2010年6月29日火曜日

慶大など漢方治療の効果 分析へ

(2010年6月21日 読売新聞)

医師の経験に頼る部分が大きい漢方治療で、
コンピューターを使い、診療の参考になる客観的なデータを
蓄えることを目指す研究を、6大学病院などで作る
厚生労働省研究班が今年度から始めた。

今後3年で、受診する患者のデータをコンピューターで分析し、
漢方薬がどんな人によく効くのかを探り出す。
将来は、患者の症状を入力すると、治療に適した漢方薬を
教えてくれるソフトウエアの開発も目指している。

研究は、慶応大、富山大、東北大、千葉大、東京女子医大、
自治医大のほか、亀田総合病院(千葉県)など4病院が参加。
期間は、2012年度までの3か年。

データの収集には、患者がパソコン画面に触れて入力する
漢方問診システムを使用。質問数は約150。
冷え、痛み、ほてり、むくみの程度や、「イライラ」、「憂うつ」の
精神状態、「のどのつかえ」、「胸焼け」など体の異状を尋ねる。

収集されたデータを、東大医科学研究所教授の宮野悟さん、
東大工学部特任准教授の美馬秀樹さんら、
情報技術の専門家が分析。
患者の年齢、性別、体質、症状と、
漢方による改善度との関係を調べる。

慶大では、08年度から2年間、漢方問診システムで
約5000件のデータを収集。
漢方治療で、患者が多い「冷え」について分析したところ、
「むくみがある」、「疲れやすい」などの症状もある
「冷え」の患者は漢方薬で治りやすいが、にきびがあったり、
汗をかきやすかったりする患者では、
漢方では改善しにくいことが新たに分かった。

同大病院漢方医学センター長の渡辺賢治さんは、
「延べ3万人のデータ収集が目標。
大量のデータ分析によって、漢方薬ごとの効果予測も
可能になるかもしれない」

伝統的な漢方治療では、医師が患者の脈、舌、腹部を診て、
体力の程度や血流の様子に応じ、漢方薬を処方している。
臨床試験で治療の効果を比較する西洋医学に比べ、
科学的な根拠が弱いと指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/21/121863/

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