2009年11月13日金曜日

ペトロブラスのガブリエリCEO「日本でバイオ燃料事業拡大」

(日経 11月3日)

ブラジル国営石油会社、ペトロブラスの
ジョゼ・セルジオ・ガブリエリ最高経営責任者(CEO)は、
日本でバイオ燃料事業を拡大していく方針を明らかに。
油田開発関連などブラジルでの事業で、
日本企業に協力を求めていく考え。

——地球温暖化問題の解決に向け、
石油を代替する新エネルギーに注目。

「当社は、ブラジルの大規模深海油田『プレサル』の開発で、
石油埋蔵量を倍増させ、石油の供給者として
世界的な地位を高める。
一方、環境に優しいバイオ燃料の生産も拡大。
ブラジルの自動車用燃料は、ガソリンより
バイオエタノールの方が多い。
人類最大の課題である環境問題にも対応し、
世界のエネルギー市場で新たな役割を担っていく」

——燃料を使わない電気自動車の普及が始まったが、
バイオ燃料の需要は伸び続けるのか?

電気自動車の普及は、バイオ燃料の市場拡大を抑制しない。
EVには、価格の高さやバッテリーの性能など、
解決に時間がかかる課題が多い。
既存のエンジンの変更が不要で、燃料を効率的に使える
バイオエタノールの成長が先行する」

——バイオ燃料の日本での事業展開は?

企業の成長には、国際展開が重要で、
日本でも存在感を高めたい。
日本へ最もバイオエタノールを輸出しているのはブラジル。
原料供給に加え、川崎市の給油所では当社のエタノールを
混合したバイオガソリンの販売も始めた。
首都圏を中心に、販売拠点を増やしていく」

——2008年に買収した沖縄県に製油所を持つ南西石油
どう活用していくか?

「当時は、設備の高度化に1000億円規模の投資を計画、
これは考え直さざるを得ない。
石油製品の利幅が縮小するなど、事業環境が様変わりした。
今後、日本で新たに製油所の売却案件が出てくるとしても、
さらに買収をするつもりはない」

アジア全体を視野に入れれば、日本が地理的に重要
という考えは変わっていない。
沖縄の製油所は、アジア全域への製品輸出や
ブラジルの原油やエタノールを使ったバイオ燃料の生産などの
形で活用し、世界で事業を展開するためのハブ(中核拠点)
として付加価値を高めていく」

——本業の石油事業の方向性は?

バイオ燃料の市場が拡大する一方、
石油も重要なエネルギー源でありつづける。
当社は、世界経済が低迷している中、
2013年まで石油事業に約1700億ドルもの資金を投じる」

「ブラジルの深海油田の開発が進めば、当社の石油埋蔵量は
300億バレルと倍増する。
巨大な埋蔵量を生かすには、設備をタイミングよく建設し、
確実に生産に結びつけていけるかが課題。
ブラジルの油田開発は、ペトロブラスが中心、
海外企業の協力も欠かせない」

——どんな分野で協力を求めるか?

油田開発には、掘削装置やガソリンなどの生産設備、
輸送用のパイプラインなど多くの関連事業がある。
当社は、歴史的に日本の石油会社や商社、
エンジニアリング会社、金融機関と親密な関係を築いてきた。
今後も、資材を提供する企業などにブラジルに進出し、
現地生産の形で協力してほしい」

——油田開発以外での連携はどうか?

新分野の技術開発で、関係を探めていきたい。
サッポロビールとは、サトウキビの搾りかすなどを再利用し、
水素ガスを作る技術を研究。
サトウキビ由来に替わる次世代のバイオ燃料の実用化には、
時間がかかるが、将来への準備は必要」

バイオエタノールを、火力発電の燃料に使う研究も始めている。
結果が出てくれば、交流協定を結んでいる東京電力との協力も。
バイオ原料から、航空機燃料やプラスチックを生産する構想も。
成長力の持続には、海外の企業や研究機関とパートナーシップを
組み、次の10年に向けた技術革新を進めることも重要」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091102.html

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