2010年9月10日金曜日

実感する理科(10)実験・自然教室で好奇心

(読売 9月2日)

実験室の照明を消すと、光ファイバーの先端だけが
赤や緑色に光って浮かび上がった。
「わーっ、花火みたい」、何本も束ねて光の点が集まった姿を見て
歓声が上がった。「触っても熱くないよ」。

小学生約20人は、光ファイバーを使って7色に光る花を作る実験を通して、
インターネットに使われている先端技術をちょっとだけ理解。

早稲田大学西早稲田キャンパスで開かれた、
小中学生のための科学実験教室「ユニラブ」。
「科学って楽しい、という思いから、興味を持つきっかけに」と
始まった取り組みは、今年で23回目。
理科離れを防ぎ、将来の学生確保につなげたい、という
大学の思惑があるが、夏休みの自由研究にもなるとあって
毎年盛況。

今回は、光ファイバーのほか、「シャボン玉の秘密を探ろう」、
「人力冷蔵庫」など25種類の実験が用意、約1000人が参加。
バイクのエンジン開発を行う研究室では、
ガソリンが爆発してピストンを押すエンジン模型を間近で見学、
バリバリという爆音に圧倒。

受講記念に、実験の作品や「修了証」がもらえることも、
子どもにはうれしい。
参加したことで、関心や意欲が増したというデータもある。
「普段できない体験ができる」、「研究者と直接触れ合える」など、
保護者にも好評だ。

「ユニラブでのわくわく感が、研究者を志すきっかけになった、
という人もいる」、同大理工センター技術部長の羽田野新平さん(57)。

北海道長万部町で開かれた東京理科大学のサマースクールには、
高校生55人が参加。
食事付きの寮に3泊4日して、実験や野外観察を行う。
参加費無料というのも魅力。

スクールは、1年生の時だけ長万部で寮生活という基礎工学部の
生活の一端や、理系大学の様子を知ってもらうのが狙い。
開校式では、サケの遡上見学や、ジャガイモの栽培など、
様々な体験で視野を広げる教育の様子が紹介。

台風4号の影響で、有珠山の野外調査は中止となったが、
参加した女子高生(16)は、「自然を相手に、自分で自由に学習できる
雰囲気にひかれた」

長野県白馬村では、小中学生向け自然科学教室「科学の泉」が開かれた。
ノーベル化学賞の白川英樹博士を塾長に、
ソニー教育財団が開催、今年で6回目。
5泊6日の日程で、子どもが自然の中で研究課題を見つけ、
自分で考えた実験を行い、結果をまとめて発表。

教室の特徴は、ゼロから考えさせること。
指導のコツについて、白川博士は、
「子どもと一緒に不思議がること、根気強く待つこと、問いかけること」

科学実験や自然で育まれた好奇心が、
実感の伴った理解へとつながっていく。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100902-OYT8T00174.htm

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