2010年11月16日火曜日

植物病原体「ファイトプラズマ」の研究で国際賞を受けた東京大教授の難波成任さん 

(2010年11月11日 共同通信社)

植物に付く、ファイトプラズマという微生物がいる。
細菌でもウイルスでもない。
肺炎の病原体、マイコプラズマに似ているが、別物。
「よくこれで生きているなと思うほど、生きるために必要な機能がない。
生命の定義を覆す生命体です」

細胞に入り、物質を盗んでしぶとく生きる。
その正体を分子レベルで解明し、名付け親に。
国際マイコプラズマ学会のエミー・クラインバーガー・ノーベル賞を、
日本人で初めて受賞。

昆虫に運ばれ、さまざまな植物に感染する。
取りつかれると、葉が黄色くなったり、成長が止まったり、
花が葉になったり。
珍重されるガクアジサイやポインセチアは、実は病気の産物なのだ。

「世界中で、農業に大きな被害が出ている。
アブラヤシやココヤシが感染すると、その年のうちに100%枯れる。
ブドウやモモ、サクランボ、リンゴなどにも広がっている」

診断キットや防除方法を研究中。
その先に、もっと大きな夢がある。
「植物の病気には、複合的な要因がある。
どの病原体にも共通する部分を探り出し、
すべての病気に対する戦略を見つけたい」

植物の病気を診る専門家が農家に助言する
「植物医科学システム」の普及にも力を注ぐ。
「世界で3割、発展途上国で5割近い作物が、病気で無駄になっている。
それをなくせば、飢餓はなくなる」

東京大の近くで生まれ育った59歳。
学生時代から多くの病原体を発見してきた。
「社会で問題になっている事件を解決する。快感です」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128164/

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