(読売 3月4日)
子どもの日本語能力判定などを取り入れた
「鈴鹿モデル」が関心を集めている。
三重県鈴鹿市立牧田小学校の「いきいき教室」国語科に、
ブラジル人、ペルー人、フィリピン人の2年生児童8人。
同じ時間に、在籍学級で日本人児童らが受けている
国語の授業を離れた「取り出し」授業。
教師「『お気に入り』って何かな」、児童「一番好きなこと」、
教師「じゃあ、お気に入りのおもちゃは何かな、紙に書いてね」
大人は3人。
教員のほか、ポルトガル語を話す支援者、市教育委員会が
派遣する日本語教育コーディネーターの中川智子さん(32)が、
子どもたちの間を回り、わからない言葉につまずく
子どもがいればフォローする。
同市では、市立小・中学校に、日系人を中心に
外国人児童生徒607人、日本語指導を要する子ども340人が在籍。
日常会話に支障なく見えても、国語、算数などの授業に参加する
日本語力が足りずに伸び悩み、小学校高学年、
中学・高校でつまずく子どもは少なくない。
「授業に参加する力」を育てようと、
市教委は、早稲田大学日本語教育研究科の川上郁雄教授(56)の
支援を受け、昨年4月から、子ども向け日本語教育の
専門知識と実践経験を持つコーディネーターの派遣など、
様々な取り組みを始めている。
注目されるのは、日本語を母語としない者に対する
日本語教育の考え方であるJSLの一環として、
川上教授が考案した「JSLバンドスケール」を導入したこと。
「聞く・話す・読む・書く」の4技能に関する能力判定基準で、
小学校低学年、同中高学年、中学・高校ごとに、
7~8レベルの基準がある。
日本語でやりとりする様子から、「黙っている」、
「あいさつの言葉を使い始める」、
「長い説明になると、文がブツブツ切れる」などを把握。
同スケールを使って、牧田小で外国人児童の指導を担当する
山田雅子教諭(47)によると、「日本語は大丈夫そうだ」と
いったん取り出し授業への参加を中止した児童が、判定の結果、
「まだ在籍学級の授業についていけない」として戻ったケースも。
「景気の影響により、転校や帰国、再来日などで動く子どもも多く、
客観的に日本語能力を判定できるのは助かる」
川上教授は、「外国籍の子どもたちは学校間、自治体間、国家間を
移動し、その『学び』が分断される可能性が高い。
子たちの能力判定を、現場教員の経験任せにしてはいけない」
鈴鹿モデルでは、独自の日本語指導教材作成という成果も
表れ始めている。
旗振り役の水井健次教育長(65)は、
「将来は、日本の各地で外国人が増える。
鈴鹿は、よその町より『少し先』を経験しているわけで、
外国人が多いことを『強み』にしたい。
可能なことには、できる限り取り組んでいく」
◆JSL(Japanese as a Second Language)
日本語を母語としない子どもたちの日本語学習支援。
文部科学省によると、日本の公立小・中学校・高校などに通う
外国人児童生徒で、日本語指導が必要とされるのは
計2万8575人(2008年9月現在)。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100304-OYT8T00246.htm
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