行程で実施。

標高約2400mの5合目・富士宮口から、約7時間かけて登頂、
旧富士山測候所に宿泊。
2日目、約3時間かけて山頂噴火口を1周する「お鉢巡り」、
3日目、約3時間かけて下山。
この間、体内の酸素量の指標となる「動脈血酸素飽和度」(SpO2)、
心拍数、血圧などを測定。

スタート時のSpO2は、7人の平均が約93%、
酸素が薄い山頂に近づくにつれ低下。
3700mを超えた歩行中と山頂での睡眠時は、平均60%台。
登山は、徐々に酸素が減るので体が慣れていくが、
平地だと90%を下回ると、救急医療で酸素吸入が必要なレベル。

低酸素状態となることで、心拍数と血圧も上昇。
山頂での最高血圧は、平均で高血圧と定義される140以上。

◆富士登山者の遭難

2005年夏、富士山8合目まで登った登山者は約20万人、
08年夏は約30万人、昨年夏は約29万2千人。
昨年1年間に扱った遭難は、41件で7人死亡、21人負傷。
足を滑らせたことによる転倒が10件と最多、
疲労や高山病によるものもあり、多くは不十分な装備や
体力不足が原因。
山梨県側では昨年、7件の事故、3人死亡、4人負傷。
昨年12月、元F1レーサー片山右京さんら3人が遭難、
片山さんに同行した2人が死亡。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/5/116962/

冷え万病のもと、防ぐ 生活環境、ストレス影響 免疫力低下も

(2010年3月5日 毎日新聞社)

暖かくなったり、寒さが戻ったり--。
季節の変わり目のこの時期、体調を崩していませんか。
とくに厄介なのが、体の「冷え」。
冷暖房で体温調整がうまくとれない上、ストレスも多い。
冷えは免疫力を弱め、万病のもと。
布団に入っても足が冷たくて眠れない。
悩みがつきない冷えを防ぐには、どうしたらいいのか?

50年前の日本人の平均体温は36・9度だったが、
現在は36度前後まで低くなった。
東京女子医大付属青山自然医療研究所クリニック所長の
川嶋朗さんは指摘。

日本人の平熱は、この50年で確実に0・5度以上は低い。
6度以下の低体温の人も少なくない」

背景には、現代文明がある。
エアコンの普及で体温調節機能が衰え、
冷蔵庫で冷やされたものを年中飲む。
体は、いやでも冷える。

ストレス社会の影響も大きい。
ストレスで交感神経が緊張し、心臓の動きが速くなり、
血圧が上がり体温も高くなる。
過度になると、血管が収縮したまま戻りにくくなり、
血の巡りが悪くなり、冷えにつながる。
体全体の3分の1の熱をつかさどる筋肉の量が、
運動不足で減っていることも要因の一つ。

血行改善を図る「血めぐり研究会」(花王などの5社協賛)が、
20-40歳代の男女650人に、「冷え」についてのネット調査、
7割が冷えを自覚。
冷えを感じている人は、「肩こり」、「疲れ・だるさ」、「足のむくみ」、
「風邪のひきやすさ」、「頭痛」、「便秘・下痢」について、
感じていない人よりも15ポイント以上強く症状。

「冷え」は、体全体の働きも鈍くする。
新陳代謝に重要な酵素が活発に動く温度は37-40度、
1度下がるだけで、働きが半減するものも。
免疫力も、1度下がることで3割減少。

肝臓、腎臓のトラブル、糖尿病、高脂血症などにつながり、
脳内の伝達物質もスムーズに運ばれなくなり、
うつ病や自律神経失調症などにも関係。
冷えは、あらゆる病気の入り口。
いかに体を温めるかが、現代人にとって大切」と川嶋さん。

冷えは、朝、起きがけに布団の中で脇の下に手を入れ、
これよりも冷えている個所があるかどうか--で大体分かる。
チェックリストで、一つでもあてはまるものがあるなら注意。
………………………………………………………
◇規則正しい生活、対策の基本に

