(毎日 11月23日)
街作りの担い手として、環境への配慮も求められる建設業界。
大成建設は、業界でも珍しい「環境本部」を設置、
建設現場の生態系維持や資材のリサイクルなど
環境保護に向けた取り組みを加速。
山内隆司社長に環境への思いを聞いた。
--環境本部を設置した狙いは?
◆地球温暖化問題など、環境への負荷を抑える
具体的な活動が社会から求められる今、
環境対策に取り組める人材や情報を一元化したかった。
土木から建築、土壌浄化まで幅広い部門に分散していた、
環境ビジネスに役立つ人材や情報を一つの部署に集め、
顧客の要求に素早く応え、環境を意識した企業活動の
重要さを社員で共有。
--鳩山内閣が打ち出した環境政策をどう見るか?
◆2020年時点での温室効果ガス排出量を、
90年比25%削減する目標は、我が社にはビジネスチャンス。
90年、経営理念のキーワードに「環境」の言葉を盛り込んで以降、
国内外の土木・建設工事で、土壌・地下水の浄化や
自然との共生につながる技術開発に取り組んできた。
ノウハウが、鳩山政権の誕生でさらに広く生かせる。
日本の高い技術力を、世界に示す好機だと前向きに。
--環境本部は工事受注にどうかかわっているか?
◆環境への意識が高い顧客を中心に、
独自開発の技術を積極的に提案。
環境配慮型の建物や工事は、我が社の得意分野を
示せるだけでなく、顧客にとっても企業イメージが高まり、
事業拡大の好機にも。
「先方から声がかかる前に、『環境』を売り込んでいこう」と。
都心のビル建設事業では、植物を建物の周囲や屋上に施すことで、
近隣からも好印象を得られ、快適な街作りに一役買うメリットを説明。
--土壌浄化も得意分野。
◆10年4月に施行される改正土壌汚染対策法で、
土壌の汚染調査や改良事業が脚光を浴びる。
我が社が手がけた土壌調査や対策事業は、
約20年間で1700件と、豊富な実績。
海外では、途上国を中心に安心して水を飲めない国が少なくなく、
技術を生かせるチャンスは無限。
--環境事業は収益につながるか?
◆新しいビルを建てるだけが、建設会社の役目ではない。
寿命の長い建築物を造ることは、建設会社の収益に
マイナスかもしれないが、建築廃材の削減や耐震補強などの
技術向上にもつながる。
こうした技術も環境事業の一環ととらえ、
精度を高めることが建設会社の使命。
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◇やまうち・たかし
東京大工卒。69年大成建設入社。関東支店長、建築本部長、
取締役などを経て07年4月から現職。
建築業協会会長も務める。岡山県出身。63歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/23/20091123ddm008020043000c.html
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