2008年11月13日木曜日

「男男格差」寿命にも 低所得者の死亡率、高所得の3倍

(朝日 2008年11月8日)

男性の高齢者で、所得の低い人の死亡率は、所得の高い人の3倍――。
65歳以上の男性約1万2千人を4年間追跡した結果、
所得により死亡率に差があることが、
日本福祉大学などの研究グループの調査で浮き彫りに。

同大の平井寛主任研究員、近藤克則教授(社会疫学)らが、
名古屋市から60キロ圏内の5自治体に住む65歳以上の男女を対象に実施。

匿名化した介護保険データを、自治体から提供してもらい解析。
03年10月時点で、要介護状態ではない男女2万8千人が、
07年10月までに死亡した率を所得別に調べた。

所得は、介護保険料算定の基礎となる階層に基づき、
「老齢福祉年金(年約40万円)や生活保護受給レベル」の第1段階から、
「課税対象の合計所得200万円以上(年金受給なら年320万円以上)」の
第5段階まで、5分類。

その結果、最も所得が低い第1段階の男性の死亡率は34.6%。
第5段階の11.2%の約3倍、第2段階の15.3%の倍以上高かった。

一方、女性の死亡率は所得階層による有意な差は出なかった。
女性の本人所得は、必ずしも世帯全体の所得を反映していない。

世界保健機関(WHO)の専門委員会に携わった
黒川清・政策研究大学院大学教授は、
「所得の低い人が受診を抑制したためではないか。
日本は、国民皆保険で長寿が達成されていると国際的に評価されてきたが、
近年の所得保障崩壊や医療費の自己負担増などで揺らいでいる
近藤教授は、「医療保障だけでなく、労働・教育政策など総合対策をとるべきだ」

http://www.asahi.com/health/news/TKY200811080073.html

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