(毎日 1月15日)
◇シャープDCエコハウス推進センター所長・中川泰仁さん(52)
シャープが推進するCO2排出量ゼロの家「DC(直流)エコハウス」
プロジェクトを推進する中川泰仁さんは、
「無駄を徹底削減し、生活を向上させる」と意気込む。
電気は、交流(AC)で発電所から家庭に送られる。
家にあるテレビやパソコンなど、家電製品の多くは直流で動く。
ACアダプターが、電気を交流から直流に変換する際、
最大10%もの電力が無駄。
家庭部門は90年以降、CO2排出量を急増。
「家電メーカーとして、何ができるか」
シャープがたどり着いたのが、DCエコハウス。
配電や家電製品から交流を排除、直流のみを使い、無駄を排除。
中川さんは、昨年8月に設立された推進センターの
初代所長に抜てき。
直流配電の研究経験はない。
研究開発畑を歩み、イオンで除菌する空気清浄機など、
既存の技術を応用したヒット商品を生み出した実績が評価。
直流配電も、細々と研究が続いてきた分野。
交流を一度直流に転換後、屋内はすべて直流で配電するなど、
技術面はほぼクリア。
最近は、家電製品の作動テストを重ねる。
今後は、屋外の太陽光発電を直流で取り込み、電池に貯蔵したり、
効率的な電気の配電を実現。
「15年には、CO2発生をゼロにし、将来は家庭が電気を生む
創エネも視野に入れる」
部品の見直しや家屋の配電工事などをにらみ、
ハウスメーカー、電力会社なども巻き込む。
こうした努力が実り、新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)から、09年度以降2年にわたり、
直流配電の実証実験の補助金を受けている。
同じ家電でも、交流で動く冷蔵庫、洗濯機、エアコンは
年間1兆円市場。
「直流で動かせれば、巨大な買い替え需要も期待」
太陽光発電の電気は直流だが、電圧が300ボルトで、
一般的な家庭の電気(交流)の3倍。
危険封じ込めのハードルも残る。
低電圧の直流と交流を組み合わせたエコハウスを探る
他社の動きもあり、今後の規格統一も課題。
「どんな難問にも、解決策はある」
技術者魂でプロジェクトを支えるつもりだ。
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◇直流配電
家庭の配電を、直流で行うこと。
電力会社は現在、交流で家庭に送電。
家電製品の多くは、交流を直流に変換。
100年以上前の規格争いで、発明王エジソンが推進した直流に対し、
変圧しやすく、長距離送電も容易な交流が業界標準。
直流配電が実現すれば、変換による無駄が減る。
これまで以上に、省エネが進んだ家電製品が登場し、
環境負荷も小さくなると、家電メーカーが注目。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/15/20100115ddm008020102000c.html
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