(毎日 11月24日)
証券最大手の野村証券を傘下に持つ野村ホールディングス(HD)は、
環境関連企業への自己資金投資や、環境に役立つ技術を持つ
企業の上場支援などに力を入れている。
証券業界が、環境をキーワードに企業や投資家との結び付きを強める中、
金融の枠組みを使い、どのように環境問題の解決を目指していくのか。
渡辺真一郎常務に聞いた。
-環境関連企業とのかかわりを教えてください。
◆本業の金融業を生かして環境に貢献できないか、を考えている。
04年ごろから、環境関連企業の資金調達や上場支援に力を入れ、
地球環境関連企業は、00年~今年4月、東京証券取引所などに11社が新規上場。
汚染土壌調査や浄化処理までを行うダイセキ環境ソリューションなど
3社の主幹事を、野村証券が務めた。
-環境関連投資はブームで終わるとの指摘も。
◆(野村HDの)100%子会社、野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(NR&A)が、
成長性がある企業を発掘し、環境関連企業は高い技術を持つ企業が多く、
ブームでは終わらない。
NR&Aでは、創業から早い時期で資本を入れるなどの支援を行い、
環境関連企業12社に対して、計約11億円を出資。
-海外企業にも出資している。
◆インドの太陽電池メーカーのモーザー・ベア・ソーラー社に約30億円を出資。
資金は、太陽電池製造能力の増強に活用。
経済成長が著しいアジアでは、公害や産業廃棄物などの問題が起き、
解決するには金融面での支援も重要。
ウイン・ウイン(共に勝者となる)の関係になることも大事。
-社内の環境対策は?
◆書類のペーパーレス化を進めている。
野村証券には約430万口座があり、投資家に送付する取引残高報告書(A4判)
の年間使用量は4800万枚。
用紙のレイアウトを変えるなどの工夫で、紙使用量を25%削減、1200万枚減。
紙を積み上げると、東京タワー四つ分の高さになる量。
電子メールでの目論見書の交付を始め、約21万口座のお客様の了解を得られ、
紙削減に。今後も電子メールでの交付を増やす。
-社内運動も行っている。
◆社内で出たペットボトルのキャップをリサイクル業者に売却した代金を、
途上国の子供のワクチン購入費に充てる「エコキャップ運動」。
07年度末で、グループでワクチン301個相当を提供。
地道な活動ですが、今後も広げたい。
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◇わたなべ・しんいちろう
九州大経済学部卒。82年野村証券入社。
04年4月に野村証券執行役、07年4月に取締役に就き、
08年10月から野村ホールディングス常務。大分県出身。49歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/11/24/20081124ddm008020030000c.html
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