2010年11月16日火曜日

高齢者の旅行にヘルパー

(2010年11月11日 読売新聞)

ホームヘルパー(訪問介護員)が同行するツアーや、
旅館へのヘルパー派遣など、高齢者の旅行を支援する
サービスが増えている。
専門家の手を借りることで活動の幅が広がると、人気のようだ。

東京都内の高齢者施設で暮らす戸張八重さん(86)は、
息子の滝村淳三さん(54)、2人の孫と山梨県の石和温泉を訪れた。
脳梗塞で手足にまひが残り、一人では温泉に入れない。

そこで利用したのが、JTBが始めた入浴介助サービス。
石和温泉のほか、静岡県の熱海温泉、伊東温泉にある
計8軒のホテルに、ホームヘルパー2級以上の資格者を派遣、
大浴場に入る手助けをする。
料金は、通常の宿泊料のほか、介助料金がヘルパー1人8000円、
2人だと1万2000円。

戸張さんが泊まったのは、「石和びゅーほてる」(笛吹市)。
2人のヘルパーが、大浴場への移動や着替えを介助、体も洗ってくれた。
戸張さんは、露天風呂に入ると、「ああ、気持ちがいいです」。
淳三さんは、「外出を嫌がるようになり心配していたが、
旅行を楽しみにするようになった」。

観光庁の2009年度のまとめによると、宿泊を伴う観光旅行の
年間の回数は、20~50代までは1・8回未満、60歳以上は2・11回。
高齢者の旅行需要は大きいが、足腰が弱っているなどの理由で、
旅行をあきらめている人も多い。

JTBでは、入浴介助サービスのほか、ホームヘルパー2級以上の
資格者が同行し、移動を介助する国内外のツアーも提供。
一人での参加も可能。
「ツアーは、9月からコースを増やし、利用者も2割ほど増える予想」

独自にヘルパーを備えている宿も。
北海道北見市の「滝の湯センター夢風泉」では、
ホームヘルパー2級資格者が2人常駐。
共同浴場は手すりが付き、座って体を洗えるよう、
背もたれ付きのいすも用意。

旅行の支援者を養成する組織もできている。
06年、NPO法人「日本トラベルヘルパー協会」は、
ホームヘルパー2級以上の資格者を対象に、添乗業務などを教える
「トラベルヘルパー」の養成講座を開設。
昨年から、検定試験も実施。

介護旅行専門会社「SPI あ・える倶楽部」(渋谷区)は、
同検定で認定されたトラベルヘルパー約50人を登録。
半日の外出から海外旅行まで、ヘルパーが同行するプランを
介護状況などを考慮して、提供。
料金は、本人とヘルパーの旅行代金などのほか、
介助料金が介護度別で3段階に設定、要介護度3~5で1日2万6250円。

同協会の篠塚恭一理事長は、「旅行の予定を入れることで、
生きがいを感じ、リハビリに前向きに取り組むようになるなど、
介護予防の効果も期待できる

こうした旅行は、旅行先の国や地域によって、
追加料金が発生することもある。
主治医の承諾が必要などの条件が付く場合もあり、
申し込みの際に確認が必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128181/

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