東洋医学では、「命あるものすべて温かい」と言われ、
冷えは体の不調のもと。
「アキュラ鍼灸院」院長の徐大兼さんによると、予防の基本は、
(1)規則正しい生活、
(2)十分な睡眠、
(3)バランスのとれた食事、
(4)適度な運動、
(5)ストレスを緩和する生活

◆お灸・マッサージ

お灸は、患部そのものを温め冷えを取り、痛みもやわらげ、
治りを早くする。
ツボを刺激し、冷え症を改善することができる。

◆入浴

シャワーではなく、湯船につかろう。
半身浴もおすすめ、ぬるめのお湯に20-30分ゆっくりつかる。
上半身が冷えるので、バスタオルをかけたり、
入浴前に浴室全体を暖めておく。
入浴後、手早く身支度を整え、体を冷やさない。

◆ぬか袋

就寝中に体が冷えてしまうという人におすすめ。
ぬか袋は、自分の体の線に沿って形が変わるので、フィット。

【作り方】木綿の布(32cm×20cm)を袋状に縫う。
古米130g、ぬか100g、粗塩35g、ローリエの葉1枚を入れる。
袋の口を縫い合わせ、電子レンジで2、3分温め、
冷えている部分に当てる。
再度温める場合、半日以上たってから。

◆食事

季節感のある和食をベースに、バランスを整えた食事。
1回の食事に、五味(酸・苦・甘・辛・塩)、
五色(赤・青・黄・白・黒)をそろえるように心がける。
体を冷やす食べ物(ビール、冷たい飲み物、アイスクリームなど)は
なるべく避け、水分の取り過ぎにも注意。
「孫は優しい(マメ類、ゴマやナッツ類、ワカメ、ヤサイ、サカナ、
シイタケのキノコ類、イモ類)」
………………………………………………………
◆「冷え」チェックリスト

□手足が常に冷えている
□時折、頭痛がある
□顔色が悪い
□冷房が苦手
□目の下にクマができる
□少しの運動で息が切れる
□夜、熟睡できない
□夜中、トイレで目を覚ます
□低血圧
□体温が36度以下
□肩こり、腰痛、ひざ痛、下痢気味、便秘気味、疲れやすいなど
 症状が一つでもある
□いらいら。集中力がない

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/5/116955/

2010年3月15日月曜日

ドライマウス:生活変え改善 増える「口の筋力低下」原因 よくかむことが重要

(毎日 2月26日)

口が乾く「ドライマウス」(口腔乾燥症)。
クッキーが食べられない、世間話ができないなど、
放置すれば日常生活に支障をきたす。
背後にはさまざまな原因があるが、飲み薬の種類や生活習慣を
変えることで改善するケースも多い。

ドライマウスに悩む人は、潜在患者を含め人口の25%程度。
鶴見大歯学部付属病院は02年、
国内初の「ドライマウス外来」開設
以来、3600人の患者を診療。
中高年の女性が中心だが、最近は10代の患者も。

診断は、問診に加えて唾液量を測る。
ガムをかんで唾液腺を刺激しても、10分間の唾液が
10CC以下だと、唾液腺の異常を疑う。
難病に指定されている自己免疫疾患の一つで、
涙や唾液などの分泌障害を起こす「シェーグレン症候群」。

多摩市の建部良子さん(77)は06年、大好きなご飯がまずくなり、
食事の量が激減して10キロ近くやせた。
唾液量が減ったことが原因と判明、シェーグレン症候群と診断。

根治は難しいが、適切な対処で日常生活を送っている。
唾液分泌を促す薬を毎日飲み、うがいや水分補給を欠かさない。
夜は、専用のマウスピースをつけるなどして口内を保湿。
「食事も、水分が多いものを選べば楽しめるし、
視覚障害者のための朗読ボランティアも続けられた」

