(毎日 2月14日)
物を作ったら、作っただけ売れる時代は終わり、
今重視されているのは合理化。
生産現場では人が不要となり、チームワークも要求されない。
チームワークより、責任労働の比重が大きくなり、現場は縮小されていく。
会社のシンボルであり、社員の帰属意識や一体感を高めてきた
企業スポーツが発展していく可能性は小さい。
買収される心配がない企業は別として、今の経済情勢下では
スポーツ支援を株主が許さなくなっている。
このときとばかりに、自ら支援を打ち切るケースも。
1月のサッカー・アジア杯最終予選の日本-バーレーン戦に
スポンサーがつかず、テレビで生中継されなかった。
海外では考えられないこと。
本気で支援しようという日本企業がいなかった、と思わざるを得ない。
トヨタのような大企業は、数多くの競技団体にとって貴重な存在だが、
そんな大企業の支援も今後は不透明。
もし支援が打ち切られたら、現在の「企業とスポーツ」の関係は崩れてしまう。
その前に、何か別の方法を考える必要がある。
これまで、企業支援はメジャースポーツに偏りがち。
国民がスポーツを楽しむという観点では、
従来の企業スポーツの使命は終わったと言える。
スポーツをしている人が、どうやったら長く続けられるか。
五輪の優勝を目指すだけなら税金を使い、国がやればいい。
だが、トップ選手を作るだけでは何にもならない。
英国で5年ほど暮らしたことがある。
子供たちに人気があるのはサッカーだった。
競技レベルも高かったが、冬季スポーツや他の競技は人気はなく、偏りがあった。
日本では、中学・高校のクラブ活動でいろいろな競技に親しむ。
その後も、スポーツを続けることができる環境づくりが必要。
多くの人がスポーツを楽しめ、子供たちが後に続く。
そうでなければ発展はしない。
今後、企業はスポーツとどう関係すべきなのか?
北海道旭川市に、「キシイ」という建設設備会社がある。
大きな企業ではないが、支援するバスケットボールチームは
実業団連盟に所属し、国体で準優勝。
選手は、k有能なセールスマンとして働く。
社員として大きな戦力であれば、小さな企業でも雇うことは可能。
遠征費など負担は、年間数千万円程度で済む。
地方の小さな企業の選手が、五輪や国際大会に出場するのは簡単ではない。
そんな支援がなければ、限られた一部の選手以外が
国際大会に出場できなくなる日は、すぐそこまで来ている。
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◇さわの・まさひこ
経営学。日本の人事管理や企業とスポーツ、企業の社会貢献などを研究。
著者に「企業スポーツの栄光と挫折」「現代日本企業の人事戦略」など。
和歌山大経済学部卒。京都大で経営学の博士学位取得。57歳。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm035050027000c.html
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