2009年12月5日土曜日

新しい波/325 Fリーグのいま/中

(毎日 11月28日)

フットサル・Fリーグ10チーム中唯一、
全プロ選手で構成する名古屋。

市内にある大洋薬品オーシャンアリーナは、
同社が総工費約40億円かけて造った専用体育館で3階建て。
コート2面にオーロラビジョン、約2600席のスタンドなどを備え、
アマチュア主体の組織の中で突出。

選手は13人。
実業団サッカー出身の桜井嘉人ゼネラルマネジャー(GM)
全国をめぐってスカウト。
J1経験選手もいる。

球団発足当初は、「年俸400万円前後」と桜井GM。
アリーナのイベント活用や会社のバックアップも奏功して、
リーグ3季目の今季は日本人最高で約700万円。

自動車関連工場で働く日系人集住地域がある愛知県の地域性も
反映してか、競技が盛んな南米出身の日系人選手も複数いる。
名古屋の中心選手、森岡薫(30)は、ペルー出身の日系人。

12歳で、父の仕事に付いて家族と来日。
日本の生活になじめず、高校中退。
建築関係の仕事をしながら、「遊び歩く生活が続いた」。
20歳の時、立ち読みした雑誌が縁で競技を始めた。
ペルーでのサッカー経験が生き、神奈川のクラブにいる時、
桜井GMに誘われた。

リーグ初年度に14得点を挙げ、優勝に貢献し最優秀選手になり、
ペルーのメディアから取材。
1児の父になり、日本国籍取得を望む森岡。
「競技と出合えた日本に恩返しをしたい。
自分のような道もあることを示し、子どもに夢を持ってほしい」。

地域名が前面に出るのを利点にし、競技普及とセットにして
自治体支援を受けるチームも。

明海大サッカー部OBチームが前身の浦安は、
市総合体育館の優先利用を認められている一方、
市内幼稚園などで子どもたちに教える。
アマチュア組織のため、各選手に報酬はなく仕事を持っているが、
チーム行事を最優先にして集う。
浅野清春GMは、「選手になりたいという子どもが出てきてほしい」。

リーグ理念の一つが、「世代や性別、地域や所属を超えた
交流のできるフットサルコミュニティーの創出」。
地味だが、成果は着実に出ている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091128ddm035050102000c.html

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