2008年4月23日水曜日

スポーツ21世紀:新しい波/265 日本テニス界の挑戦/下 NTCに室内コート

(毎日新聞 2008年4月19日)

日本テニス協会が待ち望んだ室内コートが、
ナショナルトレーニングセンター(NTC)の一角に設置。
男子国別対抗戦・デビス杯の竹内映二監督は
「ここを強化の拠点として、いずれはエリートアカデミーのような
事業もできれば」と期待。

ハード、クレーのコートが各2面。
ハードコートの天井にはフォーム分析用カメラがあり、
屋外での試合を想定して太陽光を模したライトも設置。
クレーコートにも、全仏オープン会場と同じ赤土を使うなど工夫。
協会側の熱心な要望が実ってできた「悲願のコート」。

協会はこれまで、選手強化に頭を悩ませてきた。
テニスは他の球技に比べ、国を代表する大会が少ない。
トップ選手は、個人で国内外のツアーを転戦することが多く、
1カ所に集めて強化策を図ることが難しい。

協会が練習拠点としていた朝日生命久我山スポーツクラブが、
約5年前に閉鎖されて以降、選手は練習相手の確保にも苦労。
NTCを中心に活動するジュニア担当の村上武資コーチは、
「海外の試合に派遣しても、日本に帰ってくると選手たちは別々に練習。
強化は、『他力』に頼る部分もあった」。
NTCによって、こうした悩みが解消されると期待。

今後は、北京五輪代表選手に優先的に使用させ、レベルアップを狙う。
全国各地で行われる大会の参加者から、
100~500円のNTC運用費を徴収する「ワンコイン制度」も開始し、
活動を支えていく方針。

長年男子テニス界を支えてきた32歳の岩渕聡(ルネサンス)は、
「練習の場所や相手を探すのは、労力がいる。
トップが集まるNTCでは、効率のいい、内容の濃い練習がしやすくなる」。

NTC近くに引っ越してきたという23歳の添田豪(ミキプルーン)も
「ここには、他競技の選手もいて、いい刺激になります」。
国内での選手強化は「器」が整い、ようやく本格的なスタートを切ろうとしている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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