2010年11月21日日曜日

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/5止 ローラースポーツ

(毎日 11月6日)

板張りの体育館で、ジャンプやスピンを次々と披露する。
徳島を拠点とするローラースポーツ男子フィギュアの
西木紳悟(22)=コンドーク=は現在、
世界で唯一トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶ。

氷上では、同じジャンプが得意の浅田真央(中京大)が活躍、
「ローラーでも十分楽しい」と、わが道を行く。

ローラーフィギュアとの出合いは9歳。
地元紙に掲載された体験教室。
あきっぽい性格が災いしてか、野球や水泳、空手など、
さまざまなスポーツをかじってはやめていたが、
ローラーフィギュアは違った。

みるみる上達して魅力にはまり、中学3年でシニアの
全日本選手権に出場。
初出場で優勝し、現在8連覇中。
非五輪競技・種目で競う09年ワールドゲームズ高雄大会(台湾)では、
国際大会で過去最高の5位。

マイナー競技ゆえの悩みが、日本のエースを襲っている。
徳島文理大4年の西木は今年、競技と両立できる企業を求めて
就職活動をしたが、条件を満たす企業は見つからなかった。
知名度が低く、企業の理解を得にくいばかりか、
競技人口が日本で約100人と少なく、通常の体育館では
「床が傷む」と、ローラーフィギュアが敬遠されるため、
練習場が限られ、勤務地の幅が狭まるのも原因。

アジアでトップレベルの実力を持ちながら、
引退も考えざるを得ない状況に追い込まれている。
「アジア大会は大きな大会。
ここでいい演技をして、ローラーフィギュアを有名にしたい」と西木。

開催地がリオデジャネイロに決まった16年夏季五輪では、
七つの追加競技候補にローラースポーツも挙がったが、
1回目の投票で落選。
「メジャー化」への道は険しい。
自らの現役続行も懸けて、トリプルアクセルを成功させ、
競技の存在感を示す役割を果たすつもりだ。
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◇ローラースポーツ

ローラースケートを使い、採点競技の「フィギュア」と、
距離別タイムレースの「スピードスケート」がある。
フィギュアは、「ショートプログラム」(2分15秒プラスマイナス5秒)と、
「ロングプログラム」(4分プラスマイナス10秒)の2本立てで順位を競う。
日本からは西木の他、スピードで女子の篠塚奈知(24)が出場。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/11/06/20101106dde035050038000c.html

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