(日経 2月3日)
商業施設や交通機関などに設置したディスプレーに、
広告を配信するデジタルサイネージ(電子看板)が注目。
ネットワーク経由で、時間帯や場所に応じた広告を効果的に配信、
広告市況が低迷する中でも高い成長が期待。
同分野への本格参入を発表したNTT持ち株会社の
宇治則孝副社長に、参入の背景や狙いを聞いた。
——なぜ今、電子看板事業に参入するのか?
「NTTは、2008年に策定した中期経営戦略の中で、
インフラ事業者から『サービス創造企業』への転換を掲げ、
光ファイバー通信回線の利用を促進する
新たなサービスの開発に総力。
3年目となる10年は、『サービス創造を花開かせる1年』と位置付け、
これまで準備してきた新事業を一気に商用化する計画」
「電子看板について、法人向けの光回線需要を創出する技術として
早くから注目、07年電機大手などと
『デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)』を組織、
広告配信技術の標準化などを進めてきた。
09年、京浜急行電鉄の改札口などに電子看板を設置、
広告効果を確かめる実証実験にも取り組んだ。
景気低迷の影響で、広告ビジネスを取り巻く状況は厳しいものの、
電子看板の商用化に向けた環境が整ったと判断」
——NTTの電子看板事業の概要は?
「まずは、ディスプレーとネットワークを組み合わせた
電子看板システムを2月1日に発売。
『ひかりサイネージ』というグループの統一ブランドを掲げ、
NTT東西地域会社やNTTドコモなど、グループ各社の
法人営業部門を通じて、フランチャイズチェーン(FC)を展開する
飲食業や金融機関、交通機関向けに販売する」
「電子看板事業への参入に当たって、パナソニック子会社の
ピーディーシーや丸紅と提携、両社からディスプレーなど
機材の供給を受けることに。
ネットベンチャーのニューフォリアとも組み、NTTが販売する
電子看板システムにニュースや占い、天気予報などの
コンテンツを配信してもらう」
——NTTの電子看板サービスの特徴は?
「利用企業のさまざまなニーズに応えられるよう、
導入規模やディスプレーの種類によって、3つのメニューを用意。
FCを展開する飲食業などを対象とする『ベーシックシリーズ』では、
ネットワーク経由でサービスを提供する『SaaS(サース)』の
仕組みを採用。
ネットワークを含め、月額料金で利用できるようにし、
企業の初期負担を軽減。
ディスプレーの大きさにもよるが、利用企業はディスプレー1台当たり
月1万円弱の費用で電子看板を導入」
「10年中、電子看板向けの広告配信サーバーを運用する
プラットフォーム事業にも乗り出す計画。
現在約170社が参加する標準化団体のDSCなどを通じ、
広告配信技術の標準化を推進、NTTグループが販売する
ひかりサイネージ以外のディスプレーにも広告を配信」
——ターゲットと販売目標は?
「飲食店や商業施設だけでなく、官公庁や病院、美術館など
人が集まるあらゆる施設がターゲットに。
ドコモの携帯電話販売代理店『ドコモショップ』に、
ひかりサイネージを導入することも。
電子看板の市場規模は、ネットワークにつながったタイプに限っても、
2008年の約150億円から、15年に320億円前後に成長すると見込む。
15年までに、NTTグループで25~30%のシェアを獲得、
早期に売上高100億円規模の事業に育てたい」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100202.html
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