病気ではないのに、「口が乾く」と訴える患者の方が多い。
同病院の斎藤一郎院長によると、受診者の7割近くが、唾液腺は正常。
こうした人たちで最も多いのは、薬によるドライマウス。

抗うつ薬や睡眠導入剤、高血圧の薬、花粉症対策の
抗ヒスタミン剤などに、口が乾く副作用がある。
支障がない範囲で服用量を減らしたり、
別の薬に変えるなどの対策で改善。

ストレスが原因になるケースも少なくない。
唾液腺は、自律神経の影響を受け、緊張すると口がカラカラになるのは、
交感神経が唾液腺の働きを抑えるため。
職場環境や人間関係、家族の介護といったストレスに
さらされ続けることで、唾液分泌が減る。

最近特に増えているのが、口のまわりの筋力低下」(斎藤院長)。
高齢者に加え、軟らかいものばかり食べて育った子供たちは、
筋肉が発達しないため、日ごろから口が開きがち。
猫背など姿勢が悪い人や、鼻が詰まっている人も口呼吸になりやすく、
唾液分泌が正常でも、口内が乾燥してしまう。

ドライマウスにならない生活とは?
正しく、よくかむこと。
かむことで筋肉が鍛えられ、唾液分泌も活発になる」と斎藤院長。
根菜類など、かみごたえのあるメニューを心がけ、
よくかんでゆっくり食べることで、唾液中の消化酵素が働く。
唾液は、口内を清潔に保つため、分泌が不十分だと
虫歯や歯周病のほか、口臭の原因にも。
高齢者では、細菌が肺まで入り込み、肺炎を起こしやすくなる。

口のまわりの筋肉を鍛える手軽な方法も。
「いー」と言いながら口を横に広げた後、
「うー」と言いながら口をとがらせるしぐさを繰り返す。
舌を上あごにつけて、はじかせるように「タン、タン」と鳴らす
運動は、舌の筋肉を鍛える。
舌が上あごにきちんと収納され、口も自然に閉じてくる。

斎藤院長が主宰する「ドライマウス研究会」は、
「ドライマウスは歯科医が診る」を掲げる。
全国の歯科医や歯科衛生士ら約3000人の会員が加入、
主要大学病院の歯科や口腔外科がドライマウス外来を併設したり、
クリニックでも相談に乗っている。

研究会のホームページ(http://www.drymouth-society.com/
==============
◆こんな人は相談を
・口の中が、いつもネバネバしている
・クッキーなど、パサパサしたものが食べにくい
・口が常に乾いていて、会話をするのがおっくう
・食べ物をのみ込むのがつらい
・入れ歯がすぐに落ちてしまう
・舌がひび割れて痛い
・こうした状態が3カ月以上続いている

◆ドライマウスを防ぐには
・お茶や水で水分を補う
・室内が乾きすぎないよう加湿する
・食事はよくかむ。前歯より奥歯でかむ方が唾液は出やすい
・ガムやあめ、すっぱい食べ物で唾液腺を刺激する
・交感神経が優位になるたばこはやめる
・過度の飲酒も体の水分を奪い、乾く原因に

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/02/26/20100226ddm013100161000c.html

親と向き合う(5)対応力学び 真意酌む

(読売 2月25日)

危機管理の手法を、保護者対応に生かす。

「A君と違う部屋に変えてもらえませんか」
修学旅行を間近に控えたある日、B君の父親が学校に駆け込んだ。
素行が悪いと評判のA君と同室になり、部屋割りの変更を求めた。

「子ども同士で決めたことなので」と、担任教師。
「変えてくれるのですか」と尋ねる親に向かって、「ですからー」。
親が、「校長に代わってもらえますか!」と声を張り上げると、
素っ気なく答えた。「校長はいません」――。

八王子実践高校での講習会の一場面。
講師で招かれた「学校リスクマネジメント推進機構」
宮下賢路代表が、保護者を演じた。
「悪い教師」になりきった同校教員は、あえて言葉を遮ったり
責任逃れをしたりするよう、事前に指示。

