(読売 6月9日)
「新聞の題字は、みんなの名前の頭文字をとって付けようよ」、
「トップ記事は主人公が何を学んだかをテーマにすれば……」
東京・稲城市の私立駒沢学園女子中学校。
1年美組の国語の授業で、生徒たちは「小説新聞」の制作に
取り組んでいた。
何人かずつの班に分かれ、童話『赤ずきん』を題材に、
物語を紹介し、分析する新聞を作る。
完成した作品は廊下に張り出し、先生全員投票による
コンクールも行おうという試み。
赤ずきんのあらすじは、祖母の見舞いに行く際、
道草はしないと母と約束したのに、
オオカミにそそのかされて道草し、食べられてしまう。
狩人が、オオカミの腹を切り裂き、
祖母と赤ずきんを助け出す――というもの。
稲津恵子教諭(58)は、全5時間の最初の授業で、
物語は、〈1〉発端、〈2〉展開、〈3〉頂点、〈4〉結末――という流れで
構成されていることをまず教えた。
「母は、なぜオオカミがいることを教えずに一人で行かせたのだろう」、
「赤ずきんは、なぜ知らないオオカミに聞かれたことを
全部答えたのか」など、矛盾点を追究する“批判読み”をさせ、
生徒たちに考察と想像をさせた。
その上で、情報の取り出しと分析を目的に、
B5判のミニ新聞に整理。
「おりこう新聞」と題した坂本雪乃さん(12)の主見出しは、
「約束守っている?」
自分の経験をふまえた意見として、
「私も何度かお母さんに言われたことを守れず、後悔したことが。
人は一度自分で失敗してみないと、約束の大切さに
気付かないのでは」というコラムも書いた。
各自の作品を素材に、グループ学習に発展させ、
班ごとに議論しつつ大きな新聞に仕上げていく。
グループ学習を織り込むことについて、稲津教諭は、
「主体的に取り組むことで、自分の意思を明確に伝える力や
社会性を身につけさせたい」
こうした新聞作りを経験してきた上級生たちも、
「登場人物の気持ちを、真剣に考えるようになった」、
「項目に仕分けるのが面白いし、自分でもできる方法」
新聞は、送り手の意図によって情報が取捨選択され、
理解されるように編集された「物語」でもある。
新聞作りを通じ、事実と意見をかぎわけ、筆者のメッセージを
受け止められる力を養うことを、稲津教諭は目指している。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100609-OYT8T00251.htm
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