2010年2月20日土曜日

仏、兵士使い人体実験 60年代、核爆発の影響調査

(2010年2月17日 共同通信社)

1960年代初頭、フランスが同国領アルジェリアのサハラ砂漠で、
大気圏核実験を行った際、軍兵士らを実験直後の爆心地周辺まで
進ませ、人体への影響を調べていたことが分かった。
軍の機密文書を基に、16日付パリジャン紙が報じた。

フランス政府は昨年12月、同国の核実験で被ばくし、
後遺症に苦しめられた兵士らへの補償法を成立、
半世紀にわたり封印されてきた核実験の暗部の一端が
明らかになった。

260ページに及ぶ文書によると、
61年4月25日に行われた核実験は、
「核兵器が人体に及ぼす生理的、心理的影響調査」と目的を明記。

兵士ら約300人を核実験場周辺に配置、核爆発の20分後から
爆心地へ向けて徒歩や車で進ませた。
ある部隊は、爆心地から700メートルの距離まで進んだほか、
別のパトロール部隊は爆心地まで275メートルまで近づいた。

同核実験に参加したのは、ドイツ駐留のフランス軍部隊など、
兵士の一人はパリジャン紙に対し、
「(部隊移動の表向きの理由は)アルジェリアの油田の監視だった」
診察した医師から、「将来まともな市民生活を送りたかったら、
黙っていろ」と警告されたことを暴露。

別の被ばく者は、同紙に「われわれは核兵器のモルモットだった」、
理由も知らされず実験台にされ、
後遺症に苦しめられたことに怒りをあらわにした。

機密文書は、フランスが包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准した
直後の98年、「1人または複数の匿名の軍関係者」によって作成。

※フランスの核実験

フランスは、1960~66年アルジェリアのサハラ砂漠で、
17回の核実験を実施。
66~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁とファンガタウファ環礁で、
計190回以上の核実験を行った。

フランスの軍兵士や民間人約15万人、多数の現地住民が動員。
フランスは昨年12月、サハラ砂漠と仏領ポリネシアの核実験で
被ばくし、甲状腺がんなどを発症した軍関係者や
現地の民間人らへの補償を定めた法案を成立。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/17/116104/

0 件のコメント: