2010年11月22日月曜日

大河流れて:ユース五輪の遺産 第1回開催シンガポールの場合

(毎日 11月12日)

アジア大会に、過去最多の242選手を派遣するシンガポールでは
今年8月、未来のオリンピアンを育てる「もう一つの五輪」が行われた。
14~18歳の選手を対象とし、IOCが新設した第1回ユース五輪。

競技だけではなく、教育や交流を重視した理念もあり、
IOC副会長でもある大会組織委員会のセルミャン・ウン会長は、
ユース五輪は、シンガポールにとって大きな遺産をもたらす」と力説。

大会には、約2万人の市民がボランティアとして参加。
選手村では、地元の中高校生が出場国・地域ごとにブースを設け、
遊びや展示を通して文化を紹介し、市民レベルでの交流も進んだ。

AFP通信などによると、大会経費は当初見積もりの3・7倍の
3億8700万シンガポールドル(約247億3000万円)に膨れ上がり、
9月には国会で議題に上った。

ビビアン・バラクリシュナン社会開発・青年スポーツ相は、
「形として見えるもの、目には見えないものを含めて、
投資に見合う価値はあった。
市民に、スポーツ文化の土台を築く効果がある」と強調。

アジア大会サッカー男子1次リーグのシンガポール-インドを
観戦した、シンガポール・オリンピック委員会の
クリス・チャン専務理事は、将来のアジア大会開催の可能性について、
「小さい国なので分からない」と慎重だが、
「子どもたちは、試合を見て感動していた。
次の世代にも、ユース五輪の理念を伝えていければ」と期待。

シンガポールの選手強化は、国外出身選手に頼ってきた側面も。
卓球の女子団体は、5月の世界選手権で、
中国の連覇を8で止めて優勝したが、
世界ランク3位のフェン・ティアンウェイ、
7位のワン・ユエグら中国出身選手が中心。

自国出身の選手が育ちにくい土壌の中で、
若手育成は長期的な課題。
ユース五輪の遺産を、アジアにどう伝え広めていくかも、
第1回開催国に課せられたテーマといえる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/11/12/20101112ddm035050048000c.html

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