2008年4月23日水曜日

Highlights: T前駆細胞による汎用的免疫療法

(Nature Biotechnology 26(4), Apr 2008)

T細胞の欠損は、老化、自己免疫疾患、血液がん、感染症、
造血幹(HS)細胞移植プロトコルと関連。

T細胞を用いる治療は、困難である。
患者由来の細胞を使用すると悪性細胞が混入すること、
同種異系細胞を使用すると移植片対宿主病が生ずること、
細胞の入手が困難で寿命が短いことが理由。

van den Brinkらは、主要組織適合複合体(MHC)の壁を越える
養子移入でT前駆細胞を用いることは、比較的安全で効果的であり、
同種異系造血幹(HS)細胞の移植を併用する必要もない。

van den Brinkらは以前、同種異系T前駆細胞と
同種異系HS細胞の共注入によって、
抗菌薬耐性と移植片対腫瘍活性が増強されることを実証。

今回は、同種異系HS細胞の代わりに同系HS細胞を用いるプロトコルと、
HS細胞を全く用いないプロトコルが利用。
この変更は、T前駆細胞が宿主MHC拘束性で宿主に許容される
同種異系T細胞に分化し、放射線照射したレシピエントマウスの
生存期間を延長して抗腫瘍反応を増強するという点で、
注入する同種異系T前駆細胞の特性に影響を与えなかった。

CD19を標的とするキメラ受容体を発現するT前駆細胞を導入すると、
抗腫瘍活性が増強された。
同種異系T前駆細胞は、遺伝子操作したOP9骨髄間質細胞上で
培養すれば、容易にex vivoで増殖可能であり、
この注入プロトコルの変更によってMHC適合を要さない
新しい免疫療法の開発が促進される可能性がある。

http://www.natureasia.com/japan/biotechnology/highlights/article.php?i=65558

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