2010年11月27日土曜日

総合学習を生かす(1)「笑顔の理由」考え深める

(読売 11月19日)

新潟県小千谷市立千田小学校の6年生の教室。
「お年寄りは、どんな時に笑顔になりましたか」、
担任の大野佳代教諭(50)が問いかける。
「ゆっくり大きな声で話した時」などと答える子どもたち。
総合学習では、高齢者との交流会を通した学習を行っている。

交流会は年6回実施し、各回の後に振り返りの場を設ける。
体験で得た情報を集めて整理し、課題を見つけて次回の計画を作成、
実行して再び振り返る。
そうした作業を繰り返す中で、自分で考え、実践する力を育てるのが狙い。

この日は、5回目の交流会後の2度目の振り返り。
子どもたちは、お年寄りが楽しいかどうかを判断する基準を
「笑顔」と考え、班ごとに考えをまとめて授業に臨んだ。
話し合いでは、ある男児が、「言葉は伝わったけど、笑顔にならなかった」と
指摘したのをきっかけに、「自分たちが笑顔で話しかけた」、
「相づちを打った」、「共感する言葉を言った」と議論を深めていった。

改善点が見えてきたところで、
最後に、次回に向けた目標と理由を個人カードに記入。
子どもたちは一斉に書き始め、周りをキョロキョロ見たり、
何も書かずにあきらめたりする子は一人もいなかった。

同小では、自分の考えを書くプリント学習やテストなどで、
白紙や無解答の児童はほとんどいない。
今年度の全国学力テストでは、読解力や判断力などを見る
応用的な国語Bの「無解答率」は、
全国平均の4・2%に対し、わずか0・7%。
正答率は、全国平均を約7ポイント上回った。

「体験を振り返り、友だちと一緒に考えを深める学習を
繰り返すことで、自分の考えを文章でまとめる力が
育っているのでは」と大野教諭。
曽我茂樹校長(53)も、「考えを深める『総合』の授業に
学校全体で力を入れた結果、学力も上がった」と胸を張る。

課題設定力、計画力、思考力……。
様々な力が、総合学習で育まれている。

2002年度に新設された「総合的な学習の時間」。
新学習指導要領では、知識を活用する思考力や判断力、
表現力などを育む探究的な学習の場として、
位置づけが明確になったが、
学校間で授業の質に差があるなど課題も多い。
効果的な授業を追求する各地の取り組みを報告する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101119-OYT8T00154.htm

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