(日経 2月13日)
東京ガスが、日立市に同社で4カ所目となる
液化天然ガス(LNG)輸入基地を建設。
完成は2015年度の予定、当初計画より2年前倒し。
景気低迷と地球温暖化対策の進展で、
国内エネルギー需要が伸び悩むなか、
新たな拠点をどう成長戦略につなげるのか。
前田忠昭副社長に聞いた。
——LNG輸入基地を新設する狙いは?
「当社の既存のLNG輸入基地は根岸、扇島、袖ケ浦の3カ所で、
すべて東京湾岸に。
東京湾を通航させる船を、大幅に増やすことは難しい。
北関東でも、LNGを受け入れることができれば輸入量を拡大し、
潜在需要が大きい北関東のマーケットの開拓を加速できる」
——09年は都市ガスの需要減少が続いた。
「国内需要はリーマン・ショック以後、工業用が大幅に落ち込んで
前年割れが続いていたが、東京ガスでは昨年12月に
前年同月比でプラスに転じた。
日立市の基地建設を決めた昨年1月は、まだ景気がどこまで
下がるのか見通しがつかなかった。
ようやく景気の底が見え、昨年12月に基地建設の
2年前倒しをめざす方針を決めた」
「都市ガスは、石油より燃料時のCO2排出量が少なく、
環境対応のため、燃料を都市ガスに替えようとする企業は多い。
景気が本格的に回復してくれば、工場の設備更新が進み、
その際に燃料転換をする需要が増える。
景気が上向き始めると、基地の建設コストも上昇が予想、
今は設備投資のいいタイミング」
——どの程度の需要拡大が見込めるか?
「東京ガスの管内で、石油系燃料を使っている工場の数を考えると、
90億立方メートルほどの潜在需要がありそう。
当社の工業用のガス販売量は、年50億立方メートル程度。
潜在需要をすべて掘り起こせば、長期的には3倍近くに増やせる計算。
営業努力は必要だが、成長余地は大きい。
日立基地は、完成後にさらに増強することも検討」
——都市ガスも、石油と同じ化石燃料の一種。長期的には、
太陽光などクリーンエネルギーに置き換わっていくのでは?
「太陽光や風力などの新エネルギーは、設備投資の負担が大きく、
出力も不安定な面が。
急速に普及させることは難しい。
CO2排出量を減らすため、もっとも簡単なのは、
燃料を天然ガスに替えること。
企業は、CO2排出量を減らさないと生産量を増やせない。
即効性のあるガスへの燃料転換の需要は増え続ける」
「都市ガスと新エネルギーの組み合わせも提案。
都市ガスを燃料に使って、発電と給湯をする燃料電池に
太陽光発電を併用する『ダブル発電』など、
都市ガスの有効活用を工夫する」
——都市ガスは内需型産業だが、海外展開の考えは?
「海外の新興国でも、エネルギー源としてLNGの需要が拡大。
当社は、子会社の東京ガス・エンジニアリングを通し、
中国やインドなどでLNG基地の設計や建設などを受注。
今後も、経済成長が進むアジアなどで受注を伸ばせる」
「LNGを生産・出荷する上流事業では、
すでにオーストラリアなど海外6カ国、計10件のプロジェクトに参画。
今後も、LNGの調達力を高めるため、
条件があえば上流の案件を増やしていきたい」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100212.html
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