2010年11月17日水曜日

壁画 「心の壁」を取り払え 岩手大・大学院生と花巻病院、絵画で地域と交流

(2010年11月11日 毎日新聞社)

岩手大・大学院の学生と、精神科専門の国立病院機構花巻病院が、
地域社会との境界線をなくす事業
「ボーダレスアート―心の壁を越えた社会を目指して」に取り組んでいる。

壁画制作で、院内を明るくすることから始め、
患者や地域住民が参加した絵画ワークショップを開くなどしている。
今後、効果を検証し、継続していく考え。

今年4月、女性看護師が、娘の友人で同大学院の三浦裕美さん(24)に、
吉住昭院長(62)が企画した壁画制作を持ちかけたことがきっかけ。
三浦さんが、美術専攻の学生に呼びかけ、30人集まった。

吉住院長は、病院は患者が治療を受け、
社会参画のきっかけを取り戻す場という考え。
「迷惑施設と見られるなど、地域社会との接点を持たず閉鎖的だった」
学生たちに考えを伝え、地域との接点づくりを共に始めることにした。

壁画制作は、8月下旬に始めた。
院内を明るくするだけでなく、学生たちが出入りすることで、
「閉鎖的」な院内の雰囲気を変えることを狙った。
学生たちは、「癒やし」をテーマに1階廊下に、
病院の周りにある野の草花を描いた。
9月13日~11月3日まで、地域に公開した。

9、10月は、患者や地域住民に呼び掛けて、
絵画のワークショップを3回開催。
患者25人、住民十数人が参加。
自分の姿をかたどった紙に、赤や黄色などで色を付けた作品や、
日光写真など約50点を制作。
作品も院内で公開したほか、取り組みを広く知ってもらうため、
盛岡市の旧石井県令邸で、14日まで作品展を開いている。

病院や学生たちによると、患者たちは、学生たちに、
「何を描いているのですか」、「暑いのにがんばってるね」と話しかけるなどし、
変化を喜んでいたようだ。
来院した住民へのアンケートでは、
「病院に入ることができ、良い機会だった」と歓迎の意見が多い。

若松知子総看護師長(56)は、「職員も患者を制限し、
枠に当てはめていたことに気づかされた

吉住院長は、「患者はもろく、傷つきやすいと考えすぎている。
そもそも、それが壁だと思う。
プロジェクトは良いきっかけになった」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128170/

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