(毎日 11月3日)
大手メーカー4社がひしめく国内ビール業界。
激しい販売競争とシェア争いが続くが、その一方で、
缶ぶたの仕様共通化やビールの共同配送など、
ライバル会社同士が環境面で協力する動きも出始めた。
企業の枠を超えた連携をリードするキリンホールディングスの
加藤壹康社長に環境への取り組みを聞いた。
-ライバルメーカーとの連携が進んでいますね。
◆段ボール原紙の共同調達、ビールの缶ぶたの仕様共通化でサントリーと協力。
サッポロビールとは、北海道の一部地域で、
ビールや清涼飲料の共同配送に取り組んでいる。
もちろん消費者のために、競争はしっかりやらなければならない。
自社製品の技術を磨いて、より優れたものを提供していく。
ただ、省資源など業界で取り組めることも多く、
2年ほど前から連携を提案してきた。
-効果は?
◆資材を供給する側はメーカーごとの在庫を持たなくて済み、
経済効果も大きい。
物流面でも、1社で運ぶと地域と季節によっては、
トラックの荷物が満杯にならず、効率が悪かった。
共同配送で二酸化炭素(CO2)削減の効果は出ている。
他の地域でも導入を検討していきたい。
-12年までに工場のCO2排出を90年比で半減するという高い目標。
◆燃料を、重油からCO2排出の少ない天然ガスに転換して効果が出ている。
キリンビールは、廃水を微生物で分解処理し、その際に出るメタンを
エネルギー源として再利用するなどの取り組み。
目標は、かなり前倒しで達成できる見通し。
-環境問題に取り組む意義は?
◆キリングループのビジネスは、「大地のめぐみ」のおかげで成り立っている。
ビールに使う麦やホップ、ワインに使うブドウなどの原材料は、
まさに大地のめぐみ。
事業を継続していくために、環境保全は避けては通れない。
地球環境が危ぶまれる現象も出始めており、
もっと積極的にやらなくてはいけない。
-メーカーは良い製品をつくるだけでは不十分か?
◆率先して環境問題に取り組むことが、消費者の評価につながる。
商品・サービスの良しあしだけではなく、
企業がどれだけ環境に配慮しているかが、
消費者の購買基準の中に組み込まれている。
環境問題への取り組みは、コストととらえがちだが、経営の効率化、
企業の成長につながるととらえるべき。
90年代にビール瓶を21%軽量化したが、一度に運べる量が増えるなど
輸送効率が12%向上。
環境問題の取り組みが、製品開発につながる技術革新を生むなど
プラスの面が増えている。
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◇かとう・かずやす
慶応大商卒、68年キリンビール入社。
北海道支社長、常務酒類営業本部長など経て06年社長。
07年7月に持ち株会社化し、社長。静岡県出身、63歳。
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20081103ddm008020040000c.html
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