(読売 2月5日)
島の子供たちが、観光大使として活躍する。
JR京都駅でそろいの法被を着て特産の昆布を配り、
島を紹介する高校生の映像が、大きなスクリーンに映し出された。
北海道稚内市の西約60キロにある人口約3100人の礼文島。
町民活動総合センターに、島の子供たち約100人が集まり、
年に1度の観光大使活動の報告会を行った。
島唯一の高校である礼文高校だけでなく、小学校4校、中学校2校でも、
4年前から修学旅行先で、島をPRする大使としての活動。
小学生は、JR札幌駅構内での活動の結果、
「島を知っている人は多いが、来たことがある人は少なかった」と報告。
中学生も、別の日に同駅で活動した。
礼文島では、海抜0メートルから高山植物が楽しめるが、
観光客が高山植物を見るために歩いてもいいと思う時間は、
1~2時間が大半と判明。
今より気軽に歩けるコースを増やすよう提案。
報告は各校15分ずつ。
小学生と高校生が、PRのために配った手作りの観光パンフレットを見せ合うなど、
会場は和気あいあいとした雰囲気。
島の教員で作る礼文町教育研究会は3年前、
小中高の連携教育を打ち出している。
島の将来を担う人材育成は教育現場の使命だが、
島の基幹産業である水産業や観光は振るわない。
保護者の中には、島を出ても生活できる子供に育ててほしいという思いも。
子供たちが、「何もない不便な場所」と思っている限りは、
島への愛着は生まれない。
同会は、12年間を通じた礼文型教育の柱に「礼文学」を掲げ、
誇れる古里の姿を見せようと考えた。
「礼文学」では、カモメの子育て観察、高山植物学習、ホッケ薫製作り、
漁業体験、ボランティア弁当作りなど、島の自然や産業、福祉を、
成長段階に合わせてどう学ぶかを示した。
地域住民を講師に招くなど、題材も70を超える。
修学旅行での観光大使活動は、礼文学の学習成果を披露する場と位置づけ。
同会会長で、香深井小学校の曽我部藤夫校長(54)は、
「古里から生きる力を学ぶ。
たとえ島を離れても、島への思いは生きる糧になるはず」
連携教育は学校間の垣根を低くし、交流が盛んに行われている。
英語指導助手が常駐しない島では、小学校高学年の英語活動を、
中学校の英語教員が手助けする。
高校の家庭科の豆腐作りに、小学生が加わる。
島内からの礼文高校への進学率は、2002年度には44人中16人、
年々上昇傾向で、今年度は特に23人中19人に達した。
同高の平塚幸男校長(55)は、「古里を深く知ったからこその成果」と胸を張る。
島だからこそ、できる教育がある。
子供たちの心に芽生えた思いは、島の大きな財産になるだろう。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090205-OYT8T00282.htm
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