宮下代表は、危機管理のコンサルタント業務に携わった経験を
生かし、全国の幼稚園から大学まで幅広く初期対応の研修を開催。

クレーム対応の基本について、
〈1〉誠実に謝る、〈2〉話を聴く、〈3〉言い訳をしない――を掲げ、
「まず、相手の感情を抑えることが大切」

典型的な例が、電車が遅れた時のアナウンス。
原因が鉄道会社にあるのか分からなくても、
「迷惑をかけた事実」を認めて謝罪し、利用者の怒りを抑える。

重大事故の発生確率を示す「ハインリッヒの法則」を引き合いに出し、
「保護者との対応でも、言い訳や問題の放置など、
クレームにつながりやすい小さなミスを減らすことが重要」

他業種で当然のことが、なぜ、学校では難しいのか?
権威ある存在に見られてきた先生は、謝るのに慣れていない。
一方で、親の意識は高まっている。
学校に託すのは、お金よりも重要な子ども。
企業の商品やサービスと比べ、求める真剣さが違うのに、
世の中の流れに学校がついていけない場合が多い」と宮下代表。

「となりのクレーマー」などの著書がある関根眞一さん(59)は、
大手百貨店の元社員。
「お客様相談室」で、数多くの苦情に対応してきた経験から、
昨年7月、「日本苦情白書」を刊行。
教育、行政、福祉、病院、金融などの8業種の計5059人を
対象に実施した全国調査をまとめた。

苦情の原因について、「こちらの配慮不足」と答えた割合は、
8業種の平均が50%、教育では31%と最も低かった。
相手の「勘違い」、「いちゃもん」の合計は、8業種中、最高の43%。
保護者の苦情を、最初から無理難題と受け止めやすい
学校の傾向が浮き彫りに。

関根さんは、「教員は言葉を発する職業で、
相手の真意を読み取るのが苦手。
対応力を学び、相手に胸襟を開けば、保護者の声が
『なるほど』と聞こえるのでは」

まず耳を傾けることで、苦情が無理難題ではなくなる。

◆ハインリッヒの法則

1件の重大事故の背景には、29件の軽い事故と、
事故には至らない300件の小さなミスがあるとする、
安全工学上の経験則。
医療や航空などの分野では、軽微なミスを集めた
「ヒヤリ・ハット事例」を分析、事故やトラブルの防止に役立てている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100225-OYT8T00232.htm

野口研究室、20年前は物置 元商社マン、整備に奔走

(2010年3月8日 共同通信社)

ガーナの首都アクラに入った皇太子さまが、
訪問される予定の「野口英世記念研究室」。

現在、奥の展示室に野口ゆかりの手紙や顕微鏡などが並んでいるが、
総合商社「丸紅」の元アクラ支店長岩田芳晴さん(72)は、
約20年前のことを感慨深く思い出している。

ガーナで、黄熱病の研究中に死亡した細菌学者、野口英世が
研究者人生の大半を過ごした米ニューヨークにも、
駐在経験がある岩田さん。

1987年秋、アクラに着任するとすぐ、コレブ病院に残る
野口の研究室を訪ねた。

ごくありふれた実習室。
奥の小部屋は、薬品の瓶や掃除道具が雑然と並び、
「物置のようだった」

間もなく、野口の助手をしていたというウィリアムズさんと出会い、
"物置"は、野口が好きな葉巻を吸いながら、研究データを
整理していた個室だったと知る。

「ここでよく、プロフェッサー・ノグチに葉巻をもらって一緒に吸った。
『結核が怖いので、栄養を取る』と、バナナと牛乳を毎日欠かさず、
地元の若者には努力することの大切さを説いていた」と
ウィリアムズさんは思い出話をしてくれた。

「博士の部屋を何とかしなければ」。
ガーナ日本人会の会長も務めた岩田さんは、
日本大使館の協力を受け、建物を所有するガーナ保健省を説得。
政府開発援助(ODA)を増やしていた日本の存在感も後押し、
改修の許可を取り付けた。

