2010年11月20日土曜日

「ペイアズユーゴー」で慶応大・土居氏/高所得者はより多く負担を

(2010年11月12日 Japan Medicine(じほう))

厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会で委員を務める
土居丈朗氏(慶応大経済学部教授)は、
施策の新規導入や拡充に財源確保を義務付ける
「ペイアズユーゴー原則」の下、給付の拡充を盛り込んだ制度改正を
実現するには、利用者負担や保険料負担の引き上げは
避けては通れないとの見方を示した。

低所得者の負担増をできるだけ抑える配慮も必要とし、
高所得者により多くの負担を求めるなど、
制度の応能性を高める必要がある。

高齢者本人や世帯の課税状況などに応じて、6段階に設定している
第1号被保険者(65歳以上)の保険料負担について、
土居氏は、「第5~6段階により多く負担をお願いし、
第1~2段階はほとんど増えないような仕組みとしてもよいのでは」と提案。

厚労省によると、2008年度末現在、第1号被保険者約2830万7000人
のうち、第1~2段階は約18.5%、第5~6段階は約38.3%。
これらの状況を踏まえ、「全体の2割は据え置きで、8割を負担増とし、
上から4割の人にはもう少し多く負担してもらう。
人数構成的に見ても無理はないのでは」

高所得者の利用者負担の引き上げにも言及、
「第6段階の人から、利用者負担増をお願いする。
あまり大々的には入れられないかもしれないが、
保険料上昇を食い止める1つの方法としてお願いすることは考えられる」

第2号被保険者(40~64歳)の保険料負担の在り方について、
「今の仕組みのまま単純に料率を上げるだけでは、
明らかに保険料率格差が拡大する可能性が出てくる」、
「総報酬割」の導入が重要な検討事項。

介護保険部会で、議論の俎上に上がっている公費負担割合の
引き上げについて、「社会保障分野への目的税として、
消費税を上げることになっても、社会保険という観点から、
5割を堅持すべき」との見方。

現行の介護給付費の財源構成である「公費5割・保険料5割」を
維持した場合、公費を1とすると「1+1」で、
確保できた公費の2倍額を給付費とできるが、
「公費6割・保険料4割」とした場合、「1+2/3」となり、
給付費の額は小さくなる。

土居氏は、「保険料負担は軽くて済むかもしれないが、
全体として給付費に回せるお金が多く増えない」
「増税できないと給付拡充できないというしがらみに、
もっと強く拘束されてしまう」と解説。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/15/128297/

0 件のコメント: