(毎日 3月30日)
オフィス用品大手のコクヨは、CO2排出量削減のため、
屋外勤務制度を始めたり、社内環境基準を満たさない
商品について、カタログで「エコバツ」マークをつけて紹介、
ユニークな取り組みを進めている。
工場に比べて遅れがちなオフィスでのCO2対策について、
黒田章裕社長に聞いた。
--「エコバツ」マークはどのようなものか?
◆製造・運搬・使用・廃棄の4段階で、一つでも社内基準を
満たさない商品を「バツ」とみなし、マークをカタログに載せる。
「エコマーク」をつけるより、基準を満たさない商品を減らす方が、
確実に環境商品化できる。基準を満たせば外す。
10年度中に、「バツ」商品をゼロに。
--社員は納得したか?
◆「買ってはいけない商品と誤解されてしまう」と猛反対されたが、
07年9月ごろ社内で合意。反対意見も残ったが、
初めてのカタログが完成する、わずか3カ月の間に、
「バツ」の数がオフィス家具部門で2割も減った。
再生紙偽装問題の影響で、09年版は「バツ」の数が増えたが、
「2年で基準をすべてクリアします」と関連企業が話すなど、
取り組みは社外にも広がりつつある。
--オフィス屋上で勤務する「ガーデンオフィス」も話題に。
◆対象者が、1年のうち90日を「ガーデン」で働く。
昨年12月と今年1月は、前年同月比で約40%、CO2量減。
確かに冬は寒い。
「快適なオフィスがあるのに、厳しい条件で働く必要があるのか」との意見も。
目標を定めれば、社員は行動する。
環境対策に取り組むことで、社員の意識が変わった。
「集中して作業できるようになった」などの効果も。
--顧客に対してはどのような提案?
◆消費電力の少ないLED(発光ダイオード)照明への切り替えを提唱。
蛍光灯型なら、十分な明るさを確保。
環境に対する社員の意識改革を促すサービスを提供、
顧客から選ばれる会社を目指す。
--景気悪化でコストのかかる環境対応が遅れるのでは?
◆現在、各企業は環境対策に高いコストを払っており、重荷に感じている。
将来は逆に、環境負荷の高い商品が排除され、
環境商品の方がコスト的に安くなる。
「景気が良くなってから」との企業も多いが、環境対策は積み重ねが大事。
将来、確実に生き残るため、今から取り組まなくてはならない。
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◇くろだ・あきひろ
慶応大経済卒。72年コクヨ入社。取締役、常務、専務、副社長などを経て、
89年に4代目の社長に就任。大阪市出身。59歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/03/30/20090330ddm008020039000c.html
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