岩田さんは、一時帰国の際、野口英世記念会から資料を
提供してもらい、92年2月、展示室としてオープン。

訪問前の記者会見で、「博士がアフリカ、世界の医療活動に
果たそうとした思いをしのびたい」と述べた皇太子さま。

岩田さんは、「80年前はクーラーもなく、環境はもっと厳しかった。
ニューヨークから覚悟を決めてガーナに飛び込み、
黄熱病という人類的な課題に取り組んだ野口博士の研究者魂を
感じ取っていただければ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/8/117051/

2010年3月14日日曜日

理系白書’10:挑戦のとき/23 東大大学院疾患生命工学センター・西山伸宏さん

(毎日 2月23日)

がんによく効く薬があっても、患部へ届かなければ
治療に役立たない。
普通の薬は、飲んだり、注射するなどの方法で投与され、
全身に散らばるため、患部に届く量が少なかったり、
他の部位で副作用を起こすことがある。
薬を患部に直接運ぶ「乗り物」があれば、確実に届いて
治療効果は上がり、副作用も減らせる。

そんな夢を実現する技術が、
「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」
西山さんは、大学に入学したころ、この研究を知った。
「がんを克服できるかもしれない。
やみくもに薬剤を探すのではなく、自分で設計し、工夫し、
戦略的に『乗り物』を作り出せる可能性がある」
4年になると、迷わずDDSの研究室に入った。

最初に取り組んだのが、抗がん剤「シスプラチン」を包み込む
直径数十nmという極小カプセルの設計。
シスプラチンは、膀胱、前立腺、卵巣など幅広いがんに効く。
腎臓などへの副作用が強い。
血液中では壊れにくく、患部に届くと内部の薬を放出する
カプセルを目指した。

「実験では、目的の場所で薬が働かずにマウスが死に、
原因を調べて設計を変え、再び試す、ということを繰り返した。
『何とかうまくいってくれ』と祈るような気持ちだった」と振り返る。
それでもうまくいかず、気づいたら上野動物園でサル山を
眺めていたこともある。

不安はあまりなかった。
「DDSは、実験によって薬が目的通りに運ばれない
原因が見えてくる。
その問題を改善すれば、必ずより良いものができると分かっていた」

シスプラチンのDDS技術は、博士課程のとき論文になり、
人への臨床応用も始まった。
学生時代の研究が、人の治療につながろうとしている。
取り組む研究の重みを感じる。

小さいころ、絵を描くことが好きだった。
優れた絵画は、時代を超えて人々に感動を与える。
西山さんは、「研究論文も、単なるデータだけではなく、
研究の発想など、研究者の個性が息づいている。
優秀な論文は世代を超えて読まれ、社会に影響を与える作品。
自分も、そんな『作品』を持ちたいと思った」

シスプラチンの研究以降、人工ウイルスの作成、遺伝子解析を
導入した薬剤の機能分析など、さまざまな論文を発表。
昨年、若手研究者を対象とした日本DDS学会の
第1回奨励賞を受賞。
「医学の発見を、社会に役立つ技術として普及させ、
多くの患者が平等に享受できるようにするのが、私たちの役目。
医と工の橋渡し役になりたい」

医療分野に飛び込んだ工学博士の一人として、
「ものづくり」へのこだわりは、だれにも負けない。
==============
◇にしやま・のぶひろ

74年、和歌山市生まれ。
東京理科大基礎工学部卒、東京大工学系研究科博士課程修了。
米ユタ大などを経て、09年から現職。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/02/23/20100223ddm016040116000c.html

親と向き合う(4)難題解決 専門家が支援

(読売 2月24日)

学校での解決が難しい問題への対応を、様々な専門家が支援。

京都市教育相談総合センターの会議室に、
弁護士や医師、臨床心理士らが集まった。
「保護者に電話をかける時間は設定できないんですか」、
「無理な要求でも、子どものために先生はギリギリでやっていた」、
「それは否定しないが、逆に問題を大きくするのでは」

