2008年4月25日金曜日

インフルエンザ、アジアが発生源 国際チームが解明

(朝日新聞 2008年04月17日)

毎年流行するインフルエンザのウイルスは、
東アジアから東南アジアの地域で生まれ、旅行や貿易といった
人の活動にともなって世界中に広まっていくことを、
日米欧豪などの国際共同チームが確認。
米科学誌サイエンスに発表。

チームは、02~07年に世界中から採取した
インフルエンザA型(H3N2)のウイルス1万3千株について、
ウイルスに特徴的な分子やDNAの微妙な違いを調べた。
こうした違いから、ウイルスの変異(進化)の過程がたどれ、
ウイルスがどういう経路で広まったかがわかる。

その結果、ウイルスは東アジアから東南アジアにかけての地域で生まれ、
その後、オセアニア、欧州、北米へと拡大。
最後に南米に達したところで、「進化」を終えていた。
論文は、ウイルスが生まれる具体的な地域や国の名前はあげていない。

A型は、68~69年に世界的に大流行し、
100万人もの死者が出たとされる「香港かぜ」と同じ型。
毎年、少しずつ変異した新たなタイプのウイルス(亜型)が流行し、
世界の毎年の死者は平均25万~50万人と推計。

ウイルスの供給源として、東南アジアやその周辺とする見方が強かったが、
「北半球」、「熱帯地域」など供給源をより広くとらえる専門家もいた。

今回の成果から、アジアの供給源地域を集中監視し、
次に流行するウイルスをいち早く見つけることの重要性が、
あらためて裏付けられた。

インフルエンザの被害軽減の決め手となるワクチンは、
毎年の流行予測に基づいて製造。
国立感染症研究所ウイルス第三部の田代真人部長は、
「ウイルスが、日本に来るまでに起こす変異にも一定の傾向があった。
成果は、日本が流行予測するのにも役立つ」。

http://www.asahi.com/science/update/0417/TKY200804160355.html

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