2011年1月13日木曜日

MOTTAINAI:「もったいない」5年の歩み 世界が注目、世界に浸透

(毎日 1月5日)

2005年に始まったMOTTAINAIキャンペーンは、
国内外でさまざまな取り組みの輪が広がっている。
5年間の歩みを振り返りながら、新たな動きを紹介。

マータイさんは、05年初来日した際、毎日新聞とのインタビューで、
日本語の「もったいない」を知り、共感。
3月、「国連婦人の地位向上委員会」で、
「女性たちによる世界的『もったいない』キャンペーンを展開し、
資源を効率良く利用しましょう」と訴えた。

これを機に、もったいないを世界に広げるMOTTAINAIキャンペーンを
毎日新聞社とともに始めた。

福島県や神奈川県など、各地で資源循環型社会の構築に向けた
県民運動が実践。
06年、世論調査で、回答者の86%の人がキャンペーンを知っており、
70%が「実践したい」と回答。

毎日新聞社は、創刊135年記念事業として07年、
横浜市の日本新聞博物館で、企画展示展「MOTTAINAI(もったいない)へ
~キャンペーン報道の力」を日本新聞博物館と共同で開催。

08年、地球温暖化の影響とみられる潮位上昇で、
島全体が水没の危機にさらされている南太平洋の島国ツバルに、
スクールバスが届けられた。
MOTTAINAIキャンペーンを通じ、バスが足りずに通学できない
子どもがいるツバルの現状を聞いた宇都宮青年会議所(JC)が、
市民らに寄付を呼びかけて実現。

フランス・ストラスブール市と群馬県板倉町の小学生を、
インターネットで結び、暮らしの中の「MOTTAINAI」について話し合う
ネット討論会も同月、板倉町で開かれた。

マータイさんは09年、日本政府から旭日大綬章を受けた。
日本の環境保護に関する意識向上や国際的地位の向上に
寄与したことが授章理由。
5月、キャンペーンの寄付金により、ケニア中部に20万本の木を植える
「緑のMOTTAINAI」キャンペーンが始まった。

◆広島訪問、古着回収…

国連平和大使に就任したマータイさんは10年、広島市を訪問、

秋葉忠利広島市長と共に原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学後、
平和記念公園で市内の高校生らと被爆桜を植樹。

「KYOTO地球環境の殿堂」の第1回殿堂入り者として、
京都市で開かれた表彰式に出席。

毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン事務局は、
同年1月からキャンペーン公式店で古着を回収し、
リメーク作品の素材として提供する取り組みを開始。
6月、ペットボトルの消費量を減らすため、マイボトルを持ち歩くよう
呼びかけるキャンペーンを実施。

◇植林実践「研究所」に期待 NW誌もFT紙も

地球環境の保全と世界平和を目指し、日本文化やものを大切にする
精神を学ぶMOTTAINAI学科などを併設する
「ワンガリ・マータイ環境・平和研究所」が世界から注目。

ビル・クリントン元米大統領が設立し、「米国版ダボス会議」とも
呼ばれている「クリントン・グローバル・イニシアチブ」(CGI)
昨年の定期総会で紹介、米英の有力メディアに相次いで取り上げられた。

CGIは、9月20~23日にニューヨーク市内で開催、
「世界の森林資源」をテーマに特別会議が開かれた。
マータイさんは、パネリストとして会議に出席、
司会者から研究所の設立に向けた動きがマータイさんの最近の
活動内容として紹介。

米誌「ニューズウィーク(NW)」は11月、ウェブ版の特集企画
「女性とリーダーシップ」に、マータイさんのインタビュー記事を掲載。
マータイさんは、次の目標として同研究所を挙げ、
「私たちが取り組んできた植林活動『グリーンベルト運動』が、
どのようにして地域社会を動かしていったのか学びたいという要望が、
多くの人から寄せられている。
大学や農場から若者が研究所に集い、実践を通じて学ぶことを
(私たちの研究所が)可能にできる」

英経済紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は12月、
「アフリカの緑の星」と題するマータイさんのインタビュー記事を掲載。
マータイさんは、「アフリカでは、政治的な指導力の欠如が長い間課題で、
指導力とは単に巧みな話術を指すのではなく、実践的なものであるべき。
ケニアでは、農業や林業に従事する人々に土壌や水の質を
守っていくことの重要性を説くことである」、
研究所設立を決意した理由。

◇筆先から地球を思う 毎日書道会、ほご紙再生に着手

財団法人「毎日書道会」(理事長・北村正任毎日新聞社会長)を
通じた書道古紙のリサイクルの取り組みが、今年から始まる。
小中学校などでの書道の授業や書道塾、書道家の書斎で出る
書き損じの用紙「ほご紙」を有効活用する試み。

毎日書道会員らで設立した一般社団法人「エコ再生紙振興会」
書道塾や書家、小中学校などの教育機関に呼びかけて、
ほご紙を回収し、日本郵政が運搬。
静岡県にある再生パルプ工場で再生紙にし、
文房具店などで販売する仕組み。

当初からかかわっている書家の池田光希さん(44)が、
塾を構える横浜市で、生徒1人が授業で使う半紙を5枚として
見積もったところ、市内の小中学校491校で年間に出るほご紙は
50トンと推定。
池田さんは、「国内の書道人口は約360万人、
想像を絶する紙がごみになっている」

昨年12月、横浜市で毎年実施している書道コンクールで、
出品時に使用する書道用紙をすべて再生紙に替えたところ、
参加者からは「書きやすかった」などと好評。
11年度、横浜市の小中学校を対象に回収を始め、
東京周辺の県に広げていく予定。

池田さんは、「関東に限らず、全国の書道にかかわっている人に、
運動への参加を呼びかけたい」
問い合わせ先、池田さん(電子メール ike10koku@yahoo.co.jp)。
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◇ワンガリ・マータイ環境・平和研究所

ナイロビ大農・獣医学部(ナイロビ市)の一角、約20haの敷地に、
研究棟や集会場、日本文化を紹介する施設などを建設する予定。
生物多様性に配慮し、樹木や水辺はそのまま残す。
マータイさんが実践で培った「行動から学ぶ」を教育方針に、
環境保全と平和を両立する開発手法を学ぶ。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/05/20110105ddm010040133000c.html

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