2010年3月16日火曜日

富士登山、低酸素にご用心 中高年、ベテランでも負担 高血圧も、鹿屋体育大調査

(2010年3月5日 共同通信社)

富士山の中高年登山者は、ベテランでも歩行中や山頂付近での
睡眠中に、通常なら救急医療で酸素吸入が必要なレベルの
極度の低酸素状態になり、血圧も上がることが、
鹿屋体育大の山本正嘉教授(運動生理学)らの調査。

山本教授は、「登山未経験者や普段運動していない人だと、
より大きな負担がかかり、事故の引き金になる恐れがある」、
一気に登頂せず、途中で1泊した方が負担を軽減できる。

調査は昨年8月、登山経験15年以上の58~69歳の
男女計7人を対象、2泊3日の行程で実施。

標高約2400mの5合目・富士宮口から、約7時間かけて登頂、
旧富士山測候所に宿泊。
2日目、約3時間かけて山頂噴火口を1周する「お鉢巡り」、
3日目、約3時間かけて下山。
この間、体内の酸素量の指標となる「動脈血酸素飽和度」(SpO2)、
心拍数、血圧などを測定。

スタート時のSpO2は、7人の平均が約93%、
酸素が薄い山頂に近づくにつれ低下。
3700mを超えた歩行中と山頂での睡眠時は、平均60%台。
登山は、徐々に酸素が減るので体が慣れていくが、
平地だと90%を下回ると、救急医療で酸素吸入が必要なレベル。

低酸素状態となることで、心拍数と血圧も上昇。
山頂での最高血圧は、平均で高血圧と定義される140以上。

◆富士登山者の遭難

2005年夏、富士山8合目まで登った登山者は約20万人、
08年夏は約30万人、昨年夏は約29万2千人。
昨年1年間に扱った遭難は、41件で7人死亡、21人負傷。
足を滑らせたことによる転倒が10件と最多、
疲労や高山病によるものもあり、多くは不十分な装備や
体力不足が原因。
山梨県側では昨年、7件の事故、3人死亡、4人負傷。
昨年12月、元F1レーサー片山右京さんら3人が遭難、
片山さんに同行した2人が死亡。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/5/116962/

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