2010年11月21日日曜日

情報機器を使う(7)仮想世界で実技を学ぶ

(読売 11月17日)

武蔵野市の市立第二中学校で、インターネット上の仮想世界
「セカンドライフ」を使った授業が行われた。
パソコンの画面に映し出されたのは、
ノコギリを手にした男性のアニメ映像。

「ノコギリひきのコツを見つけよう」。
同中で技術・家庭科を教える佐藤智巳教諭(25)は、
1年生30人に語りかけた。

ノコギリを持った男性がいるのは、仮想世界にある教育研究所で、
敷地面積は約6万平方メートル。
教育システム販売会社が、仮想世界に所有しており、
その一画(約1600平方メートル)を研究者に提供。

アニメの動きは、実際の人間の動きをビデオで撮影して作製。
ノコギリひきに慣れた上級者と初心者の動きを、
切り替えることができる。
生徒たちは、マウスを操作してアニメにノコギリをひいてもらい、
動きの違いを比べ、ひき方のコツを学ぶことができる。

グループごとにマウスを操作して、アップにして観察したり、
360度、いろいろな角度から見たりして動きを比べた後、
授業はいよいよ実技へ。
現実世界で、本物のノコギリを手にした生徒らは、
パソコンで見た上級者の動きを思い浮かべつつ、
木片を次々に切っていった。

うまく切れたという松本誠央君(13)は、
「映像はリアルで本物のよう。
動きの違いがよくわかる」とうれしそう。
上級者のように、脇をしっかり締めることに注意したという
松本君は野球部員で、「バットの振り方など練習でも使えれば」と
素振りのしぐさを見せた。
佐藤教諭は、「子どもたちの関心は想像以上。また使いたい」

この授業には、仕掛け人がいる。
教室の後ろで様子をみていた安藤明伸・宮城教育大学准教授(37)。
中学で技術・家庭科を教えた後、大学で3D映像を
教育現場で利用する方法などについて研究しており、
佐藤教諭は安藤准教授の大学での教え子。

アニメ映像は、実は安藤准教授の仮想世界内のアバター(分身)。
「授業で、上級者の動きを見る機会は少ないし、その機会があっても、
何度も繰り返し見ることはムリ。
3D映像が、上級者の実演観察の代わりになれば
将来的には、跳び箱など体育の実技などにも活用したい。

3D映像を使った授業が行われたのは、
同校を含めてもまだ数校程度。
まだあまり知られていないが、実技のある教科で
頼もしい助っ人になりそうだ。

◆セカンドライフ

米カリフォルニアのネット企業、リンデン・ラボ社が、
2003年に開設したオンライン・サービス。
現実世界のように立体的で、人との交流や経済活動などができる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101117-OYT8T00189.htm

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