学校での解決が難しい保護者とのトラブルを、専門家を入れて話し合う、
京都市の学校問題解決支援チームの定例会議の場面。
この日は継続1件、新規1件を議論。
休憩を挟まず、予定の2時間を30分も過ぎる白熱ぶり。

チームは、2007年8月に発足。
保護者を含めた専門委員5人と、事務局職員ら常任委員9人。
これまでに取り上げた事例は23件。
親や子どもの状況と心理をつかむため、
家族構成図も示して、丁寧に事実を確認。

ある中学校で、生徒がけがをしたケース。
その親は、「教員がけがをさせた」と言い、半年余りで学校側に
計約100回の抗議をする一方、警察に被害届を提出。
「服が破れたから弁償しろ」とも要求。
生徒は不登校になる。

チームの弁護士は、学校に出向いて事実を調べた。
保護者が面会を拒絶する中、学校側は生徒の学習機会を
保障するため、家庭訪問を繰り返し、補習に生徒を呼んだ。
事件にはならず、学校内では、「卒業にあたり、服ぐらい
弁償してもいいのでは」という声もあったが、
チームは「法的に線を引いたケース。それはふさわしくない」と助言。
収束までに1年かかった。

チーム統括の桶谷守・京都市教育相談総合センター所長は、
専門家の助言で、教職員が自信を持って保護者対応ができ、
子どもが安心して学べる環境ができる」と狙いを説明。
とはいえ、強制力がないため、解決に時間を要し、
解決に至った事例も23件中5件と、全体の2割。

クレームを繰り返す保護者から、突然、弁護士を通して書面が届き、
動揺してしまう教職員も少なくない。
こうした現場に対応するため、東京都港区には、
業務委託先の弁護士団体から、法律的なアドバイスを受けられる
「学校法律相談制度」がある。

制度開始から8か月後の08年2月、区教委は、区立幼稚園と
小中学校の教職員373人に意識調査をした。
ほぼ全員が、「利用したい」、「助かる」と好意的だった一方、
法的な解決以外でクレーム対応に必要なものを尋ねたところ、
「保護者との信頼関係」が最も多かった。

区教委は、「法律相談はあくまで、知識として欠けているところを
補うもの」と位置づけ、問題が発生した時、
学校自らが対応を考える姿勢は変わらない。

保護者と教師との橋渡し役に、第三者が出てくるのは最後の手段。
日頃から互いに信頼を積み重ねておけば、
まったく無縁の存在にもなる。

◆学校問題解決支援チーム

教育改革を掲げた安倍首相(当時)の諮問機関「教育再生会議」が、
第2次報告(2007年6月)で各教委に設置するよう唱えた。
長崎と沖縄の県教委のほか、新潟、横浜、成田、鈴鹿、豊中、
北九州の各市教委などにある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100224-OYT8T00255.htm

野口賞シンポジウムに出席 ガーナ訪問の皇太子さま

(2010年3月10日 共同通信社)

ガーナを公式訪問中の皇太子さまは、
「野口英世アフリカ賞」の記念シンポジウムに出席。

あいさつに立った皇太子さまは、感染症研究の重要性などへの
認識がアフリカで深まっていることを指摘、
「アフリカの感染症と闘っている医学研究者や医学従事者の
皆さんが、あらためてそれぞれの活動に励まれることを
心より期待しております」

同賞は、アフリカでの医学研究や医療活動に功績があった人に贈られ、
2008年の第1回受賞者、ケニアの保健問題専門家
ミリアム・ウェレさんら2人がシンポで記念講演。

皇太子さまは、シンポに続いて市内のラ墓地を訪れ、
ガーナでの活動中に亡くなった清水洋一さんら
青年海外協力隊員4人の慰霊碑に供花。

アクラから約100キロ離れた世界最大級の人造湖・ボルタ湖にある
「アコソンボダム」を、大統領別荘のバルコニーから視察。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/10/117146/